初代プレイステーション時代【ゲーム音楽史09】

ゲーム音楽史も佳境に入って参りました。

今回は1996年から2000年頃の、初代プレイステーションとセガサターンが中心となっていた年代のことをお話していきます。

プレステの成功と任天堂の凋落

前回述べた通り、セガ・サターンとプレイステーションは1994年の末頃発売されましたが、しばらくはスーパーファミコンのほうがシェアが大きく、プレステとサターンが主流になるのは1996年頃です。

結果的にはサードパーティの参入障壁を低くして、低価格で大量のゲームタイトルをリリースするというソニーのマーケティングが成功し、プレイステーションがこの世代のゲーム機の覇者となります。

1996年には任天堂が「Nintendo64」という64ビットゲーム機を対抗として出します。

しかし任天堂は、スーパーファミコンと同様に「ゲームメーカーを囲い込んでROMカートリッジで供給」というマーケティングをやったため、据え置き型ゲーム機市場のシェアをプレイステーションに完全に持っていかれてしまいます。

CD-ROMと音源の進化によるゲーム音楽の変化

この時代を境にゲーム音楽は急激に変化していきます。

答えから言うと、CD-ROMの普及と音源の進化による開発環境の激変があったためです。

これまでにもPCエンジンなどCD-ROMを使用できる環境はありましたが、プレステ・サターン世代からは内蔵音源も大幅に強化され、ゲーム音楽の再生環境は大きく変わりました。

具体的には生録音の演奏やボーカル曲の使用が可能になりました。

ただ、当時のハードはメモリーが少なかったため、まだストリーミング再生やゲーム中のBGMでのCDDA再生はかなり制約はありましたが、この世代で格段の進歩となりました。

当然ながら、それまでとは根本的に音楽の内容や作り方も変わってきます。

簡単にいうと、この時代以降、ゲーム音楽は一般の音楽に近くなっていきます。

それまでは、例えばスーパーファミコンなら8和音という制約があり、音楽もそれに特化した作り方で、それがそれまでのゲーム音楽の「ゲーム音楽らしさ」を作り出していたと思います。

ちょうど、ソロギターが6本の弦で出来る範囲での作編曲に特化して、それが音楽としての個性になるのと同じように。

ですが、プレステ世代は「内蔵音源24和音以上+CDDAでの波形再生」という環境なので、制約が大幅に少なくなって、大抵のことはやれてしまいます。

工夫して作る必要がなくなった→ゲーム音楽としての個性は薄れていく、という結果になっていきます。

こういう言い方をすると誤解を招きそうですが、これはあくまで全体の傾向なので、個別ではゲーム音楽として個性的で素晴らしい曲はたくさんあります。

さらに時代が進んで21世紀に入るとこの傾向はさらに顕著になり、ゲーム内容も映像表現主体になっていって、音楽はあまり主張しないものが求められるようになっていきます。

初代プレステ時代はまだ過渡期で、曲の作りや聴こえ方は一般音楽に近づいていきますが、まだゲーム音楽としての強い主張を持った曲が多く、なかなか面白い年代と思います。

初代プレステ世代のコンシューマー機ゲーム音楽

プレステ全盛期のコンシューマーお薦めタイトルを一気に書いていきます。

タイトルも非常に多いので、自分の独断と偏見で厳選しました。

女神異聞録ペルソナ(アトラス)
音楽凄く良かったですねー。最初やった時、オープニングデモのピアノ曲がインパクトがあって、何回か電源入れなおして粘着して聴いてた記憶があります。あとはベルベットルームですよね。「全ての人の魂の詩」はペルソナ作成の時延々と流れるので脳内残留激しいです。プレステのゲーム音楽をじっくり聴いたのはペルソナが初めてなんですが、やはりリアルさで言うと、スーファミとは段違いです。そのぶん失われたものもありますが。

パラッパラッパー(ソニー)
ラップで対決する、というゲーム内容で、これって未だにTV番組でやってたりして人気がある分野と思いますが、この時代にゲーム化したのはかなり慧眼でしたね。音楽はクラブミュージック系のアレンジが主体で、1990年代に巷で流行っていたヒップホップ、トランス、ダンスホールレゲエなどの要素が散りばめられています。でも、そんな事より、タマネギ先生の曲のインパクトですよ。このゲームは。一度聴いたら忘れない強インパクト曲です。

マリオカート64(任天堂)
「レインボーロード」は64版が一番好きです。

ワイルドアームス(メディアビジョン)
これのメインテーマは、なるけみちこさんの代表曲。口笛!

悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲(コナミ)
山根ミチルさん作品。全体にクラシカル。自分はかなりの後追いでやって、正直、プレイはかなり適当だったと思うんですが、音楽はピンポイントで数曲、物凄く好きなものがあって、それはよく覚えています。「パール舞踏曲」とか「木彫パルティータ」とかですね。これは個人的な感想なんですが、ドラキュラの音楽はあまりリアルな音源にしてしまうと、普通にクラシック系BGMとして聞き流してしまいがちなので、DS3部作のほうが記憶に残っています。

ガメラ2000(タイトー)
「The end of 1996 H.K」は隠れた名曲。タイトー得意のトランス/EDM系。

マリーのアトリエ(ガスト)
音楽が良いことで知られるアトリエ・シリーズの第一作。自分は「只今お仕事中」が謎の中毒性で好き。

サガ・フロンティア(スクウェア)
伊藤賢治さんが音楽を担当。自分はクサメロ系の「バトル5」が好きです。

アインハンダー(スクウェア)
福井健一郎さん作品。トランス系の「熱圏」が好き。

風のクロノア(バンダイナムコ)
楽曲非常にバラエティに富んでいてクオリティも高いです。途中フォルクローレ調になる3拍子曲「Baladiums Drive」好きです。

グランツーリスモ(ソニー)
これはなんといってもTスクエア安藤まさひろさんによるメインテーマでしょう。熱い!

グランディア(ゲームアーツ)
岩垂徳行さん作品。メインテーマはディズニー映画テーマ曲なんかを彷彿とさせます。確実に名曲。

ゼノギアス(スクウェア)
プレステ時代の光田康典さんは本当に神がかっていましたね。このあたりからヴォーカル曲もやりはじめました。

幻想水滸伝2(コナミ)
グラディウスの東野美紀さん作品。「Reminiscence」はひたすら美しい曲です。

聖剣伝説Legend of Mana(スクウェア)
下村陽子さん作品。個人的に下村さんの最高傑作と思います。タイトル曲/エンディング(タイトル曲のヴォーカル版)の他、「懐かしき歌」「ホームタウンドミナ」「滅びし煌めきの都市」など名曲多数。

ワイルドアームズ2(メディアビジョン)
1も良かったですが、2もいいです。「バトルVSロードブレイザー」はクサメロ系名曲で、ヴォーカル版(アニソンの王道的な曲に仕上がってます)も捨てがたい。

クロノクロス(スクウェア)
光田康典さん代表作。クロノトリガーの続編ということで、音楽に期待してプレイしました。音楽は鉄板の出来ですよね。後に、ゲーム音楽採譜をやりはじめてから、改めてちゃんと聴いてみたんですが「あー、これ、こんなに良い曲だったんだー」というのがたくさんありました。

ファイナルファンタジー9(スクウェア)
「Rose of May」という名曲を擁する作品。「あの丘を越えて」も良いです。

1990年代後半のアーケードゲームの音楽

この時期、アーケードゲームは対戦格闘ゲームブーム後期にあたります。
SNKなどを中心に盛んにシリーズものの新タイトルが発表されていました。

なんですが、音楽で自分の印象に残っているのは、90年代前半と同じくタイトーのタイトルです。

クレオパトラ・フォーチュン
「Shinin’Queen」の出だし、「確かになぁ、確かになぁ」って言ってるのかな?

Gダライアス
このへんからOGRさんは作風がソリッドなものに変わっていきます。

この作品は工場音のようなSEを上手く使っています。「キメラⅡ」「ADAM」が適度にメロディアスで好き。

1990年代後半のPCゲーム音楽

windows95・98の時代にあたり、DTM環境も徐々に整備されてきます。
ゲーム音楽でいいものを何点かあげます。

ウルティマオンライン(エレクトロニックアーツ)
廃人を量産した悪魔のオンラインゲーム。自分は未プレイですが(のほうが良かったと思われ)「Stones」は虚無的な哀愁でいいですね。廃人のテーマか(笑)

新・英雄伝説3(ファルコム)
「白き魔女ゲルダ」のテーマは、すごくドラマチックな名曲と思います。

AIR(Key)
恋愛ゲーム。これ「夏影」しか聴いてないんですが「久石譲さんの新曲です」と言われても全く違和感ないというか(笑)。いい曲ですね。

1990年代後半の携帯ゲーム機

携帯型ゲーム機市場はポケモンのヒットもあって、未だにゲームボーイがトップのシェアを占めていました。任天堂は据え置き型ではプレステに敗れましたが、携帯ゲーム機では市場を握っていたわけです。

1996年ゲームボーイポケット、1998年ゲームボーイカラーと後継機が発表されますが、サウンド他、基本性能は初代ゲームボーイのままでした。

性能的には今さら感でしたがポケモン以降大きな市場になっていたので、ゲームメーカーも開発に力を入れ、ゲーム音楽も充実していました。

据え置きゲーム機のゲーム音楽は一般音楽に近づいていきましたが、携帯型のゲーム機は音源が2回りほど周回遅れだったこともあり、ファミコンテイスト満載で独特の味があるジャンルと思います。

ネオジオポケット・ネオジオポケットカラー

ネオジオポケットは、1998年10月にSNKが発売した携帯ゲーム機。

同時期にゲームボーイカラーが発売され、モノクロ液晶だったネオジオポケットはスルーされる形となってしまいます。

そこですぐにカラー液晶化したネオジオポケットカラーを発売しますが、ポケモン金・銀の登場などもあって、イマイチ注目されませんでした。

サウンドは、パルス3ch+ノイズ+DAC(波形再生)2ch。

ゲームボーイアドバンス世代の性能を有し、価格も7000円から9000円前後とかなり頑張ったハードと思いますが、マーケティングの失敗で埋没してしまいました。

ワンダースワン

1999年3月にバンダイが携帯ゲーム機「ワンダースワン」を発売。ゲームボーイの開発者、横井軍平氏が開発に関わったといいます。

ゲームボーイやネオジオポケットがカラー液晶化する中、電池持ちと視認性を優先し、敢えてモノクロ液晶を採用しています。

ですがやはりモノクロ液晶ということでセールスが伸びず、翌年にはワンダースワンカラーを発売しています。

性能的にはゲームボーイアドバンスの世代になり、ゲームボーイ・ゲームギアより性能は遥かに良かったんですが、そうこうしているうちにゲームボーイアドバンスの登場となり、淘汰されてしまいました。

サウンドは波形メモリー4chで内1chはPCM音源として使えるというもので、ゲームボーイアドバンスとどっこいといったところでしょうか。

1990年代後半のモバイルゲーム音楽お薦めタイトル

以下、1996年から2000年頃の携帯ゲーム機の音楽お薦めタイトルです。

ポケットモンスター赤・緑(任天堂)
これをやるためにゲームボーイポケットを買いました。タイトル曲とバトル系の曲は物凄く覚えてます!

メダロット・シリーズ(イマジニア)
これも結構ハマりました。メダロット5(5の発売は2001年末ですが)の「VSハードネステン」は「ザ・ゲーム音楽」な感じでめちゃめちゃテンション上がるんですけど。これの作曲は初代悪魔城ドラキュラの山下絹代さん。

ドラゴンクエスト・モンスターズ1・2(エニックス)
すぎやまこういちさん作品。このゲームは、母親が亡くなる前後にやってたんですよね。母が亡くなる直前にやってたセーブデータを見るのが辛くて、半年くらいゲームボーイ・カラーの電源入れられなかったです。これの音楽は、その記憶とセットになってて、聴くと胸が痛くなってダメです。とくに「星降る夜」がなんとも言えない気持ちになります。

ポケットモンスター金・銀(任天堂)
これもハマりましたね。「バイオレットシティ」「67番道路」が好きです。

――ちなみにこの後ですが、2001年頃から自分BGMは、ゲームをあまりやらなくなっているため、ゲーム音楽史も実体験は乏しく、2015年頃にゲーム音楽への興味が復活したのちに調べた知識で書いていくことになります。

不足している知識も調べて補いつつ、音楽のことを重点的に書いていこうと思います。

ゲーム音楽史 前回

第二次黄金期【ゲーム音楽史08】
ゲーム音楽史第8回は「第二次黄金期」としてスーパーファミコン後期の1995年を中心に取り上げています。この時期、多数のゲーム音楽名曲が生み出されました。

ゲーム音楽史 次回

プレイステーション2時代【ゲーム音楽史10】
ゲーム音楽史第10回は、プレステ2時代として2001年から2005年頃の年代を扱います。PCゲームも洞窟物語・東方プロジェクトなどを取り上げています。

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