発売年月:1995年10月
機種:スーパーファミコン(Super Nintendo)
メーカー:クエスト(Quest)
タイトル名:タクティクスオウガ(Tactics Ogre:Let Us Cling Together)
曲名:明るい週末(Passing Moment)
作曲:崎元仁(Hitoshi Sakimoto)
演奏難易度:☆★★★★(難しい)
ゲーム音楽ソロギター演奏動画・コード進行解説の第20弾はタクティクスオウガのエンディング曲「Passing Moment」です。
「Passing Moment」は「明るい週末」という邦題が付いていますが、エンディングの最後のスタッフロール時に流れる、壮大なストーリーを締めくくるのに相応しい名曲です。
エンディング・スタッフロールで流れる曲【曲紹介】
タクティクスオウガはスーパーファミコン末期の1995年10月に発売されたシミュレーションRPGで、ゲーム自体も稀に見る完成度の名作です。
開発のクエストという会社はボーステックが再編されて出来た会社です。
音楽は崎元仁さんと岩田匡治さんが担当。
「Passing Moment」は崎元仁さんの作で、ご本人がインタビューで「作曲に苦労した曲」として語られています。
この二人は同人活動時代からの盟友であり、伝説のオウガバトル(1993年)からはじまるオウガ・シリーズの音楽は全てこの二人のコンビによるよるものです。
タクティクスオウガはシナリオも非常によく出来ていて、その場面場面で印象的な音楽が流れます。
RPGの音楽の場合、そうした演出込みで曲が印象付けられる「思い出補正効果」が大きいんですが、それを抜きにしても、素晴らしい音楽です。
アレンジは全体的にオーケストラや吹奏楽中心のクラシカルな楽器編成ですが、曲内容はモダンなコード進行かつメロディが強いものが多く、自分はかなり好みのサウンドで、スーパーファミコン音源とも良くマッチしています。
「Passing Moment」の他にも、オープニングタイトル「Overture」(伝説のオウガバトルのOPでも使用されているシリーズのテーマ曲的なもの)、バッドエンディングの「Reminiscence」「ブラックナイトのテーマ」「A Cygnet」あたりが特に印象に残っています。
テンポを少しづつ上げながら演奏【ソロギター演奏】
原曲はもう少し長いんですが、弾いていてBメロの繰り返しが多すぎるように感じたので(コーダ入れて6回登場)、ちょっと繰り返しを減らしてます。
この曲、同じモチーフを繰り返しながらだんだんテンポが上がっていくんですが、それを再現するためにリズムトラックは無しでやりました。
でも、後で聴いてみると単にリズムが走っているように聴こえたり、完全ソロギターでのこういう微妙なリズムコントロールは本当にむずいですねー。
似たようなリズムコントロールの曲で、モンハンP2「ポッケ村のテーマ」の時はわりといい感じで弾けたんですが、これは難しかったです。
Passing Moment コード進行
イントロ(Aメロバリエーション)
|Gadd9|A(onG)|F♯m7|Bm7|
|A♭m7(♭5)|G69|F♯m7|B7sus4 B7|
|E7sus4 Em7|B♭M7 Gm7|A7sus4|A7|
Bメロ
|F|B♭M7|Am7(onC) A7(onC♯)|Dm9|
|B♭M7|E♭7|E7sus4 E7|Asus4 A|
Aメロ
|Gadd9|A(onG)|F♯m7|Bm7|
|GM7|A(onG)|F♯m7|B7sus4 B7|
|Em7|B♭M7 Gm7|A7sus4|A7|
Bメロ(オクターブ上)
Bメロ(演奏では省略)
ブリッジ
|Dm|Am7 A7|Dm|Am7|
|A♭|B♭|E♭7sus4|E♭7|Dsus4 D|
Aメロバリエーション
|G|A|F♯m7|Bm7|
|A♭m7(♭5)|G6|F♯m7|B7sus4 B7|
|Em7|B♭M7 Gm7|A7sus4|A7|
Bメロ(演奏では省略)
コーダ
|F|B♭M7|Am7 A7(onC♯)|Dm9|
|B♭|E♭7|D♭M7|G♭M7 A♭M9|
|B♭ B D♭ A♭|B♭ B D♭ A♭|
|B♭ B D♭ D♭|D♭ B A♭ B|
|B♭ B D♭ A♭|B♭ B D♭ A♭|
|B♭ B D♭ D♭|D♭ B A♭ B|
|B♭add9|
コード進行分析
イントロ(Aメロバリエーション)
■Dメジャー
|Ⅳ|Ⅴ|Ⅲm7|Ⅵm7|
|♯Ⅳm7(♭5)|Ⅳ|Ⅲm7|Ⅵ7|
|Ⅱm7|♭ⅥM7 Ⅳm7|Ⅴ7|Ⅴ7|
Bメロ
■Fメジャー
|Ⅰ|ⅣM7|Ⅲm7 Ⅲ7|Ⅵm7|
|ⅣM7|♭Ⅶ7※1|
■Dメジャー
|Ⅱ7|Ⅴ7|
Aメロ
|Ⅳ|Ⅴ|Ⅲm7|Ⅵm7|
|ⅣM7|Ⅴ|Ⅲm7|Ⅵ7|
|Ⅱm7|♭ⅥM7 Ⅳm7|Ⅴ7|Ⅴ7|
Bメロ(オクターブ上)
■Fメジャー
|Ⅰ|ⅣM7|Ⅲm7 Ⅲ7|Ⅵm7|
|ⅣM7|♭Ⅶ7※1|
■Dメジャー
|Ⅱ7|Ⅴ7|
Bメロ(演奏では省略)
ブリッジ
■Dマイナー
|Ⅰ|Ⅴm Ⅴ7|Ⅰ|Ⅴm|
■E♭メジャー
|Ⅳ Ⅵm7|Ⅴ|
■A♭メジャー
|Ⅴ7※2|■Gメジャー Ⅴ7|
Aメロバリエーション(オクターブ上)
■Dメジャー
|Ⅳ|Ⅴ|Ⅲm7|Ⅵm7|
|♯Ⅳm7(♭5)|Ⅳ|Ⅲm7|Ⅵ7|
|Ⅱm7|♭ⅥM7 Ⅳm7|Ⅴ7|Ⅴ7|
Bメロ(演奏では省略)
コーダ
■Fメジャー
|Ⅰ|ⅣM7|Ⅲm7 Ⅲ7|Ⅵm7|
|ⅣM7|♭Ⅶ7|
■B♭メジャー※3
|♭ⅢM7|♭ⅥM7 ♭ⅦM7|
■B♭スパニッシュ
|Ⅰ ♭Ⅱ ♭Ⅲ ♭Ⅶ|
|Ⅰ ♭Ⅱ ♭Ⅲ ♭Ⅶ|
|Ⅰ ♭Ⅱ ♭Ⅲ Ⅱ|
|♭Ⅲ ♭Ⅱ ♭Ⅶ ♭Ⅱ|
|Ⅰ ♭Ⅱ ♭Ⅲ ♭Ⅶ|
|Ⅰ ♭Ⅱ ♭Ⅲ ♭Ⅶ|
|Ⅰ ♭Ⅱ ♭Ⅲ Ⅱ|
|♭Ⅲ ♭Ⅱ ♭Ⅶ ♭Ⅱ|
■B♭メジャー
|Ⅰadd9|
※1 Dメジャーキーの♭Ⅱ7と共用。E7へ半音進行
※2 E♭メジャーキーのⅠ7。Gメジャーキーの♭Ⅵ7と共用
※3 B♭マイナーキー系のコードしか出てこないが、前後の流れからB♭メジャーキーで解釈
DメジャーとFメジャーで交互に転調【コード進行のポイント】
複雑な構成に見えますが、基本DメジャーキーのAメロとFメジャーキーのBメロが交互に出てきて、その間に展開部のブリッジが挟まるという構成で、下記のようになっています。
原曲
A→B→A→B→B→ブリッジ→A→B→B→コーダ
演奏
A→B→A→B→ブリッジ→A→B→コーダ
DメジャーキーとFメジャーキーは短3度転調です。短3度転調は同主調転調と表裏の関係にあり、基本的な転調の一つです。
ブリッジではDメジャーキー→Dマイナーキーの同主調転調から、ちょっと込み入った転調を挟んで、またDメジャーキーに戻しています。
素直にDメジャーキー一発で行かないところが崎元さんの作曲の特徴ですね。このパートがあるおかげで曲としてのまとまり・完成度が数段上がってます。
コーダ後半はコード進行というより、B♭のスパニッシュ調(フィリジアン)のモチーフを、らトライアッドコードの平行移動でハーモナイズしている、という感じです。ギターだとこういうの、わりと簡単なんですが、鍵盤だと難しそう。
そして最後はB♭メジャーキーで終わるという捻りをきかせています。
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