ドラゴンクエスト 序曲【新春特別企画】【ギター演奏・コード進行31】

ドラゴンクエスト 序曲 ギター演奏
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難易度☆☆☆☆★(初心者向け)

1986年:ファミリーコンピュータ(NES)
メーカー:
エニックス(ENIX)
タイトル名:
ドラゴンクエスト(Dragon Warrior)
曲名:
序曲(Overture)
作曲:
すぎやまこういち(Kouichi Sugiyama)

新連載開始と特別企画

今回は新連載『ゲーム音楽を弾こう!』連動企画として、皆が知っている曲をとりあげます。

題材に選んだのはドラゴンクエストのタイトル曲『序曲』別名『ロトのテーマ』です。

この曲を題材に、採譜からアレンジまでのやりかたを詳細に解説してみようと思います。

ドラゴンクエストのタイトル曲【曲紹介】

ドラゴンクエストシリーズのタイトルテーマにして、すぎやまこういちさんの一番の有名曲です。

ごく短時間で作曲されたらしいですが、とても真っ直ぐな意志を感じる曲に仕上がっています。
逆に短時間で一気に書かないとこれは出来ないのかもしれません。

ドラゴンクエストシリーズは名曲が大量ですが、この曲だけは知名度が飛び抜けています。
時代が流れても残るのが確定している数少ないゲーム音楽と思います。

すぎやまこういちさん紹介記事

すぎやまこういち【ゲーム音楽作曲家列伝11】
ゲーム音楽作曲家列伝 第11回は、ドラゴンクエストシリーズの作曲者として有名な、すぎやまこういちさんです。彼は50歳を超えてからゲーム音楽の世界に入っています。

初級向けアレンジ【ソロギター演奏】

今回は初級向けに少し難易度を落としたアレンジにしています。

初心者~初級者でも挑戦できる作りにしましたが、一音一音しっかり弾こうと思うと、中級者以上にも手応えあると思います。

ピックギタリストも少し工夫すれば弾けると思います。
例えばコードの頭だけ弾き下ろしで弾いて、次のコードチェンジまでは単音でメロだけとか。

イントロにドラクエ1版風のものを、コーダにドラクエ4版風のものを付けました。

コーダ部分だけ、少し変わったコードがでてきますので、そこもチャレンジポイントになっています。

今回は特別企画ということで、採譜から分析、アレンジまでの一連の流れを詳細解説いたします。

イントロのリズムのとりかた

この曲は採譜に入る前にちょっと考えたほうがいいポイントがあります。

それは、イントロのリズムのとりかたですが以下の3通りが考えられます。

  • 2拍子の三連符
  • 4分の3拍子の8分音符
  • ハチロク(8分の6拍子)

どれで解釈するか迷うかもしれません。

自分は、次のテーマのテンポを考えると、4分の3拍子の8分音符かな?と思います。

その他の部分のメロディーを採譜するのは難しくはないと思うので、以下、メロディーを採譜済み、という前提で話を進めます。

ベースラインを採譜する

イントロ

イントロはメロディーと副旋律が一体化していますが、最初にちょっとだけルートのF音でベースが鳴りますね。

コードもF(Ⅰ)とC(Ⅴ)の2コードだし、Fメジャースケールの音階がはっきりでているので、キーとコードは比較的簡単に推測できると思います。

テーマ部分

テーマに入ってからはベースが動いていきますが、最初4小節はルートのF音を鳴らしっぱなしで違和感ないですよね?
慣れてくるとルートコードはすぐ判定できるようになります。

5小節目から雰囲気が変わるのがわかると思います。そこの変わり目で適当に当たりをつけてロングトーンを鳴らしてみます。
A(Ⅲ)の音が一番マッチすると思います。

そこからは一小節ごとにコードが変わっていきますが、同じようにとっていきます。

A(Ⅲ)→D(Ⅵ)→G(Ⅱ)→C(Ⅴ)となっていきます。

メインテーマ15小節目について

テーマの最後のほうの15小節目ですが、ここだけ少しとりずらいかもしれません。

採譜してみるとベースパートはC7(Ⅴ7)一発です。

ですが、メロディーと副旋律のラインが分数コード的に動いていて微妙な響きになっています。
こういう部分はコード付けも難しいです。
原曲で出ている音だけ全部とると

C9(Ⅴ9)→C13(Ⅴ13)
もしくは
B♭6(onC)(Ⅳ6onⅤ)→C13(Ⅴ13)
もしくは
Gm(onC)(Ⅱm onⅤ)→C13(Ⅴ13)
でしょうか。

B♭(onC)(ⅣonⅤ)とGm(onC)(ⅡmonV)は
C7(Ⅴ7)の代理コードなので、Ⅴ7一発でもいいと思いますが、当ブログのソロギター用アレンジ・演奏では、ベースラインを動かしたかったので、Ⅳ→Ⅴ13にして弾いています。

こういうコードの付け替えをリハーモナイズといって、基本的なアレンジのテクニックですが、上手く使って演奏を簡略化することも可能です。

――少し脱線しましたが、とりあえずこの段階では、ベースラインは『C』(=Ⅴ)でいいと思います。

キーの判定

このあたりの段階でキーが確定できると、次のコード採譜がだいぶ楽になります。

この曲の場合、最初と最後にⅠコードが来ているから、キーの判定に関しては非常にわかりやすい例です。

Ⅰコードは最も終止感の強い、据わりのいい響きなので慣れればわかると思います。
そこのコードのベース音がFならFメジャーキー、EならEメジャーキーになります。

スケールから判定する場合、イントロで流れる音階がFメジャースケールだというのがわかれば、Fメジャーキーであるというのが推測できます。

コード採譜

上でベースラインの耳コピーをやりましたが、この曲の場合ベースラインをとるときに、ルート音でとれていればコード付けは楽です。

ルート音以外でとった場合は、上記方法では上手くいかないことがあるので、どうしてもわからなかったら『不明コード』としておいて、分析のとき考えましょう。

以下しばらく、ファミコン版原曲のFメジャーで表記します。

イントロ

FとCが細かく入れ替わります。

両方メジャー系コードですが、Fのほうがメジャー7th、Cのほうがドミナント7th。
というのを感じとれれば、ここはⅤ7→Ⅰの進行でキーはFメジャー、というのがわかると思います。

最重要のメインキー(主調)が確定できれば、あとが楽です。

メインテーマ出だし部分

メインテーマ部分の最初の四小節はいろいろ音が動きますが、感覚的に大きなコードチェンジは感じられないですよね?
Fコード鳴らしっぱなしで違和感ないので、ここはずっとFでいいでしょう。

途中、メロディーにBナチュラルの音が出てきますが、これは♯11のテンションもしくはオンコードになって、G7(onF)の音が一瞬入ってきています。

そういうこともわかれば、どんどんメモしていきますが、細かいことは分析のときにじっくりやります。

メインテーマ5小節目から

5小節目からはメジャー系かマイナー系か判定が必要になります。
前々回とったベースライン上にトライアッド(三和音)コードをつけると
A→Dm→G→Csus4/C
となります。

キーがFメジャーで確定しているので
Ⅲ7→Ⅵm7→Ⅱ7→Ⅴ7sus4/Ⅴ7
の進行であることはコード知識があればすぐ見当がつきますが、わからない場合は7度の音も出してみて判定します。

15小節目とエンディングについて

15小節目のコード付けが難しいです。

こういうところは総当たりで採譜するより『不明コード』としておいて、後から前後の関係などから分析するほうが早いです。

なお、エンディングの部分は自分がつけたソロギター用のアレンジなので、ここに関してはアレンジの段階で解説いたします。

ドラゴンクエスト 序曲 コード進行

ここまでで、この曲のコード進行が判明しました。
以下のようになります。

イントロ
■Fメジャーキー(ファミコン版原曲キー)
F/C7 F F C7/F C/C7

テーマ
F F/F(onA) F6/G7(onF) F
A7 Dm G7 Csus4
A7 Dm G7 Csus4
D7 Gm B♭(onC)/C13 F

コード進行分析

コード進行がわかったら、その意味合いを把握して自分なりのアレンジができるようにします。

以下、ドラゴンクエスト『序曲』のコード分析について、解説いたします。

イントロ

C7とFの2コードでメロディもメジャースケールですので、Fメジャーキーで確定できます。
このセクションがあるおかげでメインキーの特定は楽です。

テーマ1段目

一段目はFコード一発なんですが、三小節目のメロディにBナチュラル音が出てきます。

これをどう解釈するかですが、FコードからみるとBナチュラルは♯11なので、あくまでFコード一発としてFリディアンへのモードチェンジと捉えることもできます。

自分はメロディの動きなどからG7(onF)の解釈をしました。
F一発のなかに潜在的にⅡ7の音が入ってるのかな~、と。

テーマ2~3段目

5小節目から平行調転調ぽい動きになりますが、メジャーキー内でⅢ7→Ⅵm→Ⅱ7→Ⅴ7という動きは普通によくあるので、それでokと思います。

テーマ4段目

Ⅲ→Ⅵm→Ⅱ→Ⅴ7を二回繰り返し後、Ⅵ7→Ⅱmがきます。
Ⅵ7はⅡmへのセカンダリードミナントです。

その次、少しとりにくいコードが出てきます。

このコードは音を採譜すると、Gm(onC)かB♭(onC)です。

これらはサブドミナント・ドミナント両用の代理コードなので、次のC7とあわせてⅤ7一発としてもいいし、ベースラインをつけたかったらⅡm7→Ⅴ7や、Ⅳ→Ⅴ7としてもいいです。
動画のアレンジではⅣ→Ⅴとしています。

コード分析結果

イントロ
■Fメジャーキー(ファミコン版原曲キー)
Ⅰ/Ⅴ Ⅰ Ⅰ Ⅴ/Ⅰ Ⅴ/Ⅴ7

テーマ
Ⅰ Ⅰ Ⅰ6/Ⅱ7(onⅠ) Ⅰ
Ⅲ7 Ⅵm Ⅱ7 Ⅴ7
Ⅲ7 Ⅵm Ⅱ7 Ⅴ7
Ⅵ7 Ⅱm Ⅳ(onⅤ)/Ⅴ7 Ⅰ

3コードと五度進行【コード分析まとめ】

やや変則的なメジャー3コード曲です。

変則的というのはⅣコードがあまり出てこなくて、サブドミナントはⅡ7で代理してるような感じです。

メロは頭のⅠコードの中に一瞬Ⅱ7の音が入ってきたりして、ちょっとだけ捻っていますが、他はⅢ→Ⅵ→Ⅱ→Ⅴの五度進行と3コードです。

ソロギターアレンジの手順

曲の採譜、分析ができたら実際の演奏に使うアレンジを作ります。

以下、自分がやったソロギターアレンジの手順を解説します。

アレンジの方向性を決める

超有名曲なのでカヴァー演奏も多いです。

とくにクラシックギター系のアレンジでは内声やベースが凝ったものも多く、そうしたアレンジは難易度も高くなりやすいです。

自分は極力シンプルにして、初心者でも取り組みやすく、かつ、原曲イメージはしっかり再現したい、という方向で考えることにしました。
シンプルにはするんですが

  • ベース音の維持
  • ギターの特性を生かして綺麗に響かせる

という二点は優先したいポイントです。

キーの決定、移調の検討

方向性が決まったらキーを決めますが、この曲は原曲がFメジャー、他にもいろんなバージョンがあってキーもいろいろです。
ソロギター化を考えたとき

  • ギターに適した音域
  • 解放弦が活用できる

この二点がポイントになりますが自分がチョイスしたのは、Eメジャーキーです。

  • Ⅰのルート音が6弦解放で鳴らせる
  • 最高音が1弦12フレットE音に設定できて音域がちょうどいい
  • 1フレットにカポタストをつければ原曲キーで演奏できる

以上の理由でEメジャーキーを採用しました。

移調後のコード進行

Eメジャーに移調して演奏ポジションを決めて仮アレンジします。
ポジションを決めた理由などは次の項で補足します。
追加したコーダも含めて書きます。

イントロ
■Eメジャーキー
E(7f)/B7 E E B7/E B/B7(7f→0f)

テーマ
E(0f) E(9f+解放)/E(onG#) E6/F#7(onE) E
G♯7(4f) C♯m F♯7(2f) Bsus4
G♯7(4f) C♯m F♯7(2f) Bsus4
C♯7(9f) F♯m A(onB)/B13(7f) E(7f)

コーダ
C♯7(onG♯)(2f薬指5度ベース )/F♯m7 D♯m7♭5(1f) A(5f)/G♯m7(4f)/F♯m7(2f)
A(2f+解放) B13(2f) E(0f) E

演奏用アレンジを考える

仮アレンジが決まってきたところで、演奏用のアレンジを考えていきます。

イントロ部分

イントロ部分は3拍子の音階ですが、オープンコードでやるか、メロディを1オクターブ上にして7フレットセーハでやるかで迷いました。

ここは以下の理由で7フレットセーハを選択しています。

  • 7Fのほうがメロディが際立つ
  • オープンコードだとBコード部分でメロディとベースが接近して弾きづらい

テーマ導入部分

テーマの出だしでメロディが上行していきます。
ここは曲中でも重要なところです。

原曲はベースが下降して対位法的な動きになっていますが、それを再現するかどうかでまた少し考えました。

やって出来ないことはないんですが、結構難易度が上がるのと、ここはメロディをハーモニーにしたい、というのがあって取捨選択、ベースラインはルート単音にしました。

メロディをハーモニーで弾く場合、弦移動が入ると難易度が上がるので、ポジション移動で弾くことにしました。

テーマ2段目

テーマ2段目はG♯7からです。
メロディの音程がかなり下から始まるので、1フレットのG♯のほうが三度音も入れられるのでいいかもしれませんが、そのあとの繋げやすさを優先して4フレットセーハフォームにしました。

テーマ4段目

テーマ4段目のC♯7→F♯mのところでメロディの音程が上がります。
これはどこかでポジション移動しないと弾けません。

C♯7を4フレット→F♯mを9フレットでもいいんですが、最初からC♯7を9フレットで弾けば移動距離は大きくなりますが、ポジション移動は一回ですみます。
ここは好みでしょうか。

オンコードをリハモ

そして次のコードはF♯m(onB)またはA(onB)なんですが、SD→Dの流れを強調しつつ、その前のF♯mからはベース音を変えたかったので、シンプルにAコードにしてます。

ここは前打音から5フレットに移動しておいたほうがスムーズです。

コーダ

ゲーム音楽はループが多いので曲の終わりかたはいつも悩むんですが、このアレンジはドラクエ4版から拝借してきました。

このパートはいろんなコード付けが出来そうです。

最初のC♯7はフラメンコギターでよく使う五度ベースのフォームです。

三つ目のD♯m7b5は、すぎやまさんぽく、ハーフディミニッシュコードをロングトーンにもってきました。

他はシンプルなコード付けにしました。

アレンジまとめ

以上、ドラゴンクエスト『序曲』を題材に、ソロギターアレンジのやり方を細かく解説してみました。

ギターはいろんなポジションで同じ音が出るので、どこで弾くのがいいのか判断に迷うことが多いと思いますが、慣れてくると短時間でコードフォームを付けてアレンジできるようになってきます。

暗譜のしやすさも重要

自分の考えとして、アレンジしたらなるべく暗譜して演奏時は演奏に集中したい、というのがあって、暗譜しやすさ、というのもアレンジの重要な要素です。

このアレンジはテーマ導入部以外はスタンダードなコードフォームだけで処理したので暗譜もしやすいと思います。

曲中のチャレンジポイント

当ブログの演奏曲の中では易しいアレンジですが、実際の演奏では結構細かい処理を入れたりしているので、曲中で難関になりそうなポイントをあげておきます。

  • イントロの修飾音~トレモロでやっていますが、オリジナルもやってないので難しい場合は無しで。
  • イントロのスケール~7フレットのままで弾きたいので最高音が小指ストレッチになってます。
  • メロの頭の上行フレーズ~解放弦でベースを出しながらポジション移動でメロを弾きます。難しかったらメロを単音にするか、1オクターブ下でポジション移動せずに弾くか。
  • メロ四段目のC♯7(9f)~2f→9fの少し大きなポジション移動が出てきます。
  • コーダの出だしC♯7(onG♯)/F♯m7 D♯m7♭5~ここのコードだけ少し一般的でない形かも

難しいと感じたら

右手の技術的なことに関してですが、自分は手癖で弾いているため、速い修飾音があったり(イントロ)、ベースを細かく入れていたりして、そういうのまで全部同じに弾こうと思うと、難しいかもしれません。

難しく感じた場合は、簡略化してやってみてください。

以下に簡略化のやりかたの例を書いておきます。

  • 修飾音は弾かなくてもok
  • ベースは白玉=全音符or二分音符でOK
  • Aメロ頭の上昇フレーズは単音でもOK
  • コードの音が全部出せなかったら、ベースとメロだけでやってみる
  • コーダは難しかったら弾かなくてもOK。その場合はメロ最後のA→B13あたりからテンポを落として終わるといいかも

といったところです。
是非挑戦してみてください!

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