クロノクロス「時の傷痕」【ギター演奏・コード進行82】

クロノクロス 時の傷痕 動画
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1999年:プレイステーション(PlayStation)
メーカー:スクウェア(SQUARE)
タイトル名:クロノクロス(Chrono Cross)
曲名:時の傷痕(Time’s Scar)
作曲:光田康典(Yasunori Mitsuda)
演奏難易度:☆★★★★(難しい)

ゲーム音楽ソロギター演奏動画・コード進行解説の第82弾は、クロノクロスよりオープニングテーマ曲「時の傷痕」です。

実は、この曲は敢えて後回しにしていたものですが、正月休みに頑張ってアレンジを作ってみました。

本文中で詳しく書きますが、自分にとってこういうスパニッシュというかジプシー音楽要素のある曲って逆に難しいんですよね。

光田康典さんの代表曲

クロノクロスのオープニングテーマ曲「時の傷痕」は、数ある光田康典さんの作品の中でも人気・知名度が高い曲ですが、光田さん自身もインタビューで「会心作」と語っているように、名実ともに彼の代表作と言えます。

光田康典さんについてはこちらの記事で紹介しています。

アレンジも秀逸で、前半後半で全く雰囲気が変わるエッジの効いた展開と、多彩な生楽器の音色が哀愁のあるメロディーにバチっとはまっています。

プレイステーション以降、ゲーム音楽も生録音での制作が徐々に浸透していきますが、この曲はそれを象徴するものだと思います。

クロノクロスのオープニングの冒頭で、こんな詩が提示されます。

はじまりは、何だったのだろう?
運命の歯車は、いつまわりだしたのか?

時の流れのはるかな底から
その答えをひろいあげるのは、
今となっては不可能にちかい……
 
だが、たしかにあの頃わたしたちは、
おおくのものを愛し、
おおくのものを憎み……

何かを傷つけ、何かに傷つけられ……

それでも、風のように駈けていた
青空に、笑い声を響かせながら……

これは、今回演奏するオープニングテーマ曲「時の傷痕」の、さらにはクロノクロスという作品全体のテーマを表した詩です。

曲のテーマというのは、この詩に集約されていると思いますので、ここでは音楽の内容的なことを書いてみます。

前半のゆっくりした部分は、光田さんが深い影響を受けているアイルランド(ケルト)民謡のカラーを感じます。

後半、テンポアップしてからはヨーロッパに点在するジプシー音楽の雰囲気ですよね。

最後に何回もリフレインするサビのメロディーは、クロノクロスの前作『クロノトリガー』メインテーマの転調部分と同じモチーフを使っていて、クロノトリガーからの連続性も表現されています。

敢えて後回しにしていた曲

クロノクロスからは3曲目の選曲になります。

順番的にいうと、この曲はもっと早いタイミングで演奏していて然るべきかと思いますが、 敢えて後回しにしていたものです。以下、その理由を書きます。

フラメンコギター+ゲーム音楽というと、ほぼ必ずこの曲の名前が上がるんですが、スパニッシュ・フラメンコ要素があるゲーム音楽って、逆に難しさを感じています。

ちなみに、自分は「時の傷痕」にジプシー音楽要素は感じるものの、フラメンコ要素はそんなに無いと思うんですが、ギターがジャカジャカ鳴ってる上にジプシー音楽風の切ないメロディーが乗ると、一般的な認識は「フラメンコぽい!」ってなるようで。

同じく、フラメンコギター+ゲーム音楽ということだと必ず名前が上がる、ロマンシングサガ・ミンストレルソングの「熱情の律動」なども同様なんですが、純フラメンコと、これら「スパニッシュ風インスト音楽」の音楽性って、実はかなり隔たりがあって、フラメンコ奏者の立場からこういうものに取り組むのって、意外と難しいものなんですよね。

ゲーム音楽は原曲イメージが強いジャンルなので再現度も重要になってくるし、自分のフラメンコのイメージと、一般の人が「フラメンコぽい」って感じるものとのギャップを埋めるためには、相当のセンスと労力を必要とする、と感じるわけです。

そんな理由で、ジプシー・スパニッシュ要素のある曲は気軽に取り組めずに後回しになりがちなんですよね。

今回の選曲とアレンジ

上記のような理由から後回しにしていた「時の傷痕」ですが、いつかは演奏したいとは思っていて、採譜もしていました。

そして「やるとしたらこの正月休みに集中してアレンジするかー」ということで、今回の演奏になりました。

アレンジの手順としては、最初はわりと原曲に忠実にアレンジして、入れられそうなところにフラメンコ要素を入れていく、という形をとりました。

なんですが、フラメンコ化はかなり難しかったです。

やればやるほど原曲と離れてしまうので、バランスをとるのが難しかったです。

自分個人的にはアウトランとかのラテン曲のほうがフラメンコ化しやすいですね。

ロマ音楽の系譜

今回はリズムトラックも気合いを入れて作りました。

イメージとしては、インド→アラブ→スペインという、ロマ(ジプシー)の旅と歴史みたいなものを表現したかったんですが、雰囲気のあるコンガのパターンをベースに、タブラ(インドの太鼓)、ダラブッカ(アラブの太鼓)、パルマ&カホン(フラメンコ御用達の組み合わせ)などを組み合わせて作りました。

曲調に合うパターンを作るのに、ギターアレンジと同じくらい時間かかっています。

バラエティーに富んだ演奏に【ソロギター演奏】

この曲は前半と後半で曲調が変わります。

原曲の前半はスローなギターのアルペジオと笛のメロディー、後半はテンポが2倍以上になって、ジャカジャカのギターカッティングにバイオリンのメロディー、という組み合わせです。

まぁ、実際はもっと色んな楽器が入ってますが。

前半のアルペジオとメロディーを両方再現するならギター2重奏が良さそうですが、今回はソロギターで、ということで、ギター1本での再現を目指しました。

ギターはメロディーを強く出しにくい楽器だし、Aメロはどちらかというとメロディー重視のアレンジにしてます。

それに対して後半のBメロ以降はリズム&コードプレイ重視にしましたが、途中、トレモロ奏法を入れて、原曲のサビ(Cメロ)1コーラス分だけ静かになるパートを再現してみました。

結果としては、フラメンコアレンジをベースにしつつも、バラエティーに富んだアレンジになったと思います。

時の傷痕 コード進行

イントロ
Em9 Em9 Em9 Em9

Aメロ
Em Em CM7 CM7
Em Em FM7 FM7
Emadd9 Emadd9 G/D(onF♯) Emadd9/CM7
G/D7 CM7/Bm7(onF♯)

ブリッジ
Em Em Em Em
Em C(onE) D(onE) D(onE)
Em C(onE) D(onE) D(onE)

Bメロ
Em D Em D
Em D Em Em/D
Em D Em D
Em D Em Em/D

Cメロ
CM7 D7 Em D7
CM7 D7 Em D7
CM7 D7 Em D7
CM7 D7 Em Em
3回くり返し

エンディング(アレンジ)
E

コード進行分析

イントロ
■Eマイナー
Ⅰm Ⅰm Ⅰm Ⅰm

Aメロ
Ⅰm Ⅰm ♭ⅥM7 ♭ⅥM7
Ⅰm Ⅰm ♭ⅡM7 ♭ⅡM7
Ⅰm Ⅰm ♭Ⅲ/♭Ⅶ7 Ⅰm/♭ⅥM7
♭Ⅲ/♭Ⅶ7 ♭ⅥM7/Ⅴm7

ブリッジ
Ⅰm Ⅰm Ⅰm Ⅰm
Ⅰm ♭Ⅵ ♭Ⅶ ♭Ⅶ
Ⅰm ♭Ⅵ ♭Ⅶ ♭Ⅶ

Bメロ
Ⅰm ♭Ⅶ Ⅰm ♭Ⅶ
Ⅰm ♭Ⅶ Ⅰm Ⅰm/♭Ⅶ
Ⅰm ♭Ⅶ Ⅰm ♭Ⅶ
Ⅰm ♭Ⅶ Ⅰm Ⅰm/♭Ⅶ

Cメロ
♭ⅥM7 ♭Ⅶ7 Ⅰm ♭Ⅶ7
♭ⅥM7 ♭Ⅶ7 Ⅰm ♭Ⅶ7
♭ⅥM7 ♭Ⅶ7 Ⅰm ♭Ⅶ7
♭ⅥM7 ♭Ⅶ7 Ⅰm Ⅰm
3回くり返し

エンディング(アレンジ)

ダイアトニックコード中心の進行【コード進行のポイント】

この曲の調性は、Eマイナーキーが基本ですが、前半はポツポツと臨時記号が出てきて少し調性が揺らいでいます。

メロがEドリアン(=Bマイナースケール)になっている部分があったり、FM7コードはEマイナーの♭ⅡM7(ナポリコード)ですが、一瞬Aマイナーに転調していると捉えることもできます。

テンポアップしてからの後半はCM7、D7、Emの3つのコードだけで作られているシンプルな構成です。

ラストはメジャー終わりにしてみました。

コードはシンプルなんですが、メロディーとコードの変わるタイミングをずらすような作り方をしている箇所が多く、ソロギターで再現するのは大変でした。

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