グラディウス メドレー【ギター演奏・コード進行106・107・108】

グラディウス メドレーVol.1(空中戦・1面・4面)動画
↑Vol.1(2022年9月16日公開)クリックで動画再生

グラディウス メドレーVol.2 動画
↑Vol.2(2022年9月23日公開)クリックで動画再生

グラディウス メドレーVol.3 動画
↑Vol.3(2022年10月14日公開)クリックで動画再生

発売年月:1985年5月
機種:
アーケードゲーム(Arcade Game)
メーカー:コナミ(KONAMI)
タイトル名:グラディウス(NEMESIS)
曲名:グラディウス メドレー(NEMESIS Medley)
作曲:東野美紀(Miki Higashino)

※演奏難易度は個別曲紹介に記載します

グラディウス(Gradius)は1985年5月に稼働開始した橫スクロールシューティングゲームの金字塔と言えるタイトルです。今回は、グラディウスの音楽を3分割でメドレー演奏しました。

グラディウスの音楽は、デビュー間もない東野美紀さんが担当していますが、これが素晴らしい出来で、当時「ナムコ一強」だったゲーム音楽の版図を塗り替えた作品といっても過言ではないでしょう。

当時の時代背景などは「ゲーム音楽史」のこちらの記事をご覧下さい。

今回のメドレー演奏について

自分個人的にゲーム音楽発展期における「シューティングゲーム四天王」と思っているのが、グラディウス(1985年5月、コナミ)、スペースハリアー(1985年11月、セガ)、ファンタジーゾーン(1986年3月、セガ)、ダライアス(1987年2月、タイトー)の4作品なのですが、この中でグラディウスだけ、まだ1曲も演奏していなかったんですよね。

本当はもっと早いタイミングで演奏したかったのですが、グラディウスの楽曲は短い曲が沢山あるので、昨年(2021年)の夏にファンタジーゾーンの全曲メドレーを3分割演奏した時と同様のやり方で一気にいこうと考えていました。

そして、今年(2022年)6月頃から準備を開始。当初、7月にはVol.1を公開予定だったのですが、出来たら3本の動画をあまり期間を空けずに連続で公開したいし、全曲録ってからの公開にしたほうが予定が立てやすいだろうということで、9月まで公開がずれ込んでしまいました。

そんなこんなで、構想開始から3か月ほどかかってしまいましたが、ようやく公開に漕ぎ着ける事が出来ましたので、どうぞお楽しみ下さい!

グラディウス作品概要

グラディウス(以下、本作)はコナミが「コナミバブルシステム」(コナミ製のアーケードゲーム基板)の第2弾作品として開発し、1985年5月より稼働開始した横スクロール型のシューティングゲームです。

ちなみに、バブルシステムの第1弾は1985年3月の『ツインビー』で、その楽曲はこのブログでも演奏しました。

本作は1986年4月にファミコン版が発売されて、そちらも100万本以上売れる大ヒットを記録したので、ファミコンで体験したという方も多いのではないでしょうか。

なお、本作の海外版は『NEMESIS』というタイトルで流通したので、日本国外ではネメシスと言った方が通りが良いかもしれません。

横スクロールシューティングゲームの金字塔

本作から遡ること4年、コナミは1981年に『スクランブル』という横スクロール型シューティングゲームをヒットさせていて、ゲームメーカーとして躍進するきっかけとなりました。

本作はスクランブルの系譜を引き継いだものと考えられますが、当時のシューティングゲームは、ゼビウス(1983年、ナムコ)の影響が圧倒的に大きく、後続のヒットタイトルも、スターフォース(1984年、テクモ)、1942(1984年、カプコン)、ツインビー(1985年、コナミ)など、縦スクロール型が主流でした。

それが、本作の登場をきっかけに、ファンタジーゾーン(1986年)、ダライアス(1987年)、Rタイプ(1987年)など、横スクロール型のものが激増したという流れがあり、本作はシューテングゲーム史のターニングポイントとなった作品と言えるでしょう。

派手なパワーアップシステムとステージ展開

横スクロール型という事の他に、本作の大きな特徴となっているのが、強力なパワーアップシステムと美麗なグラフィックスによるステージ展開です。

パワーアップシステムは、基本的には前作のツインビーでとり入れられたものを踏襲した形ですが、本作ではさらに洗練されてゲーム性の要となっています。とくに「レーザー」と「オプション」は衝撃的な発明でしたよね。

そして、本作が大ヒットした最大要因は派手なステージ展開だと思います。

ステージ毎の詳細は個別曲解説で触れようと思いますが、ビジュアル・ゲーム性・音楽の全てがステージ毎にガラリと変わるメリハリのある展開は、当時のシューティングゲームの常識を覆すものでした。

グラディウスの音楽

本作の音楽を作ったのは、この年(1985年)の1月に『イーアルカンフー』でデビューした東野美紀さんで、当時まだ大学生だった東野さんは学生アルバイトとしてコナミに楽曲提供をしていました。

本作の楽曲の全体的な特徴としては、プログレ的なテイストを基調としつつも、打楽器を使わずに副旋律が忙しく動くようなクラシック音楽的な手法を組み合わせて作られている事でしょうか。

そしてもう一つ、実際に採譜・アレンジして感じた事ですが、以下のように「同タイプコードの平行移動」をベースに構成されている場面が非常に多いのです。

メジャー系コード平行移動
空中戦、1面、7面

マイナー系コード平行移動
2面、5面、6面後半

同タイプコード平行移動はプログレ系音楽の常套句なのですが、曲の構造からも一貫した作曲コンセプトを感じられますよね。

モーニングミュージックについて

今回、アーケードゲーム版の電源投入時に流れる「モーニングミュージック」も演奏すべきか迷ったのですが、この曲は前作の『ツインビー』が初出であり、他の多くのコナミタイトルにも使われているので、「グラディウスの曲」として扱うのは微妙かも、という理由で今回は割愛しました。

それに「モーニングミュージック」は単体で演奏動画1本分のボリュームがあるし、機会があれば単体で演奏しようと思います。

なお、この曲は東野さんの作ではなく「コナミの先輩のN氏」が作ったということで詳細は不明です。

グラディウスメドレーVol.1

グラディウスメドレーVol.1は、Beginning of the History(空中戦BGM)、Challenger 1985(1面BGM)、Free Flyer(4面BGM)の3曲です。

なぜ1面BGMの後、2面と3面を飛ばして4面BGMを繋げたか?というと、1面BGMと4面BGMはキーとテンポと曲調の面で繋げやすかったのと、2面BGMと3面BGMはアレンジに手間取って時間がかかりそうだったため、先に4面BGMを演奏することにしました。

Beginning of the History(空中戦BGM)

演奏難易度:☆☆★★★(普通)

本作は各ステージの序盤に空中戦のセクションが設けられていますが、空中戦で得たパワーアップカプセルでどういう装備を揃えるかで、その後の難易度が大きく左右されるというシステムでした。

空中戦BGM「Beginning of the History」は、ゲームスタート直後から流れてきて、その後もステージが変わる毎に聴くことになるので、全曲中、聴く頻度は一番高いのではないでしょうか。

曲の内容としては、まず、イントロのアルペジオがとても印象的ですよね。

その後はメジャー7thコードの平行移動を中心としたコード進行になりますが、それぞれのコードに対してリディアン旋法(メジャースケールのファが♯したもの)が割り当てられています。

ギターアレンジについては、イントロのベースラインに前打音を入れると難易度が跳ね上がるのですが、この前打音があるのと無いのでは原曲再現度に雲泥の差が生まれるので、そこは頑張って練習しました。

Beginning of the History(空中戦BGM)コード進行

オリジナルのEマイナー/EメジャーキーをAマイナー/Aメジャーキーに移調しています。

イントロ
|Asus2|G69|FM7(♯11)|G69|
|Asus2|G69|FM7(♯11)|G69|

Aメロ
|AM7(♯11)|AM7(♯11)|
|GM7|DM7(onF♯) DM7|
|AM7(♯11)|AM7(♯11)|
|GM7|FM7(♯5) D♯M7(onA♯) C♯M7|

コード進行分析

イントロ
■Aマイナー
|ⅠM7|♭Ⅶ|♭ⅥM7|♭Ⅶ|
|Ⅰ|♭Ⅶ|♭ⅥM7|♭Ⅶ|

Aメロ
■Aメジャー(Aリディアン)
|ⅠM7|ⅠM7|♭ⅦM7|ⅣM7|
|ⅠM7|ⅠM7|
|♭ⅦM7|♭ⅥM7 ♯ⅣM7 ⅢM7|※1

※1 この行はメジャー7thコードが長2度(全音)間隔で下降している

Aメロは調性的解釈を優先してAメジャーキーで表記してありますが、実際はメジャー7thコードの平行移動で作られていて、それぞれのコードにリディアンスケールが割り当てられているという構造になっています。

ですので、調性的解釈としては難解になりますが、コードチェンジ毎に転調していると捉えた方が良いのかもしれません。

Challenger 1985(1st.BGM)

演奏難易度:☆☆★★★(普通)

ゲームスタート後、間もなく到達する1面は「火山ステージ」で、上下に陸地があるトンネルのような空間です。

上側の陸地にも重力があるのか、敵が天井を歩いて攻撃してきたり、山にトンネル(?)が掘られていたりと、独特の世界観(当時流行っていた地球空洞説的なもの?)を感じます。

1面BGMの「Challenger 1985」は「グラディウスと言えばこれ!」というくらい有名な曲です。

Challengerの曲名通りの勇ましい曲調で、空中戦が終わってこの曲に切り替わる瞬間、一気にテンションが上がりますよね。

演奏技術面では前半部分が難関で、細かいパッセージからの無理矢理なポジション移動が多く、動画の演奏でもパッセージの最後の音が一部綺麗に出せていません。

Challenger 1985(1st.BGM)コード進行

オリジナルのCメジャーキーをEメジャーキーに移調しています。

Aメロ
|E|G|A|C D|
|E|G|A|B7|

Bメロ
|CM7|GM7|A B|C D|
|B7sus4|B7|

コード進行分析

Aメロ
■Eメジャー
|Ⅰ|♭Ⅲ|Ⅳ|♭Ⅵ ♭Ⅶ|
|Ⅰ|♭Ⅲ|Ⅳ|Ⅴ7|

Bメロ
|♭ⅥM7|♭ⅢM7|Ⅳ Ⅴ|♭Ⅵ ♭Ⅶ|
|Ⅴ7sus4|Ⅴ7|

コード進行的には、メジャーキーを基調にしつつ同主調のコードが入ってくるという、ゲーム音楽王道進行の一つ「同主調混在メジャーキー」です。

そしてこの曲の場合、メジャー系コード(メジャー7thコードとドミナント7thコード)しか出てこないのですが、それらが長2度・短3度の音程でシフトする動きを中心に構成されており、とても面白い作り方だと思います。

Free Flyer(4st.BGM)

演奏難易度:☆☆★★★(普通)

今回は、1面BGMに繋げやすかったのと、2面・3面BGMのアレンジに時間がかかりそうだったという理由で、先に4面BGMの「Free Flyer」を演奏したのは前述の通りです。

4面の「逆火山ステージ」は、1面の火山ステージを上下逆さまにしたようなステージで、ヴィジュアルも、ゲーム性も、音楽も、1面と共通する雰囲気を感じますよね。

ちなみにですが、本作の翌年にデビューする事になる古代祐三さんは、影響を受けたゲーム音楽として『ドルアーガの搭』『スペースハリアー』のメインBGMと共に、この曲「Free Flyer」を挙げています。

演奏技術面では「この曲はVol.1の3曲の中では易しい部類かな?」と思ったのですが、実際に弾いてみると、前半はメロディーのオクターブ跳躍があったり、後半には速くて長い音階パッセージがあったりと、結局はそこそこの難易度になったので、星3つとしました。

Free Flyer(4st.BGM)コード進行

オリジナルのCメジャーキーをEメジャーキーに移調しています。

イントロ
|A B|C D B7|

Aメロ
|E|E|E7(onD)|E7(onD)|
|AM7(onC♯)|F♯m7 G♯m7|
|Am7|Bm7 B7(♭9♭13)|
|E|GM7 A7|Esus4|

コード進行分析

イントロ
■Eメジャー
|Ⅳ Ⅴ|♭Ⅵ ♭Ⅶ Ⅴ7|

Aメロ
|Ⅰ|Ⅰ|Ⅰ7|Ⅰ7|
|ⅣM7|Ⅱm7 Ⅲm7|Ⅳm7|Ⅴm7 Ⅴ7|
|Ⅰ|♭ⅢM7 Ⅳ7|Ⅰsus4|

コード進行は、1面BGMと同じく「同主調混在メジャーキー」ですが、こちらは普通にマイナー系コードも活用されています。

Aメロ冒頭のⅠ→Ⅰ7(on♭Ⅶ)→ⅣM7(onⅥ)は、ゲーム音楽で頻繁に登場する進行ですが、このタイプの進行は複数のコード付けが出来る事が多いので、毎回迷うポイントなんですよね。

例えば、以前演奏したスペースハリアーメインテーマのAメロ出だしも、この曲とほとんど同じような展開をするのですが(古代さんはこの進行が相当お好みのようで)、あちらはメロディーと前後の関係を考えてⅠ→♭Ⅶ69→Ⅵm7という解釈にしました。

グラディウスメドレーVol.2

グラディウスメドレーVol.2は、Beat Back(2面BGM)、Blank Mask(3面BGM)、Mazed Music(5面BGM)、Aircraft Carrier(ボスBGM)の4曲を収録しました。

Vol.2の4曲に関しては、アレンジの難易度が高かったりして手間取ってしまい、Vol.1収録時点では保留状態になっていました。

そのためVol.1では、2面BGM・3面BGMは飛ばして、先に仕上がっていた4面BGM「Free Flyer」を収録したという経緯があったのですが、結果として、Vol.2の4曲はプログレ・ミニマル系の曲で固めた感じになりました。

Beat Back(2st.BGM)

演奏難易度:☆★★★★(難しい)

2面はストーンヘンジ面です。

ピンクのブロックを破壊して「自分で道を作りながら進む」というシステムが斬新でしたよね。このパターンは後のグラディウスシリーズの定番となりました。

2面BGM「Beat Back」は、1面BGM「Challenger 1985」のメロディー重視の熱いBGMから打って変わって、クールなテクノロック調の曲になります。

この曲は、ベースパートが重要な働きをしているので、ギターアレンジもベースパートの再現に力点を置きましたが、ベースの動きが細かく、オリジナルテンポだとリズムがしっかり入れられなかったため、若干ゆったりしたテンポにしました。

ブリッジ部分ではベースの高速アルペジオが入ったりして演奏不可にも思えたのですが、この部分はこの曲のクライマックスだし、工夫して出来る限りの再現をしています。

Beat Back(2st.BGM)コード進行

Aメロ
|Dm Dm7|Dm Dm7|
|Dm7|Dm9 D♭m9 Cm9 D♭m9 Dm9 E♭m9|
|Em9|Em9 Gm9|Em9 Gm9|

ブリッジ
|A♭9|G9|G♭9 E♭m7|

Bメロ
|Dm7 Fm7|Dm7 A♭m7|
|A♭m7|Dm7 Fm7(onC)|

コード進行分析

Aメロ
■Dマイナー
|Ⅰm7|Ⅰm7|Ⅰm7|
|Ⅰm7 Ⅶm7 ♭Ⅶm7 Ⅶm7 Ⅰm7 ♭Ⅱm7|※1
■Eマイナー
|Ⅰm7|Ⅰm7 ■Gマイナー Ⅰm7|
■Eマイナー
|Ⅰm7 ■GマイナーⅠm7|

ブリッジ
■B♭マイナー
|♭Ⅶ7|
■Aマイナー
|♭Ⅶ7|
■A♭マイナー
|♭Ⅶ7 Ⅴm7|

Bメロ
■Dマイナー
|Ⅰm7 ■Fマイナー Ⅰm7|
■Dマイナー
|Ⅰm7 ■A♭マイナー Ⅰm7|
|Ⅰm7|
■Dマイナー
|Ⅰm7  ■FマイナーⅠm7|

※1 連続した半音アプローチで転調

コード進行は、マイナー7thコードの平行移動を中心にして作られていて、短3度転調を多用しています。

ブリッジ部分の調性をどう解釈すべきか迷いましたが、「Gマイナーキー→短3度転調してB♭マイナーキー→半音ずつ下降転調→半オクターブ転調でDマイナーキーに戻る」という解釈にしました。

最後のほうのA♭m7への半オクターブ転調もカッコいいですよね。

Blank Mask(3st.BGM)

演奏難易度:☆☆★★★(普通)

3面はモアイ面です。革新的な要素の多かった本作の中でも、モアイステージはそれまでのシューティングゲームの常識を覆すインパクトがありました。

至るところにあるモアイ像が大量の弾幕を出してきて、いきなり難易度が上がるので、自分もここでよくミスしたのを思い出します。

ちなみにですが、このモアイ像はコナミ矩形波倶楽部の「モアイ佐々木」こと佐々木嘉則さん(ツインビーや火の鳥を手掛け、コンシューマー版グラディウスの編曲も担当)がモデルになったそうです。

3面BGMの「Blank Mask」は、ベースのリズムは4拍子なのですが、3拍・3拍半・4拍のシーケンスパターンがパズルのように組み合わさっている曲で、Bメロからメロディーと拍がズレていき、最後の3連符フレーズで辻褄を合わせて4拍子に復帰する、という展開をします。

Bメロから先は変拍子でとっても良いと思いますが(実際、リズムトラックは変拍子でプログラムしました)、メロディーを無視して4拍子をキープしても最後で辻褄が合う仕掛けになっているところが面白いですよね。

アレンジに関して、オリジナルはCメジャーキーなのですが、このアレンジでは解放弦をフル活用出来るようにAメジャーキーに移調。メロディーを弾きながらベースラインも再現しようと練習したのですが、移調したとしても全く出来る感じがしなかったので、ベースラインは簡略化しています。

Blank Mask(3st.BGM)コード進行

オリジナルのCメジャーキーをAメジャーキーに移調しています。

Aメロ
|AM7(onE)|AM7(onE)|
|AM7(onE)|AM7(onE)|

Bメロ
|C7(onG) E♭69 C7 ※1|
|C7(onG) E♭69 C7 ※2|
|C7(onG) E♭69 C7 ※1|
|C7(onG) E♭69 C7 ※2|

A’メロ
|AM7(onE)|AM7(onE)|
|AM7(onE)|AM7 ※2|

※1 この小節は7/8拍子
※2 この小節は3/4拍子

コード進行分析

Aメロ
■Aメジャー
|ⅠM7|ⅠM7|ⅠM7|ⅠM7|

Bメロ
■Fメジャー
|Ⅴ7 ♭Ⅶ7 Ⅴ7|Ⅴ7 ♭Ⅶ7 Ⅴ7|
|Ⅴ7 ♭Ⅶ7 Ⅴ7|Ⅴ7 ♭Ⅶ7 Ⅴ7|

A’メロ
■Aメジャー
|ⅠM7|ⅠM7|ⅠM7|ⅠM7|

Bメロの調性は様々な解釈が成り立ちます。分析では原曲で出ている音などから判断して、消去法でFメジャーキーへ転調する解釈にしましたが、Cメジャー→E♭メジャーという線も考えられるし、正直、どれが正解かよく分かりませんでした。

Mazed Music(5st.BGM)

演奏難易度:☆☆☆★★(易しい)

5面は「触手ステージ」で、最初から最後まで、ひたすら脳味噌から触手が生えたような謎の生物が浮遊してくる不気味なステージでした。

5面BGMの「Mazed Music」はそんな不気味な雰囲気を表現したような不協和音ぽいものなのですが、メインメロディーのモチーフは6面BGMと共通のものだと思われます。

ちなみに6面は細胞ステージですが、5面と6面は「生物系」繋がりという事で、音楽も共通性を持たせているということでしょうか。

この曲のリズムは、以下の3通りの解釈が可能です。

  1. 3/4拍子
  2. 6/8拍子
  3. 3連符がベースになった4/4拍子

自分は1.の3拍子で感じて演奏しましたが、リズムトラックにはフラメンコのソレア・ポル・ブレリアのパターンを使っています。

ソレア・ポル・ブレリアは12拍子ですが、テンポやリズムの感じが曲にマッチしていたので。

ギターアレンジはメロディーのほうを重視してベースライン(原曲はずっとアルペジオ)は簡略化していますが、各コードのハーフディミニッシュ感(要するに♭5音)を出すのに苦慮しました。

Mazed Music(5st.BGM)コード進行

Aメロ
|Cm7(♭5)|Cm7(♭5)|
|Bm7(♭5)|Bm7(♭5)|
|Cm7(♭5)|Cm7(♭5)|E♭m9|E♭m6|

Bメロ
|Cm7(♭5)|Cm7(♭5)|
|Bm7(♭5)|Bm7(♭5)|
|B♭m7(♭5)|Am7(♭5)|
|Bm6(onD)|B♭m6(onD♭) Bm6(onD)|
|Cm6(onE♭) Cm|Cdim7|

コード進行分析

Aメロ
■B♭マイナー(Cロクリアン)
|Ⅱm7(♭5)|Ⅱm7(♭5)|
■Aマイナー(Bロクリアン)
|Ⅱm7(♭5)|Ⅱm7(♭5)|
■B♭マイナー(Cロクリアン・E♭ドリアン)
|Ⅱm7(♭5)|Ⅱm7(♭5)|Ⅳ♭m7|Ⅳ♭m|

Bメロ
|Ⅱm7(♭5)|Ⅱm7(♭5)|
■Aマイナー(Bロクリアン)
|Ⅱm7(♭5)|Ⅱm7(♭5)|
■A♭マイナー(B♭ロクリアン)
|Ⅱ♭m7(♭5)|
■Gマイナー(Aロクリアン)
|Ⅱm7(♭5)|
■F♯マイナー(Bドリアン)
|Ⅳm|Ⅲ※1 Ⅳm|
■Gマイナー(Cドリアン)
|Ⅳm|Ⅳdim7※2|
この後、B♭マイナーキーに短3度転調してループ

※1 クロマチックアプローチコード
※2 Ⅴ7の代理

この曲のコード進行は、ハーフディミニッシュコード(マイナー7th♭5)とマイナー7thコードの平行移動を中心に作られているのですが、ハーフディミニッシュコードにはロクリアンスケール、マイナー7thコードにはドリアンスケールが当てられています。

コード進行分析では、ハーフディミニッシュコード(ロクリアン)は「マイナーキーのⅡm7(♭5)」、マイナー7thコード(ドリアン)は「マイナーキーのⅣm7」と、調性的に解釈しましたが、ロクリアン&ドリアンモードの平行移動と考えて「全てⅠコードで、細かく転調している」としても良いでしょう。

Aircraft Carrier(ボスBGM)

演奏難易度:☆★★★★(難しい)

今回、エンディングとして弾いているのが、各ステージのボス戦の時に流れる「Aircraft Carrier」です。

この曲は、最初に聴くことになるのが1面の火山噴火の場面なので、別名「火山のテーマ」と呼ばれることもあります。

1ループ4小節と短い曲ですが、妙にインパクトがあって記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。

曲の作りとしては、1コードの固定アルペジオをリピートしながら構成音が変化していく、というミニマルミュージック的な作りになっています。

ギターで全ての音を弾いていくのは不可能だと思うのですが、このアレンジでは、オリジナルの音源を聴いて目立つパートを選んで弾いていきました。

解放弦を活用して音数を増やすためにオリジナルのFメジャーキーを半音下のEメジャーキーに移調。Eメジャーキーに移調した事で、技術的にかなり楽にはなったのですが、それでも左手のストレッチやポジション移動がかなりシビアで、演奏動画でも音が綺麗に出せていない所が多いです。

Aircraft Carrier(ボスBGM)コード進行

オリジナルのFメジャーキーをEメジャーキーに移調しています。

|E E(onF♯)|E(onG♯) E(onF♯)|
|E E(onF♯)|E(onG♯) E(onF♯)|
|E|E|E|E|

コード進行分析

■Eメジャー
|Ⅰ|Ⅰ|Ⅰ|Ⅰ|
|Ⅰ|Ⅰ|Ⅰ|Ⅰ|

グラディウスメドレーVol.3

Vol.3は、Mechanical Globlue(6面BGM)、Final Attack(7面BGM)、Game Over(ゲームオーバージングル)、Historic Soldier(ランキングBGM)の4曲です。

自分は昔ゲーセンやファミコンで遊んだグラディウスの音楽の中でも、ゲーム終盤の6面・7面の音楽が大好きでした。

なんというか「いよいよ敵地の奥深くまで進んで来た」という緊張感と高揚感が感じられるんですよね。

そして、ファミコン版には入っていませんでしたが、ランキングの音楽も、短いながら一度聴いたら忘れない名曲だと思います。

というわけで、今回のVol.3はグラディウスの中でもお気に入りの音楽が詰まっているので、演奏するのをとても楽しみにしていました。

Mechanical Globule(6st.BGM)

演奏難易度:☆☆☆★★(易しい)

6面は「細胞ステージ」です。巨大な生物の体内に入って免疫細胞と戦うようなイメージで、青を基調としたステージビジュアルが神秘的でした。

6面BGM「Mechanical Globlue」はマイナー調の3拍子(または6/8拍子)で、各ステージBGMの中でも美しさが際立つ曲です。

ギターアレンジは、原曲の良さをなるべく残したくてシンプルにしましたが、フラメンコギターのフィーリングが合いそうな曲でもあるので、それも意識した演奏となっています。

リズムトラックは前回の5面「Mazed Music」と同様のフラメンコ仕様で、ソレア・ポル・ブレリアのパターンをベースとしました。

Mechanical Globule(6st.BGM)コード進行

Aメロ
|Am|Am Bm7|C|C|
|Am|Am|C|C|
|D7(onF♯)|D7(onF♯)|F|F|
|Esus4|Esus4|Esus4|Esus4|

Bメロ
|Fm7|Fm7|Fm Gm A♭|Gm Fm Gm|
|Em7|Em7|Em F♯m G|F♯m G F♯m|
|Fm7|Fm7|Fm Gm A♭|Gm A♭ B♭|
|Am7|F♯m7|
|E♭m7|Cm Bm(onC) B♭m(onC)|
|Am7|Am7|

コード進行分析

Aメロ
■Eマイナー(Aドリアン)
|Ⅳm|Ⅳm Ⅴm|♭Ⅵ|♭Ⅵ|
|Ⅳm|Ⅳm|♭Ⅵ|♭Ⅵ|
|♭Ⅶ7|♭Ⅶ7|
■Aマイナー
|♭Ⅵ|♭Ⅵ|
|Ⅴsus4|Ⅴsus4|Ⅴsus4|Ⅴsus4|

Bメロ
■Cマイナー(Fドリアン)
|Ⅳm7|Ⅳm7|
|Ⅳm Ⅴm ♭Ⅵ|Ⅴm Ⅳm Ⅴm|
■Bマイナー(Eドリアン)
|Ⅳm7|Ⅳm7|
|Ⅳm Ⅴm ♭Ⅵ|Ⅴm ♭Ⅵ Ⅴm|
■Cマイナー(Fドリアン)
|Ⅳm7|Ⅳm7|
|Ⅳm Ⅴm ♭Ⅵ|Ⅴm ♭Ⅵ ♭Ⅶ|

■Aマイナー
|Ⅰm7|
■F♯マイナー
|Ⅰm7|
■E♭マイナー
|Ⅰm7 ■Cマイナー Ⅰm|
■Aマイナー
|Ⅰm7 Ⅰm7|

この曲はドリアンモードを主軸に作られていて、主調をAマイナー(ドリアンの所もⅠmで解釈)とするか、Eマイナー(ドリアンの所はⅣmで解釈)とするかで迷ったのですが、転調などの調性的な解釈しやすさを優先してEマイナーキーとしました。

マイナー7thコードの平行移動が多用されていますが、今回の分析では、属調・下属調転調、短3度転調、半音転調が組み合わされた展開という解釈をしています。

Final Attack(7st.BGM)

演奏難易度:☆★★★★(難しい)

7面は要塞ステージで、ここが最終面となります。

戦闘機で敵の要塞に突入するというのは、スターウォーズをはじめとしたSF映画の王道パターンでもあり、否が応でもテンションが上がりますよね。

7面BGMの「Final Attack」は、5面・6面と重苦しい感じで来たのが、ラストに向けて一気に突き抜けるような解放感と高揚感がある曲です。

アレンジ面では、ベース音とメロディーを追うだけでもかなり忙しいのですが、どちらかというとメロディー重視の方向で考えて、ベースライン(原曲は細かく音階でやってます)は簡略化。そのかわり、入れられる範囲で副旋律を入れていったのですが、副旋律を内声化したりベース化したりと、なかなか難しいアレンジとなりました。

ラスト1小節だけ3拍子になっている所は、演奏していて、ちょっとドキッとする仕掛けだと思いました。

Final Attack(7st.BGM)コード進行

オリジナルのCメジャーキーをDメジャーキーに移調しています。

|Dadd9|Cadd9|D|GM7|
|Dadd9|Cadd9|FM7|Esus4 A7|
|Dadd9|Cadd9|Dadd9|C|
|FM7|E♭|A7sus4 A7|A7sus4 A7|
|A7※1|A7※2|

※1 トップノートが♯9thから♯11thまで半音下降
※2 この小節だけ3拍子

コード進行分析

■Dメジャー
|Ⅰ|♭Ⅶ|Ⅰ|ⅣM7|
|Ⅰ|♭Ⅶ|♭Ⅲ|Ⅱsus4 Ⅴ7|
|Ⅰ|♭Ⅶ|Ⅰ|♭Ⅶ|
|♭ⅢM7|♭Ⅱ|Ⅴ7|Ⅴ7|
|Ⅴ7|Ⅴ7|

コード進行は、メジャーキーを基調としつつ同主調のコードがバシバシ入ってくるゲーム音楽王道進行の一つ「同主調混在メジャーキー」なのですが、ラストはテンションノートが半音下降するアッパーストラクチャー的な動きで、最終ステージらしいエマージェンシーな雰囲気も出ていますよね。

短いながら、完璧に構成された名曲だと思います。

ゲーム音楽王道コード進行はこちらの記事をご覧下さい。

Game Over(ゲームオーバー)

演奏難易度:☆☆★★★(普通)

今回はゲームオーバー時に流れるジングルもオマケ(というには演奏難易度高かったですが……)で入れてみました。

リズムは①16分音符をベースにした3拍子と②3連符をベースにした4拍子の2通りの解釈が出来ますが、グラディウスの音楽はこういうのが多いですよね。

ちなみに、今回は②でリズムトラックを作りました。

ギターアレンジは、アルペジオとベースラインを同時に弾くのは難易度がえらい事になるので、ベースラインを簡略化して弾いていますが、雰囲気は再現出来ているでしょうか?

Game Over(ゲームオーバー)コード進行

オリジナルのCメジャーキーをDメジャーキーに移調しています。

|D|D|D|D|

全部Ⅰコードなのでコード進行分析は省略します。

Historic Soldier(ランキングBGM)

演奏難易度:☆☆★★★(普通)

ラストはランキングBGM「Historic Soldier」で、アーケードゲーム版のネームレジスト時に流れる曲です。残念ながらファミコン版では聴くことができません。

この曲は8小節と短いですが、なんとも印象深いメロディーですよね。

ギターアレンジでは、オリジナルのDメジャーキーをCメジャーキーに移調してベースに解放弦を活用できるようにしましたが、メロディーの跳躍が激しいため、移調をもってしてもポジション移動が厳しくなっています。

エンディングは雰囲気でアレンジしました。

Historic Soldier(ランキングBGM)コード進行

オリジナルのDメジャーキーをCメジャーキーに移調しています。

Aメロ
|FM7|FM7|Em7|Am7 C(onG)※1|
|FM7|Em7 Am7|Dm7 G7|F(onC) C|

エンディング(アレンジ)
|FM7|FM7|Em7|Am7 C(onG)|
|FM7|Em7 Am7|Dm7 G7|FM7|
|Em7|Dm7 D♭7(♭5)|CM7|

※1 オリジナルからベース音を変えています

コード進行分析

Aメロ
■Cメジャー
|ⅣM7|ⅣM7|Ⅲm7|Ⅵm7 Ⅰ|
|ⅣM7|Ⅲm7 Ⅵm7|Ⅱm7 Ⅴ7|Ⅳ Ⅰ|

エンディング(アレンジ)
|ⅣM7|ⅣM7|Ⅲm7|Ⅵm7 Ⅰ|
|ⅣM7|Ⅲm7 Ⅵm7|Ⅱm7 Ⅴ7|ⅣM7|
|Ⅲm7|Ⅱm7 ♭Ⅱ7(♭5)|ⅠM7|

コード進行は良くある感じの順次進行(2度進行)と5度進行の組み合わせですが、メロディーが♯11から始まるところが、この曲を印象深くしているポイントでしょうか。

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