発売年月:1988年2月
機種:アーケードゲーム(Arcade Game)
メーカー:タイトー(Taito)
タイトル名:ニンジャウォーリアーズ(The Ninja Warriors)
曲名:ダディ・マルク(Daddy Mulk)
作曲:小倉久佳(Hisayoshi Ogura”OGR”)
演奏難易度:☆★★★★(難しい)
今回の演奏は、1988年のアーケードゲーム『ニンジャウォーリアーズ』の代表曲「Daddy Mulk」ですが、当ブログの演奏動画としては初となるゲストプレイヤーをむかえての演奏となりました。
ニンジャウォーリアーズ 作品概要
ニンジャウォーリアーズ(以下、本作)は、1987年にタイトーが開発した忍者(実はロボット)を主人公とした横スクロールバトルアクションゲームです。
本作は『ダライアス』(1986年開発、1987年稼働)に続く3画面大型筐体タイトルの第2弾として1988年2月にリリースされましたが、後にPCエンジンやメガCDにも移植され、スーパーファミコンではリメイク作品の『ザ・ニンジャウォーリアーズ アゲイン』(1994年)が発売されています。
近年になって、アーケードアーカイブス(プレイステーション4・ニンテンドーSwitch)で配信された他、2019年には『ザ・ニンジャウォーリアーズ アゲイン』のリメイク作『ザ・ニンジャウォーリアーズ ワンスアゲイン』(プレイステーション4・ニンテンドーSwitch)が発売されていますので是非プレイしてみて下さい。
1980年代の忍者ゲームブーム
1980年代は忍者を主人公としたゲームが人気を博しましたよね。
有名どころでは『ニンジャくん 魔城の冒険』(1984年、アイレム)、『忍者龍剣伝』(1988年、テクモ)などがありましたし、タイトー作品ではレーザーディスクゲームの『忍者ハヤテ』(1984年)、そしてタイトー初のFM音源作品『影の伝説』(1985年)がよく知られています。
そんな忍者ゲーム全盛だった時代に、満を持して登場した本作は、主人公が「忍者の姿をした殺人マシーン」という近未来サイバーパンク的世界観(設定では1993年の世界なので、今から考えると30年前ですが)とのフュージョンが斬新でした。
本作はファミコンに移植されなかった(技術的に無理だった?)せいか、一般的な知名度はそれほどではないと思われますが、ゲーム業界内では非常に高く評価され(とくに音楽)、当時の最重要作品の一つだった事は間違いありません。
代表曲「Daddy Mulk」
本作の音楽は「OGR」こと小倉久佳さんが担当しています。
小倉さんはこれ以前にも、影の伝説やダライアスなどを担当した、当時のタイトーサウンド部門(ZUNTATA)の中核的なクリエイターです。
本作の音楽は、小倉さんの作品中でも高い評価を受けていますが、その中でも今回演奏する1面と最終面のテーマ「Daddy Mulk」は、そのキャッチーなメロディーとインパクトあるアレンジによって飛び抜けた知名度があります。
当時はまだ珍しかったサンプリング(PCM音源)による三味線のソロが入っていて話題になりましたよね。
小倉さんのインタビューによると、本作以前から津軽三味線をゲーム音楽に使いたいと考えていたところに、本作の企画が持ち上がり、サンプリング性能が上がった当時最新鋭の音源チップを使えるという機会に恵まれて実現したとの事です。
「Daddy Mulk」は、ハードロック+クラブミュージックという土台に和風メロディーや三味線が組み合わさっていて、それに小倉さんお得意の珍妙な味付け(ヴォコーダー風の「ダディ、ダダダダディ」とか、高音でピロピロ鳴っている合いの手とか)が加わる事で、本作の奇抜な世界観を劇的なまでに表現することに成功しています。
ちなみに、本作の2年半前に出たタイトーの忍者モノである『影の伝説』も、小倉さんが音楽を担当されていて、あちらもロック+邦楽という音楽性なので、本作との連続性を感じられますが、本作の音楽はさらに洗練されて完成度が上がっていますよね。これは、2年半の間に起こった音源やメモリ容量の急激な進化の影響も大きいと思います。
なお、影の伝説のメインBGMは当ブログでも演奏しました。
ソロパート再現に苦心【ソロギター演奏】
ここからは、今回の演奏について解説いたします。
まず、原曲はFマイナーキーというギターで弾きづらいキーですので、Aマイナーキーに移調して演奏性を向上させています。
コード進行やメロディーは大変シンプルなので採譜に困る事は無かったのですが、その分、合いの手や副旋律などの細かいアレンジの再現に力点を置きました。
今回のアレンジで一番悩んだのはソロパートです。
ギター(シンセ?)ソロの部分は高速なフレーズが多く、再現するとなると演奏難易度が跳ね上がる事は分かっていたのですが、ソロギターでもそれなりにカッコ良くまとまりそうだったので頑張って再現することにしました。
ただし、オリジナルテンポでは一発で最後まで弾き切るのが難しく、録画が難航しそうだったため、全体のテンポを若干落としています。
ゲスト三味線プレイヤー
そして、この曲にはもう一つのソロパートである三味線ソロがあります。
この三味線ソロ、最初はギターで弾いてみたものの、ナイロン弦ギターでは今一つカッコいい感じにならず、全く別物に作り変えるか、思い切ってカットしてしまおうか、などと考えたりもしましたが、三味線ソロはこの曲の大きな魅力になっているものだし、どうしたものか頭を悩ませました。
そんな時、自分がやっているギター教室の生徒さんに三味線プレイヤーがいて、しかも、この曲の演奏経験があるらしいという会話をしていたのを思い出したんですよね。
そこで、その彼に演奏依頼を出してみたところ快諾していただけたので、今回はゲストプレイヤーを入れる形をとることにしました。
そんな経緯があって、今回三味線を演奏していただいたのが三味松(しゃみまつ)さんです。
三味松さんは、自分の教室ではギターと編曲・理論を勉強されていますが、ゲーム音楽を演奏する社会人オーケストラ団体「Ⅱ魂」(つーこ
ちなみに、オリジナルの三味線ソロは津軽三味線(太竿)の硬質な音色ですが、三味松さんが弾くのは長唄三味線(細竿)です。長唄三味線の繊細で艶がある音色もまた違った味がありますよね。
そして、コラボするのであれば、折角だから一緒に演奏するパートが欲しいということで、三味線ソロ後のDメロ・サビ・エンディングのメロディーを三味線で弾いてもらい、自分はコードバッキングと副旋律に回ったのですが、フラメンコ流のバッキングを考えたりして、これもまた楽しかったです。
今まではソロギターという事で、一人で出来る範囲でやってきましたが、また機会があれば今回みたいなコラボもやっていこうと思いますので、コラボのご依頼なども気軽にご連絡いただければと。
――そんなこんなで、結局フルサイズの演奏となり、時間にして5分強(単体曲としては今までで2番目の長さ)、今回は映像編集もあったし、リズムトラック制作やミキシングも通常の2倍以上の手間がかかり、制作に1か月半(他の事も平行しながらですが)を費やした力作となりました。
Daddy Mulk コード進行
※オリジナルのFマイナーキーをAマイナーキーに移調しています。
サビ
|FM7(♯11)|G11|Am|Am|
|FM7(♯11)|G11|Am|Am|
|FM7(♯11)|G11|Am|Am|
|FM7(♯11)|G11|Am|Am|
ブリッジ
|C(onA) Bm(onA) Am|
|C(onA) Bm(onA) Am|
|C(onA) Bm(onA) Am|
|C(onA) Bm(onA) Am|
Aメロ
|FM7|G7|Am7|Am7|
|FM7|G7|Am7|Am7|
|FM7|G7|Am7|Am7|
|FM7|G7|Am7|Am7|
Bメロ
|FM7|FM7|G7|G7|
|Am|Am|Am|Am|
|FM7|FM7|G7|G7|
|Am|Am|Am|Am|
Cメロ
|FM7|FM7|G7|G7|
|Am7|Am7|Am7|Am7|
|FM7|FM7|G7|G7|
|Am7|Am7|Am7|Am7|
ギターソロ
|FM7|G7|Am7|Am7|
|FM7|G7|Am7|Am7|
|FM7|G7|Am7|Am7|
|FM7|G7|Am7|Am7|
|FM7|G7|Am7|Am7|
Dメロ
|FM7|FM7|G7|G7|
|Am|Am|Am|Am|
|FM7|FM7|G7|G7|
|Am|Am|Am|Am|
サビ繰り返し
三味線ソロ
|Am|Am|
|Am|Am|Am|Am|
|Am|Am|Am|Am|
|Am|Am|Am|Am|
|Am|Am|Am|Am|
|Am|Am|Am|Am|
|Am|Am|Am|Am|
Dメロ繰り返し
サビ繰り返し
エンディング
|C(onA) Bm(onA) Am|
|C(onA) Bm(onA) Am|
|C(onA) Bm(onA) Am|
|C(onA) Bm(onA) Am|
|Am7|
コード進行分析
サビ
■Aマイナー
|♭ⅥM7(♯11)|♭Ⅶ11|Ⅰm|Ⅰm|
|♭ⅥM7(♯11)|♭Ⅶ11|Ⅰm|Ⅰm|
|♭ⅥM7(♯11)|♭Ⅶ11|Ⅰm|Ⅰm|
|♭ⅥM7(♯11)|♭Ⅶ11|Ⅰm|Ⅰm|
ブリッジ
|♭Ⅲ Ⅱm Ⅰm|♭Ⅲ Ⅱm Ⅰm|
|♭Ⅲ Ⅱm Ⅰm|♭Ⅲ Ⅱm Ⅰm|
Aメロ
|♭ⅥM7|♭Ⅶ7|Ⅰm7|Ⅰm7|
|♭ⅥM7|♭Ⅶ7|Ⅰm7|Ⅰm7|
|♭ⅥM7|♭Ⅶ7|Ⅰm7|Ⅰm7|
|♭ⅥM7|♭Ⅶ7|Ⅰm7|Ⅰm7|
Bメロ
|♭ⅥM7|♭ⅥM7|♭Ⅶ7|♭Ⅶ7|
|Ⅰm|Ⅰm|Ⅰm|Ⅰm|
|♭ⅥM7|♭ⅥM7|♭Ⅶ7|♭Ⅶ7|
|Ⅰm|Ⅰm|Ⅰm|Ⅰm|
Cメロ
|♭ⅥM7|♭ⅥM7|♭Ⅶ7|♭Ⅶ7|
|Ⅰm7|Ⅰm7|Ⅰm7|Ⅰm7|
|♭ⅥM7|♭ⅥM7|♭Ⅶ7|♭Ⅶ7|
|Ⅰm7|Ⅰm7|Ⅰm7|Ⅰm7|
ギターソロ
|♭ⅥM7|♭Ⅶ7|Ⅰm7|Ⅰm7|
|♭ⅥM7|♭Ⅶ7|Ⅰm7|Ⅰm7|
|♭ⅥM7|♭Ⅶ7|Ⅰm7|Ⅰm7|
|♭ⅥM7|♭Ⅶ7|Ⅰm7|Ⅰm7|
|♭ⅥM7|♭Ⅶ7|Ⅰm7|Ⅰm7|
Dメロ
|♭ⅥM7|♭ⅥM7|♭Ⅶ7|♭Ⅶ7|
|Ⅰm|Ⅰm|Ⅰm|Ⅰm|
|♭ⅥM7|♭ⅥM7|♭Ⅶ7|♭Ⅶ7|
|Ⅰm|Ⅰm|Ⅰm|Ⅰm|
サビ繰り返し
三味線ソロ
|Ⅰm|Ⅰm|
|Ⅰm|Ⅰm|Ⅰm|Ⅰm|
|Ⅰm|Ⅰm|Ⅰm|Ⅰm|
|Ⅰm|Ⅰm|Ⅰm|Ⅰm|
|Ⅰm|Ⅰm|Ⅰm|Ⅰm|
|Ⅰm|Ⅰm|Ⅰm|Ⅰm|
|Ⅰm|Ⅰm|Ⅰm|Ⅰm|
Dメロ繰り返し
サビ繰り返し
エンディング
|♭Ⅲ Ⅱm Ⅰm|♭Ⅲ Ⅱm Ⅰm|
|♭Ⅲ Ⅱm Ⅰm|♭Ⅲ Ⅱm Ⅰm|
|Ⅰm7|
シンプルな循環コード【コード進行のポイント】
この曲のコード進行は、ずっと「♭Ⅵ→♭Ⅶ→Ⅰm」という循環コードで、とくに何も解説する事が無いほどのシンプルさなのですが、いざ演奏となるとソロ部分の再現が大変でした。
なんというか、昔やっていたメタル系のギターがそんな感じ(コード超シンプル・ソロ超絶難しい)だったのを思い出しましたー。
唯一、ブリッジ部分のBm(onA)コードがポイントでしょうか。ここだけF♯の音が入るのですが、Eマイナーキーに転調というほどではなく、Amコード上でちょこっとAドリアンにモードチェンジしているという感じですよね。
※移調後のAマイナーキーを想定
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