増子司さんは女神転生シリーズの音楽を作ったことで有名ですが、1984年のデビュー以来ずっと活躍を続ける超ベテラン作曲家です。
ゲーム音楽にメタル要素を持ち込んだのは増子さんだと思います。
増子司さんプロフィール・略歴
本名:増子司(ますこ つかさ)
生年月日:1963年4月3日
作曲デビュー :1984年9月(スターフォース)
代表作品:初期の女神転生シリーズ
増子司さんはシューティングゲームの名作として有名なスターフォース(1984年9月、テーカン)でデビューしました。
初期はテーカン(テクモ、現コーエーテクモ)の作品を手掛けていましたが、ファミコン版の女神転生シリーズ、スーパーファミコン版の真・女神転生シリーズが代表作です。
2000年代後半以降はサウンドエンジニアリングの仕事が中心になっていますが、現役期間の長さは業界でも随一で、手掛けた作品数もかなりの数に上ります。
増子司さんの音楽
増子さんの音楽性は1984年のデビュー作、スターフォースの時点からすでにその特徴が出ていますが、かなりハードロック・ヘヴィメタル要素が濃いです。
ロック的手法の作曲
増子さんの音楽の作り方ですが、ハードロック路線の曲では、循環コード主体のコード進行にエオリアン・ドリアン・ブルーノートペンタトニックといったスケールによるロック系の語彙をのせています。
ヒーリング路線の曲はクラシカルな作りのものもありますが、やはり循環コード+スケールというような造りの曲の比率が高く、クラシック系の作曲方法で作られたものとは雰囲気が違います。
このロック系の作曲方法が増子さんの最大の特色でしょうか。
なんというか、ギタリストっぽい作り方と思います。フレーズ的にもエレキギターの手癖的フレーズ満載だし。
初期のゲーム音楽作家で、他にこういう作曲をする人は、セガの川口博史さんがいますが、川口さんは鍵盤奏者だし、音楽性はもっとラテン・フュージョン寄りです。
特徴あるベースライン
増子さんの曲で特徴的なのがベースラインです。
当時のゲーム音楽ではルート弾きなどの単純なアプローチが多かった中、それ単体でBGMとして成立するような細かくてリズミックなベースラインをつけていました。
このベースライン重視傾向はファミコン版女神転生で顕著になって、スーファミの真・女神転生でPCM音源になったことによって、その魅力を完全に発揮するようになったと思います。
というのも、何回か触れたようにファミコンの音源(拡張音源含む)ではどうしてもベースが弱く、ディストーションギターの再現も限界がありました。
ベースライン命、ギターフレーズ命の増子さんの曲は、スーパーファミコンのPCM音源によって初めて彼がやりたかったことに到達できた、と自分は思っています。
増子さんの初期作品
自分が初めて増子さんの作品に接したのは。デビュー作であるアーケード版スターフォースでした。
スターフォースはゼビウスの次くらいに本格的にやりこんだタイトルで、音楽も良くおぼえています。
ベース主体のクールなメインBGMからターゲット(エリアボス)のメタルのギターソロっぽいフレーズが入ってくる展開が好きだったんですが、パーサーと合体するとカントリー風(?)の愉快なBGMになってましたよね。
他の初期作品ではマイティボンジャックの、ほのぼのBGMも好きでした。
代表作の女神転生シリーズ
そして増子司さんと言えば、やはりメガテン(=女神転生)ですよねー。
増子さんの手がけたメガテンシリーズは以下になります。
- ファミコン版 女神転生1&2
- スーパーファミコン版 真・女神転生シリーズ&旧約女神転生
- セガサターン版 デビルサマナー
- PC版 偽典・女神転生
この後のペルソナシリーズから目黒将司さん、土屋憲一さん、故・青木秀仁さんのアトラス3人衆に引き継がれますが、そちらの音楽も素晴らしいですね。
増子さんが担当した初期の女神転生作品ですが、ファミコン版の初代作品からハードロック・ヘヴィメタル+ヒーリングミュージックという基本路線は確立されています。
自分個人的には、やはりスーファミの真・女神転生(1992年)が衝撃的でした。
単体でも曲として成立しそうな凝ったベースラインと、戦闘曲のディストーションギターにやられました。
それまでもロック路線のゲーム音楽はありましたが、ここまでクールでカッコいいものは聴いたことがありませんでした。
増子司さん作曲作品
※テクモ(現コーエーテクモゲームス)の旧社名はテーカンですが、全て「テクモ」で表記します
1984年
スターフォース(AC、テクモ)
ボンジャック(AC、テクモ)
1985年
ピンボールアクション(AC、テクモ)
1986年
テーカンワールドカップ(AC、テクモ)
アルゴスの戦士(AC、テクモ)
マイティボンジャック(FC、テクモ)
銀河伝承(FCD、アトラス)
1987年
聖剣サイコカリバー(FCD、イマジニア)
女神転生(FC、ナムコ/アトラス)
バイオ戦士DAN(FC、ジャレコ)
1989年
ダンジョンエクスプローラー(PCE、アトラス)
パズルボーイ(GB、アトラス)
1990年
女神転生2(FC、ナムコ/アトラス)
コスモタンク(GB、アトラス)
雀偵物語(PCE、日本テレネット)
1991年
クイズまるごとザ・ワールド(PCE、アトラス、青木秀仁・猪瀬勝由希と共同)
1991年
ニューヨークニャンキーズ(FC、アトラス)
スーパーエアーウルフ(MD、九娯貿易)
1992年
ブレイゾン(AC、アトラス)
雀偵物語2(PCE、日本テレネット)
真・女神転生(SFC、アトラス)
1993年
宇宙の騎士テッカマンブレード(SFC、ベック)
1994年
カブキロックス(SFC、アトラス、一部)
真・女神転生2(SFC、アトラス)
真・女神転生if…(SFC、アトラス)
魔神転生(SFC、アトラス、一部)
ノンタンといっしょ くるくるぱずる(GB/SFC、アクセス、簗田裕之と共同)
1995年
ジャムズ(SFC、カロッツェリアジャパン)
聖獣魔伝ビースト&ブレイド(SFC、BPS、一部)
旧約・女神転生(SFC、アトラス、崎元仁と共同)
真・女神転生デビルサマナー(SS、アトラス、田崎寿子と共同)
1996年
ゼイラムゾーン(PS、バンプレスト、一部)
ガレオス(PS、アトラス)
1997年
偽典・女神転生(PC、アトラス)
デビルサマナー ソウルハッカーズ(SS、アトラス、目黒将司・田崎寿子と共同)
1998年
ゴジラ トレーディングバトル(PS、TOHO、一部)
1999年
エルテイルモンスターズ(N64、イマジニア)
語楽王 TANGO!(WS/GB、メビウス)
2000年
霊刻 池田貴族心霊研究所(PS、メディアファクトリー、一部)
筋肉番付GB2(GB、コナミ)
2001年
マジカルバケーション(GBA、ブラウニーブラウン)
2003年
お遍路さん 発心の道場 阿波国編(GB、ピンチェンジ)
2006年
モンスターキングダム・ジュエルサモナー(PSP、ガイア、一部)
マジカルバケーション 5つの星がならぶとき(DS、ブラウニーブラウン)
2009年
ドラゴンボール改 サイヤ人来襲(DS、バンダイナムコ)
2012年
東京テリオン(iOS/Android、ケイブ)
2016年
Caligula=カリギュラ(PSV、アクリア)
デモンズゲート 帝都審神大戦 東京黙示録編(iOS/Android、Donuts)
2017年
NEO平安京エイリアン(FC互換機、コロンバスサークル、一部)
2018年
WORK×WORK(SW、熱中日和)
2019年
8ビットリズムランド(FC互換機、コロンバスサークル)
※略号
AC=アーケードゲーム
FC=ファミコン
FCD=ファミコン・ディスクシステム
GB=ゲームボーイ
PCE=PCエンジン
MD=メガドライブ
SFC=スーパーファミコン
PS=プレイステーション
SS=セガサターン
N64=ニンテンドー64
WS=ワンダースワン
GBA=ゲームアドバンス
PSP=プレイステーションポータブル
PSV=プレイステーションVita
DS=ニンテンドーDS
SW=ニンテンドーSWITCH
PC=パソコン
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