発売年月:2001年12月
機種:ゲームボーイカラー(GAMEBOY COLOR)
メーカー:ナツメ(NATSUME)
タイトル名:メダロット5 すすたけ村の転校生(Medabots5)
曲名:VSハードネステン(Hardness Ten)
作曲:山下絹代(Kinuyo Yamashita)
演奏難易度:☆☆★★★(普通)
ゲーム音楽ソロギター演奏動画・コード進行解説の第79弾は、メダロット5よりラスボス戦のテーマ「VSハードネステン」です。
メダロットシリーズの魅力
メダロットシリーズの楽曲を取り扱うのは初めてなので、シリーズの概要から解説します。
メダロットは1997年に発売されたゲームボーイ向けのタイトルですが、一般的なRPGと異なり、メダロットという昆虫型ロボットのパーツを収集して戦力を強化していく、というものでした。
この前年に任天堂からポケットモンスターが発売されて大ヒットしたのをきっかけに、ゲームボーイ+対戦型コレクション系という組み合わせのゲームがわんさか出てくるわけですが、その中でメダロットシリーズは一番成功したものです。
ゲーム発売に合わせてコミックボンボンで漫画の連載が開始されたり、後にアニメ化もしてます。
ゲーム内容は「昆虫+ロボット」「パーツを集めて交換」という時点で、男子小学生ホイホイ以外の何者でもないんですが、ゲームバランスもしっかり練られていて安定したヒットとなり、現在まで続く人気シリーズとなりました。
ゲームボーイ版のタイトルは1997年から2001年の間に正規ナンバリングタイトルだけで5作品、パーツコレクションなども入れると年に3、4本というハイペースでリリースされています。
自分が初めてメダロットをやったのは2000年くらいだったかな。全て中古で購入したんですが、5までのゲームボーイ版タイトルは全部プレイしています。
この当時は、ポケモンとドラクエモンスターズとメダロットという3大コレクションゲームをローテーションでやってました。
メダロット5 作品概要
今回取り上げる「VSハードネステン」が収録されているメダロット5は2001年末に出た作品で、ゲームボーイ(カラー)用としては最終作です。
物語の舞台は、前作までは近未来的な世界観だったのが、5は「すすたけ村」という田舎が舞台になって、田舎の小学生の夏休み的なノリになってます。
ぬし釣りシリーズ的な要素も入れてきている感じで、どこまでも男子小学生をロックオンしてきますよね(笑)
ちなみに、メダロット5は諸事情から未完成のまま発売されたらしく、バグや進入不可能な場所、未回収の伏線などが多かったですが、翌年の2002年にはハードをゲームボーイアドバンスに変更して、直接の続編であるメダロットGが発売されました。
メダロットGでは5で描ききれなかった部分も補完されています。
「VSハードネステン」について
今回の演奏曲「VSハードネステン」はラスボス戦で流れます。
ハードネステンは白とピンクの可愛いメダロットですが、全メダロットシリーズのラスボスの中でもかなりの強敵です。
ハードネステンは宝石シリーズのメダロットの最上位のダイヤモンドのメダロットということで、ダイヤモンド=硬度10=Hardness10という意味ですね。
作曲は1980年代にコナミに在籍して、悪魔城ドラキュラ、エスパードリーム、アルマナの奇跡などの音楽を担当した山下絹代さんです。
この「VSハードネステン」は、1980年代風のレトロゲーム音楽っぽさ全開で、山下絹代さんが最も得意とするスタイルの楽曲です。
昭和のアニソン・戦隊ヒーロー的なメロディーと、初代ファミコンを意識したような音色は、ファミコンで育った世代は無条件でテンション上げられてしまいますよね!
なんというか「ピコピコ系の鑑」のような楽曲ですが、2001年末(メダロット5発売日)にこれを持ってくるところが逆に新鮮です。
ゲームボーイ音源との相性を考えて、というのもあると思いますが、メダロットの音楽は今聴いてもテンション上がるし、これはもう確立された様式美ですよね。
そして自分としては、こういう「ザ・ゲーム音楽」な曲を生楽器で演奏する事に大きなやりがいを見い出しています。
イントロが難関【ソロギター演奏】
オリジナルはB♭マイナーキーなんですが、ギターでそのまま弾くと1フレットセーハが増えてしんどいのでAマイナーキーに移調した上で、1フレットにカポタストを付けてオリジナルキーに戻して演奏しています。
以下、コード進行の解説などは全てAマイナーキーの前提でやります。
まず、この曲はイントロが一番苦労しました。
ラシドラレドシド、という固定のシーケンスフレーズを弾きながらベースを動かしていくだけなんですが、あれこれ試しているうちに、ベースにプッシュ音を入れたりして難しくなってしまいました。
イントロを簡略化すれば星2つくらいの難易度にできると思います。
Aメロの入り口はブレイクが入るアレンジにしてみました。
昭和的JMMのAメロの後、ブリッジに少し変わったキメが入って、同主調転調してBメロに行きます。
Bメロも痒いところに手が届くようなアゲアゲのメロディーだし、メロディーが強く出るような弾き方を意識しました。
VSハードネステン コード進行
オリジナルのB♭マイナーキーをAマイナーキーに移調していますが、演奏動画では1フレットにカポタストを付けているので実音はオリジナルと同じB♭マイナーキーになっています。
イントロ
|Am|Am|Am|Am|
|F|F|G7|G7|
|Am|Am|Am|Am|
|F|F|G7|E7(onG♯)|
|Am G F|E F|E7|E7|
Aメロ
|Am|Am|F7|G7 E7|
|Am|Am(onE)|F7 FM7|G7 E7(onG♯)|
|Am|Am|F7|G7 E7(onG♯)|
|Am|Am(onE)|F7 FM7|G7 E7(onG♯)|
ブリッジ
|Am C B♭ A♭|G♭ D(onF♯)|
|C♯7(♭9)|C♯7(♭9)|
Bメロ
|D|E7|F♯m7|F♯m7|
|D|E7|F♯m7|F♯m7|
|D|E7|F♯m7|F♯m7|
|D|E9|F|G|
アウトロ
|Am|Am|Am|Am|
|F|F|G7|G7|
|Am|Am|Am|Am|
|F|F|G7|E7(onG♯)|
|Am G F|E F|E7|E7|
|Am6 Am7(♯5)※1 Am7|Am7(♭5)|Am7|
※1 このマイナーオーギュメントコードはAm7に経過音が含まれているだけ
コード進行分析
イントロ
■Aマイナー
|Ⅰm|Ⅰm|Ⅰm|Ⅰm|
|♭Ⅵ|♭Ⅵ|♭Ⅶ|♭Ⅶ|
|Ⅰm|Ⅰm|Ⅰm|Ⅰm|
|♭Ⅵ|♭Ⅵ|♭Ⅶ|Ⅴ7|
|Ⅰm ♭Ⅶ ♭Ⅵ|Ⅴ ♭Ⅵ|Ⅴ7|Ⅴ7|
Aメロ
|Ⅰm|Ⅰm|♭Ⅵ|♭Ⅶ Ⅴ7|
|Ⅰm|Ⅰm|♭Ⅵ|♭Ⅶ Ⅴ7|
|Ⅰm|Ⅰm|♭Ⅵ|♭Ⅶ Ⅴ7|
|Ⅰm|Ⅰm|♭Ⅵ|♭Ⅶ Ⅴ7|
ブリッジ
|Ⅰm ♭Ⅲ ♭Ⅱ Ⅶ|※1
■F♯マイナー(短3度下)
|Ⅰ ♭Ⅵ|Ⅴ7|Ⅴ7|
Bメロ
|♭Ⅵ|♭Ⅶ|Ⅰm|Ⅰm|
|♭Ⅵ|♭Ⅶ|Ⅰm|Ⅰm|
|♭Ⅵ|♭Ⅶ|Ⅰm|Ⅰm|
|♭Ⅵ|♭Ⅶ|
■Aマイナー(短3度上)
|♭Ⅵ|♭Ⅶ|
アウトロ
|Ⅰm|Ⅰm|Ⅰm|Ⅰm|
|♭Ⅵ|♭Ⅵ|♭Ⅶ|♭Ⅶ|
|Ⅰm|Ⅰm|Ⅰm|Ⅰm|
|♭Ⅵ|♭Ⅵ|♭Ⅶ|Ⅴ7|
|Ⅰm ♭Ⅶ ♭Ⅵ|Ⅴ ♭Ⅵ|Ⅴ7|Ⅴ7|
|Ⅰm|Ⅰm|
※1 Ⅴ7上でアッパーストラクチャートライアドが長2度平行移動
ゲーム音楽王道進行のオンパレード【コード進行のポイント】
この曲はコード進行もゲーム音楽の王道進行が中心になっています。
イントロからⅠm→♭ⅥM7というマイナー下降型のJMM進行で攻めてきます。
Aメロも引き続きIm、♭Ⅵ、Ⅴで展開していきますが、♭Ⅵ7のドミナント7th使いがアクセントになっています。
ブリッジ部分はメタルでよくやりそうな5度コードの平行移動のキメなんですが、最後C♯7からディミニッシュ上行フレーズが入り、次のBメロはF♯mからかな?と思わせておいてDコードから入るのが気持ち良いですよね。
BメロはAメロの同主調であるAメジャーキーに転調と捉えるのが自然と思いますが、キールートのAメジャーコードは一度も出てこないので、理論を知らないと解釈が難しいかもしれません。
最後はⅤ→♭Ⅵ→♭ⅦでAマイナーキーに戻しています。
この進行はいわゆるコナミ進行と同じなんですが、元祖コナミ進行はマイナーキー→メジャー終始のパターンが多いのが、これは逆パターンでメジャーキー→マイナー終止です。
どっちにしろサブドミナントマイナーコードは同主調の接着剤として大活躍しますよね。
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