1995年:スーパーファミコン(Super Nintendo)
メーカー:スクウェア(SQUARE)
タイトル名:クロノトリガー(Chrono Trigger)
曲名:風の憧憬(Wind Scene)
作曲:光田康典(Yasunori Mitsuda)
演奏難易度:☆★★★★(難しい)
ゲーム音楽ソロギター演奏動画・コード進行解説の第34弾は、クロノトリガーより「風の憧憬」です。
光田康典さん初期の名曲。この儚く美しい曲を、今回はトレモロ奏法を駆使してアレンジしてみました。
中世(A.D.600)フィールド曲【曲紹介】
クロノトリガーの楽曲を取り上げるのは2回目です。
クロノトリガーの音楽については、第3弾「メインテーマ」をやった時の記事も参照下さい。
上記記事でも述べたとおり、クロノトリガーは光田康典さんの出世作で、非常に楽曲クオリティの高い作品です。
中でもこの「風の憧憬」と「時の回廊」の二曲は人気が高く、特にこの曲は多数のカヴァー、アレンジ、演奏が存在します。
※2019年1月追記
「時の回廊」も演奏をアップいたしました!
原曲は前半のピチカートと後半のストリングスが印象的なアレンジで、ゲーム中では中世(A.D.600)のフィールド曲に使用されています。
なんというか、世の無常を感じさせる儚く美しい曲で、光田さんの持ち味が存分に出ていると思います。
なお、曲名の読みは「かぜのしょうけい」と読むらしいですね。ずっと「かぜのどうけい」だと思っていました。
開発スタッフについて
以下に、この作品に携わったスタッフを紹介します。
- 坂口博信さん
ファイナルファンタジーのプロデューサー - 堀井雄二さん
ドラクエのシナリオライター - 鳥山明さん
ドラクエのキャラデザインを担当。日本を代表する漫画家
FFやドラクエとかなり被っていますよね。
自分も発売当時、実際にプレイするまでは「FFとドラクエの中間」みたいな印象を持っていました。
クロノシリーズは独自のカラーがあるのですが、クロノクロスのほうも見ると、より明確に世界観の全体像が伝わると思います。
音楽に関しては、光田さん自身がプレゼンを行って作曲家デビューを果たした作品ですが、音楽スタッフに植松伸夫さんの名前もあることから、もともと植松さんが担当する予定だったのかも知れません。バハムートラグーンの松枝賀子さんも1曲提供しています。
聖剣伝説2「天使の怖れ」をやった時の紹介記事で触れていますが、スクウェア社内では、FF4、聖剣伝説2、クロノトリガーが同時進行的に開発されていて、スタッフが被っていたり、システムが共有されていたり、ボツになったシナリオやアイデアが別のタイトルに生かされていたりするようです。
なので、この3作はシリーズとしては分けられていますが兄弟のようなもので、作品が完成に近づくにつれて各シリーズのカラーを明確にしていったのかと。
結果として音楽は以下のような担当に落ち着きましたが、非常に良くハマった人選と思います。
という分担になりましたが、非常に良くハマった人選と思います。
トレモロ奏法を駆使【ソロギター演奏】
この曲はソロギターでのカバー演奏も多いので、自分の持ち味を出すために、どんなアレンジにしようか悩んだんですが、Bメロのストリングスのロングトーンのメロディはトレモロ奏法でアレンジすることにしました。
原曲はDマイナーキーなのですが、高音のストリングスをトレモロ奏法で再現することを目指したアレンジなので、トレモロを高音で出したくてAマイナーキーに移調して演奏しています。
BメロのC7のところ、トレモロで弾きやすいように一部ラインを変更しました。
原曲はBメロに入る前にAメロを2回繰り返していて、ピチカートとストリングスでやっています。
本アレンジではBメロの後にもAメロを1回やっていてAABAでAメロ三回はしつこく感じたので繰り返しを省略してABAでやっています。
このアレンジの演奏難易度ですが、トレモロ奏法を練習した経験があるか無いかで難易度がぜんぜん変わってきます。
トレモロ奏法というと「アルハンブラの思い出」が有名ですが、あの曲を弾きこなせる技術があれば、そんなには難しく無いと思います。
トレモロ奏法をやったことがない人には、トレモロ奏法練習曲としていかがでしょうか?
なお、フラメンコギターのトレモロ奏法は、5連符で弾くことが多いですが、この曲はテンポ的に4連符のほうがやりやすかったので、スタンダードなクラシックのトレモロ奏法と同じ4連符(32分音符)で演奏しています。
風の憧憬 コード進行
※オリジナルのDマイナーキーをAマイナーキーに移調
Aメロ
(F/G)原曲は単音
Am7 FM7 Em7/Gsus4 CM7/Bdim
Am7 D13 Gsus4 G7
Am7 FM7 Em7/Gsus4 CM7/Bdim
Am7 D13/Em7 A7sus4 A7
Aメロ繰り返し(演奏では省略)
Bメロ
FM7 FM7 G7(onF) G7(onF)
Em7 Em7 Am7 Am7
Dm7 Dm7 G7 G7
CM7 CM7 C7 C7
FM7 FM7 G7(onF) G7(onF)
F♯m7♭5 F♯m7♭5 F♯m7♭5 F♯m7♭5
Dm9 Dm7 B7on(D♯) B7(onD♯)
E9sus4 E9sus4 E E/E7(onG♯)
Aメロ繰り返し
Am7 FM7 Em7/Gsus4 CM7/Bdim
Am7 D13 Gsus4 G7
Am7 FM7 Em7/Gsus4 CM7/Bdim
Am7 D13/Em7 Asus4 Aadd9
※ラストはメジャー終止にしました
コード進行分析
Aメロ
■Aマイナー(原曲はDマイナー)
(♭Ⅵ/♭Ⅶ)
Ⅰm7 ♭Ⅵ Ⅴm7/♭Ⅶ ♭Ⅲ/Ⅱdim(=Ⅴ7)
Ⅰm7 Ⅳ7 ♭Ⅶ7 ♭Ⅶ7
Ⅰm7 ♭Ⅵ Ⅴm7/♭Ⅶ ♭Ⅲ/Ⅱdim(=Ⅴ7)
Ⅰm7 Ⅳ7/Ⅴm7 Ⅰ7 Ⅰ7
Aメロ繰り返し(演奏では省略)
Bメロ
♭ⅥM7 ♭ⅥM7 ♭Ⅶ7 ♭Ⅶ7
Ⅴm7 Ⅴm7 Ⅰm7 Ⅰm7
Ⅳm7 Ⅳm7 ♭Ⅶ7 ♭Ⅶ7
♭ⅢM7 ♭ⅢM7 ♭Ⅲ7 ♭Ⅲ7
♭ⅥM7 ♭ⅥM7 ♭Ⅶ7 ♭Ⅶ7
Ⅵm7♭5 Ⅵm7♭5 Ⅵm7♭5 Ⅵm7♭5
Ⅳm7 Ⅳm7 Ⅱ7 Ⅱ7
Ⅴ7 Ⅴ7 Ⅴ7 Ⅴ7
Aメロ繰り返し
Ⅰm7 ♭Ⅵ Ⅴm7/♭Ⅶ ♭Ⅲ/Ⅱdim(=Ⅴ7)
Ⅰm7 Ⅳ7 ♭Ⅶ7 ♭Ⅶ7
Ⅰm7 ♭Ⅵ Ⅴm7/♭Ⅶ ♭Ⅲ/Ⅱdim(=Ⅴ7)
Ⅰm7 Ⅳ7/Ⅴm7 Ⅰsus4 Ⅰ
※ラストはメジャー終止
光田さんらしい進行【コード進行のポイント】
コード進行自体は、大きな転調や説明が難しいコードも無いので比較的シンプルと思いますが、Aメロは細かくコードがついています。
Bメロの5段目6段目は、コード付けが色々考えられるので試行錯誤しました。
ここはベースラインを原曲から変えずに演奏したかったのでⅥm7♭5→Ⅳm7→Ⅱ7(on♯Ⅳ)という形にしました。Ⅳm7♭5はⅣ7(onⅥ)でもいいかもしれません。
Ⅱ7(on♯Ⅳ)は、パッシングdimの♯Ⅳdimや裏コードの♭Ⅵ7(on♭Ⅴ)なども考えられますが、自分はⅥm7♭5→Ⅳm7→Ⅱ7(on♯Ⅳ)が一番しっくりきました。
Bメロ最後のⅤ9sus4→Ⅴは光田さんに限らずゲーム音楽でよく出てくる締めくくりですが、♭9ではなく9thで同主調メジャーへ寄せているのがミソです。エンディングでもう1回やってメジャー終止にしました。
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