発売年月:1985年11月
機種:アーケードゲーム(Arcade Game)
メーカー:セガ(SEGA)
タイトル名:スペースハリアー(Space Harrier)
曲名:THEME
作曲:川口博史(Hiroshi Kawaguchi”Hiro師匠”)
演奏難易度:☆☆★★★(普通)
ゲーム音楽ソロギター演奏動画・コード進行解説の第15弾は、スペースハリアーのメインテーマです。
この曲は自分の原点とも言えるものの一つであり、思い入れもあります。
今回は「自分のルーツを自分らしいアレンジで」ということを意識して、フラメンコに寄せた演奏となりました。
自分の原点といえる一曲【曲紹介】
自分の中では「原点」の一つといえる曲ですね。
1985年のゲーム音楽史03の記事を書いていて、いろいろ思い出し、この曲をやりたくなりました。
1985年はアーケードゲームとPCがFM音源化してゲーム音楽が一気に進化した年で、この曲はそんな時代の象徴的な一曲です。
スペースハリアーが出てからほとんど間が無かったと思いますが、古代祐三さんは「マイコンBASICマガジン」に、この曲のPC-8801mkⅡSR用ダンプリストを投稿していて、自分も早速打ち込んで、いろいろ弄って遊びました。
古代さんもインタビューで言っておられましたが、この当時、大型筐体(スピーカーもそれなりの口径と思われます)から出る音は一瞬CDが入ってるのかと錯覚するほどでした。
低音が効いていてベースとドラムが迫力がありました。
特にドラムは当時出始めの、音楽制作用のリズムマシンなどに使われていたPCM音源を使用していたため、PC-8801mkⅡSRでもこの迫力の再現はできませんでした。
このFM音源+PCMリズム音源のスタイルはこの後主流になっていきます。
音楽ジャンル的には、こういうのなんて言うんでしょうね。
ロックともフュージョンとも違うし、「ゲーム音楽」としか形容できないスタイルが、このあたりでまた一つ出来てきています。
思い出補正はあるでしょうけど、聴いていると気持ちが上がります。
作曲者はこの年の7月にハングオンで作曲家デビューしたHiro師匠こと川口博史さんです。
川口さんはこの後、ファンタジーゾーン、アウトランとゲーム音楽の名作を連発することになります。
フラメンコギターの語法で【ソロギター演奏】
(2023年1月27日追記)
以下は、初版アレンジをアップした時の解説文をそのまま掲載しています。今回アップしたVer.2についてはこちらをご覧ください。
――この曲は思い入れもあるし、自分らしいアレンジにしたいと思い、フラメンコギターの語法をふんだんに入れていきました。
音使いやリズムのとりかた、オカズの入れ方など、敢えて自分の手癖を沢山入れるようにしたんですが、結果自分らしい演奏になったと思うし、この曲はやはり自分の原点の一つなんだな、ということを再確認しました。
原曲はAメロをオクターブ上げて繰り返しているのですが、くり返しは省略して演奏しています。
Bメロの後もう一回Aメロ前半をやってコーダとしたので、さすがに3回同じメロはしつこいかな、というのと、オクターブ上で弾けないことはないんですが、ベース音が高くなりすぎだし、コード構成音減らさないと演奏が難しいです。
でも、そうするとコード感や音の厚みが薄くなったり。
ということで、思い切ってAメロくり返しは省略とさせていただきました。Bメロは自分流にアレンジしてます。
スペースハリアー THEME コード進行
オリジナルのCメジャーキーをGメジャーキーに移調しています。
イントロ
|G|C(onG)|Cm(onG)|G|
|G|C(onG)|Cm(onG)|G|
|G|C(onG)|Cm(onG)|G|
|G|C(onG)|Cm6(onG)※1|G|
Aメロ
|G|G|G7(onF)|G7(onF)|
|CM7(onE)|CM7(onE)|
|Am7(onC)|Am7(♭5)(onC)|
|G|G|G7(onF)|G7(onF)|
|CM7(onE)|CM7(onE)|
|Am7(onC)|Am7(♭5)(onC)|
Bメロ
|Bm|Bm7|E|E|
|Am|Am|C(onG)※2|Cm6※1|
|Bm7|Bm7|E|E|
|Am|Am|C(onG)|D(onF♯)|
Aメロ(オクターブ上)
|G|G|G7(onF)|G7(onF)|
|CM9(onE)|CM9(onE)|Am7(onC)|Am7(♭5)(onC)|
|G|G|G7(onF)|G7(onF)|
|CM9(onE)|CM9(onE)|Am7(onC)|Am7(♭5)(onC)|
Bメロ(オクターブ上)
|Bm|Bm7|E7|E7|
|Am|Am|C※2|Cm6※1|
|Bm|Bm7|E7|E7|
|Am|Am|C|D|
Cメロ
|Em|Em|C|C|
|D|D|Em|Em|
|Emadd9|Emadd9|C|C|
|D|D|Em|Em D7|
|Em7|Em7|C|C|
|D7|D7|Em|Em D7|
|Em7|Em7|C|C|
|D7|D7|Em|C D(onF♯)|
エンディング(アレンジ)
|G|G|G7(onF)|G7(onF)|
|Em|Em|C|Cm6※1|
|G|G|G7(onF)|G7(onF)|
|Em|Em|C|Cm6※1|
|G|G|
※1 Am7(♭5)という解釈も可能
※2 Am7という解釈も可能
コード進行分析
イントロ
■Gメジャー
|Ⅰ|Ⅳ|Ⅳm|Ⅰ|
|Ⅰ|Ⅳ|Ⅳm|Ⅰ|
|Ⅰ|Ⅳ|Ⅳm|Ⅰ|
|Ⅰ|Ⅳ|Ⅳm6|Ⅰ|
Aメロ
|Ⅰ|Ⅰ|Ⅰ7|Ⅰ7|
|ⅣM7|ⅣM7|Ⅱm7|Ⅱm7(♭5)|
|Ⅰ|Ⅰ|Ⅰ7|Ⅰ7|
|ⅣM7|ⅣM7|Ⅱm7|Ⅱm7(♭5)|
Bメロ
|Ⅲm7|Ⅲm7|Ⅵ7|Ⅵ7|
|Ⅱm7|Ⅱm7|Ⅳ|Ⅳm6|
|Ⅲm7|Ⅲm7|Ⅵ7|Ⅵ7|
|Ⅱm7|Ⅱm7|Ⅳ|Ⅴ7|
AB繰り返し
Cメロ
■Eマイナー
|Ⅰm|Ⅰm|♭Ⅵ|♭Ⅵ|
|♭Ⅶ|♭Ⅶ|Ⅰm|Ⅰm|
|Ⅰm|Ⅰm|♭Ⅵ|♭Ⅵ|
|♭Ⅶ|♭Ⅶ|Ⅰm|Ⅰm|
|Ⅰm7|Ⅰm7|♭Ⅵ|♭Ⅵ|
|♭Ⅶ7|♭Ⅶ7|Ⅰm|Ⅰm|
|Ⅰm7|Ⅰm7|♭Ⅵ|♭Ⅵ|
|♭Ⅶ7|♭Ⅶ7|Ⅰm|
■Gメジャー
|Ⅳ Ⅴ|
エンディング(アレンジ)
|Ⅰ|Ⅰ|Ⅰ7|Ⅰ7|
|ⅣM7|ⅣM7|Ⅱm7|Ⅱm7(♭5)|
|Ⅰ|Ⅰ|Ⅰ7|Ⅰ7|
|ⅣM7|ⅣM7|Ⅱm7|Ⅱm7(♭5)|
|Ⅰ|Ⅰ|
コナミ進行を使用【コード進行のポイント】
Aメロ冒頭はⅠ→Ⅰ7(on♭Ⅶ)→……という進行ですが、これはゲーム音楽王道の一つ「同主調混在メジャーキー」のバリエーションです。
このように「同主調混在メジャーキー」で登場するコード(コナミ進行なども含まれます)は複数の解釈が成立する場合(詳しくは上の記事を参照)が多く、アレンジする時にいつも迷うのですが、①弾きやすさ、②把握しやすさ、③前後の繋がり、といったことを考慮してコードを決めています。
この曲の場合はメロディーやベースの動きから判断して以下のようなコード付けにしました。
Ⅰ→Ⅰ7(on♭Ⅶ)→ⅣM7(onⅥ)→Ⅱm7(onⅣ)→Ⅱm7(♭5)(onⅣ)
ここは他にこんなコード付けも考えられますよね。
Ⅰ→♭Ⅶ→Ⅵm→Ⅳ→Ⅳm
このあたりはオンコードで行くか、テンション込みのノーマルコードで行くか、色々考えられると思います。
なお、CメロはGメジャーキーのままで捉えてもokですが、Em→C→D→Emで回る区間が長いので、平行調転調のEマイナーキーとしました。
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