つんく♂(寺田光男)【ゲーム音楽作曲家列伝番外編17】

ゲーム音楽作曲家列伝ではゲーム音楽がメインの邦人作曲家を紹介してきましたが、「番外編」としてゲーム音楽の活動がメインではない作曲家や外国人作曲家の紹介をしています。

今回は、つんく♂こと寺田光男さんとゲーム音楽の関わりについての考察です。

つんく♂さんは1990年代にシャ乱Qで活動後、「モーニング娘。」を始めとするハロープロジェクト関連グループをプロデュースして大ブレイクさせた方で、小室哲哉さんや秋元康さんと並ぶ超大物音楽プロデューサーですが、ゲーム音楽に関しては、つんく♂さん自らプロデュースした音楽ゲーム、リズム天国シリーズ(任天堂)が有名です。

つんく(寺田光男)さんプロフィール・略歴

本名:寺田光男(てらだ みつお)
通称:つんく♂
生年月日:1968年10月21日
ゲーム音楽作曲家デビュー:2006年8月(リズム天国)
ゲーム音楽代表作品:リズム天国シリーズ、イナズマイレブンシリーズ

つんく♂(本名、寺田光男)さんの経歴についてですが、超有名人ということで他に詳しいサイトも沢山ありますので、ここでは重要な部分だけダイジェスト版にまとめました。

つんく♂さんの実家は乾物屋で、とくに音楽一家というわけではなく、中学2年の頃ビートルズに影響されてギターを始めたのが最初の音楽歴だったようです。

大学卒業後、当初は普通に就職予定だったのが、やはり、どうしても音楽活動がしたかったということで、家族には2年間という約束で本格的な音楽活動をすることになります。

そして、1988年の末にシャ乱Qを結成してボーカリスト・コンポーザーとして活動を開始。1992年にメジャーデビューを果たしました。

1997年頃からはハロープロジェクト第1弾グループである「モーニング娘。」のプロデュースを(ハロープロジェクト関連は2014年までメインプロデューサーを務める)、1999年からはソロ活動を開始。その後、2000年にシャ乱Qの活動休止が発表され(2006年と2013年に期間限定ですがシャ乱Qの活動を再開しています)、つんく♂さんはソロ活動・プロデューサー業・タレント業に専念する事となります。

2006年にはTNX(ティーエネックス)株式会社を設立し、今まで以上にプロデューサー業に力を入れ、この時期からゲーム音楽の仕事も受注するようになりました。

しかし、TNXを設立した少し後の2007年頃から声が出にくいなど、喉の不調に悩まされるようになります。

喉の不調は良くなったり悪くなったりを繰り返していたようですが、2015年には喉頭がんの治療のために声帯を摘出した事を公表。歌手として喉を酷使した事との因果関係は不明ですが、歌手が生きるために声を失うというのは、その心中は想像を絶するものがありますよね……。

そうした理由で歌手としては引退を余儀なくされてしまったのですが、その後もプロデューサー業・作曲家業は継続していて、直近ではアイドルユニット「Task have Fun」とのプロジェクトを始動(2020年より)したりと、音楽プロデューサーとして精力的に活動されています。

つんく♂さんとゲーム音楽

つんく♂さんの楽曲提供スタイルは、原則的に自分がプロデュースしたアーティスト・作品・イベントへの提供が中心となっていて外部への楽曲提供は数少ないのですが、これまでにアニメ・映画・TV・CMなどの他、ゲーム作品にも曲提供をしています。

つんく♂さんが手掛けたゲーム音楽の中で最もウェイトの大きいリズム天国シリーズに関しては、つんく♂さん自ら任天堂に企画を持ち込んでプロデュースした作品であり、開発に当たってゲームで表現しようとしているリズム感覚を理解させるために制作スタッフを集めて自らダンスレッスンを行ったという話もあります。

もう一つ、イナズマイレブン2&3(メインの作曲陣は光田康典さん、亀岡夏海さんら)のエンディングテーマ曲を提供していますが、前述の通り自分のプロデュース作品以外への曲提供はかなりレアなケースですよね。

リズム天国の楽曲

今回は、つんく♂さんが作ったゲーム音楽の代表作品としてリズム天国シリーズの音楽を解説しようと思います。

リズム天国シリーズは音楽ゲームであり、シリーズ累計で数百曲に及ぶ楽曲が収録されています。

作曲担当者はつんく♂さんの他に数人いて、つんく♂さんが全曲担当というわけではありませんが、ボーカル曲全曲とインスト曲の半分程度(残り半分は米政美さんら任天堂のサウンドスタッフが担当)を担当していて、リズム天国シリーズは実質「つんく♂未発表曲集」みたいな楽しみ方も出来るのではないでしょうか。

シリーズ収録曲の内、つんく♂さんの曲について、ボーカル曲はなんとなくイメージ出来るのですが、インスト曲もかなりの曲数を担当されていて、自分的にはとても興味深いものでした。

インスト曲もシリーズのゲーム性に合わせてリズミックで楽しい感じの楽曲が中心となっていますが、高インパクト曲が多いですよね。

リズム天国シリーズのつんく♂さん担当曲では以下の3曲がとくに有名です。ちなみに3曲ともボーカル曲です。

ドキッ!こういうのが恋なの? (リズム天国ゴールド)
本業プロデューサー業と同様のアイドルポップ路線。普通にヒットしそう。

ごっつぁん兄弟 (リズム天国 ザ・ベスト+)
テクノに「んなんな」言ってる緩いボーカル(つんく♂さん本人か?)が組み合わさった高インパクト曲。四股や張り手の音がバシバシいっていて気持ちいい。天才的。

ハチハチ リミックス「I’m a lady now」(リズム天国 ザ・ベスト+)
ファミコンぽい音色を使ったチップチューンアレンジにテクノ系ダンスビート、ケロケロエフェクトがかかった子供ボーカル(つんく♂さんの長女が歌っているそうで)という組み合わせの曲。やはり飛び抜けたポップセンスですよね。

なお、ここしばらくリズム天国シリーズの新作がリリースされていませんが、つんく♂さんご自身は新作のリリースを熱望していることをTwitterなどで表明しています。それでもなかなか新作が出ないのは何か大人の事情があるんでしょうかね。

つんく♂さんのゲーム音楽作曲作品

2006年

リズム天国(GBA、任天堂、米政美と共作)

2008年

リズム天国ゴールド(DS、任天堂、米政美と共作)

2009年

イナズマイレブン2 脅威の侵略者(DS、レベルファイブ、EDテーマ提供)

2010年

イナズマイレブン3 世界への挑戦!!(DS、レベルファイブ、EDテーマ提供)

2011年

みんなのリズム天国(Wii、任天堂、米政美/後田信二/伊藤明日香と共作)

2015年

リズム天国 ザ・ベスト+(3DS、任天堂、後田信二/伊藤明日香/高橋優海/井上萌と共作)

※略号
AC=アーケードゲーム
GBA=ゲームボーイアドバンス
DS=ニンテンドーDS
3DS=ニンテンドー3DS

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