今回はゲーム音楽第一次黄金期後編、1988年~1990年についてみていきましょう。
アーケード、PC、コンシューマーが揃って発展して最盛期となった黄金期は、1989年ごろまでと思いますが、時代区分的に1990年のスーパーファミコン登場以前までを含めて書きます。
プラットフォームごとにまとめます。
アーケードゲームのゲーム音楽【1988~1990年】
ファミコンの爆発的な普及で主役の座を明け渡しつつあったアーケードゲームですがハード面ではまだまだ優位でした。
特筆すべきはリズムパート以外にもPCM音源が使われはじめたことでしょうか。
PCM音源とは、現在も主流になっている音源です。
生の楽器音などをサンプリングしたものを再生する仕組みで、リアルさを追求したものです。
PCMはCDにも使われている記録方式です。
これをソフトウエアで処理するのは1980年代のハードには荷が重かったんですが、技術自体は結構前からあったようです。
アーケードゲームは筐体やチップにコストをかけられるぶん、コンシューマーやPCより早く取り入れられました。
音楽もいいものが残っています。
自分が特にいいと思うものをあげて行きます
ニンジャ・ウォリアーズ(タイトー)~なんといってもPCM音源による三味線!!
忍者龍剣伝(テクモ)~『鮮烈のリュウ』強制的にテンション上がります
ワルキューレの伝説(ナムコ)~メインテーマ、この手のコード進行好きなんですよね。なにげにコナミっぽい??
ダライアス2(タイトー)~ラスボスの『Say Papa』はOGRさんの曲の中でもベスト3に入ると思います
ガンフロンティア(タイトー)~『ユンファオ』いいです。こういうシンプルなマイナー4コードの曲はメロがいいとグッときます。
うん、タイトーが多いですね。これは自分の好みですねw
商業的にはアーケードゲームはこのあたりから徐々に低迷します。
ゲーセン通いしていた客層をコンシューマーに食われてしまいます。
PCのゲーム音楽【1988~1990年】
PCは16ビット化が進んでいきます。
主役はPC-88シリーズからPC-98シリーズやX68000へと移っていきます。
そして富士通からは次に紹介する『FM-TOWNS』が登場。
PCもいよいよCD-ROMとPCM音源の時代がやってきます。
FM TOWNS
1989年2月、富士通が32ビットの『FM TOWNS』を発売します。
PC-98シリーズ、X68000シリーズに対抗してのものですが、出遅れを取り戻そうというのもあったのか、16ビットをスキップしていきなりの32ビットPCの投入となりました。
さらにCD-ROMも標準で搭載していました。
国産PCとしては初でした。
グラフィックはX68000と同等、サウンドはFM音源ステレオ6音、PCM音源ステレオ8音と、当時としては超豪華なものでした。
FM TOWNSシリーズはヒットし、1995年あたりまでPC-98シリーズ、さらにはPC/AT互換機(いわゆるDOS/V機、WindowsPCの前身)とも競合しながら健闘をみせています。
PCゲーム音楽お薦めタイトル【1988~1990年】
この時期、ハードは16ビット化が進みますが、ゲーム音楽的には8ビット向けのものやMSXのコナミSCCタイトルなどもまだ元気です。
ゲーム音楽おすすめタイトルをあげていきます。
YAKSA(ウルフチーム)~や●ざ……いや、ウルフチームだし曲はいいですよね。
王家の谷・エルギーザの封印(コナミ)~DS版悪魔城ドラキュラGOLでアレンジ曲がでてきました。エンディングもGood
イース2(ファルコム)~オープニング『To make the end of battle』は古代さんの代表曲の一つ。
X68000版ボスコニアン(電波新聞社)~古代祐三さんが音楽を担当。『Flash Flash Flash』は有名曲。
スナッチャー(コナミ)~なんといっても『Twilight of Neo Kobe』 88版もMSX2版も甲乙つけがたい。
ザ・スキーム(ボーステック)~これも古代さんの代表作。88用サウンドボード2に対応して分厚いサウンドを出していた。
レイドック2(T&Eソフト)~タイトル曲はガンフロ『ユンファオ』と同系統マイナー4コード。泣きのメロディが最高。
信長の野望・戦国群雄伝(光栄)~信長シリーズではこれのオープニングが好き
ラストハルマゲドン(ブレイングレイ)~FM-Towns版の『戦闘 昼』はもはや伝説レベル。ほんとに80年代???
アレスタ2(コンパイル)~コンパイルのシューティングBGM好きなんですが、その中でもこれのエリア1の音楽が一番好きです。
この後、PCゲームはアーケードと同じくコンシューマーに食われて衰退します。
コンシューマーだと発売できないアダルト系や、細かい表示が要求されるシミュレーション系などはPCじゃないとできませんでしたが。
コンシューマー機のゲーム音楽【1988~1990年】
このあたりからゲーム業界はコンシューマーの一人勝ち状態となっていきます。
ファミコンの状況
1987年ごろから急激な発展をみせたファミコンのゲーム音楽ですが、その勢いはしばらく続きます。
スーパーファミコンが発売された後も1991年ごろまでファミコンでは一定数のタイトルが発売されていました。
そうした末期のものは拡張音源が使われたり、音源の使い方も熟練して音楽的には名作が多いです。
セガ メガドライブ
1988年10月、セガはマークⅢの次世代として『メガドライブ』(Genesis)を発売します。
『メガドライブ』は16ビット機で、マークⅢから大幅に性能が上がっています。
サウンドは6チャンネルFM音源でしたが、このうち1チャンネルはPCM音源として使用可能でした。
コンシューマー機もようやく標準でFM音源を搭載しましたが、まもなくスーパーファミコンとともにPCM音源の時代が到来するので、その賞味期限は短いものとなってしまいます。
性能的にはファミコンを圧倒し、北米ではスーパーファミコンと互角の売り上げを記録していますが、日本ではファミコンのソフト資産の力が圧倒的に強く、任天堂からシェアを奪うには至りませんでした。
ゲームボーイ
1989年4月、任天堂から携帯型ゲーム機『ゲームボーイ』が発売されます。
これはモノクロ液晶+波形メモリ音源と、当時としても今更感のスペックで、任天堂社内でもセールスを疑問視する声が強かったようですが、低年齢層を中心に徐々に売り上げを伸ばし、ロングヒット。
最終的には『ポケットモンスター』(1996年)で社会現象を起こすまでになります。
サウンドは波形メモリー1ch+パルス(PSG)2ch+ノイズ1chとやや変則的です。
その音質は任天堂独特のものでファミコンディスクシステムと同系列の音色でした。
ソフトは低年齢層向けのものが多かったですが、ゲームボーイにしかないタイトルも多く、ハードの現役期間も長かったため、相当数の名曲が存在します。
モバイル型のゲーム機はどうしても性能が制約され、音源も一世代前のもので周回遅れ感はありますが、ゲームボーイの音源は独特の味があると思います。
コンシューマー機 ゲーム音楽お薦めタイトル【1988~1990年】
自分はメガドライブの初期タイトルあまり知らないのもあり、ほぼファミコン末期タイトルとなりますが、良い作品が非常に多く、ファミコンのゲーム音楽は末期にきて全盛を極めています。
ドラゴンクエスト3(エニックス)~個人的に初期ドラクエの音楽では最高傑作と思います。
飛龍の拳2(カルチャーブレーン)~『龍戦士のテーマ』昭和クサメロ系名曲。
ファイナルファンタジー2(スクウェア)~『反乱軍のテーマ』が好きです。
MOTHER(任天堂)~音楽は80年代任天堂作品の最高傑作と思います。
悪魔城伝説(コナミ)~Beginning演奏のときも書きましたが、ファミコン全タイトル中でも一番好きです。
ドラゴンクエスト4(エニックス)~3も素晴らしいけど、『勇者の故郷』など4も名曲たくさんあります。
魍魎戦記MADARA(コナミ)~マイナー作品ですが音楽は驚きの完成度です。
ファイナルファンタジー3(スクウェア)~『悠久の風』は今でも人気のある曲ですね。
女神転生2(ナムコ・アトラス)~増子節。戦闘曲と『Another World』(氷づけルシファーのテーマ)がいいです。
以下にあげるのはスーパーファミコン登場後になりますが、音楽が素晴らしいと思うタイトルです。
ラグランジュポイント(コナミ)~ファミコンでは唯一のFM音源。浜渦正志さんの事実上デビュー作。
エスパードリーム2(コナミ)~1も良かったですが、拡張音源もあって2はさらに完成度が高い
ファミコン末期は良いものが多すぎて書ききれません。
――次回はいよいよスーパーファミコンが登場し、ゲーム音楽は本格的にPCM音源の時代へと入ります。
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