発売年月:2015年9月
機種:PC
メーカー:トビー・フォックス(Toby Fox)
タイトル名:アンダーテール(Undertale)
曲名:Heartache
作曲:トビー・フォックス(Toby Fox)
演奏難易度:☆☆★★★(普通)
今回は1年半ぶりにアンダーテール(Undertale)からの選曲で、トリエル戦の時に流れる「Heartache」を演奏します。
和音階風のメロディーと3拍子の組み合わせが面白いですが、ゲームをやったことがある人は「心の痛み」を思い出すかもしれない曲です。
アンダーテールの作品概要や楽曲の全体的な話などは、制作者・作曲者のトビー・フォックスさんの紹介記事と、2020年11月に演奏した「An Ending」の記事の中で書いていますので、ご一読いただけると理解が深まると思います。
Heartacheについて
どうしても でていくと いうのね…
そう…
あなたも ほかの ニンゲンたちと おなじなのね。
なら のこるしゅだんは 1つしかない…
わたしを なっとくさせて ごらんなさい。
あなたの つよさを しょうめい するのよ。トリエル
今回演奏する「Heartache」はゲーム中の最重要人物の一人、トリエル(Toriel)との戦闘時に流れる曲です。
トリエルは山羊(羊かも?)のような外見をした知的で優しい性格の女性キャラクターで、大の子供好きでもあり、教育者を志望しています。
ゲームの冒頭から登場し、地底に落ちてしまった主人公の母親代わりとなって世話を焼いてくれますが、主人公が彼女の領域である「いせき(遺跡、Ruin)」から出ようとすると、外の世界の危険を知っている彼女は主人公を守るために立ちはだかる――この曲はそんなシーンで流れます。
Heartacheを直訳すると「心痛」「心の痛み」「悲嘆」という意味ですが、主人公ではなく、トリエルの心痛を表現しているとか。
でも、優しくしてくれた「ママ」を傷つける、場合によっては殺害する、というのは、プレイヤーとしても心が痛みます……。
トリエルのその後は、主人公の行動によって変わってきますが、念願叶って学校の先生になったり、また主人公と一緒に暮らしたり、といったハッピーエンドもあるのが救われますよね。
なお、トリエルは続編のデルタルーン(DELTARUNE)にも登場するようです。デルタルーンは未プレイですが、やってみたいなぁ。
東方Projectからの影響
この曲「Heartache」は元々他のゲームのために作られたものだそうですが、切ないメロディーラインがゲームの場面に良くはまっていると思いました。
作者のトビー・フォックス氏はアンダーテールの音楽について、MOTHER(任天堂のRPG)や東方Projectシリーズの音楽に影響を受けたという発言をしていますが、「Hertache」は一聴して東方Projectの影響が色濃いのが分かります。
ZUN氏が作る東方Projectの音楽は、ロック・テクノ系のリズムパートに、シンセっぽい音色で和音階風のメロディーが乗っているものが多いのですが、「Hertache」もそんな手法で作られていて、和音階風のペンタトニック(5音階)を多用していたり、使用している音色も東方Projectを彷彿とさせます。
そんな感じでメロディーや音色は東方っぽいのですが、「Hertache」は3拍子なところがオリジナルな雰囲気を醸し出していると感じました。
東方Projectの曲は、基本的に2ビートやテクノビートなどの4拍子だし、日本の伝統的な音楽にも3拍子の感覚は無いので、和音階風メロディー+3拍子という組み合わせは新鮮で面白いです。
ブレリアのリズムトラックで演奏【ソロギター演奏】
この曲はオリジナルはB♭マイナーキーですが、ギターで弾きやすいように半音下のAマイナーキーに移調しました。
ちなみに、オリジナルキーで演奏したかったら、1フレットにカポタストをつければokです。
原曲はベースラインが細かいアルペジオになっているので、それを耳コピーしてコードを付けましたが、ソロギターであのベースラインを弾きながらメロディーを出すというのは自分の技術だと無理だったので、一般的なコードフォームを中心としたアレンジにしました。
あと、この曲は高速な3拍子なので、フラメンコのブレリアのリズムトラックが合うと思い、リズムトラックにブレリアのループを入れて作りました。
ブレリアは「世界一速い3拍子」なんて言われていますが、200BPMから250BPMが中心のテンポ帯です。今回は250BPMで演奏しています。
ブレリアに関しては姉妹ブログのこちらの記事をご覧ください。
ただ、今回のアレンジは純フラメンコのブレリアとはかなり離れていると思います。
フラメンコ形式の中でもブレリアは「どれだけリズムで遊べるか?」みたいな形式なのですが、リズムをあまり複雑化させると原曲イメージからどんどん離れてしまうし、今回は原曲再現度を優先させていただきました。
というか、メロディーとコードの再現だけでいっぱいいっぱいなので、リズムの複雑化と原曲再現度を両立させる、なんて余裕は無かったのが実情です。
Hertache コード進行
イントロ
|FM7|FM7|Am7|G7|
|FM7|FM7|Am7|G7|
|FM7|G9 G7(onD)|Am7|Am7 G7|
|FM7|FM7|Am7|G7|
|FM7|FM7|Am7|G7|
Aメロ
|FM7|G9 G7(onD)|Am7|Am7※1|
|Dm9|Em7|FM7|Em7|
|Dm9|G6|Am(onD) B♭|B♭ B♭9|
|B♭|B|
Bメロ
|B♭M7|B♭M7|Am7|Am7|
|B♭M7|B♭M7|Am7|Am7|
|B♭M7|B♭M7|Am7|Am7|
|B♭M7|B♭M7|Am7|Am7|
|B♭M7|B♭M7|Am7|Am7|
|FM7|G6|Am|G7|
コーダ
|FM7|G9 G7(onD)|Am7|Am7※1|
|Dm9|Em7|FM7|Em7|
|Dm9|G6|FM7|Em7|
|Am|Am|
※1 オリジナルは|Am7 G|
コード進行分析
イントロ
■Aマイナー
|♭ⅥM7|♭ⅥM7|Ⅰm7|♭Ⅶ7|
|♭ⅥM7|♭ⅥM7|Ⅰm7|♭Ⅶ7|
|♭ⅥM7|♭Ⅶ7|Ⅰm7|Ⅰm7 ♭Ⅶ7|
|♭ⅥM7|♭ⅥM7|Ⅰm7|♭Ⅶ7|
|♭ⅥM7|♭ⅥM7|Ⅰm7|♭Ⅶ7|
Aメロ
|♭ⅥM7|♭Ⅶ7|Ⅰm7|Ⅰm7※1|
|Ⅳm7|Ⅴm7|♭ⅥM7|Ⅴm7|
|Ⅳm7|♭Ⅶ|Ⅰsus4 ♭Ⅱ|♭Ⅱ|
|♭Ⅱ|♭Ⅱ|
Bメロ※2
|♭ⅡM7|♭ⅡM7|Ⅰm7|Ⅰm7|
|♭ⅡM7|♭ⅡM7|Ⅰm7|Ⅰm7|
|♭ⅡM7|♭ⅡM7|Ⅰm7|Ⅰm7|
|♭ⅡM7|♭ⅡM7|Ⅰm7|Ⅰm7|
|♭ⅡM7|♭ⅡM7|Ⅰm7|Ⅰm7|
|♭ⅥM7|♭Ⅶ|Ⅰm|♭Ⅶ7|
コーダ
|♭ⅥM7|♭Ⅶ7|Ⅰm7|Ⅰm7※1|
|Ⅳm7|Ⅴm7|♭ⅥM7|Ⅴm7|
|Ⅳm7|♭Ⅶ|♭ⅥM7|Ⅴm7|
|Ⅰm|Ⅰm|
※1 オリジナルは|Ⅰm7 ♭Ⅶ|
※2 ⅡM7はリディアン、Ⅰm7はドリアン&エオリアンで演奏
本格的転調は無しで解釈【コード進行のポイント】
この曲は基本的にはマイナーキーのダイアトニックコードを主体に作られていますが、所々ポリコード的な響きになっています。
これ、前回演奏した「An Ending」の時も書いたと思うんですが、トビー・フォックス氏の楽曲の特徴ですね。
ポリコードは分数コードの一種ですが、一般的なオンコードやアッパーストラクチャートライアド以外のイレギュラーな形の分数コードを差します。
分数コード・ポリコード解説
作者のトビー・フォックス氏は鍵盤で作曲していると思うのですが、右手と左手で独立したアプローチをする事を好むので、結果としてポリコードも増えるわけです。
この曲では、左手(低音)でベースのリフを弾きながら、メロディーも和音で弾いた結果ポリコードぽくなっている箇所が多いですが、ギターアレンジでは低音部のコード進行をベースのコードフォームとして、メロディーは一番目立つ音を単音主体に弾きました。ですので、コードネームはシンプル化出来たかと。
以下、コード進行について、移調後のAマイナーキーで解説します。
Aメロは基本的にはAマイナーキーのダイアトニックコードの範囲で完結していますが、Bメロの少し前からB♭コードが登場して、BメロはB♭M7→Am7という2コード構成に変化しています。
ここはDマイナーキー等への転調という解釈も出来ますが、自分の解釈は、Am7のところのメロディーにAドリアンを使ったりAエオリアンを使ったりしているので「Aマイナーキーのまま♭ⅡM7→Im7として、Im7にドリアン・エオリアンを適用している」という感じです。
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