真・女神転生メドレー「自宅~廃墟~エピローグ」【ギター演奏・コード進行117】

真・女神転生メドレー「自宅~廃墟~エピローグ」動画
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発売年月:1992年10月
機種:スーパーファミコン(Super Nintendo)
メーカー:アトラス(ATLUS)
タイトル名:真・女神転生(Shin Megami Tensei)
曲名:自宅(Home)・廃墟(Ruin)・エピローグ(Epilogue)
作曲:増子司(Tsukasa Masuko)
演奏難易度:☆☆☆★★(易しい)

約7か月ぶりの演奏動画となりますが、今回は1992年のスーパーファミコン作品『真・女神転生』より「自宅」「廃墟」「エピローグ」の3曲をメドレーにしてお届けします。

なお、これまで当ブログで真・女神転生(以下、本作)より「銀座」(2018年7月)・「エンディング」(2020年9月)の2曲をソロギター化して演奏していますが、今回は一気に3曲追加されることになります。

本作は自分が最もハマったゲームの一つですが、上の2つの記事でゲームの世界観や音楽について書いていますので合わせて読んでいただけると幸いです。

真・女神転生の概要

過去の真・女神転生関連記事を読み返したところ、ゲーム作品の概要についてあまり書かれていなかったので、今回改めて作品概要をまとめてから本題の楽曲の解説をしたいと思います。

本作はアトラス(ATLUS)1992年にスーパーファミコン向けに発売されたPRGですが、魔物と会話して仲間(仲魔)にできたり、非常に完成度の高い合体システムを備えていたりするのが最大の特徴ですが、現代~近未来(1992年当時の)が舞台になったサイバーパンク的な世界観、世界各地の神話をモチーフにした人間の業やイデオロギーをテーマにしたシナリオなど、個性的な魅力に溢れた作品でした。

仲魔・合体システムや神話をモチーフにしたシナリオといった要素は、本作の前にファミコン向けに発売された『女神転生』(1987年、開発アトラス、発売ナムコ)『女神転生2』(1990年、開発アトラス、発売ナムコ)の時点で採用されていて、ゲームシステムのベース部分は前作・前々作の段階で出来上がっていたと言えます。

更に言うなら、女神転生には『デジタル・デビル・ストーリー』(1986年、西谷史)という原作小説があり、それのマルチメディア展開としてゲーム版の女神転生作品がPC向けアクションRPGが日本テレネットから、ファミコン向けRPGがナムコから発売されたといういきさつがあるのですが、原作小説やPC版ゲームについては、ここでの詳しい解説は割愛します。

本作は、シナリオの流れや世界観など、ファミコン版『女神転生2』のリメイク作品と捉えられなくも無いのですが、あらゆる面でスケールアップしていて、ユーザーインターフェイスも大幅に洗練されて、プレイした感覚としては全く別物に感じますよね。

本作で新たに追加された要素は数多くありますが、個人的に本作で最も大きく進歩したのはグラフィックスと音楽だったと思います。

ファミコン→スーパーファミコンというハードウェアの進化に伴って絵と音が一気に表現力を増し、ファミコン版では表現し切れていなかった部分もあった女神転生シリーズの世界観を初めて完全な形で提示した作品なのではないでしょうか。

本作の後、1994年に『真・女神転生Ⅱ』『真・女神転生if…』の2作品がスーパーファミコン向けに発売され、『Ⅱ』のほうは後の真・女神転生シリーズへと継承され、『if』のほうは後のペルソナシリーズへと派生していき、現在まで続いています。

今回のメドレーの選曲について

本作の音楽はファミコン版女神転生シリーズを手がけた増子司さんが引き続き担当しています。

本作の音楽は全般的にロック調のアレンジの曲が多かったのですが、今回選曲した「自宅」「廃墟」「エピローグ」の3曲は増子さんの曲の中で、もう一つ大きなウェイトを占めている静かで哀愁のある曲調のもので統一しました。

「銀座」の解説記事では増子さんのメガテン曲を以下の3タイプに分類しています。

1.ディストーションギターとベースライン主体のロック曲
2.フルート・木管楽器・エレピ・コーラスパッド系音色のメロディの哀愁がある曲
3.ストリングス・パイプオルガン・コーラスパッド主体の荘厳な曲

今回の3曲はこのうち2.のタイプになります(エピローグのイントロだけは3.のタイプ)。

また、今回の3曲は全て同じキー(Cメジャー/Aマイナー)で作られていて、同じモチーフを使っていたり、コード進行が似通っていたりと組曲にしやすそうということもあって、この選曲となりました。

以下、曲ごとに解説していきます。

自宅(Home)

作品の冒頭、主人公の精神世界(夢)から始まり、自宅で目が覚めるという演出なのですが、目覚めて最初の舞台である自宅のBGMです。

優しいメロディーの3拍子のワルツで、温かい家庭の雰囲気が伝わってきますが、この後起こる惨劇との落差を感じさせるものでもあると思います。

ギターアレンジはメロディーの音域の関係で、単体で弾くならもっと適したキーがありそうですが、メドレー演奏ということで原曲通りのキーで弾いています。

廃墟(Ruins)

物語の中盤、ICBMによって東京が壊滅した後のフィールドBGMです。

典型的な増子節で、コード進行も増子さんの十八番と言えるものなのですが、この曲はリズムが5拍子なのがミソです。

5拍子というとトリッキーな感じもしますが、哀愁あるメロディーが違和感なくハマっていて、作品中でも屈指の名曲に仕上がっていると思います。

演奏的には途中のメロディーが低くなる部分のアレンジをどうするか悩んだのと、5拍子のリズムトラックを作るのに苦労しました。

エピローグ(Epilogue)

ロウルートのエンディング前に流れる曲です。

イントロはロウサイドの総本山であるメシア協会のテーマ(ロウのテーマ)が使われていますが、ここは4拍子→3拍子→4拍子→3拍子という変則的な拍子になっています。

曲本体に入ると3拍子になり、「廃墟」と似たモチーフとコード進行が使われています。

ちなみに、続編の『if』のエピローグにも全く同様のモチーフ・コード進行が使われているし、このメロディーはシリーズ通して一つの通底テーマのようなものでしょうか。

ラストはDメジャーキーに転調して締めくくるエンディングを付け加えました。

ギターアレンジ的にはとてもシンプルで、とくに言う事は無いのですが、一音一音大切に、丁寧に弾くことを心掛けました。

真・女神転生「自宅・廃墟・エピローグ」コード進行

自宅 イントロ
|G7|

自宅 Aメロ
|CM7|A7|Dm7|Dm7(onG) G7|
|CM7|A9(onC♯)|Dm7|Dm7(onG) G7|

自宅 Bメロ
|F|Em7|Dm7|Em7※1|
|F|Em7|Dm7|Em7 F G7|

※1 ベースとコード伴奏はEm7の構成音だが、メロディーがF音(Em7から見ると♭2)に解決しているので、E7(♭9,♯9)やG6(onE)と解釈すべきかも知れない

廃墟 Aメロ
|Dm7|CM7|Dm7|Em7|
|Dm7|CM7|Dm7|Em11|
|Dm7|CM7|Dm7|Em7|
|Dm7|CM7|Dm7|Em11|

廃墟 Bメロ
|Dm7|Em7|FM7|Em7|
|Dm7|Em7|FM7|G7|
|FM7|Em7|Dm7|Em7|
|FM7|Em7|Dm7|E7|

エピローグ イントロ(ロウのテーマ)
4拍子
|Dm7 CM7(onG)|Dm(onF) Em7|
3拍子
|Dm7 CM7(onG)|Dm(onF) Dm(onE) B♭M7|
4拍子
|Dm7 CM7(onG)|Dm7(onF) Em7|
3拍子
|Dm7 C(onE)|B♭M7|

エピローグ ブリッジ
|Dm|C|Dm|C|

エピローグ メロ
|Dm7|C|Dm7|CM7|
|Dm7|C|Dm7|B♭M7|
|Dm7|C|Dm7|CM7|
|Dm7|C Dm7|A7(onC♯)|
■Dメジャー
|A7(onC♯)|D|

コード進行分析

自宅 イントロ
■Cメジャー
|Ⅴ7|

自宅 Aメロ
|ⅠM7|Ⅵ7|Ⅱm7|Ⅴ7※1|
|ⅠM7|Ⅵ7|Ⅱm7|Ⅴ7|

自宅 Bメロ
|Ⅳ|Ⅲm7|Ⅱm7|Ⅲm7|
|Ⅳ|Ⅲm7|Ⅱm7|Ⅲm7 Ⅱ7 Ⅴ|
|ⅠM7|ⅠM7|

※1 Ⅱm(onⅤ)はⅤ7と解釈する

廃墟 Aメロ
■Aマイナー(Dドリアン)
|Ⅳm7|♭ⅢM7|Ⅳm7|Ⅴm7|
|Ⅳm7|♭ⅢM7|Ⅳm7|Ⅴm7|
|Ⅳm7|♭ⅢM7|Ⅳm7|Ⅴm7|
|Ⅳm7|♭ⅢM7|Ⅳm7|Ⅴm7|

廃墟 Bメロ
|Ⅳm7|Ⅴm7|♭ⅥM7|Ⅴm7|
|Ⅳm7|Ⅴm7|♭ⅥM7|♭Ⅶ7|
|♭ⅥM7|Ⅴm7|Ⅳm7|Ⅴm7|
|♭ⅥM7|Ⅴm7|Ⅳm7|Ⅴ7|

エピローグ イントロ(ロウのテーマ)
■Aマイナー(Dドリアン)
|Ⅳm7 ♭ⅢM7|Ⅳm Ⅴm7|
|Ⅳm7 ♭ⅢM7|Ⅳm ♭Ⅱ|
|Ⅳm7 ♭ⅢM7|Ⅳm Ⅴm7|
|Ⅳm ♭Ⅲ|♭ⅡM7|

エピローグ ブリッジ
|Ⅳm|♭Ⅲ|Ⅳm|♭Ⅲ|

エピローグ メロ
|Ⅳm7|♭Ⅲ|Ⅳm7|♭ⅢM7|
|Ⅳm7|♭Ⅲ|Ⅳm7|♭ⅡM7|
|Ⅳm7|♭Ⅲ|Ⅳm7|♭ⅢM7|
|Ⅳm7|♭Ⅲ|Ⅳm7|Ⅰ7※2|
■Dメジャー
|Ⅴ7|Ⅰ|

※2 DメジャーキーのⅤ7と共用

増子司さんの十八番パターン【コード進行のポイント】

今回の3曲は「自宅」がCメジャーキー、「廃墟」と「エピローグ」がAマイナーキー(またはDドリアンモード)と主和音は異なりますが、全て同じ平行調の範囲で出来ていて、3曲とも同じようなコードの並び方が眠発しています。

具体的には、FM7→Em7→Dm7→Em7とか、Dm7→CM7→Dm7→Em7のように、隣り合ったダイアトニックコードを行ったり来たりする進行です。

このパターンは増子司さんの楽曲に頻発する十八番パターンともいえるもので、延々と2度間隔で上下を繰り返す単純なベースラインに哀愁のあるメロディーを組み合わせるような曲作りが特徴的だと思います。

そういうダイアトニックコード中心の進行に、Ⅵ7や♭ⅡM7(ナポリコード)といった少しだけノンダイアトニックなコードをピンポイントで使用しているところが良いですよね。

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