発売年月:1986年9月
機種:ファミコンディスクシステム(Famicom Disk System)
メーカー:コナミ(KONAMI)
タイトル名:悪魔城ドラキュラ(Castlevania)
曲名:ヴァンパイアキラー(Vampire Killer)
作曲:寺島里恵(Satoe Terashima)
演奏難易度:☆☆☆★★(易しい)
ゲーム音楽ソロギター演奏動画・コード進行解説の第66弾は、悪魔城ドラキュラの1面BGMで、悪魔城シリーズの代表曲といえる「Vampire Killer」。
6月6日に66曲目のアップです。666の獣、悪魔関連ということで(笑)
思い出深い曲だし、アレンジ頑張りました!
悪魔城ドラキュラシリーズについて
悪魔城ドラキュラシリーズは現在まで続くコナミの人気シリーズですが、シリーズ第1作は1986年9月にファミコンディスクシステム(以下FCD)用ソフトとして発売されました。
悪魔城シリーズの基本は、西洋の古城を舞台にしたサイドビューアクションで、世界観や音楽が非常に特徴的ですが、そういったスタイルは第1作から確立されていて、固定ファン層も多いシリーズです。
悪魔城シリーズは欧米でもヒットして「Castlevania」という名称でシリーズ展開しています。
悪魔城シリーズは日本本国より欧米に熱狂的ファンが多く、世界的にみるとCastlevaniaの名称のほうが浸透していると思われます。
初代悪魔城ドラキュラ
初代ドラキュラはFCD版発売の1か月ほど後にMSX2版が発売されていて、こちらはファミコン版と内容がかなり異なっていました。
自分はFCD版のほうは、ほぼ発売日に買ってプレイしていたと思いますが、少し後になってからMSX2版もやっています。
両方の記憶が微妙に混じっていたりするんですが、主におぼえているのは、やはり最初にやったFCD版のほうですね。
音楽はFCD版もMSX版もエンディング曲以外は同じものでしたが、多少アレンジが違っていたような。
FCD版はもともとROMカートリッジ向けに開発されていたのが急遽ディスクシステム版に変更されたという事情があり、ファミコンディスクシステム内臓の波形メモリ音源は使用されておらず、ファミコン本体の音源のみで作られています。
悪魔城シリーズ代表曲「Vampire Killer」
今回演奏する「Vampire Killer」は初代悪魔城ドラキュラの1面BGMですが、「悪魔城といえばこれ!」みたいなシリーズのメインテーマ的な曲で、悪魔城シリーズ通して何度もリメイクされて登場しています。
「Vampire Killer」は「Bloody Tears」(悪魔城ドラキュラ2の1面BGM)、「Beginning」(悪魔城伝説の1面BGM)と共に、ドラキュラ三大名曲と言われています。
悪魔城シリーズは1面BGMに勝負曲を持ってくるパターンが多いですが、その中でも初期のファミコン3部作のものが有名なので、三大名曲ということになっていると思われます。
悪魔城の音楽全般に言えますが、とくに1面BGMはクラシカルな要素とダンサブルな要素があって独特ですよね。
そういう音楽的な傾向も初代ドラキュラの頃からずっと引き継がれています。
寺島里恵さん【作曲者】
自分は今まで、この曲は山下絹代さんの作曲かと思っていましたが、調べてみると、山下さんと初代悪魔城ドラキュラの作曲を分担した寺島里恵さんの作曲ということです。
山下さんが海外でのインタビューにそのように答えていたといいます。
そこで、ここでは寺島里恵さんのご紹介をします。
本名:寺島里恵(てらしま さとえ)
通称:ブリリアント里恵
作曲家デビュー:1986年2月(グーニーズ)
代表作:悪魔城ドラキュラ、悪魔城ドラキュラ(MSX)、グーニーズ、沙羅曼蛇(FC)、迷宮寺院ダババ、グリーンベレー(FCD)、悪魔城ドラキュラ2、グーニーズ2
寺島里恵さんに関しては得られる情報が少ないのですが、恐らく作曲家デビューはFC版グーニーズ(1986年2月)と思われます。
ただし、グーニーズのメインBGMはシンディ・ローパーの「グーニーズはグッドイナフ」なので、それ以外の作曲ということです。
グリーンベレーに関してはFCD版(1987年4月)のクレジットは確認できていますが、AC版(1985年7月)に参加したのかは詳細がわかりません。
1986年から1987年にかけてコナミに在籍してゲーム音楽を作っていましたが、その後の詳細は不明です。
寺島さん、山下さんの所属していたコナミ矩形波倶楽部の紹介はこちらの記事をどうぞ。
PCE版も参考にアレンジ【ソロギター演奏】
オリジナルはDマイナーキーで、自分も最初はDマイナーで弾いていましたが、部分的に弾きづらい部分もあったので移調することにしました。
移調先はギターで最も楽に弾けるAマイナーキーです。
ただ、Fコードのところのストレッチがキツくて、しっかりした音が出しにくかったので、3フレットにカポタストをつけて、実音としてはCマイナーキーで演奏しています。
5フレットにカポをつければオリジナルのDマイナーキーで演奏できますが、そうすると今度は5フレットセーハのAmコードが使いづらくなるので、間をとって3カポのCマイナーキー(実音)に。
後半のアレンジはPCエンジン版の『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』に収録されているバージョンのものを参考にしました。
この曲は多数のアレンジバージョンがありますが、自分はこのPCE版アレンジが好きです。
最後はAメロを繰り返してエンディングとしました。
Vampire Killer コード進行
オリジナルのDマイナーキーをAマイナーキーに移調していますが、演奏動画では3フレットにカポタストを付けているため実音はCマイナーキーになっています。
イントロ(アレンジ)
|FM7(onA)|G♯dim7|Am11|G♯dim7|
|FM7(onA)|G♯dim7|Am11|G♯dim7|
Aメロ
|Am Am7|Am6|FM7|G7|
|Am Am7|Am6|FM7|G7|
Bメロ
|Am|AmM7|FM7 F7 F6|FM7 F7 F6|
|Am|AmM7|FM7 F7 F6|FM7 F7 F6|
Cメロ
|G♯dim7|Am|E7(♭9)(onB)|Am(onC)|
|Ddim7|Am(onC)|Bm7(♭5)|E7|
(2拍ブレイク)
|Am|Am|F|G7|
|Am|Am|F|G7|
間奏
|Am|D7(onA)|Am|Em7|
|Am|D7(onA)|Am|Em7|
エンディング(Aメロを2回繰り返し)
|Am Am7|Am6|FM7|G7|
|Am Am7|Am6|FM7|G7|
|Am|Am7|Am6|FM7|G7|
|Am Am7|Am6|FM7|G7|
|G♯dim7|G♯dim7|Amadd9|Amadd9|
コード進行分析
イントロ(アレンジ)
■Aマイナー
|♭ⅥM7|Ⅶdim7※1|Ⅰm|Ⅶdim7※1|
|♭ⅥM7|Ⅶdim7※1|Ⅰm|Ⅶdim7※1|
Aメロ
|Ⅰm Ⅰm7|Ⅰm6|♭Ⅵ|♭Ⅶ|
|Ⅰm Ⅰm7|Ⅰm6|♭Ⅵ|♭Ⅶ|
Bメロ
|Ⅰm|Ⅰm|♭Ⅵ|♭Ⅵ|
|Ⅰm|Ⅰm|♭Ⅵ|♭Ⅵ|
Cメロ
|Ⅴ7|Ⅰm|Ⅳdim7※1|Ⅰm|
|Ⅳdim7※1|Ⅰm|Ⅱm7(♭5)|Ⅴ7|
(2拍ブレイク)
|Ⅰm|Ⅰm|♭Ⅵ|♭Ⅶ7|
|Ⅰm|Ⅰm|♭Ⅵ|♭Ⅶ7|
間奏
|Ⅰm|Ⅳ7|Ⅰm|Ⅳm|
|Ⅰm|Ⅳ7|Ⅰm|Ⅳm|
エンディング(Aメロを2回繰り返し)
|Ⅰm Ⅰm7|Ⅰm6|♭Ⅵ|♭Ⅶ|
|Ⅰm Ⅰm7|Ⅰm6|♭Ⅵ|♭Ⅶ|
|Ⅰm Ⅰm7|Ⅰm6|♭Ⅵ|♭Ⅶ|
|Ⅰm Ⅰm7|Ⅰm6|♭Ⅵ|♭Ⅶ|
|Ⅶdim7※1|Ⅶdim7|Ⅰm|Ⅰm|
※1 Ⅴ7の代理
王道進行だがクリシェが効きまくり【コード進行のポイント】
移調後のAマイナーキーで解説します。
この曲で頻繁に使われているⅠm→♭Ⅵ→♭Ⅶという流れは、この時代のゲーム音楽で頻出するもので、ゲーム音楽王道進行の一つ「マイナー下降進行」となります。
ゲーム音楽の王道コード進行については以下の記事をご覧ください。
基本的には上記の通りマイナー下降進行ですが、その中で半音クリシェが高い効果を上げています。
- AメロのAm6
- BメロのAmのところのM7
- BメロのFM7→F7→F6
これらが良く効いていて、ノリが良い曲調の中にも不気味なゴシックホラー的な雰囲気が出ています。
Bメロはドミナント→トニックの繰り返しですが、オンコードやディミニッシュを使ってベースラインを滑らかに繋いでいる感じなので、ソロギターでもそういうふうにアレンジしています。
そして、PCE版アレンジのベースフレーズをブリッジに使っています。
ここの2つ目のコードはAm6でもいいんですが、D7(onA)じゃないでしょうか?
同じような音使いのAメロのAm6もD9(onA)と考えることもできますが、Aメロのほうは動き的にクリシェっぽいので、AメロはAm6、間奏はD7(onA)としました。このへんは分析する人の解釈次第です。
コメント