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ゲーム音楽で特徴的なコードテクニック【ゲーム音楽論09】

前回扱ったのは、先駆者たちが作り上げた『こういうシーンならこういう進行でいけば間違いない』という王道的なコード進行でした。

今回はもう少し細かい内容で『メロがこうきたら、こういうオチを付ければ上手くループできる』『こういうコード進行はこうすればゲーム音源に適したアレンジにできる』という、ゲーム音楽でよく出てくる慣用句みたいなものを解説していきます。

sus4ケーデンスの多用

sus4コード(メジャー・トライアド・コードのド、ミ、ソがド、ファ、ソに変化したもの)を使った解決パターン。

ドミナント7th(CメジャーキーならG7)やトニック(CメジャーキーならC)での同主調転調がらみの使用や、メロディーの終盤でオチを付けるのに使われます。

マイナーキーで最後だけメジャーに

マイナーキーでずっと進行してきて最後だけ同主調メジャーのⅠに行くパターン。

曲中ずっと『切ない、重い』感じできて、最後の最後で少し希望を持たせる明るい抜け感、みたいな。
RPGとかの展開をそのまま音にしたような感じで
ゲーム音楽作家に好まれる展開です。

――以上の2つはベース音がルート(根音、CメジャーコードならC=ド)で鳴っていれば、三度の音の変化(ファ、ミ、ミ♭)のみで成立するので、少ない音数での微妙な調性表現がやりやすいんだと思います。

同主調のサブドミナント活用

同じようなメジャー・マイナーの切り替えで以下のようなコードを活用して同主調の音を織り込むことがあります。

  • メジャーキーでのサブドミナントマイナーコード(CメジャーならDm7♭5,Fm,A♭M7など)
  • マイナーキーでのサブドミナントコード(CマイナーならDm7,F7,Am7♭5など)

これらはゲーム音楽以外でも一般的な手法です。

ただ、ゲーム音楽では王道進行の一つ『同主調混在メジャーキー』は、これが絶対に出てくるので使用頻度は非常に高いです。

ベース音指定コード

いわゆる『オンコード』でコードネームのあとに(onA)などの表記がついてベース音が指定されてるものです。

分数コード(アッパーストラクチャーコード)と混同されますが別物で、こちらはベース音のみの指定です。
よく使われる手法をあげると

  • コードやフレーズを固定したままベース音を動かす
  • 逆にベース音を固定したままコードやフレーズを動かす

これらも一般的な定番手法であり、ゲーム音楽の特徴というほどではありません。

ゲーム音楽で特徴的なオンコードは、ドミナント7thコードで3度・7度の音をベース音にしたボイシングでしょうか。

3度ベースの場合は次に解説するパッシングディミニッシュと同様で、ベース音の跳躍を減らしてを滑らかにする効果があります。

7度ベースが結構特徴的だと思います。

例えば前回取り上げたⅠm→Ⅱ7(onⅠ)の場合は、Ⅰmからベース音は変えずにコードチェンジするんですが、Ⅰm→Ⅰdim(いわゆるトニックディミニッシュ)に近い響きです。

あと、これもよく出てくるんですが、Ⅰ→Ⅰ7(on♭Ⅶ)
これはIのベース以外は固定してベースだけ1音下に行くんですが、Ⅰ→♭Ⅶ7の代理的に使われたりもします。
流れ的にⅣにも♭ⅥにもⅥmにも行きやすいです。

このあたりは前回解説した王道進行とセットになってます。

パッシング・ディミニッシュ

もう1つ、パッシング・ディミニッシュの多用があります。

ディミニッシュコードは短三度音程のみで構成される特殊コードで、短三度で平行移動が可能です。

例えばCdim=Ebdim=Gbdim=Adimの中身は同じコードになります。

またドミナント7thコードのルート音を半音あげるとディミニッシュコードになるので、ドミナント代理として使われます。

パッシング・ディミニッシュはディミニッシュコードのこういう特性を利用して、ドミナント進行(5度進行)などをディミニッシュで代理して半音進行に置き換えるものです。

ゲーム音楽の場合、以前解説したようにベースラインに制約が多かったため、ベースラインの跳躍を避けて
半音進行に置き換えた結果そうなってると思われます。

そうやってディミニッシュ変換をすると短3度平行移動が可能になるので、そこを起点にまた違った展開がうまれたり、作曲上凄く使い勝手がいいんですよね。

テンションノートの活用と『新型JMM』

これはメロディーの話にもなるので独立記事にしようかとも思いましたが、それほどの文章量にならなそうなのでここで補足的にやっておきます。

JMM(ジャパニーズ・メランコリック・メロディー、自分が作った造語)の進化についてです。

JMMをマイナー3コードや下降進行でコードトーン主体に作ると、演歌・ムード歌謡チックになってきます。

それはそれで魅力もあるのですが、ゲーム音楽は若い世代がターゲットだったので、そこはかなり工夫され、新型JMMと呼べるようなものに進化していきます。

コード的にはテンションノートの多用です。
メジャーコードならM7th、9th、sus4、♯11th、13th
マイナーコードなら6th、m7th、M7th、9th、11th
といった音をメロの重要ポイントに組み込んで、演歌・ムード歌謡化を回避、先進的な響きを獲得していきます。

JMM解説のとき書きもらしたものを補足する形になりましたが、自分はあれこれ考えながらこのゲーム音楽論を執筆する中で、この『新型JMM』がゲーム音楽の特徴を語る上でかなり重要なのかも、と感じています。

音楽理論系の話について

前回、今回とコード進行の話をしましたが、こういう話はこれ以上掘り下げるとどんどん専門的になってくるので、基本をおさえたところで次に行こうと思います。

音楽理論系の話題はどこまで突っ込むかが難しいところですが、詳細なことは個別のコード進行分析記事でやるとして、ここではゲーム音楽共通の基本的なところをおさえるにとどめたいと思います。

ゲーム音楽論 前回

ゲーム音楽の王道的コード進行【ゲーム音楽論08】
ゲーム音楽論 第8回はゲーム音楽に使われるコード進行について。300曲採譜した管理人BGMが感じたゲーム音楽的コード進行を解説します。

ゲーム音楽論 次回

スケール(音階)とモード(旋法)【ゲーム音楽論10】
ゲーム音楽論 第10回。コード進行についてやってきましたが、今回はスケール(音階)とモード(旋法)という面からゲーム音楽の特徴を考えます。

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