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アウトラン Splash Wave 【ギター演奏・コード分析44】【夏曲その1】

難易度☆★★★★(難しい)

『夏曲』ということで選曲

1986年 アーケードゲーム
作曲:川口博司

アウトラン画面写真
(c)SEGA

今回は、季節的に『夏曲』をやりたいということで選曲しました。

本当は先週、録画・アップ予定でしたが、風邪で寝込んでしまい、一週間遅れました。

昨日くらいから急激に気温が上がって、そろそろ梅雨明けの気配ですね。
もうすぐ夏本番でしょ~。

というわけで、この夏のうちに何曲か夏曲を演奏していこうかと思います。
アツい演奏をしたいです!

爽やかなラテン・フュージョン【曲紹介】

アウトランは1986年にセガが発売したアーケードゲームです。
夏のビーチを走るドライブゲームで、爽やかなラテンフュージョン・アレンジのBGMが話題になりました。

超大型筐体! セガ体感シリーズ

この年代セガは『体感型』のアーケードゲーム筐体をシリーズ化して次々にヒットさせていました。

1985年夏の『ハングオン』に始まり
『スペースハリアー』
『アウトラン』
『アフターバーナー』
と続きます。

セガ体感シリーズの特長は超大型の筐体とFM音源・PCMリズム音源+大型スピーカーによる迫力のサウンドでした。

筐体はコックピットや運転席型になっていました。
この手の大型筐体の元祖は、ナムコの『ポールポジション』(1982年)ですが、セガのものはゲームの動きに合わせて筐体ごとグリグリと動いたりしました。

筐体も高価だったと思いますが、当時のゲーセンは競って導入していたので、その派手な見た目による集客高価は高かったんだと思います。
自分もかなりの金額お布施しています。

この『アウトラン』は、セガ体感シリーズ第3弾ですが、自分は1985年~1987年あたりがゲーセン通い最盛期でまさにど真ん中なんですよね。

セガ体感シリーズのサウンド

セガ体感シリーズのもう1つの特長であるサウンドですが、第1弾のハングオンの段階からFM音源を導入(業界二番目)。
スペースハリアーではドラムスパートにPCM音源を採用しています。

当時最先端の音源と大型筐体を生かした大型のスピーカーで迫力あるサウンドを実現していました。

セガ体感シリーズの音楽を担当した『ヒロ師匠』こと川口博司さんはハングオンで専任作曲家としてデビュー。
スペースハリアー、アウトラン、アフターバーナーといった、セガ体感シリーズの楽曲は全て川口さんの手によるものです。

川口博司さんについては、以前演奏したスペースハリアーの記事も参照してください。

スペースハリアー メインテーマ【ギター演奏・コード分析15】
スペースハリアーのメインテーマをフラメンコギターアレンジで。この曲は自分の原点のひとつで、自分らしさが出せたアレンジと思います。作曲者の川口博司さん紹介・コード進行なども。

アウトラン三種のBGM

この『アウトラン』はセガ体感シリーズのなかでもとくに音楽に力が入っていて、BGMが三種類から選べたり、当時としてはアレンジが非常に凝っていて1ループが5分とか、一般の音楽くらいの長さがあったりで当時話題になりました。

アウトランのBGMは『Magical Sound Shower』『Splash Wave』『Passing Breeze』の三曲から選択できました。

Magical Sound Shower
カリビアンカラーが強く、サルサぽいアレンジで、スチールパン?もしくはビブラフォン?のソロをフューチャーしていました。当時のゲーム音楽でソロパートが入るのは珍しかったですね。哀愁のあるテーマメロディーが印象的で覚えやすいので、アウトランといえば、この曲という人も多いと思われます。

Splash Wave
8ビートで三曲の中ではロック寄りのアレンジですが、転調含みのコード進行と爽やかなメロディーセンスが光る曲です。今回はこれを演奏したので、またアレンジ解説で詳述します。

Passing Breeze
三曲の中では正統派フュージョンで一番落ち着いた曲調です。プッシュの効いたベースラインとキメの入りかたが1980年代当時のフュージョン音楽ぽいですよね!かなり後ろのほうでマイナーキーのCメロ(大サビ)が出てきたりします。

このように当時のゲーム音楽としては非常に凝ったもので、この時代のハードではメモリーに乗せ切れずにデータを圧縮しまくった上、アレンジを簡略化したらしいです。

でも、そこまでしてメインBGMを三曲収録したかったわけですね。

正直この三曲は甲乙つけがたいんですが、今回は『Splash Wave』をアレンジ演奏します!

フラメンコ流のルンバでアレンジ【ソロギター演奏】

ぱっと聴いた感じ、そこまで難しくなさそうなんですが、やってみたらかなり難しかったです。
コードやフレーズの採譜はそれほどの難易度ではないんですが、いざ通して演奏、となると大変でした。

まず、1ループ5分くらいあって長いです。
繰り返しが多い感じするので、ABC繰り返しをすっ飛ばして演奏しました。

オリジナル
イントロ→A→B→C→A→B→C→イントロ→C→コーダ→以下ループ

アレンジ
イントロ→A→B→C→イントロ→C→コーダ→アウトロ

Cメロ&コーダはメロディーが特徴的で『寄せては返す波』を表現してると感じます。
この曲の一番美味しいところと思います。

Cメロとコーダはずっと同じ循環コードで、似たようなフレーズを少しずつ変えながらやっています。

こういう部分を完全に暗譜する意味はあんまりないと思いますが、かといって、あまり適当にやると原曲とイメージが違ってきたり、メロディラインが変になって誤魔化し感がでてしまったりで、大筋のラインはアレンジを決めて弾くことにしました。
ここのアレンジと暗譜に一番時間がかかりました。

Out Run “スプラッシュ・ウェイブ” コード進行

イントロ
Am9 E7(onG♯) CM7(onG) D7(onF♯)
Am9 E7(onG♯) CM7(onG) D7(onF♯)
Am9 E7(onG♯) CM7(onG) D7(onF♯)
Am9 E7(onG♯) CM7(onG) D7(D上をUSTが半音上昇D D♯ E F F♯ G G♯ A)

※UST=アッパーストラクチャートライアド
分母も分子も和音の分数コードになります。

Aメロ
G G Dm6 Dm6
Am9 Am9 Em7 Em7
FM7 FM7 CM7 CM7
A♭9(onE♭) Ab9(onE♭) D7 D7

16小節繰り返し

Bメロ
FM7 FM7 Em7 Em7
FM7 FM7 Em7 Em7
FM7 FM7 CM7(onE) CM7(onE)
FM7 FM7 Em7 Em7

Cメロ
Dm7 G7 CM7 Am7/A7
Dm7 G7 CM7 A7
Dm7 G7 CM7 A7
Dm7 G7 CM7 D7

Aメロ、Bメロ、Cメロ繰り返し(演奏では省略)
イントロ繰り返し

コーダ(Cメロ+C’)
Dm7 G7 CM7 A7
Dm7 G7 CM7 A7
Dm7 G7 CM7 A7
Dm7 G7 CM7 A7

Dm7 G7 CM7 A7
Dm7 G7 CM7 A7
Dm7 G7 CM7 A7
Dm7 G7 CM7 CM7

アウトロ(イントロと同じで最後GM13)

コードアナライズ

イントロ
■Gメジャー
Ⅱm7 Ⅵ7 ⅣM7 Ⅴ7
Ⅱm7 Ⅵ7 ⅣM7 Ⅴ7
Ⅱm7 Ⅵ7 ⅣM7 Ⅴ7
Ⅱm7 Ⅵ7 ⅣM7 Ⅴ7(UST半音上昇)

Aメロ
Ⅰ7(CメジャーのV7と共用) Ⅰ7 ■Cメジャー Ⅱm6 Ⅱm6
Ⅵm7 Ⅵm7 Ⅲm7 Ⅲm7
ⅣM7 ⅣM7 ⅠM7 ⅠM7
■Gメジャー ♭Ⅱ7 ♭Ⅱ7 Ⅴ7 Ⅴ7

Aメロ繰り返し

Bメロ
■Cメジャー
ⅣM7 ⅣM7 Ⅲm7 Ⅲm7
ⅣM7 ⅣM7 Ⅲm7 Ⅲm7
ⅣM7 ⅣM7 ⅠM7 ⅠM7ⅣM7 ⅣM7 Ⅲm7 Ⅲm7

Cメロ
Ⅱm7 Ⅴ7 ⅠM7 Ⅵm7/Ⅵ7
Ⅱm7 Ⅴ7 ⅠM7 Ⅵ7
Ⅱm7 Ⅴ7 ⅠM7 Ⅵ7
Ⅱm7 Ⅴ7 ⅠM7 Ⅱ7(次のGメジャーのⅤ7と共用)

Aメロ×2、Bメロ、Cメロ繰り返し(演奏では省略)
イントロ繰り返し

コーダ
Ⅱm7 Ⅴ7 ⅠM7 Ⅵ7 7回繰り返し
Ⅱm7 Ⅴ7 Ⅰ Ⅰ
アウトロ(イントロと同じで最後ⅠM7)

前半のキーの判断が難しい【コード進行のポイント】

この曲はキーの判断が微妙です。
BメロとCメロはCメジャーキーですが、イントロとAメロはCメジャーとGメジャーどちらでも解釈できます。

イントロは最後にD7からのクロマチック上行が入って仕切り直しになるので何のキーにしても大丈夫そうです。

Am→E7で始まるのでAマイナーキーとしても良さそうですが、このコード進行の後にいろいろコードを弾いてみて自分はGメジャーが一番終止感あると感じたので、Gメジャーキーとしました。

アウトロでもイントロパターンを使いましたが、最後はGコードで終わらせています。
イントロはAマイナーやCメジャーの解釈でもいいと思います。

Aメロの解釈が難しいんですが、イントロ同様にGメジャー、Cメジャーどちらでも解釈可能です。

二つ目のDm6はG7(onD)という解釈もできます。

FM7が出てくるとCメジャーに寄りますがGメジャーでの♭ⅦM7解釈もありです。

その後のA♭9(onE♭)がこの曲中で一番難解なコードです。
原曲ではシンセでCm7♭5、ベースでEb音を出していて、そのままとるとCm7♭5(onE♭)なんですが、このままだと解釈が難しいです。

展開形やら色々考えると、E♭m6、A♭9(onE♭)の2つが考えられます。

  • E♭m6→Gメジャーキーの♭Ⅵm(ノンダイアトニック系代理コード)
  • A♭9→Gメジャーキーの♭Ⅱ7またはCメジャーキーの♭Ⅵ7(コードスケール的には♭Ⅵリディアンがドミナント7th化してリディアン7thになる)

ここではA♭9(onE♭)でGメジャーキーの♭Ⅱ7としました。

Aメロ部分をまとめて一覧にしてみます。

Gメジャーキーでとった場合
Ⅰ→Ⅰ7→Ⅱm7→Ⅵm7
♭ⅦM7→ⅣM7→♭Ⅱ7(または♭Ⅵm6)→Ⅴ7

Cメジャーキーでとった場合
Ⅴ→Ⅱm7→Ⅵm7→Ⅲm7
ⅣM7→ⅠM7→♭Ⅵ7→Ⅱ7

という感じでCメジャーキーとGメジャーキー、結局はどちらでも行けます。

普通はメロやテンションで判断するんですが、この場合メロ・テンションともにどちらでもいけるような音です。
敢えてそうやってキールートをボカしている感じですね。

どうやって判断したかというと

  • AメロはGで始まってD7で終わっている。さらに繰り返し時はそのままD7→Gと繋がっているので頭のGのルート感は強い
  • 頭のGコードは原曲は7thが出てないので7thを当てて弾いてみた。結果、M7とドミナント7thどちらでもありな雰囲気。自分はどちらかというとドミナント7thのほうがしっくりきた
  • 2つ目のDm6と7つ目のA♭9(onE♭)で少し転調感がある

以上のことから

最初のコードはGメジャーのⅠ7とCメジャーのⅤ7のピボット

2つ目のDm6からはっきりとCメジャーキー

7つ目のA♭7(onE♭)でGメジャーキー

という解釈になりました。まあ、属調関係なので一時的転調の解釈でもokですよね。

その他の部分のコードはとくに難しいところは無いです。

Hiro師匠=川口博史さんの曲 ソロギターアレンジ

スペースハリアー メインテーマ【ギター演奏・コード分析15】
スペースハリアーのメインテーマをフラメンコギターアレンジで。この曲は自分の原点のひとつで、自分らしさが出せたアレンジと思います。作曲者の川口博司さん紹介・コード進行なども。
アウトラン Passing Breeze【ギター演奏・コード分析46】【夏曲その3】
夏曲第3弾。アウトランより『Passing Breeze』を演奏します。ボサノバ・フラメンコに寄せてギター音楽化を試みています。コード進行、曲名の謎なども解説。

コメント

  1. ppp より:

    Magical Sound Showerのソロはビブラフォンじゃなくてスティールパンじゃないでしょうか?
    私はずっとそう思って聞いていました。

    • BGM より:

      pppさん、ご無沙汰です!
      やはりスチールパンかなぁ?
      実は自分も当初そう思ってて、最初記事アップした時もそう書いてたんですが、
      確認のために改めてよく聴いてみると、あれ?これってビブラブォンじゃね?と思って書き直したんですよね。
      時間のあるときに、いろいろ音源聴いて検証してみようかな。
      保留ということで記事は少し変えておきます。

  2. ppp より:

    ご無沙汰しております。
    ソロの件ですが、アーケード版はスチールパン、メガドライブ版はビブラフォンのように聞こえます。
    これは、どっちでもありですかね。
    Splash Waveの演奏、素晴らしかったです。
    アレンジも演奏もお見事ですね。
    他の曲もいつか、お願いします。