スーパーマリオブラザーズ「地上BGM」【ギター演奏・コード進行33◆特別企画第2弾】

スーパーマリオブラザーズ 地上BGM
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1985年:ファミリーコンピュータ(NES)
メーカー:
任天堂(Nintendo)
タイトル名:
スーパーマリオブラザーズ(Super Mario Bros.)
曲名:
地上BGM
作曲:
近藤浩治(Koji Kondo)
演奏難易度:☆☆★★★(普通

ゲーム音楽ソロギター演奏動画・コード進行解説の第33弾は、スーパーマリオブラザーズより「地上BGM」です。

「地上BGM」は、スーパーマリオのメインテーマである「あの曲」ですね。

今回は「ゲーム音楽を弾こう!」連動の特別企画第2弾としてのお届けですが、第1弾のドラゴンクエスト「序曲」と同様、採譜やアレンジのやりかたも含めて解説していきます。

スーパーマリオブラザーズ 作品概要

スーパーマリオブラザーズは1985年9月にマリオブラザーズの続編として任天堂から発売されてロングヒットしました。

全世界で4500万本以上を売り上げるという、この時代としては空前の記録を残したモンスタータイトルです。

自分の記憶では、出たばかりのときはそれほど騒がれなかったと思います。

翌1986年になって、ドラゴンクエストなどのキラータイトルがどんどん出てきてファミコンの普及が進むと、「ファミコンといえばスーパーマリオ」という代表タイトル的イメージが強かったこの作品は、本体と同時購入されてどんどん売り上げを伸ばした、というイメージです。

スーパーマリオの音楽

スーパーマリオブラザーズの音楽は近藤浩司さんの手によるものです。

スーパーマリオは、この時代としては非常に多彩な音楽が詰め込まれていて、この音楽でなければあそこまでヒットしなかったのでは?と思います。

この曲「地上BGM」はゲームスタート直後に流れる本作品のメインテーマといえる曲で、スーパーマリオの音楽といえば、ほとんどの人がこの曲をイメージするんではないでしょうか。

というか、恐らく日本人が作った音楽としては世界一有名なものだと思うんですが。

前々回に特別企画第1弾としてとりあげたドラゴンクエスト「序曲」も有名な曲ですが、ドラクエは主に日本国内で売れたのに対し、スーパーマリオは全世界規模で大ヒットしています。

ポール・マッカートニーの来日公演で近藤さんが関係者として楽屋を訪れた際、ポールがスーパーマリオの「地上BGM」を口ずさんだという話は有名です。

バラエティに富んだBGM達

スーパーマリオのゲーム内容や音楽に関しては、色んなところで語り尽くされている感がありますが、以下、自分の感じることを書いてみます。

まず、この時代のゲーム音楽としては非常にバラエティーに富んでいます。

この「地上BGM」は自分はカリビアンミュージックに聴こえるのですが、最初に作曲されたという「水中BGM」は舞曲風なワルツだったり、「地下BGM」は3連系のシンコペをきかせた結構変態なベースソロで、エコーがかかっていて地下っぽさを演出してました。

ファミコン音源でこれだけのことを感じさせる、って並大抵ではないですよね。

ファミコンのゲーム音楽発展の起点

「地上BGM」は、この時代としては1ループが長くて1分半くらいあります。ちなみにこの時代のゲーム音楽は1ループ30秒程度が標準でした。

曲展開も当時としてはかなり凝っています。

A→B→B→サビ→A→C→C→サビ→C

こんな展開ですね。採譜してみて「こんなに長かったんだ」って思いました。

スーパーマリオが発売された1985年秋は、アーケードゲームとPCゲームはちょうどPSG音源からFM音源への転換期にあたり、ゲーム音楽全体が発展しはじめた時期です。

同時期のアーケードゲームのテラクレスタ、少し後のスペースハリアーなんかもそうですが、ゲーム音楽にCメロ・大サビがつくようになって、1ループが長くなり始めたのもこの時期です。

ファミコンはハードの制約が厳しかったですが、カートリッジ側に大容量メモリや音源チップを載せることで、1ループの長い曲を収録したり、音色バリエーションが増えたりして、音楽面でも発展していくことができました。

スーパーマリオブラザーズはファミコンのゲーム音楽発展の起点となった作品だと思います。

ソロギターアレンジについて

ギター演奏のほうですが、コード進行は3コード+アルファでシンプルなものの、メロディーが細かい半音使いが多くて、そういう部分の音を綺麗に出すのは大変でした。

難易度は演奏テクニック的には星4つ、アレンジ難易度や暗譜のしやすさは星2つくらいなので、間をとって星3つとしました。

前々回に続き、今回も特別企画ということで、「ゲーム音楽を弾こう!」でやっている内容に沿って、以下に採譜からコード分析、アレンジまでの手順を解説いたしますので、そちらもご一読いただければと思います。

コードの採譜

今回は、メロディーとベースラインは採譜出来ている前提で、コードの採譜から手順を解説します。

この曲、ベースラインは結構動きますが、3コード中心でキーがすぐに判定出来るのでコードの採譜は楽だと思います。

まずはC、F、G7の3コードの部分を埋めたら、合間に入るノンダイアトニックコードをとっていきますが、どれもよく使う常套句的なものなので、少し知識のある方なら苦労しないと思います。

こういう曲の場合、理論から当たりをつけて採譜していくほうが圧倒的に速いし、そのやりかたでやれば採譜完了時点で分析もほぼ終了している事が多いです。

そういう事を考えると、耳コピーを良くする人ほど、理論を勉強したほうが効率的だと思います。

スーパーマリオ 地上BGM コード進行

イントロ
D9 G

Aメロ
C F C/F G
C F C/F G

Bメロ
C F C Csus4
C F Cdim/Bdim C
C F C Csus4
C F Cdim/Bdim C

サビ
A♭ C6 A♭ C
A♭ C6 D9 G

Aメロ繰り返し

Cメロ
C69 F G9 C6
C69 F G7 C
C69 F G9 C6
C69 F G7 C

サビ繰り返し

Cメロ前半のみ繰り返し

エンディング(ゲームオーバー)
C FM7/D♭ C

コード分析解説

前述のとおりこの曲の場合、コード採譜の時に分析もほぼ完了してしまうと思いますが、ポイントだけサッと解説します。

この曲はC、F、Gの3コードを中心に構成されていて、キーはCメジャーキーというのは容易にわかると思います。

3コード以外にノンダイアトニックなコードも多少出てきますが、ピンポイントで補助的に使われているだけなので、Cメジャーキーのみで考えることができます。

以下、登場するノンダイアトニックコードについて解説していきます。

イントロのD9

イントロ冒頭はD9から始まっていますが、これはキーがCメジャーキーということだけ理解出来ていれば、冒頭のD9がⅡ7というのはすぐに察しがつくと思います。

Bメロのディミニッシュコード

BメロでCdim→Bdimがでてきます。
これはドミナント代理のディミニッシュで、以下のような代理関係になっています。

Cdim=D7(♭9)またはA♭7(♭9)
D7とA♭7は互いに裏コードの関係

Bdim=G7(♭9)

ということでCdim→Bdimは、Ⅱ7→Ⅴ7または♭Ⅵ7→Ⅴ7の代理ですが、♭9のテンション込みになるので、ここだけ調性はCマイナーに寄ります。

サビのA♭コード

サビで出てくるA♭コードはCメジャーキーから見るとサブドミナントマイナーで、同主調Cマイナーからの借用コードです。

これくらいの使われかただと、自分はCメジャーキー内のサブドミナントマイナーとして処理してます。

エンディングのD♭コード

あとは原曲にはありませんが、ギター演奏用アレンジとして付けたエンディングで♭Ⅱがでてきます。

Ⅴ7の裏コードでドミナント代理ですが、ちょっと変化つきますよね。

――こんな感じで、ノンダイアトニックコードとはいえ、いたって常套句的なものばかりなので、採譜のときと同様、ある程度理論を分かっている人なら全く苦労しないと思います。

コード分析結果

イントロ
■Cメジャー
Ⅱ7 Ⅴ7

Aメロ
Ⅰ Ⅳ Ⅰ/Ⅳ Ⅴ7
Ⅰ Ⅳ Ⅰ/Ⅳ Ⅴ7

Bメロ
Ⅰ Ⅳ Ⅰ Ⅰsus4
Ⅰ Ⅳ Ⅰdim(=♭Ⅵ7♭9)/Ⅶdim(=Ⅴ7♭9)Ⅰ
Ⅰ Ⅳ Ⅰ Ⅰsus4
Ⅰ Ⅳ Ⅰdim(=♭Ⅵ7♭9)/Ⅶdim(=Ⅴ7♭9)Ⅰ

サビ
♭Ⅵ Ⅰ ♭Ⅵ Ⅰ
♭Ⅵ Ⅰ Ⅱ7 Ⅴ7

Aメロ繰り返し

Cメロ
Ⅰ Ⅳ Ⅴ7 Ⅰ
Ⅰ Ⅳ Ⅴ7 Ⅰ
Ⅰ Ⅳ Ⅴ7 Ⅰ
Ⅰ Ⅳ Ⅴ7 Ⅰ

サビ繰り返し

Cメロ前半のみ繰り返し

エンディング(ゲームオーバー)
Ⅰ ⅣM7/♭Ⅱ7 Ⅰ

アレンジ手順解説

では、コード進行を把握したところでスーパーマリオブラザーズ「地上BGM」ソロギターアレンジの手順を解説します。

仮アレンジを作る

採譜・分析したら、まず仮アレンジしてみて全体の難易度などを判断します。

①キーを決める

今回は音域もちょうどいいので、オリジナルのCメジャーキーでやることにしました。

ソロギターの場合、AメジャーキーやEメジャーキーで解放弦をフル活用してアレンジするのも有効と思います。

②コードフォームを考える

今回はなるべくスタンダードなコードフォームでアレンジを作りました。

  • オープンC
  • オープンG、G7
  • 1フレットF
  • 3フレットC
  • 3フレットG、G7

これらを中心にしていますので、暗譜はしやすいと思います。

③演奏難易度の判定

仮アレンジで一通り演奏できるようになれば、だいたいその曲の演奏難易度が判明してきます。

演奏難易度はソロギターアレンジする上で重要になりますが、シンプルなメロディーとコード(またはベース音のみ)のみのアレンジであれば、メロディーそのものの難易度がとても分かりやすく、アレンジ方針も立てやすくなります。

④簡略化で演奏性を上げる

前回のドラゴンクエスト「序曲」と比べて、スーパーマリオ「地上BGM」のほうがメロディーが細かくて数段難易度が高いですよね。

難易度が高いときは簡略化の処理をしますが、このあたりのことはこちらの記事に詳しく書いています。

「地上BGM」の場合は、もともとシンプルなコードで構成されてるので、コード自体はそれ以上簡略化が難しいのですが、今回のアレンジでは以下の簡略化処理をしました。

  • メロディー+ベースの2音構成で演奏している部分を多くした
  • CとGで細かくコードチェンジする所を省略
  • ベースラインを簡略化

こうやって、なんとか最後までそれなりに弾ける仮アレンジを仕上げたら、それをベースにして、アレンジを肉付けしていきます。

アレンジの肉付け

この曲はメロディーが細かくビッシリ入ってるのであまり肉付けの余地もないんですが、以下のような処理をしています。

  • ベース音を細かく入れてリズミックにした
  • メロの合間に人差し指のストロークとゴルペ奏法を入れて、コード感を補強すると同時にリズム的なアクセントとした

エンディングを考える

この曲はループなので終わらせかたを考えないといけないんですが、今回はゲームオーバーのときにかかるメロディーを追加してみました。

bⅡ7が入ってきて変化がつくので結構良い感じかな?と思います。

エンディング(ゲームオーバー)
C(8f) FM7(8f)/D♭(9f) C(6f中指ベース)

――前回のドラクエ「序曲」では、キーの設定やポジションのとりかたが主なテーマになりましたが、今回のスーパーマリオブラザーズ「地上BGM」は、メロディーを再現するためにどうやって簡略化するか?が主なテーマとなりました。

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