黎明期からナムコ一強時代へ【ゲーム音楽史01】

今日から新シリーズの読み物「ゲーム音楽史」を少しづつ書いていこうと思います。

自分自身も時系列でまとめることで、知らなかった知識を補充できたりするし、こういうゲーム音楽関連の読み物を編纂していくことで、最終的に当ブログを「ゲーム音楽資料集」のような感じにできたらいいな、と思います。

今の時代は基本的な情報はネットで調べられるので、ネットの情報も参照しつつ、基本的に自分の独断と偏見で語っていきます。

世界で初めて音楽を奏でたゲーム

Wikiによると最初の音楽を奏でるゲームはExidy社が1977年に発表した『サーカス』です。

これはやったことないんですが、ごく短い単旋律メロディを出すことができたようです。

スペースインベーダー

初期のビデオゲームといえば、日本では1978年にタイトーが発売して社会現象になったスペースインベーダーが有名ですね。

スペースインベーダーはリアルタイムではやっていないんですが、TVなどでよく取り上げられていたので、どういう音が鳴るかは知ってました。

スペースインベーダーは、まだPSGも搭載されておらず効果音のみでした。

発振器で音程を変えられるので、あの「デッ・・デッ・・デッ・・デッ・・・」ていうのがベースラインに聴こえなくもないですが、まとまった音楽と呼べるものでは無かったと思います。

日本で最初にメロディを奏でたゲーム

スペースインベーダーのコピーゲームであるスペースフィーバー(任天堂、1979年)とメロディーパート3(サンリツ、1979年)が、日本で最初に音楽を奏でたゲームと言われています。

一般的には、その少し後のパックマン(ナムコ、1980年5月)のジングルが有名ですが、これらはゲームの合間に鳴るメロディックな効果音、といった感じでした。

ナムコ一強時代へ

いわゆるBGMがついた最初のゲームはラリーX(ナムコ、1980年11月)ですね。

少ししてニューラリーXにバージョンアップされてBGMが2和音になり、Bメロがつきました。

元祖ラリーXはAメロのみ4小節のループでしたが、ニューラリーXのほうは1ループ16小節あって、ちゃんと起承転結が表現されていました。

メロディーは例えるのが難しいですが、ちょっとカントリー調に聴こえます。

――このように国内のゲーム音楽は1980年頃にパックマンやラリーXから始まり、その開発元であるナムコがリードしていくことになります。

そして、それからしばらくの間1984年頃まで「ナムコ一強時代」といえる先駆者ナムコの独走状態が続きました。

この時代、なぜナムコが音楽において圧倒的優位に立てたのか?ということを考えてみます。

ナムコ独走の3つの要因

ナムコが独走態勢に入れた要因ですが以下の3つの要因があったと思います。

  • ギャラクシアン・パックマンからの一連のアーケードゲームの商業的成功
  • いち早く投入された波形メモリ音源
  • 業界初となる音楽専任スタッフの採用

この時代、次点としてはドンキーコング(1981年)の任天堂、タイムパイロット(1982年)のコナミあたりと思いますが、質・量ともにナムコが他社を大きく引き離し、圧倒的地位を築いていました。

まず第一の要因である商業的成功ですが、インベーダーブームに追従する形で出したギャラクシアン(1979年)がヒット。続いてパックマン(1980年)の大ヒット。

この二つの成功がその後に続くタイトルへの投資へ繋がったんではないでしょうか。

次に第二の要因、波形メモリ音源です。

この時代(1981年から1983年頃)のゲームの音源というと、やっとPSG音源が普及しはじめた段階でした。

PSGとは「Programmable Sound Generator」の略です。

それまでBEEP音やブザーしかなくて効果音程度しか表現できなかったのが、PSGの登場によってメロディや和音が表現可能になりました。

当時の主流のチップは8オクターブ3和音出るもので、1984年頃までのPC・ファミコン・MSX・ナムコ以外のアーケードゲームはこのPSGを搭載していました。

PSGの音質はファミコンに代表されるいわゆる「ピコピコ音」で、音色バリエーションが少なく、電子音に音階がついたような感じでした。

ナムコの波形メモリ音源

そんな時代にナムコが投入したのがC15(少し後には改良型のC30)という波形メモリ音源でした。

波形メモリ音源とはザックリいうと、PSGとFM音源(1985年頃から登場。音色を自分で作ることができる)の中間のような音源です。

FM音源のようにユーザーが波形(音色)をエディットすることはできませんでしたが、あらかじめチップに記録してある特定の波形(音色)を再生していく方式です。

原理的にはPCM音源に近いのですが、音の印象は音色のバリエーションが広がったPSGというイメージです。

ナムコは最初から波形メモリ音源を使用

ナムコの波形メモリ音源ですが、どの段階から投入されたのか?というのはネットの情報でも諸説あるようです。

  1. 1980年 音階を出力できたナムコ初の作品であるパックマンから
  2. 1981年初頭のニューラリーXから
  3. 1981年秋のギャラガから
  4. 1982年のスーパーパックマン(マッピーと同ハード)から
  5. 1983年春のマッピーから

自分は音質などの理由で3.ギャラガから説だったんですが、これは違ったようです。

読者様から正確な情報が寄せられ、それによると、1.の1980年パックマンからだったようです。

つまりナムコは一般的なPSGは使用せず、最初から波形メモリ音源だったということです。

当初はチップになっていない音源回路で、1音しか出なかったのを高速切り替えで疑似的に3和音にしていたというから驚きました。

ゼビウス、ポールポジションもこの方式だったようです。

音源チップ化された「C15」(8和音出せた)は、1982年後半のスーパーパックマンから。つまりマッピーHARD以降ということです。

ちなみにゼビウスは1983年ですが旧世代の「ギャラガHARD」で開発されています。

音源チップによる音の違い

波形メモリ音源ですが、ナムコのアーケードゲームを筆頭に、いろいろなハードに応用されてきました。

少し後のコナミバブルシステム、その応用であるコナミMSXのSCC音源、ファミコンディスクシステム、ゲームボーイなどですが、メーカーやチップによって音色の個性がありました。

  • 元祖であるナムコC15/C30は温かみのあるオルガン系の音色
  • コナミバブルシステムのものはグラディウスに代表されるようなきらびやかな金属系の音色

といった具合です。

ナムコの波形メモリ音源は別名「ナムコPSG」「WSG」などと呼ばれ、当時から他社のPSG音源のタイトルとは差別化されていました。

ナムコとコナミは波形メモリ音源への開発投資に注力した結果、他社よりもFM音源導入が遅れた、という結果にもなりましたが……

業界初の音楽専任スタッフ

この時代はプログラマーやゲームデザイナーがBGMや効果音も作るという制作スタイルが一般的でした。

そんな中でナムコが他社から抜きんでた理由の一つとして、他社に先んじて「音楽・サウンド専任スタッフ」を採用したから、ということが大きな要因としてあります。

ナムコ一強時代では3人の音楽専任スタッフが活躍しました。

大野木宣幸さん、慶野由利子さん、小沢純子さんの3人を以下の記事で紹介しています。

大野木宣幸さん
1980年入社。代表作はマッピー、ポールポジション、リブルラブル、メトロクロスなど。

慶野由利子さん
1981年入社。代表作はディグダグ、ゼビウス、ドラゴンバスターなど。

小沢純子さん
1983年入社。代表作はギャプラス、ドルアーガの塔、スカイキッドなど。

ナムコという圧倒的ブランド

自分も子供の頃はこういう事情は知らなかったのですが、駄菓子屋時代から「ナムコのゲームの音は分厚くて豪華だなぁ」と思ってました。

音もそうなんですが、ナムコというブランド力は当時は並ぶものがないくらい強かったです。

ゲーム筐体に挟みこまれている、操作方法やロゴが書いてある紙や、雑誌に載っている画面写真を見るだけでワクワクしました。

余談ですが、当時タカラから「ゲームパソコン」(ソードのm5という機種のOEM)というものが発売され、ナムコのアーケードタイトルが家庭でプレイできるのを売りにしていました。

これが死ぬほど欲しかったんですが、少々お高かったので買ってもらえなかったです。

そして1年ほど後にMSXでナムコのアーケードゲームシリーズが出はじめたので、そちらを買いました。

MSXのこのシリーズ、パッケージにも統一感があって、よく並べて眺めて悦に入ってました(笑)

ただ、ゼビウスだけはMSX版が出なかったんですよね。

その後ファミコン版ゼビウスが発売されて、それをやるためにファミコンを購入した、というくらい筋金が入ったナムコファンでした。

ナムコ一強時代の代表曲ソロギターアレンジ

ゲーム音楽史 次回

初期のPCと家庭用ゲーム機【ゲーム音楽史02】
ゲーム音楽史では前回、アーケードゲームを中心に黎明期からナムコ一強時代の話をしましたが、今回は前回と同じ時代の、PCと家庭用ゲーム機のゲーム音楽についてです。

コメント

  1. PPP より:

    ナムコの波形メモリ音源第一弾はパックマン。まだチップになっていない音源回路。発音数は1だが超高速で切り替えることで、疑似的に同時発音数3を実現。以後の音源チップもこの方式を踏襲。
    ギャラガ、ディグダグ、ゼビウス等、同時発音数3のゲームはすべてこれで、ポールポジションも同じだが、音程精度を犠牲にして同時発音数4を実現している。
    C15が初めて使われたのはスーパーパックマン。同時発音数は8、波形メモリは8(ROM)、ノイズ発音不可のためノイズ(爆発音)用にC54と併用される事も多かった。採用ゲームはマッピー、リブルラブル、ドルアーガの塔、トイポップ等。
    C30はパックランドから採用。波形メモリは16(RAM)でプログラムから設定可能、バンク切り替えも可能、ノイズ発音も可能。同時発音数は8だが、音質を犠牲にすれば16音モードも可能。ただし16音モードが使用されたゲームは無い。
    初期は音量が4ビット、中期は15ビット、後期は4ビット×2でステレオ化された。ナムコシステム86および87(システム1)ではFM音源が搭載されたため、ほぼ効果音専用で使われたが、ホッピングマッピー、ワールドスタジアム、ドラゴンスピリット、フェイスオフ等では音楽用にも使われた。システム2以降は高性能PCMチップC140が採用されたため、以後搭載されなくなった。

  2. BGM より:

    正確な情報をありがとうございます!
    ネットで調べてもなかなか解明できなかったんですよね。
    該当箇所を加筆修正させていただきます。

  3. PPP より:

    迅速な対応、恐れ入ります。
    以上の情報は「シューティングゲームサイド Vol.8 (GAMESIDE BOOKS)」のナムコ音源伝説(石村繁一、田城幸一、小川徹、慶野由利子各氏のインタビュー)に依ります。
    AMAZONで電子書籍版が発売中です。 Kindle版 \1028

    位下、参考になりそうな動画をご紹介いたします。

    OBSLive 2011/8/20 慶野由利子さんゲスト回
    https://www.youtube.com/watch?v=LK0E3zmKxbE

    アーケードゲーム『バラデューク』30周年イベント-高橋由起夫、岸本好広、慶野由利子他
    https://www.youtube.com/watch?v=0vitz2_XlQo

  4. PPP より:

    追加です。C30ソフト音源のKAMATAに関する特集です。
    『バナスタサウンズナマスタ』 第1回 YouTubeLive初放送スペシャル!
    https://www.youtube.com/watch?v=CWd6I85wk_E

  5. BGM より:

    重ね重ね、ありがとうございます。
    自分はハードウエア知識面など、力不足もあると思いますが
    ゲーム音楽の魅力をもっと広めたいという気持ちから
    この企画をやっています。
    資料的な完成度を上げるためにも、
    ご指摘いただけるとたいへんありがたいです!

  6. PPP より:

    ファミコン時代のベースラインがシンプルだったのはこうでもしないと、メモリに入りきらないという苦肉の策でした。
    この時代はアーケードですら、メモリが少なくて苦労することがあり、あの有名なアウトランも当初はLAST WAVEが入らず、他の曲を最適化してどうにか収めたとのことです。

  7. BGM より:

    PPPさん、コメントありがとうございます。お詳しいですね!
    80年代当時はメモリ不足の問題もかなり大きかったでしょうね。
    キロバイト単位でしたし。
    アウトランは当時としては1ループ長かったしアレンジも音色も凝ってたから容量的にキツかったのは想像できます。
    少し前のファンタジーゾーンは当時としてはベースラインが凝っていましたね
    あのスラップの使い方は衝撃的でした。

    あと、3和音環境での凝ったベースラインは
    アレンジ詰めるのがすごく大変で下手にやると楽曲バランス崩壊するので
    開発期間や人員の問題もあって(昔は一人で短期間で音色・効果音・サウンドデバッグまで全部やってたり)
    ベースラインは無難にルートを鳴らしていた。
    というのもありそうです。
    そのへんもう少し考察して加筆するかもです。