女神異聞録ペルソナ「オープニング&ペルソナ」【ギター演奏・コード進行87】

女神異聞録ペルソナ オープニング&ペルソナ 動画
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1996年:プレイステーション(PlayStation)
メーカー:アトラス(ATLUS)
タイトル名:女神異聞録ペルソナ(Persona)
曲名:オープニング&ペルソナ(Opening&Persona)
作曲:青木秀仁(Hidehito Aoki)、目黒将司(Shoji Meguro)
演奏難易度:☆☆★★★(普通)

ゲーム音楽ソロギター演奏動画・コード進行解説の第87弾は、女神異聞録ペルソナ(プレイステーション版の初代ペルソナ)より「オープニング」と「ペルソナ」を組曲にして演奏します。

以前、「全ての人の魂の詩」(ベルベットルームで流れるペルソナシリーズの象徴のような曲)を演奏しましたが、その紹介記事で女神異聞録ペルソナの作品概要やペルソナシリーズの魅力などについて書いていますので(最近加筆しました!)是非ご一読下さい。

この記事内で「オープニング」の事にも少し触れていますが、今回、ようやく演奏が実現しました。

PS版とPSP版の音楽について

初代ペルソナの音楽について、最初に解説しておいたほうが良いと思われることがあります。

それは、初代のプレイステーション版『女神異聞録ペルソナ』と、リメイク版であるPSP版『Persona』では、音楽の多くが差し替えられていて、楽曲の方向性もかなり異なる、ということです。

PSP版はペルソナ3以降の音楽に近く、これはメインコンポーザーの目黒さんの作風の変化の影響が大きいと思います。

今回演奏している曲ですが、「オープニング」のほうはPSP版ではオープニングデモごと完全にリニューアルされていて、音楽も川村ゆみさんが歌う「Dream of Butterfly」(直訳すると、胡蝶の夢)という曲に変更されています。

「ペルソナ」のほうはセベク編バッドエンド曲として生き残っていて、アレンジは違いますが、原曲からそんなに大きくは変わっていません。

この記事では、初代のプレイステーション版『女神異聞録ペルソナ』を想定して書いていますので、その点だけご承知おき下さい。

荘子『胡蝶の夢』

ある時、私は蝶になった夢を見た。

私は蝶になりきっていたらしく、それが自分の夢だと自覚できなかったが、ふと目が覚めてみれば、まぎれもなく私は私であって蝶ではない。

蝶になった夢を私が見ていたのか。
私になった夢を蝶が見ているのか。

きっと私と蝶との間には区別があっても、絶対的な違いと呼べるものではなく、そこに因果の関係は成立しないのだろう。

~荘子~

初代のPS版『女神異聞録ペルソナ』(以下、本作)のオープニングデモの冒頭で、荘子の『胡蝶の夢』の一節が出て来ます。

このオープニングデモは主人公達が暮らす街の中を、ヒラヒラと飛んでいく蝶を追うような演出になっていて、この『胡蝶の夢』の詩が、ゲーム全体のテーマを表している、という事が分かります。

これの解釈や、ペルソナシリーズの低通テーマの話は長くなりそうなので今回は割愛しますが(「全ての人の魂の詩」の紹介記事のほうで少し触れています)、『胡蝶の夢』が提示される時に流れる「オープニング」及び、「オープニング」と同一モチーフを使っているタイトル曲「ペルソナ」は、上記『胡蝶の夢』の一節をイメージして作曲されたものではないか?と想像しています。

なお、PSP版のオープニングデモでは、『胡蝶の夢』の演出もカットされていますが、理由はわかりません。

女神異聞録ペルソナの音楽

本作の作品概要は上にリンクを載せた「全ての人の魂の詩」の記事を読んでいただくとして、今回は本作の音楽面について解説します。

音楽という事で言うと、本作はアトラス作品・女神転生シリーズの一大転換期に当たるタイトルです。

前作、真・女神転生デビルサマナー(1995年、セガサターン)には、それまで真・女神転生シリーズのメインコンポーザーだった増子司さんも参加していますが、本作からアトラスは自社のサウンドスタッフを大増員して、音楽・サウンドを自社スタッフで固めるようになりました。

1991年頃からアトラスのサウンドスタッフになっていた故・青木秀仁さんの他、この後アトラスサウンドチームの中心となる、目黒将司さん・土屋憲一さんが初参加していて、この時期からアトラスサウンドチームが本格的に発足したと言って良いと思います。

本作の楽曲は、サウンドスタッフが増員された分、曲調もバラエティーに富んでいました。

その中でも有名なのは、以前このブログでも取り上げた「全ての人の魂の詩」(当時はベルベットルームという曲名だった)と、故・青木秀仁さんが歌う「サトミタダシ薬局店のうた」の2曲だと思いますが、戦闘曲群も佳曲揃いですよね。

戦闘曲などは熱いアレンジも多かったですが、自分の印象は、全般にアコースティックピアノの音色が多用されていて、クールな音楽だと思いました。

ちなみに自分は、今回演奏する「オープニング」「ペルソナ」や、青木さん作の「BLACK SNOW」あたりが好きです。

収録曲の曲名について

女神異聞録ペルソナに収録されている音楽の曲名についてですが、『オリジナル・アレンジアルバム』と『完全収録版』という2種類のサントラが出ていて、同じ曲でも、それぞれ違う曲名がついていたりするので、混乱を招いています。

多分、制作側は曲名の事まで考えてなかったんだと思われますが、どちらかというと、先に出た『オリジナル・アレンジアルバム』の曲名のほうが一般に浸透しているように思うので、このブログでは『オリジナル・アレンジアルバム』に収録されている曲はそちらの曲名で、そうでない曲は『完全収録版』の曲名で記載することにします。

今回の演奏曲について

今回演奏するのは、オープニングデモで流れる「オープニング」と、セベク編のバッドエンディングで流れる「ペルソナ」(完全収録版の曲名は「セベク編バッドエンディング2」)の2曲を組曲にしたものです。

この2曲の作曲者はサントラのクレジットによると「オープニング」のほうが青木秀仁さん、「ペルソナ」のほうが目黒将司さんですが、この2曲は同じモチーフを使っていたり、コード進行が似ていたりして、同じ作曲者じゃないの?と思います。

もしかしたら、先に「ペルソナ」を目黒さんが作り、それを参考に青木さんが自由リズムのピアノソロにアレンジして「オープニング」を作ったとか、あるいは、その逆とか、そういうことかもしれませんが、真相は謎です。

オープニング

「オープニング」は、本作のオープニングデモムービーで、重苦しいSEをバックに静かに流れるピアノソロ曲ですが、自分的には初めてプレステの音源(これはCDDAによる生録音かな?)を体験したタイトルの、しかも一番最初に耳にした曲ということで、かなりのインパクトを感じたものです。

それまで主にプレイしてたのはスーパーファミコンだったので、このソロピアノの演出と音質は、自分の中のゲーム音楽の概念を、また一段階塗り替えるものでした。

ペルソナ(セベク編バッドエンディング2)

「ペルソナ」のほうは、セベク編のバッドエンディングという地味な使われ所だし、イマイチ目立たない印象ですが、これ、タイトルチューンですよね?

ゲームタイトルを冠しているし、ゲーム全体のテーマを表現するような、重要な位置付けの曲だと思うんですが。

内容的には「オープニング」にリズムと展開を付けたような感じです。

自分は、これら2曲が一対のものであると感じたので、今回、組曲にしてアレンジしました。

以下は、ギターアレンジについて書きます。

「ペルソナ」の拍子の解釈など【ソロギター演奏】

「オープニング」の原曲は自由リズムのピアノソロで、かなりフレーズ間の間を空けて演奏されていますが、このアレンジでは、普通に独奏曲として聴ける程度の間の空けかたにして弾いています。

「ペルソナ」(セベク編バッドエンディング2)の原曲は、ピアノをメインに、ストリングスが絡むアレンジです。

ギターアレンジでは、基本的にピアノの旋律を追いつつ、ストリングスのラインが目立つところは、それをなるべく弾くようにしました。

「ペルソナ」のほうは、セクションごとに3回の拍子変更が入りますが、以下の解釈ができます。

Aメロ(3拍子 or 6/8拍子 or 3連符主体の4拍子)

Bメロ(4拍子)

Cメロ(3拍子 or 6/8拍子 or 3連符主体の4拍子)

Bメロ繰り返し(4拍子)

つまり、AメロとCメロには3通りのリズム(拍子)の解釈ができますが、どちらにしろ独奏だし、テンポチェンジやフェルマータも絡むし、こういう形の演奏なら、どの解釈でもokと思います。

このアレンジでは、Aメロは6/8拍子ぽい感覚で弾いていますが、Cメロでは3拍子の解釈をしてフラメンコのブレリアの感覚で弾いています。

胡蝶の夢(オープニング&ペルソナ) コード進行

オープニング(自由リズム)
Em11 Em11 Em11 Em11
Em Em7 CM7(onE) CM7(onE)
Em11/Em Em
Am7(onE) Em Am7(onE) CM7/B7

ペルソナAメロ(6/8拍子)
Em EmM7 Em7 A7
CM7 B7♭5/B7
Em EmM7 Em7 A7
CM7 B7(♭5)/B7

ペルソナBメロ(4拍子)
Em EmM7(onD♯) Em7(onD) A7(onC♯)
Em EmM7(onD♯) Em7(onD) A7(onC♯)
CM7 B7(♭9)

ペルソナCメロ(3拍子、ブレリア)
Em EmM7 Em7 EmM7
Em EmM7 Em7 EmM7
Am AmM7 Am7 AmM7

Em F7(♭5) Em A7
Em A7/D Em B7
Em/C/Am Em/C/Am Em/C/Am Em/C/Am

ペルソナBメロ繰り返し(4拍子)
Em EmM7(onD♯) Em7(onD) A7(onC♯)
Em EmM7(onD♯) Em7(onD) A7(onC♯)
CM7 B7(♭9)
Em11

コード進行分析

オープニング(自由リズム)
■Eマイナー
Ⅰm7 Ⅰm7 Ⅰm7 Ⅰm7
Ⅰm Ⅰm7 ♭ⅥM7 ♭ⅥM7
Ⅰm Ⅰm
Ⅰsus4 Ⅰm Ⅰsus4 ♭ⅥM7/Ⅴ7

ペルソナAメロ(6/8拍子)
Ⅰm ⅠmM7 Ⅰm7 Ⅳ7
♭ⅥM7 Ⅴ7♭5/Ⅴ7
Ⅰm ⅠmM7 Ⅰm7 Ⅳ7
♭ⅥM7 Ⅴ7♭5/Ⅴ7

ペルソナBメロ(4拍子)
Ⅰm ⅠmM7 Ⅰm7 Ⅳ7
Ⅰm ⅠmM7 Ⅰm7 Ⅳ7
♭ⅥM7 Ⅴ7

ペルソナCメロ(3拍子、ブレリア)
Ⅰm ⅠmM7 Ⅰm7 ⅠmM7
Ⅳm ⅣmM7 Ⅳm7 ⅣmM7

Ⅰm ♭Ⅱ7 Ⅰm Ⅳ7
Ⅰm Ⅳ7/♭Ⅶ7 Ⅰm Ⅴ7
Ⅰm/♭Ⅵ/Ⅳm Ⅰm/♭Ⅵ/Ⅳm Ⅰm/♭Ⅵ/Ⅳm Ⅰm/♭Ⅵ/Ⅳm

ペルソナBメロ繰り返し(4拍子)
Ⅰm ⅠmM7 Ⅰm7 Ⅳ7
Ⅰm ⅠmM7 Ⅰm7 Ⅳ7
♭ⅥM7 Ⅴ7
Ⅰm

付加音の解釈がポイント【コード進行のポイント】

この2曲は、全体的にEマイナー一発っぽい展開の中で、微妙な付加音が入ることで、内在的な調性の揺らぎを感じさせる作りになっています。

その付加音ですが、Em→EmM7→Em7とか、内声を半音や1音ずらして変化をつける動きが多く、そこからさらに内声が下がってきて、Em7→CM7(onE)とか、Em7→A7(onE)なども登場します。

この音型(マイナーコードにM6th=13thやm6th=♭13thが付加される)は、理論を少し知ってる人ほど解釈に迷いやすい形と思いますが、自分は以下のように解釈しています。ベースになるコードはⅠmと仮定します。

  • 付加音がM6th=13thの場合→Im6の解釈が苦しいときはⅣ7(onⅠ)で解釈
  • 付加音がm6th=♭13thの場合→マイナーオーギュメントなどとするよりも♭ⅥM7(onⅠ)で解釈

こうやってオンコードで解釈したほうが、コード理論的にはスッキリ説明がつく場合が多いです。

ペルソナBメロの4拍子になる部分ですが、ここもコードにE→D♯→D→C♯という半音下降の付加音が入っています。

この半音進行は内声で弾けば楽なんですが、ギター1本だと付加音による和音変化が感じにくかったんですよね。

ここ、聴かせどころだと思うし、この半音進行をベースに持って来て強調しました。

そのぶん難易度が上がってしまいましたが。

あと、これはちょっとしたリハモですが、ペルソナCメロの10小節目、オリジナルは普通にB7のところ、今回のアレンジでは裏コードにしてF7(♭5)で弾いています。こうするとフラメンコぽくなりますよね。

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