久石譲【ゲーム音楽作曲家列伝番外編05】

ゲーム音楽作曲家列伝では、国内で活動するゲーム音楽がメインの作曲家を紹介してきましたが、「番外編」としてゲーム音楽の活動がメインでない作曲家や外国人作曲家の紹介をしていきます。

今回は、スタジオジブリのアニメ作品や北野武監督の映画の音楽、CM音楽などでお馴染みの国民的作曲家、久石譲さんです。

久石さんは(数は少ないながら)ゲーム作品にも曲を提供しているのですが、久石さんの場合、そういう直接手掛けたゲーム作品による影響よりも、ジブリアニメなどを通して若い世代のゲーム音楽作曲家に与えた影響のほうが遥かに大きいのではないでしょうか。

久石譲さん プロフィール・略歴

本名:藤澤守(ふじさわ まもる)
生年月日:1950年12月6日
ゲーム音楽作曲家デビュー:1987年9月(ゾイド 中央大陸の戦い)

久石譲さんは4歳でヴァイオリンを始めて、中学生の頃からは作曲家を志すようになり、国立音楽大学作曲科に進学して作曲を学びました。

大学在学中にはミニマルミュージック(同じ音型を少しずつ変化させて音楽として成立させる作曲手法)に傾倒していて、それは1981年のミニマルミュージックをベースとしたアルバム『MKWAJU』(ムクワジュアンサンブルに提供された楽曲だが、実質は久石さんのソロデビューアルバム)へと結実します。

一方、職業作曲家としてのデビューは1974年のTVアニメ『はじめ人間ギャートルズ』の劇伴で、同時期にオーケストラへの編曲提供などの仕事も始めています。

久石さんの作曲家人生最大の転機は、細野晴臣(元YMOの作曲家・ベーシスト)さんに代わって『風の谷のナウシカ』(1984年公開。宮崎駿監督)の音楽担当に抜擢された事でした。

『風の谷のナウシカ』の音楽は各方面から高い評価を受け、それ以降も久石さんが歴代ジブリ作品の音楽を担当する事となりました。

久石さんはジブリ作品への曲提供をきっかけに、映画・アニメ・CMなど、多数の仕事を手掛けるようになり、現在に至るまで日本で最も人気のある作曲家の一人として活躍されています。

なお、久石譲という名前は、クインシー・ジョーンズ(マイケル・ジャクソンをプロデュースしたアメリカの音楽プロデューサー)から拝借したそうで、久(ク)石(イシ)譲(ジョー)というジョークですね。

「譲」という名前は、学生時代に師事していた島岡譲さんからとったという説もありますが。

久石譲さんの音楽性

久石譲さんの音楽は、ジブリ作品のイメージが大勢を占めていると思われますが、一言にジブリ作品の音楽と言っても、その内容は多彩なものであり、久石さん自身もスタジオジブリからの要求に沿って自分の音楽に色んな要素を採り入れながら変化・成長していく過程が見てとれます。

自分のイメージですが、久石さんの音楽性の根幹部分は、以下の3つの要素が合わさって作られているように思います。

  1. 日本・ヨーロッパの民謡的なメロディー
  2. オーケストラやピアノが主体のクラシック音楽的アレンジ
  3. 打ち込みを使ったミニマル的なシーケンスパターン

4歳から学んだクラシック音楽の素養と、幼少時から親しんだという映画音楽、そして大学時代から10年以上に渡って傾倒したミニマルミュージックというのが久石さんの音楽の基礎となっているのは確かだと思いますが、その上で、早くからシンセサイザーを導入したり、日本やヨーロッパの民謡・民族音楽の要素を採り入れたりしていますよね。

『風の谷のナウシカ』(1984年)の音楽は、シンセサイザーを全面に押し出したニューエイジ系のサウンドですが、ヒーリングミュージック要素や、打ち込みのシーケンスフレーズによるミニマル要素、あとはシタールなどの民族楽器の音色を使うなど民族音楽要素も多分にありました。

その次の『天空の城ラピュタ』(1986年)では、アイルランド民謡を採り入れて独特の世界観を構築。それ以降の作品でも民謡カラーは久石さんの音楽の重要な要素となっています。

ちなみにアイルランド民謡の要素は、光田康典さんが積極的に導入して以来、ゲーム音楽でもお馴染みのエッセンスとなっていますよね。

そして、1997年公開の『もののけ姫』を境に、本格的な生オーケストラサウンドを志向するようになり(同時期に指揮法の勉強も始めている)、以後は重厚な交響曲的な楽曲の比重が上がっています。

久石譲さんとゲーム音楽の関わり

全体の作品数から考えると数は少ないですが、久石さんはゲーム作品にも曲提供をしていて、古くはファミコン版ゾイドシリーズ(1987年、1989年)やPCエンジンの天外魔境2(1992年)、近年では二ノ国シリーズを手掛けた事が知られています。

初期作品であるゾイド1&2は、ファミコン音源+久石譲という事で、とても興味深い作品ですが、1のほうはヒーリングミュージック系、2のほうはミニマル系の楽曲が多いような。あとは両作品とも作品イメージに沿った勇ましい行進曲風の曲とかですね。

ゾイド1&2については、確かに久石さんぽいフレーズは随所に見受けられるのですが、ファミコン音源だと全くイメージが変わります。

久石さんの音楽にとって、「音色」がいかに重要であるか、という事を再認識させられました。

天外魔境2は自分もプレイしましたが、この作品は媒体がCD-ROMだったため、一部の楽曲(主に久石さん作曲担当曲)で生録音音源が使われています。

久石さんの担当曲は、主旋律に和楽器や中国系民族楽器の音色を使ったものが多く、久石さんが持つ音楽性の内、東洋的な要素が強く出ているものと思いますが、フィールド曲とかエンディング曲(組曲になってました)なんかは壮大な曲想で、ジブリ映画のメインテーマ曲と言われても違和感はありませんよね。

そして二ノ国シリーズは、作画も音楽も、ほぼジブリアニメの雰囲気なのですが、このシリーズ作品(ゲーム&アニメ)はスタジオジブリが制作協力していて、半分ジブリ作品のようなものなんですよね。

ですので、久石さんもジブリのアニメ作品と同じコンセプトで作っていると思われます。

ゲーム音楽への影響

久石譲さんとゲーム音楽の関わりということで言うと、1980年代後半のPCゲーム音楽の中核を担った古代祐三さんが子供時代に久石さんに師事していたという話は有名ですよね。

古代さんと久石さんの音楽性は全く異なりますが、古代さんが作るスローテンポの静かな曲や、和風・民謡風メロディーの曲を聴くと、久石さんの影響の断片を感じます。

古代さんのように久石さんと直接関わりを持った人は限られていますが、ジブリ作品の音楽から影響を受けたゲーム音楽作曲家は非常に多いのではないでしょうか。

久石さんの音楽がクローズアップされてきた年代(1980年代後半から1990年代)がゲーム音楽の発展期と被っている事と、久石さんのファンタジックな音楽性は当時台頭してきたRPGなどの世界観との親和性が高かった、というのが大きいと思いますが、「久石譲っぽいゲーム音楽」は大量に存在していて(とくに和の要素があるピアノ曲・オーケストラ曲に多い)、作曲家としてゲーム音楽に与えた影響は計り知れないものがあると思います。

久石譲さんのゲーム音楽作曲作品

1987年

ゾイド 中央大陸の戦い(FC/MSX2、東芝EMI)

1989年
ゾイド2 ゼネバスの逆襲(FC、東芝EMI)

1992年

PCE版マイト・アンド・マジック(PCE、スタークラフト、テーマ曲提供)

天外魔境Ⅱ 卍MARU(PCE、ハドソン、福田裕彦と共作)

2010年

二ノ国 漆黒の魔導士(DS、レベルファイブ)

2011年

二ノ国 白き聖灰の女王(PS3、レベルファイブ)

2016年

シノビナイトメア(iOS/Android、FgG、テーマ曲提供)

2018年

二ノ国Ⅱ レヴァナントキングダム(PS4/PC、レベルファイブ)

※略号
FC=ファミコン
PCE=PCエンジン
PS3=プレイステーション3
PS4=プレイステーション4
DS=ニンテンドーDS
PC=パソコン

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