古代祐三【ゲーム音楽作曲家列伝14】

ゲーム音楽作曲家列伝 第14回は1986年10月に日本ファルコムの『ザナドゥ シナリオ2』でデビュー、FM音源を駆使したPCゲーム音楽の中心的存在となった古代祐三さんを紹介します。

古代祐三さんプロフィール・略歴

本名:古代祐三(こしろ ゆうぞう)
通称:YK2
生年月日:1967年12月12日
作曲家デビュー:1986年10月(ザナドゥシナリオ2)
代表作品:イース1,2、アクトレイザー、ベアナックル、世界樹の迷宮シリーズ

古代さんは、お母さんがピアニスト、妹さんがバイオリニストというクラシック音楽一家に生まれ育ちました。

ご本人も子供時代はバイオリンやピアノを習っていて、お母さんの友人である久石譲さんに師事したこともあるそうです。

デビュー前

彼は高校時代にゲームが好きでPC-8801mkⅡSRで『ドルアーガの塔』の音楽を打ち込んだりしてたみたいですね。

その後『グラディウス』『スペースハリアー』などの音楽に感化されてゲーム業界に入っていくことになります。

1986年前半頃はマイコンBASICマガジン(ベーマガ)に『YK2』名義でゲーム音楽のプログラムリストを連載していました。

ファルコム時代

1986年の秋頃、古代さんは日本ファルコムに自作曲を持ち込みして採用され、その曲は『ザナドゥ・シナリオ2』(1986年10月発売)に収録されることになります。

そのすぐ後に『ロマンシア』が出ますが、開発はザナドゥシナリオ2と平行していたので、これに採用された曲も面接の時に持ち込んだものと思われます。

その後『イース』『ソーサリアン』『イース2』などを手掛けて1988年にファルコムを退社してフリーランスになります。

ファルコム時代も、ベーマガからの繋がりで電波新聞社の作品を手掛けていました。

1988~1990年のフリーランス時代の代表作としては『ザ・スキーム』『ミスティブルー』があります。

クラシック音楽が古代さんのバックボーンにあるのは間違いありませんが、PC88時代はロックぽいアレンジの曲が多いですよね。

FM音源の申し子

古代さんの特筆すべき点として、音色作りの巧みさがあります。

ベーマガ時代からPC-8801mkⅡSRでFM音源の音作りに習熟していて、当時の業界ではFM音源の音作りで右に出る人はおらず、あっという間にトップクリエイターになっていきました。

1990年末に出たスーパーファミコンの『アクトレイザー』でも、最初は使い慣れた88SRで作曲したくらい、PC88のFM音源を、それこそ体の一部になるくらい使い込んでいたんでしょう。

作曲能力の高さはもちろんですが、『FM音源の申し子』として地位を確立した作家と思います。

1990年代

古代さんは1990年に自らの制作会社『エインシャント』を立ち上げます。

1990年代に入ってからの古代さんの代表作に『アクトレイザー』と『ベアナックル』があります。

『アクトレイザー』はスーパーファミコン発売直後の作品で、これの開発時点ではスーパーファミコンのPCM音源のノウハウなど誰も持っていない状態での制作でした。

古代さんはそれまではFM音源でのシンセサウンド+ロックアレンジのスタイルが持ち味でしたが『スーパーファミコンのPCM音源でオーケストラサウンドに挑戦したい』という意欲をもってアクトレイザーの音楽制作に臨んだようです。

結果的に研究熱心な古代さんは、この時点では誰も真似ができない水準の音色と音楽・オーケストラアレンジを実現していて、上で述べた通り、これはゲーム音楽業界内ではかなりのインパクトだったようで、未だに開発エピソードがいろんなところで語られています。

アクトレイザーの音楽を聴いた植松伸夫さんがファイナルファンタジーⅣの音色を作り直した話は有名ですが、それほど楽曲と音色の完成度が高く、PC88のFM音源作品で第一人者だった古代裕三さんの名前をコンシューマーゲームの業界にも轟かせることになりました。

『アクトレイザー』でゲーム音楽におけるオーケストラサウンドの先駆けとなった古代さんは、この翌年には『ベアナックル』(1991年)でクラブミュージック系のサウンドを取り入れて、さらに時代の先をいきます。
このあたり物凄い情熱と勢いを感じますね。

2000年以降の活動

2000年以降は『湾岸ミッドナイト MAXIMUM TUNE』でアーケードゲームに進出したり、『悪魔城ドラキュラ ギャラリーオブラビリンス』に曲提供したりしますが、近年の代表作はアトラスの『世界樹の迷宮』シリーズでしょう。

世界樹の迷宮シリーズはゲームのコンセプトがレトロRPG回帰という面がありますが、音楽もFM音源時代のテイストが欲しいということで、古代さんが担当することになったようです。

古代さんは現在も株式会社エインシャントの代表としてゲーム音楽制作の第一線で活躍されています。

古代祐三さん作品の想い出

自分はベーマガ時代の古代さんのプログラムリストを見て、PC-8801mkⅡFRに打ち込んで演奏させたのが最初の音楽制作(?)経験なので、(一方的にですが)物凄く親近感をおぼえている作家さんです。

『ザナドゥ・シナリオ2』は発売日に買いましたが、オープニングとレベル9(だったかな)の曲だけ毛色がちがうな~、ちょっとロック調でカッコいいな~、と思っていたのが古代さん曲でした。

そのあと、ロマンシアとイースをプレイして両作品のタイトル曲に心動かされたのをおぼえています。

自分は『イース』のあと、しばらくゲームから離れていて、ソーサリアンもザ・スキームもやってないんですが、アクトレイザーはかなり後になってから(1998年頃?)プレイしています。

アクトレイザーは発売直後にやってたら印象全然違ってたと思います。
あの時点で、あれだけのオーケストラサウンドを実現したものは他になかったと思うので。

2000年以降で自分がプレイしたのは『悪魔城ドラキュラ ギャラリーオブラビリンス』です。

DS版ドラキュラシリーズは山根ミチルさんの音楽目当てでプレイしたんですが、古代さんが『ギャラリーオブラビリンス』に曲提供してるのを知って、『あー!古代祐三さん、今も活躍されてるんだ』と嬉しくなった記憶があります。

そのあと『世界樹の迷宮』や『セブンスドラゴン』のことを知ってプレイしたくなったんですが、その当時は色んなことに追われていて、プレイする機会を逃したまま、現在に至っています。

世界樹とナナドラは死ぬまでには絶対プレイします!!
自分、そういうの多いなw

古代祐三さん作曲作品

1986年

ザナドゥ・シナリオ2 (PC、ファルコム、一部)

ロマンシア (PC、ファルコム、一部)

迷宮への扉 (PC、電波新聞社)

1987年

お嬢様くらぶ(PC、ファルコム)

イース(PC、ファルコム)

ドラゴンスレイヤー4(PC、ファルコム)

ダークストーム(PC、電波新聞社)

ソーサリアン (PC、ファルコム)

1988年

イース2(PC、ファルコム)

マーズ(PC、電波新聞社)

ザ・スキーム(PC、ボーステック)

1989年

アルガーナ(PC、MNMソフトウェア)

ザ・スーパー忍(MD、セガ)

ボスコニアン(PC、電波新聞社、一部)

1990年

スライス(PC、MNMソフトウェア)

ミスティブルー(PC、エニックス)

アクトレイザー(SFC、クインテット)

1991年

ベアナックル(MD、セガ)

GG版ソニック・ザ・ヘッジホッグ(GG、セガ、GG版追加曲)

The・GG・忍(GG、セガ)

1992年

The・GG・忍2(GG、セガ)

バットマン リターンズ(GG、セガ、川島基宏と共作)

アイオブ・ザ・ビホルダー(PC、カプコン)

GAGE(PC、MNMソフトウェア、川島基宏・依田彰子と共作)

1993年

ベアナックル2(MD、セガ、川島基宏と共作)

スラップファイトMD(MD、MNMソフトウェア)

アクトレイザー2(SFC、クインテット、川島基宏と共作)

1994年

ベアナックル3(MD、セガ 、川島基宏と共作)

ストーリー・オブ・トア〜光を継ぐ者(MD、セガ)

1995年

卍PSY幽記(PC、プライムシステム開発、川島基宏と共作)

1996年

トア〜精霊王紀伝(SS、セガ、川島基宏と共作)

バトルバ(SS、ビクター、川島基宏と共作)

ゾーク・ワン (SS/PS、翔泳社、川島基宏と共作)

1997年

カルドセプト(SS、大宮ソフト)

1998年

フォックスジャンクション(PS、TRIPS、川島基宏・井内竜次と共作)

1999年

シェンムー 第一章・横須賀(DC、セガ)

2001年

激闘!カーバトラーGO!!(GBA、ビクター)

湾岸ミッドナイト(AC、ナムコ)

2004年

湾岸ミッドナイト MAXIMUM TUNE(AC、ナムコ)

ドカポン・ザ・ワールド(PS2、アスミック)

カイジュウの島(GC、セガ )

2005年

湾岸ミッドナイト MAXIMUM TUNE 2(AC、ナムコ )

NAMCO x CAPCOM(PS2、モノリスソフト、一部)

2006年

ダンス・ダンス・レボリューション STRIKE(PS2、コナミ、1曲)

うえきの法則~倒すぜロベルト十団!! (PS2、バンダイ)

悪魔城ドラキュラ ギャラリー オブ ラビリンス (DS、コナミ、一部)

2007年

世界樹の迷宮(DS、アトラス)

Fuzion Frenzy2(Xbox360、ハドソン)

少女魔法学リトルウィッチロマネスク(PS2、サクセス、ボーカル曲)

湾岸ミッドナイト MAXIMUM TUNE 3(AC、バンダイナムコ)

ロストレグナム~魔窟の皇帝(PSP、アーテイン)

2008年

世界樹の迷宮2~諸王の聖杯(DS、アトラス)

湾岸ミッドナイト MAXIMUM TUNE 3DX(ACバンダイナムコ)

2009年

セブンスドラゴン(DS、セガ)

邪聖剣ネクロマンサー2(携帯電話、ハドソン)

勇者30(PSP、マーベラス)

ドラゴンボールオンライン(PC、NTL)

2010年

湾岸ミッドナイト MAXIMUM TUNE 3 DX PLUS(ACバンダイナムコ)

世界樹の迷宮3~星海の来訪者(DS、アトラス)

まもって騎士(Xbox360、エインシャント)

邪聖剣ネクロマンサー NIGHTMARE REBORN(DSi、ハドソン)

クリミナルガールズ(PSP、日本一ソフトウェア、主題歌)

RPG脱出ゲーム(DSi、ハドソン、1曲)

2011年

セブンスドラゴン2020(PSP、セガ)

湾岸ミッドナイト MAXIMUM TUNE4(AC、バンダイナムコ)

2012年

新・光神話 パルテナの鏡(3DS、任天堂、桜庭統・岩垂徳行と共作)

世界樹の迷宮4~伝承の巨神(3DS、アトラス)

時と永遠〜トキトワ(PS3、バンダイナムコ)

レイトンブラザーズ・ミステリールーム(iOS、レベルファイブ)

スライダーガールズ(iOS版、NTL、テーマ曲)

2013年

セブンスドラゴン2020-2nd(PSP、セガ)

新・世界樹の迷宮~ミレニアムの少女(3DS、アトラス)

Momoiro Billionaire!〜ぱいろん meets大富豪(PC、エクストリーム)

ドラゴンスピン(Android、mobcast、メインBGM)

ドリフトスピリッツ(iOS/Android、バンダイナムコ、1曲)

2014年

湾岸ミッドナイト MAXIMUM TUNE5(AC、バンダイナムコ)

ミリオンチェイン(iOS/Android、サイバーエージェント、一部)

ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス(3DS、アトラス、一部)

みんなでまもって騎士~姫のトキメキらぷそでぃ(エインシャント)

2015年

世界樹と不思議のダンジョン(3DS、アトラス)

セブンスドラゴン3(3DS、セガ)

CHUNITHM(AC、セガ、1曲)

湾岸ミッドナイト MAXIMUM TUNE 5DX (AC、バンダイナムコ)

2016年

クリスタル・オブ・リユニオン(Android/iOS、gumi)

Heaven×Inferno(Android/iOS、NTTドコモ)

宇宙最大の地底最大の作戦(PC、マインドウェア)

世界樹の迷宮5~長き神話の果て(3DS、アトラス)

パズドラクロス(3DS、ガンホー)

キラキラスターナイトDX(FC互換機、コロンバスサークル、1曲)

2017年

世界樹と不思議のダンジョン2(3DS、アトラス)

2018年

世界樹の迷宮X~クロス(3DS、アトラス)

とある魔術の電脳戦機(PS4、セガ)

湾岸ミッドナイト MAXIMUM TUNE 6(AC、バンダイナムコ)

2019年

アルカ・ラスト~終わる世界と歌姫の果実(Android、フジゲームス、一部)

Monster Boy and the Cursed Kingdom(SW/PS4/XBox360、セガ、一部)

※略号
AC=アーケードゲーム
FC=ファミコン
GB=ゲームボーイ
GG=ゲームギア
PCE=PCエンジン
MD=メガドライブ
SFC=スーパーファミコン
PS=プレイステーション
SS=セガサターン
DC=ドリームキャスト
GBA=ゲームアドバンス
PS2=プレイステーション2
PSP=プレイステーションポータブル
GC=ゲームキューブ
DS=ニンテンドーDS
DSi=ニンテンドーDSiウェア
3DS=ニンテンドー3DS
SW=ニンテンドーSWITCH
PC=パソコン

古代祐三さんの楽曲 ソロギターアレンジ

古代祐三さんの曲 ソロギターアレンジ
古代祐三さんの手掛けたゲーム音楽のソロギターアレンジをまとめてあります。

ゲーム音楽作曲家列伝 前回

山下絹代【ゲーム音楽作曲家列伝13】
ゲーム音楽作曲家列伝 第13回は悪魔城ドラキュラ(初代)やメダロットシリーズを手掛けた山下絹代さんです。彼女はコナミ入社までは作曲未経験だったそうです。

ゲーム音楽作曲家列伝 次回

コナミ矩形波倶楽部【ゲーム音楽作曲家列伝15】
ゲーム音楽作曲家列伝 第15回は個人の作曲家ではなく、1980年代後半~90年代前半、全盛期のコナミのゲーム音楽を作っていた『コナミ矩形波倶楽部』の紹介です。