発売年月:1995年12月
機種:ニンテンドーDS(NintendoDS)
メーカー:コナミ(KONAMI)
タイトル名:悪魔城 ドラキュラ ギャラリー・オブ・ラビリンス(Castlevania Portrait of Ruin)
曲名:運命の肖像画(Portrait of destiny)
作曲:山根ミチル(Michiru Yamane)
演奏難易度:☆★★★★(難しい)
ゲーム音楽ソロギター演奏動画・コード進行解説の第49弾は、悪魔城ドラキュラ|ギャラリーオブラビリンスより「運命の肖像画」。エンディング後半のスタッフロールで流れる曲ですが、前回演奏の「夜は流れる」(エンディング前半で流れる)と対になる曲だと思います。
エンディング2曲の意味するところ
前回『悪魔城ドラキュラ ギャラリー・オブ・ラビリンス』のエンディング曲「夜は流れる」を取り上げました。
今回はその後のスタッフロールで流れる「運命の肖像画」です。
これら2曲はメインメロディーに同じモチーフを使っていたりして組曲になってるように思うので、連続で取り上げました。
ゲーム内容、古代祐三さんの参加など、この作品の概要は前回かなり書いたので、今回はエンディングで使われている2曲について思うところを書こうと思います。
この2曲は一対のものと感じますが、曲の雰囲気や展開のしかたは対照的です。
エンディング前半のデモシーンで流れる「夜は流れる」のほうは比較的素直な展開で柔らかい雰囲気です。
これに対して、エンディング後半のスタッフロールで流れる「運命の肖像画」は気難しい(?)展開で、全体に重くて悲しい雰囲気に包まれています。
これは自分個人的な印象ですが、こういう事かな?と感じます。
夜は流れる
人間とヴァンパイアの中間的立場で、まだ救いと未来があるステラ&ロレッタ姉妹のことを表現。
運命の肖像画
姉妹の父であり、この物語の真の主人公であるブローネルの重く悲しい人生を表現。
スタッフロール曲「運命の肖像画」
本作「ギャラリー・オブ・ラビリンス」は古代祐三さんも参加していますが、前回の「夜は流れる」、今回の「運命の肖像画」の2曲に関しては、両方とも山根ミチルさんの作曲です。
「夜は流れる」のほうはメジャーキーとマイナーキーの対比が効いていましたが、今回の「運命の肖像画」のほうは終始マイナーキーが基調になっています。
Aメロのメインメロディーは「夜は流れる」のAメロ&Bメロと対になるモチーフと思います。
バロック調のBメロセクション
そして原曲では音色がハープシコードになってバロック調になるBメロですが、本作の中で使われている「アイアンブルー・インテンション(Iron Blue Intention)」という曲の展開部にも同じメロディーが使われています。
ちなみにこの「Iron Blue Intention」ですが、初出は山根さんのデビュー作で、この作品ともストーリー的な繋がりのあるメガドライブ版『バンパイアキラー』(1993年)です。ドイツ面の曲。
この部分は「Iron Blue Intention」原曲には無いので、「運命の肖像画」がオリジナルで「Iron Blue Intention」のほうは借用してアレンジされたものですね。
ちょっと話がそれましたが、こういうバロックぽい曲調(特にハープシコード主体のもの)は山根さんの十八番の一つであり、PS版ドラキュラ「月下の夜想曲」の「木彫パルティータ」(ドイツでの山根さん本人の演奏で有名な曲)をはじめとして同系統の曲が多数聴けます。
このように、Aメロ、Bメロともにこの作品の重要なメインテーマであり、ゲーム中に出てきた様々な断片が凝縮されて、ゲームのラストに再現されてるんだと思います。
特徴的な転調
そして、山根さんが好んで使う特徴的な転調があります。
以前とりあげた「終曲~透深月夜~」もそうでしたが、曲の始まりと終わりで同じメロディーを半音か1音違うキーでやって、そのまま意味深に終わるというやつです。
山根さんのこういう曲の作り方、凄い好きなんですよね。
ラストはトレモロで処理【ソロギター演奏】
ソロギターアレンジですが、曲の作りが凝っていて暗譜が難しかったです。
結局どのキーでやっても難しいので、原曲キーでやることにしました。
演奏面では、Aメロはまだ易しいんですが、Bメロが聴こえより遥かに難しかったです。
ほぼバロックなラインなので、クラシックの曲をおぼえて弾くのと変わらないかも。ギターで弾くのは結構きつい動きです。
コーダは原曲のストリングス・ロングトーンを再現するためトレモロで処理しました。このせいで、さらに1段階難易度が上がってますが。
そんな感じで、なかなかの難易度になって星4つです。
運命の肖像画 コード進行
イントロ
|Fm|Fm|D♭M7(onF)|D♭M7(onF)|
|D(onF♯)|E♭(onG) E(onG♯)|A7|A7|
Aメロ
|Dm|G7|Gm7 C9|Dm C7(onB♭)|
|Dm|G7|Gm7 C9|Dm Gm6(onD)|
|Dm A7|
|Dm|G|Gm7 C9|Dm C7(onB♭)|
|Dm|G|Gm7 C9|Dm Gm6(onD)|
|Dm A7|
Bメロ
|Dm|Em7(♭5) A7|Dm D7(onF♯)|Gm C|
|F B♭M7|Em7(♭5) A7|G♯dim7 A7|
|Dm|Em7(♭5) A7|Dm D7(onF♯)|Gm C|
|F B♭|Em7(♭5) A7|G♯dim7|Adim7|
|B♭7 E♭m(onB♭)|Bm|
Bメロ転調版
|Em|F♯m7(♭5) B7|Em E7|Am D|
|G C|F♯m7(♭5) B7|
|A♯dim7 F♯7(onA♯)|B7|
Aメロ転調版
|Em|A|Am7 D9|Em D7(onC)|
|Em|A|Am7 D9|Em Am6(onE)|
|Em B7|
|Em|A|Am7 D9|Em D7(onC)|
|Em|A|Am7 D9|Em Am6(onE)|
|Em B7|
コーダ
|Em|F♯7|B7|C|
|Am7 B7sus4|Em F|B7sus4|B7|
|Em F|F|E F|F|
|E|E|E|E|
コード進行分析
イントロ
■Fマイナー
|Ⅰm|Ⅰm|♭Ⅵ|♭Ⅵ|
■Gマイナー
|Ⅴ7|♭Ⅵ7 ■Aマイナー Ⅴ7|
|Ⅰ7※1|Ⅰ7|
Aメロ
■Dマイナー
|Ⅰm|Ⅳ7|Ⅳm7 ♭Ⅶ7|Ⅰm ♭Ⅶ7|
|Ⅰm|Ⅳ7|Ⅳm7 ♭Ⅶ7|Ⅰm Ⅳm|
|Ⅰm Ⅴ7|
|Ⅰm|Ⅳ7|Ⅳm7 ♭Ⅶ7|Ⅰm ♭Ⅶ7|
|Ⅰm|Ⅳ7|Ⅳm7 ♭Ⅶ7|Ⅰm Ⅳm|
|ⅠmⅤ7|
Bメロ
|Ⅰm|Ⅱm7(♭5) Ⅴ7|
|Ⅰm Ⅰ7|Ⅳm ♭Ⅶ|
|♭Ⅲ ♭Ⅵ|Ⅱ7 Ⅴ7|♯Ⅳdim7※2 Ⅴ7|
|Ⅰm|Ⅱm7(♭5) Ⅴ7|
|Ⅰm Ⅰ7|Ⅳm ♭Ⅶ|
|♭Ⅲ ♭Ⅵ|Ⅱm7(♭5) Ⅴ7|
|♯Ⅳdim7※2|
■E♭マイナー
|♯Ⅳdim7※2|
|Ⅴ7 Ⅰm |
■Eマイナー
|Ⅴm|
Bメロ転調版
|Ⅰm|Ⅱm7(♭5) Ⅴ7|
|Ⅰm Ⅰ7|Ⅳm ♭Ⅶ|
|♭Ⅲ ♭Ⅵ|Ⅱm7(♭5) Ⅴ7|
|♯Ⅳdim7※2 Ⅱ7|Ⅴ7|
Aメロ転調版
|Ⅰm|Ⅳ7|Ⅳm7 ♭Ⅶ7|Ⅰm ♭Ⅶ7|
|Ⅰm|Ⅳ7|Ⅳm7 ♭Ⅶ7|Ⅰm|
|Ⅰm|
コーダ
|Ⅰm|Ⅱ7|Ⅴ7|♭Ⅵ|
|Ⅳm Ⅴ7|Ⅰm ♭Ⅱ|Ⅴ7sus4|Ⅴ7|
|Ⅰ ♭Ⅱ|♭Ⅱ|Ⅰ ♭Ⅱ|♭Ⅱ|
■Eメジャー
|Ⅰ|Ⅰ|Ⅰ|Ⅰ|
※1 DマイナーキーのⅤ7と共用
※2 ♭Ⅵ7の代理
転調が激しい【コード進行のポイント】
イントロはFマイナーキーから入って、全音上行転調を数回経て、主調のDマイナーキーに行っています。
AメロのⅠm→Ⅳ→Ⅳmは山根さんの十八番で、自分も大好きな進行です。
Bメロは弾くのは難しいですが、コード進行はシンプルです。
そのあとディミニッシュコードずらしからの半音上行転調が入ります。
ここは、コード進行だけ見ると無茶な動きにも見えるんですが、このメロディーラインだと自然に聴こえます。音楽の不思議。
最終的には主調の1音上であるEマイナーキーになって、そのキーでBメロとAメロをリピートしてからコーダに突入。
コーダは一番最後のほうで♭Ⅱ→Ⅰのスパニッシュぽい形になってラストはEメジャーにメジャー終止しています。
部分部分は比較的シンプルですが、転調が激しい曲です。
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