発売年月:1995年3月
機種:スーパーファミコン(Super Nintendo)
メーカー:スクウェア(SQUARE)
タイトル名:クロノ・トリガー(Chrono Trigger)
曲名:クロノ・トリガー(Chrono Trigger)
作曲:光田康典(Yasunori Mitsuda)
演奏難易度:☆☆★★★(普通)
ゲーム音楽ソロギター演奏動画・コード進行解説の第3弾は、クロノトリガーよりオープニングタイトル曲の「Chrono Trigger」をとりあげます。
このメロディーはクロノシリーズを通して、何度も登場してくるシリーズのメインテーマと言えるものです。
オープニングで流れるメインテーマ【曲解説】
クロノトリガーは光田康典さんの出世作です。
光田さんの音楽はデビュー作である本作の時点で彼の才能は完成の域に達してると感じます。
その中でこの曲は、オープニングで流れる作品のメインテーマであり、メロディーの独創性も素晴らしいですが、オープニングデモの映像にピッタリ合っていて、すぐにゲームの世界に引き込まれますよね。
これは後のクロノクロスでもまったく同様で、光田さん自身がインタビューで言っていましたが、映像と音楽の調和、切り替わりのタイミングなどには、すごいこだわりを持ってらっしゃるようです。
こうした視点が彼の関わった作品の完成度を大きく高めているのでしょう。
作曲者の光田康典さんについては、こちらの記事で紹介していますので、ご一読下さい。
本作クロノトリガーは、光田さん自身がスクウェアの副社長に直談判してようやく勝ち取った大きなチャンスであり、作曲家として最も重要な勝負の作品であったと思います。
それだけに、気合の入り方、音楽の密度が尋常ではないです。
この曲以外にも「時の回廊」「風の憧憬」「遥かなる時の彼方へ」など、ゲーム音楽史に残る名曲が多数収録されています。
1995年という時代
1995年という年はこのクロノトリガー以外にも、ゲーム音楽(主にスーパーファミコン)が最も充実した時期であったと思います。
- かまいたちの夜(これは94年11月ですが)
- エストポリス伝記2
- 魔神転生2
- 聖剣伝説3
- タクティクスオウガ
- 天地創造
- スーパードンキーコング2
- ロマンシングサガ3
- ドラゴンクエスト6
などなど、音楽が素晴らしいタイトルは枚挙にいとまがありません。
この曲はそういった時代の雰囲気と光田さんの熱い志を想起させるような、熱くも美しい名曲です。
ちょっと速めのテンポで演奏【ソロギター演奏】
この曲は少しアレンジ悩みました。
もっと色々な奏法を取り入れて派手にやりたかったんですが、やってみたら思ったほど効果的でないので欲張らずにシンプルにまとめました。
先日録画した「Captain Neo」同様、リズムトラックがあったほうが映えそうなので、メトロノームのかわりに色々ループトラックを流しながら練習したんですが、ジャングルビートっぽいパターンがマッチしてのりやすかったので、それを流しながら演奏しました。テンポも少し速めにしてます。
録画方法について
アレンジが固まってそれなりに弾けるようになってきた段階で、音も映像も記録しはじめたんですが、これだと後からいいテイクを探すのにえらく時間がかかりました。
でも、「今から本番テイク!」みたいに構えて録ると、演奏が硬くなるのが弾いている段階から自分でわかります。
こういうのは手間と演奏クオリティの天秤ですが、慣れればササっといい演奏録れるようになるんだろうか……
再収録版について(2022年4月更新)
このアレンジは2022年4月に再収録して差し替えを行っています。
旧バージョンは上で言っている通り、まだ動画撮影に慣れておらず、左手が見切れたりしていたので、アレンジ修正も兼ねてリメイクしました。
ベースのアレンジは2018年版からそんなに変えてませんが、細部を修正して原曲再現度を上げる努力をしました。リズムトラックも修正を加えています。
Chrono Trigger コード進行
イントロ
|Am7|Am7|F♯m7|F♯m7|
|FM7|FM7|Em|Em|
Aメロ
|Am7|Am7|F♯m7|F♯m7|
|Am7|Am7|F♯m7|F♯m7|
|FM9|FM7|Em7|Em7|
|CM7|FM7|Em9|Em9|
Aメロくり返し
Bメロ
|GM7|A6|Bm7|Bm7 A7|
|GM7|F♯m7|B7sus4|B7 A7|
|GM7|A6|Bm7|Bm7 A7|
|GM7|F♯m7|
Cメロ
|CM7|CM7|D7|D7|
|C|C|D7|D7|
|Em|FM7|Em|Em|※1
※1 この行はアレンジ
コード進行分析
この曲はイントロからAメロの部分をEマイナーキーでとるのか?Aマイナーキーでとるのか?ということと、2つ目のコードF♯m7をどう解釈するか?
この2点がポイントと思います。
イントロとAメロのキー
イントロとAメロの出だしのAm7はⅠmにも聴こえるので少し判断が難しいです。
ここのメロディはAドリアンなので、AドリアンモードとしてⅠm解釈もできますが、その後の流れを見るとEマイナーキーのⅣm解釈のほうがすっきりしそうです。
イントロとAメロは、細かく転調が入ってると見ることもできるし、複数解釈が成り立つんですが、自分は転調無しで通せるEマイナーキーの解釈を採用しました。
F♯m7の解釈は、EメロディックマイナーのⅡm7もしくは同主調Eメジャーからの借用のⅡm7ですが、メロや雰囲気からするとメジャーキーからの借用でしょうか。
マイナーキーで同主調メジャーキーからの借用は比較的珍しいです。浮遊感ありますよね。逆パターン(メジャーキー内での同主調マイナーからの借用)は一般的ですが。
ナポリコードについて
そのつぎのFM7はいわゆる「ナポリコード」と言われるもので、♭ⅡM7ですがサブドミナントマイナーの働きをします。
ナポリの作曲家が多用したことからこの名前がついたらしいです。
ドミナント裏コードの♭Ⅱ7代理のような形で、半音上のメジャー7thコードからのアプローチになりますが、とてもよく使う慣用句です。
ナポリコードはセカンダリードミナント的な使用も多く、ルートコード以外に対してもナポリコードでモーションしたりします。
Bメロの転調
Bメロは頭から転調が入ります。
転調区間はBメロセクション全部ですが、関係調であっても、これくらいのサイズで転調していると本格的転調として調号を指定しなおすケースです。
Bメロのコード進行は、G→A→Bm(B7)という動きが特長的ですが、これはマイナーキーの慣用句コード進行で♭Ⅵ→♭Ⅶ→Ⅰmというのがあてはまります。
ちなみに♭Ⅵ→♭Ⅶ→Ⅰだと、いわゆる「コナミ進行」でゲーム音楽の王道進行のひとつです。
ここはメロディーから考えても、この進行でいいと思います。
従ってキーはBマイナーキーに転調しています。BマイナーはEマイナーの属調にあたります。
Cメロへ繋ぐピボットコード
そのあとCメロに入るところで、元のEマイナーキーに戻しているんですが、ここはCM7が接着剤の役割を果たしています。
Bマイナーキーからみると♭ⅡM7のナポリコード、Eマイナーキーからみると♭ⅥM7です。
こういう転調の境目で使われる、転調前・転調後両方のキーに属することができるコードを「ピボットコード」と言って転調をスムーズにする働きがあります。
残りの部分は普通にEマイナーキーです。
コード分析結果
イントロ
■Eマイナー
|Ⅳm7|Ⅳm7|Ⅱm7※1|Ⅱm7|
|♭ⅡM7|♭ⅡM7|Ⅰm|Ⅰm|
Aメロ
|Ⅳm7|Ⅳm7|Ⅱm7|Ⅱm7|
|Ⅳm7|Ⅳm7|Ⅱm7|Ⅱm7|
|♭ⅡM7|♭ⅡM7|Ⅰm7|Ⅰm7|
|♭ⅥM7|♭ⅡM7|Ⅰm7|Ⅰm7|
Aメロ繰り返し
Bメロ
■Bマイナー
|♭ⅥM7|♭Ⅵ|Ⅰm7|Ⅰm7|
|♭ⅥM7|Ⅴm7|Ⅰsus4|Ⅰ ♭Ⅶ7|
|♭ⅥM7|♭Ⅵ|Ⅰm7|Ⅰm7|
|♭ⅥM7|Ⅴm7|
Cメロ
■Eマイナー
|♭ⅥM7※2|♭ⅥM7|♭Ⅶ7|♭Ⅶ7|
|♭ⅥM7|♭ⅥM7|♭Ⅶ7|♭Ⅶ7|
|Ⅰm|♭ⅡM7|Ⅰm|Ⅰm|
※1 Eメジャーキーのダイアトニックコード
※2 Bマイナーキーの♭ⅡM7と共用
※3 この行はアレンジ
Bメロ転調とⅡm7の解釈【コード進行のポイント】
この曲のポイントは、Bメロの属調転調と、なんといってもマイナーキーでのⅡm7の使用ですね。
これは同主調Eメジャーのダイアトニックコードになります。
メジャーキーで同主調マイナーキーのコードが出てくるのはよくありますが、逆パターンです。独特の浮遊感がありますね。
コメント
動画はクオリティ高いし、企画も面白いから続けてもらいたい。
しかし、YouTubeチャンネルの名前が酷すぎる。BGMって登録する気にならないだろうし、登録後も動画を探しにくいから、個性を読み取れる名前をつけたほうがいい。
呼びやすい名前は大事です。
動画のタイトルも、曲名が早く見えるようにした方が検索しやすいんじゃないかな。
今後も楽しみにしてます。
ちょっと遅レスですが(コメントへの返信方法がよくわからなかったので)
貴重なご意見ありがとうございました。
早速参考にさせていただきました。
今後ともご指導のほどよろしくおねがいします!