アウトラン「Splash Wave」【ギター演奏・コード進行44◆2019年夏曲】

アウトラン Splash Wave
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発売年月:1986年9月
機種:
アーケードゲーム(Arcade Game)
メーカー:
セガ(SEGA)
タイトル名:アウトラン(OutRun)
曲名:スプラッシュ・ウェイブ(Splash Wave)
作曲:川口博史(Hiroshi Kawaguchi”Hiro師匠”)
演奏難易度:☆★★★★(難しい)

ゲーム音楽ソロギター演奏動画・コード進行解説の第44弾は、アウトランより「Splash Wave」です。

今回は、季節的に「夏曲」をやりたいということで、熱いラテンフュージョン調のアウトランの楽曲より選曲しました。

本当は先週に録画・アップ予定でしたが、風邪で寝込んでしまって1週間遅れました。

昨日くらいから急激に気温が上がって、そろそろ梅雨明けの気配ですね。もうすぐ夏本番でしょー。

というわけで、この夏のうちに何曲か夏曲を演奏していこうかと思います。アツい演奏をしたいです!

アウトラン作品概要

アウトランは1986年にセガが発売したアーケードゲームです。

夏のビーチを走るドライブゲームで、爽やかなラテンフュージョン・アレンジのBGMが話題になりました。

超大型筐体!セガ体感シリーズ

この年代セガは「体感型」のアーケードゲーム筐体をシリーズ化して次々にヒットさせていました。

セガの体感ゲームシリーズは1985年7月のハングオンに始まり、スペースハリアー、アウトラン、アフターバーナーと続きます。

セガ体感シリーズの特長は超大型の筐体とFM音源・PCMリズム音源+大型スピーカーによる迫力のサウンドでした。

筐体はコックピットや運転席型になっていましたよね。

この手の大型筐体の元祖は、ナムコのポールポジション(1982年)ですが、セガのものはゲームの動きに合わせて筐体ごとグリグリと動いたりしました。

筐体も高価だったと思いますが、当時のゲーセンは競って導入していたので、その派手な見た目による集客高価は高かったんだと思います。自分もかなりの金額お布施しています。

本作、アウトランはセガ体感シリーズ第3弾ですが、自分は1985年から1987年あたりがゲーセン通い最盛期でまさにど真ん中の時期なんですよね。

セガ体感シリーズのサウンド

セガ体感シリーズのもう1つの特長であるサウンドですが、第1弾のハングオンの段階からFM音源を導入(業界2番目)。

スペースハリアーではドラムスパートにPCM音源を採用しています。

当時最先端の音源と大型筐体を生かした大型のスピーカーで迫力あるサウンドを実現していました。

セガ体感シリーズの音楽を担当した「ヒロ師匠」こと川口博史さんはハングオンで専任作曲家としてデビュー。

スペースハリアー、アウトラン、アフターバーナーといった、セガ体感シリーズの楽曲は全て川口さんの手によるものです。

アウトラン3種のBGM

本作アウトランは、セガ体感シリーズのなかでもとくに音楽に力が入っていて、BGMが3種類から選べた上、当時としては非常に凝ったアレンジで、1ループが一般の音楽くらいの長さ(5分とか)があったりして、当時話題になりました。

アウトランのBGMは「Magical Sound Shower」「Splash Wave」「Passing Breeze」の3曲から選択できました。

以下、曲紹介です。

Magical Sound Shower
カリビアンカラーが強く、サルサぽいアレンジで、スチールパン?もしくはビブラフォン?のソロをフューチャーしていました。当時のゲーム音楽でソロパートが入るのは珍しかったですね。哀愁のあるテーマメロディーが印象的で覚えやすいので「アウトランといえば、この曲」という人も多いと思われます。

Splash Wave
8ビートのリズムで、3曲の中ではロック寄りのアレンジですが、転調含みのコード進行と爽やかなメロディーセンスが光る曲です。今回はこれを演奏したので、下のアレンジ解説で詳述します。

Passing Breeze
3曲の中では正統派フュージョンで一番落ち着いた曲調です。プッシュの効いたベースラインとキメの入りかたが1980年代当時のフュージョン音楽ぽいですよね!かなり後ろのほうでマイナーキーのCメロ(大サビ)が出てきたりします。

このように、当時のゲーム音楽としては非常に凝ったもので、この時代のハードではメモリーに乗せ切れずにデータを圧縮しまくった上、アレンジを簡略化したらしいです。

でも、そこまでしてメインBGMを3曲収録したかったわけですね。

正直この3曲は甲乙つけがたいんですが、今回は「Splash Wave」をアレンジ演奏します!

※結局3曲とも演奏したので、他の2曲も曲紹介に演奏へのリンクをつけておきました。

フラメンコ流のルンバでアレンジ【ソロギター演奏】

今回は本職のフラメンコに寄せたアレンジで、フラメンコの形式で言うとルンバタンゴのフィーリングで演奏しています。

この曲は、コードやフレーズの採譜はそれほどの難易度ではないんですが、演奏面でかなり苦労しました。

まず、1ループ5分くらいあって長いです。

曲が長くなると、決めたアレンジが弾き切れずに録り直し回数が増える傾向なので、ストレートに難易度が上がります。

原曲は繰り返しが多い感じがするので、ABC繰り返しをすっ飛ばして演奏しました。これで1分程度短縮。

オリジナル
イントロ→A→B→C→A→B→C→イントロ→C→コーダ→以下ループ

アレンジ
イントロ→A→B→C→イントロ→C→コーダ→アウトロ

Cメロ&コーダはメロディーが特徴的で「寄せては返す波」を表現してると感じますが、この曲の一番美味しいところと思います。

Cメロとコーダはずっと同じ循環コードで、似たようなフレーズを少しずつ変えながらやっています。

こういう部分を完全に暗譜する意味はあんまり無いのかもしれませんが、かといって、あまり適当にやると原曲とイメージが違ってきたり、メロディラインが変になって誤魔化し感が出てしまったりしまうんですよね。

そこで、この部分は大筋のラインをアレンジを決めて弾くことにしましたが、ここのアレンジと暗譜に一番時間がかかりました。

Splas Wave コード進行

イントロ
|Am9|E7(onG♯)|CM7(onG)|D7(onF♯)|
|Am9|E7(onG♯)|CM7(onG)|D7(onF♯)|
|Am9|E7(onG♯)|CM7(onG)|D7(onF♯)|
|Am9|E7(onG♯)|CM7(onG)|D7※1|

Aメロ
|G|G|Dm6|Dm6|
|Am9|Am9|Em7|Em7|
|FM7|FM7|CM7|CM7|
|A♭9(onE♭)|A♭9(onE♭)|D7|D7|
|G|G|Dm6|Dm6|
|Am9|Am9|Em7|Em7|
|FM7|FM7|CM7|CM7|
|A♭9(onE♭)|A♭9(onE♭)|D7|D7|

Bメロ
|FM7|FM7|Em7|Em7|
|FM7|FM7|Em7|Em7|
|FM7|FM7|CM7(onE)|CM7(onE)|
|FM7|FM7|Em7|Em7|

Cメロ
|Dm7|G7|CM7|Am7 A7|
|Dm7|G7|CM7|A7|
|Dm7|G7|CM7|A7|
|Dm7|G7|CM7|D7|

Aメロ・Bメロ・Cメロ繰り返し(演奏では省略)

イントロ繰り返し

コーダ(Cメロ+C’)
|Dm7|G7|CM7|A7|
|Dm7|G7|CM7|A7|
|Dm7|G7|CM7|A7|
|Dm7|G7|CM7|A7|
|Dm7|G7|CM7|A7|
|Dm7|G7|CM7|A7|
|Dm7|G7|CM7|A7|
|Dm7|G7|CM7|CM7|

アウトロ
|Am9|E7(onG♯)|CM7(onG)|D7(onF♯)|
|Am9|E7(onG♯)|CM7(onG)|D7(onF♯)|
|Am9|E7(onG♯)|CM7(onG)|D7(onF♯)|
|Am9|E7(onG♯)|CM7(onG)|D7(onF♯)|
|GM13|

※1 D7上をアッパーストラクチャートライアドが半音上行

コード進行分析

イントロ
■Gメジャー
|Ⅱm7|Ⅵ7|ⅣM7|Ⅴ7|
|Ⅱm7|Ⅵ7|ⅣM7|Ⅴ7|
|Ⅱm7|Ⅵ7|ⅣM7|Ⅴ7|
|Ⅱm7|Ⅵ7|ⅣM7|Ⅴ7※1|

Aメロ
|Ⅰ7※2|Ⅰ7|
■Cメジャー
|Ⅱm|Ⅱm|
|Ⅵm7|Ⅵm7|Ⅲm7|Ⅲm7|
|ⅣM7|ⅣM7|ⅠM7|ⅠM7|
■Gメジャー
|♭Ⅱ7|♭Ⅱ7|Ⅴ7|Ⅴ7|
|Ⅰ7※2|Ⅰ7|
■Cメジャー
|Ⅱm|Ⅱm|
|Ⅵm7|Ⅵm7|Ⅲm7|Ⅲm7|
|ⅣM7|ⅣM7|ⅠM7|ⅠM7|
■Gメジャー
|♭Ⅱ7|♭Ⅱ7|Ⅴ7|Ⅴ7|

Bメロ
■Cメジャー
|ⅣM7|ⅣM7|Ⅲm7|Ⅲm7|
|ⅣM7|ⅣM7|Ⅲm7|Ⅲm7|
|ⅣM7|ⅣM7|ⅠM7|ⅠM7|
|ⅣM7|ⅣM7|Ⅲm7|Ⅲm7|

Cメロ
|Ⅱm7|Ⅴ7|ⅠM7|Ⅵm7 Ⅵ7|
|Ⅱm7|Ⅴ7|ⅠM7|Ⅵ7|
|Ⅱm7|Ⅴ7|ⅠM7|Ⅵ7|
|Ⅱm7|Ⅴ7|ⅠM7|Ⅱ7※3|

Aメロ・Bメロ・Cメロ繰り返し(演奏では省略)

イントロ繰り返し

コーダ
■Cメジャー
|Ⅱm7|Ⅴ7|ⅠM7|Ⅵ7|
|Ⅱm7|Ⅴ7|ⅠM7|Ⅵ7|
|Ⅱm7|Ⅴ7|ⅠM7|Ⅵ7|
|Ⅱm7|Ⅴ7|ⅠM7|Ⅵ7|
|Ⅱm7|Ⅴ7|ⅠM7|Ⅵ7|
|Ⅱm7|Ⅴ7|ⅠM7|Ⅵ7|
|Ⅱm7|Ⅴ7|ⅠM7|Ⅵ7|
|Ⅱm7|Ⅴ7|Ⅰ|Ⅰ|

アウトロ
■Gメジャー
|Ⅱm7|Ⅵ7|ⅣM7|Ⅴ7|
|Ⅱm7|Ⅵ7|ⅣM7|Ⅴ7|
|Ⅱm7|Ⅵ7|ⅣM7|Ⅴ7|
|Ⅱm7|Ⅵ7|ⅣM7|Ⅴ7|
|Ⅰ|

※1 Ⅴ7上をアッパーストラクチャートライアドが半音上行
※2 CメジャーキーのⅤ7と共用
※3 GメジャーキーのⅤ7と共用

前半部分のキーの判断が難しい【コード進行のポイント】

この曲はキーの判断が微妙です。

BメロとCメロは明らかにCメジャーキーですが、イントロとAメロはCメジャーキーとGメジャーキーのどちらでも解釈できます。

イントロに関しては、最後にD7からのクロマチック上行が入って仕切り直しになるので、どのキーで解釈しても大丈夫そうです。

Am→E7で始まるのでAマイナーキーとしても良さそうな感じもしますが、このコード進行の後にいろいろコードを弾いてみて、自分はGメジャーコードが一番終止感があると感じたので、Gメジャーキーとしました。

アウトロでもイントロパターンを使いましたが、この調性解釈に従って最後はGコードで終わらせています。

そして、Aメロの解釈が一番難しいんですが、イントロ同様にGメジャー、Cメジャーどちらでも解釈可能です。

2つ目のDm6はG7(onD)という解釈もできますよね。

5つ目のコードのFM7が出てくるとCメジャーキーに寄りますが、Gメジャーキーでの♭ⅦM7解釈もありです。

その後のA♭9(onE♭)がこの曲中で一番難解なコードです。

原曲ではシンセでCm7(♭5)、ベースでE♭音を出していて、そのままとるとCm7(♭5)(onE♭)なんですが、ディグリーで考えるとCメジャーキーならⅠm7(♭5)、GメジャーキーならⅣm7(♭5)となり、どちらのキーでとったとしても解釈が難しい感じです。

そこで、展開形の可能性を考えると、E♭m6、A♭9(onE♭)の2つが考えられます。

E♭m6
Gメジャーキーの♭Ⅵm(ノンダイアトニック系代理コード)

A♭9
Gメジャーキーの♭Ⅱ7またはCメジャーキーの♭Ⅵ7

自分はGメジャーキー♭Ⅱ7のA♭9(onE♭)としました。

以上の事を踏まえて、Aメロ部分の解釈をまとめてみます。

Gメジャーキーでとった場合
Ⅰ→Ⅰ7→Ⅱm7→Ⅵm7
♭ⅦM7→ⅣM7→♭Ⅱ7(または♭Ⅵm6)→Ⅴ7

Cメジャーキーでとった場合
Ⅴ→Ⅱm7→Ⅵm7→Ⅲm7
ⅣM7→ⅠM7→♭Ⅵ7→Ⅱ7

こんな感じでCメジャーキーとGメジャーキー、結局はどちらでも行けます。

普通はメロディーやテンションで判断するんですが、この場合メロディー・テンション共に、どちらのキーでもいけるような音です。

敢えてそうやってキーをボカしている感じでしょうか。

今回、Aメロ部分はGメジャーキーとCメジャーキーの混合としましたが、属調関係なので一時的転調の解釈でもokですよね。

コメント

  1. ppp より:

    Magical Sound Showerのソロはビブラフォンじゃなくてスティールパンじゃないでしょうか?
    私はずっとそう思って聞いていました。

    • BGM より:

      pppさん、ご無沙汰です!
      やはりスチールパンかなぁ?
      実は自分も当初そう思ってて、最初記事アップした時もそう書いてたんですが、
      確認のために改めてよく聴いてみると、あれ?これってビブラブォンじゃね?と思って書き直したんですよね。
      時間のあるときに、いろいろ音源聴いて検証してみようかな。
      保留ということで記事は少し変えておきます。

  2. ppp より:

    ご無沙汰しております。
    ソロの件ですが、アーケード版はスチールパン、メガドライブ版はビブラフォンのように聞こえます。
    これは、どっちでもありですかね。
    Splash Waveの演奏、素晴らしかったです。
    アレンジも演奏もお見事ですね。
    他の曲もいつか、お願いします。

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