天外魔境2「Lマップ」【ギター演奏・コード進行105】

天外魔境2 Lマップ 動画
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※初版は2022年8月26日にアップしたのですが、2022年9月1日に修正版を再アップしています。修正点は記事中の演奏解説をご覧ください。

1992年:PCエンジン(Turbo Grafx 16)
メーカー:ハドソン(Hudson)
タイトル名:天外魔境Ⅱ 卍MARU(Tengai Makyou2 MANJI MARU)
曲名:Lマップ
作曲:久石譲(Joe Hisaishi)
演奏難易度:☆☆★★★(普通)

今回は、久石譲さんが音楽を手掛けた1992年のRPG作品『天外魔境Ⅱ 卍MARU』より、フィールド曲「Lマップ」を演奏します。作品中でも、この曲は久石さんのカラー(ジブリっぽいです)がストレートに出た一曲です。

天外魔境2の作品概要

天外魔境シリーズはハドソン(現在はコナミに吸収合併)がPCエンジン向けに開発していたアニメーションRPGで、「外国人からみた誤った日本観」というコンセプトの世界観でした。

確かに、中世の日本と中国がごっちゃになったような不思議な世界観でしたよね。

天外魔境は『魔神英雄伝ワタル』や『サクラ大戦』の原作者として知られる広井王子さんが企画し、当初は実写映画やアニメでの展開を想定して構想されていたらしいのですが、PCエンジンが世界に先駆けて採用予定だったCD-ROMシステム(1988年12月発売のCD-ROM2)の情報を受けて、ゲーム作品として開発することを決めたということです。

CD-ROMの登場によって、①TV等と同等のクオリティーのアニメーション②肉声によるボイス③レコーディングされた生楽器による音楽――といったものが実現したわけですが、家庭用ゲーム機にCD-ROMが普及したのは1994年12月発売のプレイステーション以降ですので、PCエンジンのCD-ROM2は6年も時代を先取りしたものでした。

天外魔境シリーズの第1作は1989年6月発売の『天外魔境 ZIRIA』で、音楽に坂本龍一さんを起用したのも話題となり、CD-ROM2のキラーソフトの一つとなりました。

本作『天外魔境Ⅱ 卍MARU』は1992年3月に発売されたシリーズ第2作に当たりますが、前作よりシステム・演出の両面でグレードアップし、PCエンジン史上最高のRPGという声も高い名作です。

このタイトル、自分も友人から借りパク状態になっていたPCエンジンDUOでプレイしたのですが(1993年頃?)、RPG+アニメ作品といった趣で、シナリオも良く出来ていて、ゲームの世界に引き込まれて徹夜でプレイしたのをおぼえています。

でも、このゲーム、事あるごとにムービーが流れたりして読み込みが発生するので、プレイに時間がかかるんですよね……。

天外魔境2の音楽

本作の音楽は、スタジオジブリのアニメ作品で有名になった久石譲さんが音楽監督を担当しました。

本作の音楽担当には、もう一人、作曲家の福田裕彦さんが参加されていますが、タイトル曲・各キャラクターのテーマ曲・エンディング曲・フィールド曲など9曲を久石さんが担当。その他の作中BGMなどは福田さんが担当しています。

久石さんが担当した曲は、久石さん自らが指揮を担当したオーケストラでレコーディングが行われるという豪華仕様で、当時はCD-ROMでないと実現出来ない内容でした。

「Lマップ」について

今回、タイトル曲でも主人公のテーマ曲でもなく、フィールドBGMである「Lマップ」を演奏した理由は以下の3つです。

  • 本作の楽曲の中でも、この曲の評価が高い
  • 久石譲さんのカラーが良く出ている
  • プレイ中、一番長時間聴く事になるため鮮明に記憶している

「Lマップ」の「L」は「Land」か「Large」の略だと思われますが、広域の移動の際に流れる曲ですね。

ちなみに、この曲には序盤から中盤で流れる「通常版」と終盤に流れる「聖剣あり」の2つのバージョンがあります。

「聖剣あり」のほうは、パート数が増えて分厚いアレンジになっていますが、採譜のしやすさとソロギターでの再現しやすさを考えて、今回は「通常版」を採譜・アレンジしました。

曲の内容的には、久石さんのカラーが強烈に出ていて、ジブリアニメのテーマ曲だと言われても全く違和感がないです。

ちなみに『となりのトトロ』(1988年)の「オバケやしき!」とAメロが似ていますが、同じモチーフから発展させたのかもしれません。

オーケストラをバックに、和笛のメインメロディーが躍動していて、とてもファンタジックな曲に仕上がっていますよね。

リズムトラックを入れて独自解釈のアレンジに【ソロギター演奏】

この曲、最初はリズムトラックを入れずに完全ソロギターで録画してみたのですが、イメージ通りにならなかったので、リズムトラックを入れたバージョンを作ることにしました。

ただ、リズムトラック制作も原曲イメージに拘るとなかなか難しく、作っているうちにギターの音色やアレンジに合わせる形で独自解釈のアレンジになっていきました。――アコースティックっぽさを意識しつつも、テクノ・トランスの要素も入っていると思います。ラテンハウスかな。

演奏キーは原曲のCメジャーキーが弾きやすいので、移調はしていません。

テクニック的には、ブリッジの細かいパッセージ(原曲は笛)が最難関でしょうか。

他はテクニック的にそんなに難しい所は無いのですが、全体に音域も広いし、Dメロあたりは変わった動きをするしで、コードとメロディーの兼ね合いに苦労しました。

一方、リズム面はシンプルなので、全体的な演奏難易度としては星3つくらいだと思います。

修正版動画の再アップについて(2022年9月1日)

この曲は、2022年8月26日に初版アレンジをアップしたのですが、アップ後になってアレンジの不満点が出て来て、録り直しを検討していました。

再アップはYouTube再正数が伸びにくくなるので悩みましたが、検討の結果、あまり時間が経たないうちに(アレンジを指が忘れないうちに)録り直しをする事にして、2022年9月1日に修正版をアップしましたので、その内容を書いておきます。

修正版でアレンジを変えたのは2箇所。Aメロのコードと、Bメロのベースラインです。

オリジナルのAメロは2周り目が分数コード(D/CM7)になっているのですが、初版では簡略化して全てCM7一発でやっていたのを、修正版では出来る範囲で分数コードを再現しました。

Bメロのほうは、初版はサラッとしすぎてサビとしてのインパクトが今一の感じがしたので、修正版ではベースラインを補強して前後とのメリハリが出るようにしています。

その他の部分は、細かい弾き方の違いはありますが、大きな変更はありません。

天外魔境2「Lマップ」コード進行

イントロ
|CM7|CM7|

Aメロ
|CM7|CM7|CM7|CM7|
|CM7|CM7|CM7|CM7|
|D/CM7|D/CM7|D/CM7|D/CM7|
|D/CM7|D/CM7|D/CM7|D/CM7|
|F G Em7|F G Em7|Dm7(onF)|D9 Dm7|
|FM7 Em7|

ブリッジ
|Am Em|F C|Dm C|Dm7(onF) Em7|

Bメロ(サビ)
|Am Em(onG)|F Em7|Dm9 Em7|F G|
|Am Em(onG)|F Em7|Dm9 Em7|Asus4 A|

Cメロ
|C G(onB)|F C|
|F C|Dm7 D♭7 G7(♯9)|
|C G(onB)|F C|F♯m7(♭5) F Em7|A|

Dメロ
|A(♯5)(onF)|A(♯5)(onF)|
|A(♯5)(onF)|A(♯5)(onF)|
|F♯m7|E(♯5) E|
|A(♯5)(onF)|Bdim7 A♭dim7 Fdim7|
|Ddim7 Bdim7 G♯dim|

エンディング
|Am Em(onG)|F Em7|Dm9 Em7|F G|
|Am Em(onG)|F Em7|Dm9 Em7|Amadd9|

コード進行分析

イントロ
■Cメジャー
|ⅠM7|ⅠM7|

Aメロ(イオニアン+リディアン)
|ⅠM7|ⅠM7|ⅠM7|ⅠM7|
|ⅠM7|ⅠM7|ⅠM7|ⅠM7|
|ⅠM7|ⅠM7|ⅠM7|ⅠM7|
|ⅠM7|ⅠM7|ⅠM7|ⅠM7|
|Ⅳ Ⅴ Ⅲm7|Ⅳ Ⅴ Ⅲm7|
|Ⅱm7|Ⅱ7 Ⅱm7|
|Ⅳ Ⅲm7|

ブリッジ
■Aマイナー
|Ⅰm Ⅴm7|♭Ⅵ ♭Ⅲ|
|Ⅳm ♭Ⅲ|Ⅳm7 Ⅴm7|

Bメロ(サビ)
|Ⅰm Ⅴm|♭Ⅵ Ⅴm|
|Ⅳm7 Ⅴm7|♭Ⅵ ♭Ⅶ|
|Ⅰm Ⅴm|♭Ⅵ Ⅴm|
|Ⅳm7 Ⅴm7|Ⅰ|

Cメロ
■Cメジャー
|Ⅰ Ⅴ|Ⅳ Ⅰ|Ⅳ Ⅰ|Ⅱm7 ♭Ⅱ7 Ⅴ7|
|Ⅰ Ⅴ|Ⅳ Ⅰ|Ⅳ Ⅰ|
■Aマイナー
|Ⅵm7♭5※1 ♭Ⅵ Ⅴm7|Ⅰ|

Dメロ
■F♯マイナー(短3度転調)
|♭Ⅲ(♯5)※1|♭Ⅲ(♯5)|
|♭Ⅲ(♯5)|♭Ⅲ(♯5)|
|Ⅰm|♭Ⅶ(♯5) ♭Ⅶ|
|♭Ⅲ(♯5)|Ⅳdim7※2 Ⅱdim7 Ⅶdim7|
|♭Ⅵdim7 Ⅳdim7 Ⅱdim|

エンディング
■Aマイナー
|Ⅰm Ⅴm|♭Ⅵ Ⅴm|
|Ⅳm7 Ⅴm7|♭Ⅵ ♭Ⅶ|
|Ⅰm Ⅴm|♭Ⅵ Ⅴm|Ⅳm7 Ⅴm7|Ⅰm|

※1 メロディックマイナーのダイアトニックコード
※2 ディミニッシュ短3度移動だが、F♯マイナーキーとAマイナーキー両方のⅤ7代理でピボットの役割をしている

Dメロが面白い【コード進行のポイント】

AメロはCイオニアン(通常のメジャースケール)とCリディアン(F♯音を含む)の切り替えがちょっとしたアクセントになっています。

Aメロ後半のコードはD/CM7という分数コード(オンコードと異なり分母も和音)なのですが、DコードはCコードのアッパーストラクチャートライアドになっていて、CM9(♯11,13)と同じ事ですので、分析では単純化してⅠM7一発としました。

ブリッジ・Bメロは平行調Aマイナーキーに行っていて、最後は同主調Aメジャーキーで終止。その後のCメロは、元のCメジャーキーに戻ってBメロのバリエーションが展開されますが、最後には再びAメジャーキーに終止させています。

Cメロ最後のF♯m7(♭5)→F→Em→Aがなんとも久石さんぽいフレーズですよね。

そして、その後のDメロが問題で、ここはオーギュメント(♯5)コードとディミニッシュコードの組み合わせで出来ています。

オーギュメントコードは長3度(またはその半分の長2度)間隔、ディミニッシュコードは短3度間隔での平行移動が可能なのですが、Dメロ部分は、そういう特性をいかした進行ではないでしょうか。

Dメロの最初のコードはF(♯5)でも良いのですが、平行移動させてA(♯5)(onF)とすればF♯マイナーキーでの解釈が成立します。

Dメロ最後は、Bdim7からのディミニッシュコード短3度移動ですが、これらのディミニッシュコードは全てF♯マイナーキー・Aマイナーキー両方のⅤ7代理で、強烈なピボットコードとなっており、なんとも鮮やかな仕掛けです。

このDメロ部分は他のセクションと異なり、通常の調性音楽から外れたような事をやっているのですが、プログレとか現代音楽のような感じにならず、自然な感じで楽曲に溶け込んでアクセントを付加しているあたり、流石の作曲技巧だと思います。

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