ドラゴンクエスト5「結婚ワルツ」【すぎやまこういちさん追悼◆ギター演奏・コード進行95】

ドラゴンクエスト5 結婚ワルツ 動画
↑クリックで動画再生

発売年月:1992年9月
機種:
スーパーファミコン(Super Nintendo)
メーカー:エニックス(ENIX)
タイトル名:ドラゴンクエストⅤ 天空の花嫁(Dragon Warrior5)
曲名:結婚ワルツ(Bridal Waltz)
作曲:すぎやまこういち(Koichi Sugiyama)
演奏難易度:☆☆★★★(普通)

約1か月前になりますが、2021年9月30日にドラゴンクエストシリーズを手掛けてきた作曲家のすぎやまこういちさんが亡くなられました。享年90歳でした。

今回は、すぎやまこういちさんへの追悼の意を込めて『ドラゴンクエスト5|天空の花嫁』より「結婚ワルツ」を演奏いたします。

すぎやまこういちさんの訃報と今回の演奏について

すぎやまこういちさんが亡くなられたのは2021年9月30日とのことですが、一般に訃報が報じられたのは10月7日のことで、自分もそのタイミングで知りました。

すぎやまこういちさんのゲーム音楽作家としての経歴や担当作品はこちらの記事にまとめてありますので是非ご一読ください。

すぎやまさんの訃報を知ってから、追悼演奏をしたいと思って選曲を考えていたのですが、まだ演奏していない曲の中で自分の心情的に一番しっくり来たのが、ドラゴンクエスト5の「結婚ワルツ」でした。

「追悼」と「結婚」はミスマッチな感じもしますが、この曲はすぎやまさんのコンサートではフィナーレに使用される事もあり、すぎやまさんお気に入りの曲だったと思われます。

もうひとつの理由としては、自分個人的にドラクエ5はドラクエシリーズ中でも一番プレイ時間が長かった思い入れの強い作品で、そのストーリーのクライマックスとエンディングで流れる「結婚ワルツ」が記憶に強く刻まれていた事もあります。

ドラゴンクエスト5と「結婚ワルツ」

ドラゴンクエスト5は1992年9月27日に発売されたスーパーファミコン用のRPGで、スーパーファミコンとしては初のドラゴンクエスト作品となります。

ドラゴンクエストシリーズは、1から3が「ロト編」、4から6が「天空編」となっていて、5は時系列でいうと天空編のラストとなる作品です。

ドラクエ5は敵モンスターを仲間に出来るというシステムを初めて採用した作品ですが、それまでのドラクエシリーズのテーマだった「魔王討伐の冒険譚」という枠を超えて、主人公を中心とした親子三代に渡る人生模様が丁寧に描写されていて、家族の絆をテーマとした壮大なストーリーになっていました。

そして5のストーリーでクライマックスとなるのが、主人公の結婚なのですが、これは2人(リメイク作では3人)の結婚相手のうち誰を選ぶかで、その後のストーリーが分岐する最重要イベントです。

今回演奏する「結婚ワルツ」は、結婚式とエンディングで流れる、それまでの主人公達の苦難を労うような曲です。

今回は、すぎやまさんの90年の人生に思いを馳せ、この曲を演奏したいと思いました。

原曲イメージを大切にアレンジ【ソロギター演奏】

オリジナルはA♭(G♯)メジャーキーで、ギターでは弾きづらいキーなので半音下のGメジャーキーに移調していますが、動画では1フレットにカポタストを付けることでオリジナルのキーに戻して演奏しました。

以下の解説は移調後のGメジャーキーで行います。

「ワルツ」の名前の通り、舞曲調の軽快な3拍子なので、ブレリアにしてフラメンコ化出来ないかな?とも思ったのですが、少しやってみたら原曲の優しく格調高いイメージが変わってしまう感じでした。

ですので、今回は無理にフラメンコ/スパニッシュ要素は入れずに、原曲イメージを大切にした演奏を意識しています。

この曲は副旋律やオブリガードが沢山入っていますが、副旋律等は演奏に支障が出ない範囲で入れてアレンジしました。

また、原曲の構成はA-A-Bのループですが、今回の演奏ではA-A-B-Aとしています。

Aが3回出てくるので、少し変化を付けるために、2回目のAの後半部分をオクターブ下げて、3回目は普通に演奏した後にオクターブ下げた繰り返しを入れてエンディングとしました。

全体的にシンプルで明快なアレンジになったと思います。

「結婚ワルツ」コード進行

オリジナルのA♭メジャーキーをGメジャーキーに移調していますが、演奏動画では1フレットにカポタストを付けているため、実音はオリジナルと同じA♭メジャーキーとなっています。

イントロ
|D7 DM7|D7 DM7|D7 DM7|D7 DM7|
|D|B7|Em7|D7(♭9)|

Aメロ
|G|D9(♯5)|G|Am7(onD)|
|G|D7sus4|Am AmM7|Am7 Am6|
|Am|E|Am|D7|
|Am6|D7|C♯dim7|G G♯dim7|
|Am7|Am7|G|G|
|D7(onF♯)|D7(onF♯)|G|E7(onG♯)|
|Am7|Am7|G|G G♯dim7|
|Am7|D7|G|G|

Aメロ繰り返し

ブリッジ
|G7 GM7|G G7(♭9) G9|G|G|

Bメロ
|C|Em7|Am7|Am7|
|Dm7|G7|C|C|
|C|C|Dm7|Dm7|
|B7|B7|E|E|
|Dm7|Dm7|Am7|Am7|
|G|G|C|C|
|Dm7|Dm7|Am7|Am7|
|B7|B7|B7sus4|B7|
|Em|Em|B7|B7|
|Am|Am|Em|Em|
|A7|A7|D|D|
|A7|A7|D DM7|D7|

Aメロ繰り返し

エンディング(アレンジ)
|Am7|Am7|G|G|
|D7(onF♯)|D7(onF♯)|G|E7(onG♯)|
|Am7|Am7|G|G G♯dim7|
|Am7|D7|G|G|

コード進行分析

イントロ
■Gメジャー
|Ⅴ7|Ⅴ7|Ⅴ7|Ⅴ7|
|Ⅴ|Ⅲm7|Ⅵm7|Ⅴ7※1|

Aメロ
|Ⅰ|Ⅴ(♯5)|Ⅰ|Ⅴ|
|Ⅰ|Ⅰ|Ⅱm|Ⅱm|
|Ⅱm|Ⅵ7|Ⅱm|Ⅴ7|
|Ⅴ7|Ⅴ7|♯Ⅳdim7※2|Ⅰ ♯Ⅰdim7|
|Ⅱm7|Ⅱm7|Ⅰ|Ⅰ|
|Ⅴ7|Ⅴ7|Ⅰ|Ⅴ7|
|Ⅱm7|Ⅱm7|Ⅰ|Ⅰ ♯Ⅰdim7|
|Ⅱm7|Ⅴ7|Ⅰ|Ⅰ|

Aメロ繰り返し

ブリッジ
■Cメジャー(下属調)
|Ⅴ7|Ⅴ7|Ⅴ7|Ⅴ7|

Bメロ
|Ⅰ|Ⅲm7|Ⅵm7|Ⅵm7|
|Ⅱm7|Ⅴ7|Ⅰ|Ⅰ|
|Ⅰ|Ⅰ|Ⅱm7|Ⅱm7|
■Aマイナー(平行調)
|Ⅱ7|Ⅱ7|Ⅴ|Ⅴ|
|Ⅳm7|Ⅳm7|Ⅰm7|Ⅰm7|
|♭Ⅶ|♭Ⅶ|♭Ⅲ|♭Ⅲ|
|Ⅳm7|Ⅳm7|Ⅰm7|Ⅰm7|
|Ⅱ7※3|Ⅱ7|Ⅱ7|Ⅱ7|
■Eマイナー(属調)
|Ⅰm|Ⅰm|Ⅴ7|Ⅴ7|
|Ⅳm|Ⅳm|Ⅰm|Ⅰm|
■Gメジャー(平行調)
|Ⅱ7|Ⅱ7|Ⅴ7|Ⅴ7|
|Ⅱ7|Ⅱ7|Ⅴ7|Ⅴ7|

Aメロ繰り返し

エンディング(アレンジ)
|Ⅱm7|Ⅱm7|Ⅰ|Ⅰ
|Ⅴ7|Ⅴ7|Ⅰ|Ⅴ7|
|Ⅱm7|Ⅱm7|Ⅰ|Ⅰ ♯Ⅰdim7|
|Ⅱm7|Ⅴ7|Ⅰ|Ⅰ|

※1 フレーズは♭Ⅵdim7の分解
※2 Ⅰdim7(トニックディミニッシュ)の代理
※3 EマイナーキーのⅤ7と共用

シンプルながら可憐で格調高い曲【コード進行のポイント】

全体的にコード進行はシンプルですが、Aメロの2つ目のコードが面白いですよね。

ここはGdim7(onD)というディミニッシュの解釈にすれば、Gdim7=A♯dim7=C♯dim7=Edim7というのが成立して如何様にも解釈可能となりますが、ベースにD音が鳴ってるので素直にD音をルートとしてD9(♯5)と解釈しても良いと思います。

ちなみにAメロ4段目のC♯dim7も転回するとGdim7になるので、上のGdim7(onD)=D9(♯5)と同じような音ですが、こちらはC#dim7=Gdim7でトニックディミニッシュ(Ⅰdim7)と解釈したほうが良さそうな使い方です。

トニックディミニッシュはⅡ7、Ⅳ7、♭Ⅵ7、Ⅶ7代理としても機能しますが、ドミナント的な用法もあって、ここでやられているようなⅤ7→Ⅰdim7→Ⅰというのはその典型的な流れなんですよね。

ブリッジからBメロにかけてCメジャーキー(下属調)→Aマイナーキー(平行調)→Eマイナーキー(属調)と転調して、元のGメジャーキー(平行調)へと戻っていきますが、このへんは一般的によく使われる関係調への転調です。

シンプルながら、人生の儚さと素晴らしさを感じさせる、可憐で格調高い曲ですよね。

すぎやまこういちさんのご冥福をお祈り申し上げます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました