アンダーテール「An Ending」【ギター演奏・コード進行78】

アンダーテール An Ending 動画
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2015年:PC
メーカー:トビー・フォックス(Toby Fox)
タイトル名:アンダーテール(Undertale)
曲名:ひとつのエンディング(An Ending)
作曲:トビー・フォックス(Toby Fox)
演奏難易度:☆★★★★(難しい)

ゲーム音楽ソロギター演奏動画・コード進行解説の第78弾は、アンダーテールよりバッドエンディング曲「An Ending」です。

アンダーテールの作品概要

アンダーテールは2015年に配信が開始された海外のインディーズゲームですが、トビー・フォックス氏がプログラムから音楽から、ほぼ全部(※グラフィックスの一部はアシスタントのテミー・チャン氏によるもの)一人で作り上げた作品です。

クラウドファンディングで資金を募って、一人で2年以上かかって作ったといいます。

シューティングゲームの要素を採り入れた戦闘システムと、8ビット時代的な個性的なグラフィックス、優れたシナリオと音楽がインターネットの口コミを中心に徐々に話題になり、最終的にインディーズゲームとしては空前の大ヒット作となりました。

日本では2017年8月にプレイステーション4・Vita版の発売に合わせて日本語版の配信が始まり、翌2018年にはニンテンドーSwitchにも移植されました。

作者のトビー・フォックス氏がMOTHERや東方Projectに影響を受けたと発言していますが、音楽に関してもこれらの影響を強く感じます。

自分とアンダーテールの関わり

自分とアンダーテールの関わりを少しお話します。

ゲーム音楽の採譜活動をはじめて1年くらい経った頃、2017年末頃と思いますが、アンダーテールがインターネットで話題になっていて、当時よく見ていたニコ動にも関連動画が頻繁に上がっていたので、気になってました。

そしてアンダーテールの音楽を何曲か聴いたところ、凄く良かったのでゲーム本体にも興味を持って、サントラ込みで値段も安かったのでポチってみたんですよね。

ゲームのほうはさらっとしかやってないので、時間が出来たら再プレイしたいと思っています。

音楽に関しては、最初「Heartache」が東方Pぽくて良いなぁ、と思ってました。

あとは「Death by Glamour」とか「Hopes and Dreams」とかも好きですが、どの曲を聴いても良く作り込まれていて、適当に作ったようなものが1曲も無いのが凄いです。

アンダーテールの音楽

アンダーテールはサントラとセットで売られてるし、音楽の比重がかなり大きい感じがします。

というか、作者のトビー・フォックス氏は元々音楽がメインの人(ピアノ奏者?)だったんでは?と思います。

東方ProjectのZUN氏も自分の音楽を売り出すために、ゲーム本体を自分で作ってしまったそうですが、同じ香りがします。

アンダーテールの音楽は昔のゲーム音源風に作られているものが多いですが、ピアノのアレンジと、コード進行やリズムトラックの作り方が独特です。

コードやベースラインの付け方とか、ちょっと曇ったようなピアノの音色の作り方が本職のこだわりを感じるんですよね。

リズムトラックは打ち込みっぽさを前面に出しつつ、EDM系音楽とは違った方向性を感じます。

ドライなロックぽさというか、ドラムンベースというか、スプラトゥーンとか、あのへんにも通ずる感じです。

普通にチップチューンとして聴いても素晴らしい音楽なので、サントラ目当てで買うのも良いと思います。

「An Ending」について

今回の演奏曲「An Ending」はニュートラルルートのエンディング曲で、普通にやると1周目は必ずニュートラルルートになるので、大抵1度は聴くことになる曲です。

また、重要人物の一人であるアンダインを殺害する時にもこの曲が流れます。

このゲームは「誰も死ななくていいやさしいRPG」というキャッチフレーズですが、実際は主人公の選択によって多くの死者が出る可能性があり、アンダインも普通に戦うと殺してしまうので、彼女に生きていてもらうためには一工夫必要だったりします。

そんなタイミングで流れる曲だし、どう考えてもアンハッピー、バッドエンドを示唆するモノですよね……。

「An Ending」は繊細で美しいピアノ曲で、後半のひたすら繰り返されるリフレイン(Cメロ部分)が鎮魂歌のようで印象的です。

※AメロBメロなどの解釈は、下のコード進行の項目を参照してください。

この作品は同じモチーフを使った曲が沢山出てきますが、この曲の前半部分(AメロとBメロ)は「Ruin=廃墟」の前半とほぼ同じものです。

「Ruin」のほうは少し軽快なテンポで作られていて、AメロとBメロを何回かやった後、転調含みの展開部が入り、最後は違う調でイントロと同じモチーフをやっていますが、「An Ending」のほうはBメロのメロディーを固定して、ベース音を変えながら微妙な響きで繋いで、例のリフレイン=Cメロに繋げています。

よく聴くとCメロ部分もメロディーはAメロと同一モチーフを使っていたりします。

同じモチーフでも、コードの付け方やアレンジで凄く雰囲気が変わりますよね。

採譜と分析は最高難易度【ソロギター演奏】

この曲はシンプルに聴こえるし、簡略化すればかなりシンプルになるのかもしれません。

ですが、実際に採譜・編曲してみると、ギターでの再現はかなり厄介なものでした。

ピアノソロに近い曲なので、音をとっていくだけならオーケストラなどのアレンジよりは簡単だし、1音ずつ音の流れを調べれば作曲の意図も想像できるんですが、ギターアレンジのためにコードネームを付けてアナライズしようと思うと困ってしまうような響きが随所に入っています。

こういうピアノ曲は右手と左手で違うコードを弾いていたり、伴奏と旋律に時間差がついていたりして、結果として一般的な分数コードではないポリコードになる瞬間が多いんです。

ギターでは頑張っても5和音か6和音しか出ないし、ポリコードが多い曲は再現が難しいんですよね。

そういうわけで、曲の骨組みはシンプルなものの、採譜とアナライズの難易度は過去最高レベルとなりました。詳しくは【コード進行のポイント】で書きます。

演奏面ではテクニカルなことはやっていませんが、ポリコードをある程度再現しようと頑張った結果、コードの押さえ方がイレギュラーになって、暗譜に苦労しています。

オリジナルはF♯マイナーキー(C♯マイナーキーでの解釈も可能)ですが、解放弦を活かして少しでもポリコードっぽい表現にしたかったのでEマイナーキー(Bマイナーキーでの解釈も可能)に移調しています。

あとは、メロディーがシンプルなだけに「間」が難しいですね。

音数の少ないバラード演奏ながら、採譜・アレンジ・暗譜にかかった労力も考慮して、難易度は星4つにしました。

An Ending コード進行

※オリジナルのF♯マイナーキーをEマイナーキーに移調

イントロ
Emadd9 Eadd9(11) Emadd9 Eadd9(11)

Aメロ
Em7 A Em7 A
Em7 A Em7 A

Bメロ
Em11 A Em6 A9
Em11 A Emadd9 A

B’メロ
CM13 DM7 A(onD) Bm
CM7(♭5) DM7 CM7 D69
F♯7sus4/Bm11 F♯7sus4(onC♯)  ※この段は4度堆積
F69 F♯m7(リハモ) FM9 B7(onD♯)

Cメロ
CM7 CM7 D6 D6
Em9 Asus4(onE) D69 C(onD)
CM7 CM7 D6 D6
Em9 Asus4(onE) E E

C’メロ(オリジナルから繰り返し回数を短縮)
CM7 CM7 D6 D6
Em9 Em9 Asus4(onE) Asus4(onE)
CM7 CM7 D6 D6
Em11 Em11 Asus4(onE) Asus4(onE)

CM7 CM7 D6 D6
Em9 Em9 Asus4(onE) Asus4(onE)
CM7 CM7 D6 D6
Em11 Em11 Esus4 Esus4

コード進行分析

イントロ
■Eマイナー
Ⅰm Ⅰm Ⅰm Ⅰm

Aメロ(Eドリアン)
Ⅰm Ⅳ Ⅰm Ⅳ
Ⅰm Ⅳ Ⅰm Ⅳ

Bメロ
Ⅰm Ⅳ Ⅰm Ⅳ
Ⅰm Ⅳ Ⅰm Ⅳ

B’メロ
♭ⅥM7 ♭ⅦM7(SDM代理) Ⅳ Ⅴm
♭ⅥM7 ♭ⅦM7 ♭ⅥM7 ♭Ⅶ
Ⅱ7sus4/Vm11 Ⅱsus4 ※この段は4度堆積
♭Ⅱ Ⅱm7(SD、リハモ) ♭ⅡM7 Ⅴ7

Cメロ
♭ⅥM7 ♭ⅥM7 ♭Ⅶ ♭Ⅶ
Ⅰm Ⅳsus4 ♭Ⅶ ♭Ⅵ
♭ⅥM7 ♭ⅥM7 ♭Ⅶ ♭Ⅶ
Ⅰm Ⅳsus4ⅠⅠ

C’メロ(オリジナルから繰り返し回数を短縮)
♭ⅥM7 ♭ⅥM7 ♭Ⅶ ♭Ⅶ
Ⅰm Ⅰm Ⅳsus4 Ⅳsus4
♭ⅥM7 ♭ⅥM7 ♭Ⅶ ♭Ⅶ
Ⅰm Ⅰm Ⅳsus4 Ⅳsus4

♭ⅥM7 ♭ⅥM7 ♭Ⅶ ♭Ⅶ
Ⅰm Ⅰm Ⅳsus4 Ⅳsus4
♭Ⅵ ♭Ⅵ ♭Ⅶ ♭Ⅶ
Ⅰm Ⅰm Ⅰsus4 Ⅰsus4

ポリコードの解釈が難しい【コード進行のポイント】

ギターアレンジ版のEマイナーキーで解説します。

Aメロ部分はEmとAの2コード循環です。

ここはEドリアンモードとしてIm Ⅳ7の解釈にしましたが、BマイナーキーのⅣm ♭Ⅶという解釈も可能です。

BメロからB’メロの部分はメロディーは固定されたまま、コードがかなり謎な感じになってきて解釈が難しいです。

こういう場合、解釈方法としては以下の3通りが考えられます。

  1. ポリコードで記載
  2. 前後の流れやベース音などからルート音とベースコードを推測して(この場合CとDの2コードか)そのコードトーン以外は全てテンションとして記載
  3. コードネームが最もシンプルになるような記載→実際に出ている音を極力コードトーンとして扱う

まず、ギターでのアレンジしやすさを考えて1.は除外。

アナライズを考えると2.が良いんですが、コードネームがグチャグチャになる部分もあるので、調性解釈が破綻しない程度に3.の解釈を混ぜてコードを記載しました。

ピアノ演奏を前提にするなら、また違うコードネームになりそうです。

B’メロの後半は4度堆積コードを挟んでCメロへと繋ぎます。

ちなみにBメロとB’メロもBマイナーキーの解釈も可能です。

CメロとC’メロは明確にEマイナーキーですが、伴奏だけ先行して動いていたり、左手は違うコードを弾いていたりで、ここもポリコードっぽい響きが多いです。

ここはCM7→D→Em→Dという流れは明確なので、それをベースにコードを付けました。

Dコードの部分はベースにE音が出ている所があるので、そこはAsus4(onE)=Ⅳ7的な解釈にしてます。

こういう曲はコードネームで解釈して分析すると難しくなりますね。

今回はギター用のアレンジを作るために分析を試みましたが、ピアノなら譜面に起こして丸覚えして弾くほうが楽だと思います。

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