ゲーム音楽作曲家列伝では、ゲーム音楽がメインの作曲家を紹介してきましたが、「番外編」として、ゲーム音楽の活動がメインではない作曲家や外国人作曲家の紹介をしています。
今回は、ゴダイゴのヴォーカリストとして活躍し、作曲家としても代表曲「銀河鉄道999」「ビューティフルネーム」をはじめとした多数の名曲を手掛けているタケカワユキヒデさんです。
タケカワさんが手掛けたゲーム音楽としては、スーパーファミコンの知る人ぞ知る名作『ソウルブレイダー』(1992年、クインテット)が有名ですが、その後も断続的にゲーム作品に曲提供されています。
タケカワユキヒデさん プロフィール・略歴
本名:武川行秀(たけかわ ゆきひで)
生年月日:1952年10月22日
ゲーム音楽作曲家デビュー:1992年1月(ソウルブレイダー)
ゲーム音楽の代表作品:ソウルブレイダー
タケカワさんは本名を武川行秀といいますが、よく「竹川」と誤記されたため、カタカナ表記にしているとのことです。それに従い、ここでも「タケカワユキヒデ」の表記を使わせていただきます。
タケカワユキヒデさんは、母方が鈴木バイオリンや鈴木メソードで有名な鈴木家の出身、父親は音楽評論家の武川寛海氏という音楽家の家系に生まれ、5歳からバイオリンを、10歳から作曲を学びました。
1975年に『走り去るロマン』でソロデビュー。その翌年にはミッキー吉野氏と共にゴダイゴを結成。ちなみに、ゴダイゴの代表曲「ガンダーラ」「モンキーマジック」「銀河鉄道999」「ビューティフルネーム」は全てタケカワさんの作曲です。
1985年のゴダイゴ活動休止以降は、中森明菜さん、酒井法子さん、松田聖子さん、光GENJIなどへの楽曲提供でヒットメーカーとしての地位を確立。1989年からはソロ活動も再開しました。
その後、現在に至るまで、作曲家として幅広いジャンルのアーティストや映画・アニメ・CMなどに曲提供する一方、TV・ラジオへの出演、文筆活動、講演活動などマルチな活動を展開されています。
なお、ゴダイゴについては、1999年に期間限定で再結成されることがありましたが、2006年には恒久的な再結成が宣言されて現在まで活動を継続中です。
タケカワユキヒデさんの音楽
自分はゴダイゴの大ファンで、かねてよりタケカワさんの事はボーカリスト・作曲家としてリスペクトしていました。
作曲家としてのタケカワさんは、ご本人が歌手であることもあって歌ものの楽曲提供が中心になっていますが、彼のバイオグラフィーからしてクラシック音楽の素養がベースにあることは間違いないなく、その基礎の上にロック・ファンク・プログレ・フュージョン、民族音楽等の多様な要素を取り込んだオリジナルな音楽を構築している印象を受けます。
そんな背景があるからか、歌手でありながら、その編曲力は飛び抜けていて、その気になればゲーム音楽のようなインスト中心の音楽制作もお手のものなのではないかと思うのです。
そして、タケカワさんの楽曲は何と言ってもメロディーに特徴があると思います。
タケカワさんの音楽は、アレンジのみならず曲の本体部分といえるメロディーも変幻自在なのですが、どのメロディーも「タケカワ節」と呼べるような特徴的な歌い回しがあるというか。躍動感と哀愁が共存したような独特な雰囲気がありますよね。
ソウルブレイダーについて
タケカワさんがゲーム音楽に関わるようになったのは1992年のソウルブレイダー(クインテット)からですが、以前一緒にバンドを組んでいた事もあり、ゲーム音楽を多く手掛ける作曲家の外山和彦さんとの縁でクインテットやアスキーに繋ったものと思われます。
タケカワさんが手掛けたゲーム音楽としてはデビュー作であるソウルブレイダーが最も有名なものだと思いますが、ゲーム作品としてはややマイナーなので、ここでソウルブレイダーについて解説しようと思います。
ソウルブレイダーはクインテットが開発し、1992年1月にエニックスから発売されたスーパーファミコン用のアクションRPGです。
後に発売される『ガイア幻想紀』(1993年、クインテット、美術は萩尾望都さん)、『天地創造』(1995年、クインテット)と合わせて「ソウル三部作」「クインテット三部作」(さらに前作の『アクトレイザー』も合わせて四部作と言われることもある)などと呼ばれていますが、いずれもシナリオ・美術・音楽のクオリティーが非常に高い名作として知られています。
以前このブログでも『アクトレイザー』や『天地創造』の楽曲を演奏しました。
ソウルブレイダーの音楽
クインテット四部作の音楽を担当したのは、アクトレイザーが古代祐三さん、ガイア幻想紀は川崎康宏さん(ガイア幻想紀が代表作だが数多くのゲーム作品を担当)、天地創造は小林美代子さん(後にガストに所属)という顔ぶれですが、ソウルブレイダーのタケカワユキヒデさんはジャンル違いの有名歌手/作曲家ということで注目を集めました。
ソウルブレイダーの音楽の内容ですが、アレンジ的にはプログレ・ロック・ファンク系を中心にクラシック音楽(音色がシンセぽいのであまりストレートなクラシック色は感じませんが)やワールドミュージックの要素が混じってくる感じです。
そして、様々な要素を詰め込んでいるわりにメロディーの感じや音色(シンセやベースの音色が特徴的)に統一感があり、トータルコンセプトのようなものを感じますよね。
自分はソウルブレイダーをリアルタイムでプレイしておらず、後からタケカワさん作曲と知ってサントラを聴くことから入っています(後にゲームもプレイしています)。
実際に聴く前は「インスト版ゴダイゴ」を想像していたのですが(そういう曲も何曲かありますが)、想像とはかなり違っていて逆に新鮮な驚きがありました。
サントラの最後にはタケカワさんご本人が歌うヴォーカル版「恋人のいない夜」が収録されていて、この曲に限ってはかなりイメージ通りだったのですが、その直前に収録されている同曲のインスト版と比べて「アレンジや音色でこんなにも変わるものなんだ」ということを改めて感じました。
その後担当したゲーム音楽
ソウルブレイダーの後のゲーム作品への曲提供としては、1995年にエルファリア2、1997年に桃太郎道中記(デーモン小暮閣下が1曲提供)という2作品でほぼ全曲を担当していますが、それ以降は主題歌など単発曲の提供に留まっています。
個人的には、初期のソウルブレイダーやエルファリア2は、タケカワさんが本気でインストベースのゲーム音楽に取り組んだお宝的な作品だと思います。
タケカワユキヒデさんのゲーム音楽作曲作品
1992年
ソウルブレイダー(SFC、クインテット)
1995年
エルファリア2(SFC、ハドソン)
ウイニングポスト2(SFC/PS/SS/PC、光栄、新井智詞/山崎洋一/楠瀬誠志郎/小西高雄と共作)
1997年
桃太郎道中記(SS、ハドソン、デーモン小暮と共作)
1998年
悠久幻想曲2ndAlbum(PS/SS、メディアワークス、1曲提供)
1999年
西遊記(PS、コーエー、OP曲提供)
2005年
TANTRA(PC、ガンホー、イメージソング提供)
2012年
龍が如く5 夢、叶えし者(PS3、セガ、OP曲提供)
※略号
SFC=スーパーファミコン
SS=セガサターン
PS=プレイステーション
PS3=プレイステーション3
PC=パソコン
コメント