ロマンシングサガ「バトル1 & バトル2」【ギター演奏・コード進行110】

ロマンシングサガ「バトル1 & バトル2」動画
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発売年月:1992年1月
機種:スーパーファミコン(Super Nintendo)
メーカー:スクウェア(SQUARE)
タイトル名:ロマンシングサガ(Romancing SaGa)
曲名:The Conflict、Beat Them Up!(神々への挑戦)
作曲:伊藤賢治(Kenji Ito)
演奏難易度:☆☆★★★(普通)

今回は1992年にスーパーファミコン向けにリリースされた初代ロマンシングサガの通常バトル曲「バトル1」と中ボスバトル曲「バトル2」をメドレーで演奏いたします。

ロマンシングサガシリーズの概要については2020年6月に演奏したロマンシングサガ3「ラストバトル」の紹介記事の中で書いていますので、そちらをご覧ください。

また、ロマンシングサガシリーズの音楽を担当した伊藤賢治さんについてはこちらの記事にまとめてあります。

ロマサガシリーズのバトル曲の魅力

ロマンシングサガシリーズの音楽の中でもバトル曲は人気が高く、同シリーズの大きな魅力の一つとなっています。

これまでもロマサガシリーズのバトル曲は何曲か演奏してきましたが、以下の記事でその音楽的特徴を語っていますので、よかったらチェックしてみてください。

上の記事でも書いているのですが、ロマサガシリーズのバトル曲は、JMM(ジャパニーズ・メランコリック・メロディー=日本人好みのクサメロ)+ロック系リズムセクション+ストリングスのハーモニーというかなり特徴的なアレンジがされていて、それがスーパーファミコンの音源と化学反応を起こして中毒性を発揮するわけですね。

こういう特徴あるバトル曲は初代ロマンシングサガの段階で既に確立されていて、今回の2曲もこれに当てはまるのですが、さらに遡ると、ゲームボーイ版のサガシリーズ(ロマンシングサガシリーズの前身)や聖剣伝説(サガシリーズと同時期に出た伊藤賢治さんの初期作品)のバトル曲も既にこうした特徴の片鱗は見られました。

ただ、ゲームボーイだと音色の制約や同時発音数の問題があって完全には表現し切れていなかったのが、スーパーファミコンのPCM音源を使用する事でアレンジの方向性が明確になり、一気に完成の域に達したという印象を受けます。

初代ロマサガ「バトル1」「バトル2」について

初代ロマンシングサガのバトル曲は「バトル1」が通常戦闘、「バトル2」が四天王などの中ボス戦、そして以前演奏した「決戦!サルーイン」がラスボス曲という3曲の構成です。

なお、正式にはバトル1が「The Conflict」、バトル2が「Beat Them Up!」という曲名がついていますが、初代ロマサガのリメイク版である『ロマンシングサガ・ミンストレルソング』(2005年、プレイステーション2)でもアレンジバージョンが使われており、曲名はバトル1が「戦いの序曲」(こちらはイントロ以外はほぼ別曲)、バトル2は「神々への挑戦」となっています。

そんな感じで初代ロマサガのバトル曲には複数の曲名が存在するのですが、ここでは一般的に最も浸透していると思われる「バトル1」「バトル2」という通称を使うことにしました。

ところで、スーファミ版の初代ロマサガってザコ敵とのエンカウントが異常に多いんですよね。

歩いてるだけで魚やら鳥やらゾンビやら、わらわら群がって来て「バトル1」がもう嫌というほど繰り返し再生されることに(笑)。そんな事情があって、初代ロマサガといえばオープニングテーマも印象的でしたが、バトル1の旋律もしっかりと記憶に焼き付いているのではないでしょうか。

バトル1はロマサガバトル曲にしてはライトな雰囲気で、爽快感と疾走感を感じる曲です。

そして、強敵の四天王戦で流れるバトル2は、勇壮なトランペットのメロディーが印象的なロマサガシリーズ屈指の熱血曲でしたよね。

バトル2をEマイナーに移調【ソロギター演奏】

今回のギターアレンジは、バトル1とバトル2をメドレーにするということは最初に決めてあったのですが、オリジナルキーのままだと、どうにも上手く繋がらない感じでした。

オリジナルのキーは、バトル1がBマイナーキー、バトル2がGマイナーキーですが、色々試した結果、バトル2のほうを短3度下げのEマイナーキーに移調してメドレー化することに。Bマイナーキー→Eマイナーキーは下属調転調のため直接繋いでもそんなに違和感無かったので、あれこれやらずにストレートに繋げています。

テクニック的には両曲ともメロディーの跳躍が大きくポジション移動は激しいのですが、バトル2を移調して開放弦をフル活用した結果多少の余裕が出来たので、その分、ベースの合いの手などのオリジナルアレンジを再現していきました。

ロマンシングサガ「バトル1 & バトル2」コード進行

バトル1:The Conflict

イントロ
|Bm F♯7(onA♯)|A13 E7(onG♯)|
|GM7|F♯m7|Em7|F♯7|

Aメロ
|Bm|G F♯7|Bm|D D7(onC)|
|GM7|F♯m7|Bm7|E7|
|GM7|F♯m7|G A|Bm A|

Bメロ
|G|A7(onG)|F♯m7|Bm7 Asus4|
|G|A7(onG)|F♯m7|B7|
|G|F♯m7|Em7|C♯7|
|F♯ G|F♯|

バトル2:Beat Them Up!

イントロ
|Em|Em|Em|Em|

Aメロ
|Em|Am7|D|Gsus4 G|
|FM7|Em7|Am7 F♯7|B7|
|Em|Am7|D|GM7sus4 GM7 E7|
|Am7|B7|Em|A7(onC♯)|
|Am7|F♯7(onA♯)|B7 C|B7|

ブリッジ
|Em|Em|Em|Em|

Bメロ
|Em|A(onE)|Em|A(onE)|
|C|C|C|C|
|D|G|C A7|B7 Em7|
|Am7|F♯7|B7|B7|

B’メロ
|Em|Em|Em|Em|
|C|C|C|C|
|D|G|C|Am7 F♯7|
|B7 C7|B7 F♯7(onA♯)|B7|B7|

A’メロ(アレンジ)
|Em|Am7|D|Gsus4 G|
|FM7|Em7|Am7 F♯7|B7|
|Em|Am|D7|GM7sus4 GM7 E7|
|Am7|B7|Em|A7(onC♯)|
|Am7|F♯7(onA♯)|B7 C|B7 F♯7(onA♯)|
|B7|B7|

エンディング(アレンジ)
|CM7(♯11)(onE)|C7(♯11)(onE)|Em|

コード進行分析

バトル1:The Conflict

イントロ
■Bマイナー
|Ⅰm Ⅴ7|♭Ⅶ Ⅳ7|
|♭ⅥM7|Ⅴm7|Ⅳm7|Ⅴ7|

Aメロ
|Ⅰm|Ⅴ7|Ⅰm|♭Ⅲ Ⅰ7|
|♭Ⅵ|Ⅴm7|Ⅰm7|Ⅳ7|
|♭ⅥM7|Ⅴm7|♭Ⅵ ♭Ⅶ|Ⅰm|

Bメロ
|♭Ⅵ|♭Ⅶ|Ⅴm7|Ⅰm7 ♭Ⅶ|
|♭Ⅵ|♭Ⅶ|Ⅴm7|Ⅰ7|
|♭Ⅵ|Ⅴm7|Ⅳm7|Ⅱ7|
|Ⅴ7 ♭Ⅵ|Ⅴ7|

バトル2:Beat Them Up!

イントロ
|Ⅰm|Ⅰm|Ⅰm|Ⅰm|

Aメロ
|Ⅰm|Ⅳm7|♭Ⅶ7|♭Ⅲ|
|♭ⅡM7|Ⅰm7|Ⅳm7 Ⅱ7|Ⅴ7|
|Ⅰm|Ⅳm7|♭Ⅶ7|Ⅲ Ⅰ7|
|Ⅳm7|Ⅴ7|Ⅰm|Ⅳ7|
|Ⅳm7|Ⅱ7|Ⅴ7 ♭Ⅵ|Ⅴ7|

ブリッジ
|Ⅰm|Ⅰm|Ⅰm|Ⅰm|

Bメロ
|Ⅰm|Ⅰm|Ⅰm|Ⅰm|※1
|♭Ⅵ|♭Ⅵ|♭Ⅵ|♭Ⅵ|
|♭Ⅶ7|♭Ⅲ|♭Ⅵ Ⅱm7|Ⅴ7Ⅰm7|
|Ⅳm7|Ⅱ7|Ⅴ7|Ⅴ7|

B’メロ
|Ⅰm|Ⅰm|Ⅰm|Ⅰm|※1
|♭Ⅵ|♭Ⅵ|♭Ⅵ|♭Ⅵ|
|♭Ⅶ7|♭Ⅲ|♭Ⅵ|Ⅱ7|
|Ⅴ7 ♭Ⅵ7|Ⅴ7 Ⅱ7|Ⅴ7|Ⅴ7|

A’メロ(アレンジ)
|Ⅰm|Ⅳm7|♭Ⅶ7|♭Ⅲ|
|♭ⅡM7|Ⅰm7|Ⅳm7 Ⅱ7|Ⅴ7|
|Ⅰm|Ⅳm7|♭Ⅶ7|Ⅲ Ⅰ7|
|Ⅳm7|Ⅴ7|Ⅰm|Ⅳ7|
|Ⅳm7|Ⅱ7|Ⅴ7 ♭Ⅵ|Ⅴ7 Ⅱ7|
|Ⅴ7 |Ⅴ7 |

エンディング(アレンジ)
|♭ⅡM7|♭Ⅱ7|Ⅰm|

※1 ドリアンモード

スパニッシュ調の解釈など【コード進行のポイント】

今回演奏した2曲のコード進行について、演奏動画のキーで解説いたします。

前半のバトル1はBマイナーキーを基調にしつつも、G(♭Ⅵ)、D(♭Ⅲ)などの平行調Dメジャーキーの主要コードを要所に配置してあって、伊藤さんのバトル曲にしては爽やかで明るい雰囲気になっていますが、個人的にはBメロ出だしのG→A(onG)のあたりの展開がぐっと来ます。

後半のバトル2のAメロ(メインメロディー)はマイナー調JMMの典型ですが、音の選び方やアレンジを工夫することで演歌・ムード歌謡化を回避していて、クサメロ好きな自分としてはとても好みのバランスです。

バトル2のBメロはシンプルな2コード展開ですが、Emコードの所にEドリアンモードを使っていてEm6やA7の響きが混じってくるのがミソでしょうか。

2曲共通の特徴として、最後はスパニッシュ調ぽい動きで締めくくっているのですが、具体的には、バトル1ラストのF♯→G→F♯(F♯スパニッシュ)とか、バトル2のAメロラストのB→C→B(Bスパニッシュ)といった、メロディーがマイナーキーのⅤコードに解決していく動きですね。

今回の2曲の場合、これらが出てきた直後に元のマイナーキーに戻っているので、転調してのⅠ→♭Ⅱ→Ⅰとはせず、マイナー調のままⅤ→♭Ⅵ→Ⅴで解釈・表記しました。

このあたりのスパニッシュ調の解釈について、例えば曲中にF→Eという終止形が出てきたとして、フラメンコの一部形式のように一曲通して明らかにEコードがルートになっている場合は、Eコードを「スパニッシュ調のⅠコード」と捉えるのが実態に即していると思いますが、今回のような使われ方だと、Eコードは「AマイナーキーのⅤコード」と捉えても良いでしょう。

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