川口博史【ゲーム音楽作曲家列伝10】

川口博史さんは1980年代後半、セガのアーケードゲーム全盛期をメインコンポーザーとして支えた方です。

川口博史さんプロフィール・略歴

本名:川口博史(かわぐち ひろし)
旧姓:宮内博史(みやうち ひろし)
通称:Hiro師匠
生年月日:1965年4月12日
作曲家デビュー:1985年7月(ハングオン)
代表作品:スペースハリアー、ファンタジーゾーン、アウトラン、アフターバーナー

Hiro師匠こと川口博史さんは、1984年にセガ・エンタープライゼスにプログラマーとして入社。

1985年、高校時代からバンド活動をしていたのがハングオンの開発者に伝わり、ハングオンのBGMを作ったことで作曲家デビュー。

1989年、S.S.T.BANDにキーボードで加入。

1991年、S.S.T.BAND脱退。

2001年、セガオフィシャルサウンドユニット「H.」結成。

2015年、景山将太さんらとユニット「H.K.S(ハイパー・カッコイイ・システム)」結成。

川口さんは、1984年のセガ入社後、現在まで一貫してセガ関連会社に社員として在籍しています。

1985年にハングオンでデビュー後、スペースハリアー、ファンタジーゾーン、アウトラン、アフターバーナーなど、1990年代初頭あたりまでのアーケードゲーム黄金期のセガ作品を手掛けました。

川口さんは高校時代からバンド活動をしていた鍵盤奏者でもあり、SSTバンドの時代から、演奏活動もずっと継続されています。

作曲家としては、バンド出身なだけあって、ロック、ラテン、フュージョンの要素が濃くて、クラシックの要素が薄いのが特徴でしょうか。

1980年代当時、ファンタジーゾーンなどで、スラップベースの音(いわゆるチョッパー奏法)を積極的に使ったりして、アレンジにも独自性がありました。

川口博史さんの音楽

前述の通り、川口さんの曲の作りかたはロック・フュージョン寄りの手法です。

作曲手法が近い同年代のゲーム音楽作曲家として以前紹介した増子司さんが挙げられますが、増子さんのほうがハードロック寄りで、曲によってはクラシック的な作曲もやっていますよね。

川口さんは鍵盤奏者ということで、子供の時はクラシックピアノの習い事から入ったのかもしれませんが、彼のゲーム音楽作品からはクラシックの影響はほとんど感じられません。

クラシック音楽の影響が皆無というのは、この時代のゲーム音楽作家としてはかなり珍しいんですが、ナムコの大野木宣幸さんもクラシックの影響薄め+プログラマー出身なので、共通項多いですよね。

ロック・フュージョン型の作曲

ロック・フュージョン型の作曲は、循環コードなどのパターン化したコード進行に、スケールやモードでメロディーをつけていくものが代表的です。

メロディー→コード付けというクラシック型の作曲と反対のパターンですね。

ロック・フュージョン型作曲の特徴は、コード進行がパターンになっているので、強力なベースラインやリフを入れやすいということでしょうか。

実際、川口さんや増子さんの曲はベースパートが重要な役割を果たしています。

川口さんの代表作品を、敢えて一般音楽ジャンルにカテゴラズすると、こんな感じでしょうか。

スペースハリアー→分類不能、ロック系ゲーム音楽

ファンタジーゾーン→ラテン&サンバ+ロック&ファンク

アウトラン→ラテンフュージョン

アフターバーナー→ハードロック

クラシック系は見事に避けられてますが、それが川口博史さん=ヒロ師匠の独自性に繋がってると思います。

川口博史さん作曲作品

※メーカー表記の無いものは全てセガのタイトルです

1985年

ハングオン(AC)

スペースハリアー(AC)

1986年

エンデューロレーサー(AC)

ファンタジーゾーン(AC)

アウトラン(AC)

1987年

アフターバーナー(AC)

アフターバーナー2(AC)

1988年

ダイナマイトダックス(AC)

パワードリフト(AC)

ホットロッド(AC)

1989年

ヴァーミリオン(MD)

ターボアウトラン(AC)

1990年

G-LOC:AIR BATTLE(AC)

GPライダー(AC)

1991年

レンタヒーロー(MD)

ファンタジーゾーンGear オパオパJr.の冒険(GG)

1992年

スーパーファンタジーゾーン(MD)

アウトランナーズ(AC)

1996年

ファイターズメガミックス(SS)

セガツーリングカーチャンピオンシップ(AC)

2000年

クラッキンDJ(AC)

レンタヒーローNo.1(DC/Xbox、三草康二郎・松島加代子と共作)

2003年

アウトラン2(AC)

2006年

アウトラン2006(PS2/Xbox、英語版)

アフターバーナークライマックス(AC)

2009年

テトリス・デカリス(AC)

2012年

Maimai(AC、一部)

2014年

みんなでまもって騎士(3DS、エインシャント、一部)

2016年

三国志大戦(AC、塚越晋と共作)

2018年

ハウス・オブ・ザ・デッド スカーレット・ドーン(AC、一部)

セガワールドドライバーズ チャンピオンシップ(AC、一部)

2020年

アストロシティミニ(AC、メニュー画面BGM)

※略号
AC=アーケードゲーム
MD=メガドライブ
GG=ゲームギア
SS=セガサターン
3DS=ニンテンドー3DS

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