安藤正容【ゲーム音楽作曲家列伝番外編11】

ゲーム音楽作曲家列伝では、ゲーム音楽がメインの作曲家を紹介してきましたが「番外編」として、ゲーム音楽の活動がメインではない作曲家や外国人作曲家の紹介をしています。

今回は、45年間に渡り、日本を代表するフュージョンバンド「T-SQUARE」のリーダーを務めてきたギタリストの安藤正容さん。ゲーム音楽では、アークザラッドシリーズとグランツーリスモシリーズに曲提供していて、その内容は素晴らしいものでした。

安藤正容さん プロフィール・略歴

本名:安藤正容(あんどう まさひろ)
生年月日:1963年3月18日
ゲーム音楽作曲家デビュー:1995年6月(アークザラッド)
ゲーム音楽代表作品:アークザラッドシリーズ、グランツーリスモシリーズ

安藤正容(安藤まさひろ)さんは小学校の時にクラシックギターを始めましたが、ギターに本格的に興味を持って練習し始めたのは高校に入学してからとのことです。

高校時代に地元名古屋のジャズ喫茶に通うようになり、その店のオーナーでギタリストの和田直さんと出会ったのが、プロギタリストを志すきっかけになりました。

大学(明治大学)時代はジャズ研に所属し、和田さんから紹介されたジャズギタリストの高柳昌行さんに師事。

そして、大学在学中の1976年にインストフュージョンバンド「THE SQUARE」(後のT-SQUARE)を結成します。

以降の安藤正容さんの音楽歴はTHE SQUARE=T-SQUAREの歩みとほぼイコールだと思いますので、ダイジェスト版でT-SQUARE46年間の活動の軌跡を紹介いたします。

T-SQUAREの軌跡

T-SQUAREは、前述の通り安藤さんが大学在学中の1976年に「THE SQUARE」(ザ・スクェア、スクェア)の名前で結成し、その後、伊東たけし(サックス)さんが加入。1978年にデビューアルバム『Lucky Summer Lady』をリリースして本格的な活動を開始しました。

1984年のアルバム『ADVENTURES』の収録曲がサントリーホワイトのCM曲(伊東たけしさんもこのCMに出演)に採用されてヒット。このあたりから、ザ・スクェアの知名度は一気に上がり、カシオペアと並んで日本を代表するフュージョンバンドへと成長していきます。

そして、1987年のアルバム『TRUTH』のタイトル曲が当時大ブームだったF1の中継番組(フジテレビ)のテーマソングに採用されると、インスト曲としては異例の大ヒット(オリコン12位)を記録。以後、長年に渡って演奏されるスクェアの代表曲となりました。

1988年にバンド名を「T-SQUARE」に改めてアメリカでもデビューし、全米ツアーを行いました。

1990年に伊東たけしさんが突然脱退するということがありましたが、後任に本田雅人さんを迎えて活動を継続。さらに1998年に本田さんが脱退し、宮崎隆睦さんが加入。

その後、2000年には伊東たけしさんが復帰して、この時にT-SQUAREは安藤さんと伊東さんの2人ユニットという形態となりましたが、2005年からは再びバンド形態に戻っています。

そして、2021年に45年間リーダーを務めた安藤さんが脱退を表明し、以降は伊東たけしさんと坂東慧(ドラムス)さんのユニット「T-SQUARE alpha」として活動することになりました。

2022年現在、安藤さんはT-SQUAREの元メンバーの則竹裕之(ドラムス)さん、須藤満(ベース)さんと「アカサカトリオ」というバンドを結成して音楽活動を継続されています。

T-SQUARE時代の安藤さんは、バンド内でもかなりの割合(半分くらい)で曲を書いていますが、T-SQUAREといえば、年に1枚以上のペースでアルバムを出しているし(現時点で通算50枚近い)、安藤さんの作曲能力はギタープレイヤーでありながら専業作曲家レベルのものがあると思います。

T-SQUAREの中では、安藤さんはロック要素担当、伊東さんがジャズ要素担当、みたいなイメージでしたが、とくにライブでは、かなりハードロック・メタル的なプレイをやりますし、そっち系もかなり好きなのでしょうね。

ザ・スクェアの思い出

今回は少し個人的な話をしてみたいと思います。

自分は1986年の末頃にCDミニコンポを弟と共同で購入して以降、お小遣いでCDを買ったりして本格的に音楽を聴くようになったのですが、自分が初めて買ったCDはザ・スクェアのライブ盤でした。

そのCDはベスト盤的な選曲で、かなり気に入ったので、すぐに何枚かスクェアのCDを追加で買いました。それから数か月後でしたね。『TRUTH』が出たのは。

『TRUTH』は発売日に買ったと記憶していますが、F1中継のテーマ曲になったタイトル曲「TRUTH」は日本人好みのメロディーと適度にハードなエッジのあるアレンジでインパクトのある曲でした。ちなみに、これも安藤さんの作曲です。

1986年から1987年というと、ちょうどゲーム音楽にもハマっていた時期でしたが、購入したミニコンポに内蔵されていたラジオでたまたま耳にしたスクェアやプリズムの音楽が気になって仕方なかったのです。

当時、自分は歌ものよりもインスト音楽(クラシック以外)に興味があったのですが、ジャズやプログレはまだあまり理解できず(その後、どハマりしますが)、そこへゲーム音楽やフュージョンが刺さって来たんだと思います。

そんな感じで、ゲーム音楽と共に、ザ・スクェアの音楽が自分の原体験としてあったのですが、安藤正容さんはゲーム音楽も作っているんですよね。

この事は、自分的に2つの原体験が融合するような出来事であり、それだけでもめちゃめちゃ嬉しいのですが、安藤さんの作ったゲーム音楽が、また素晴らしい出来なので、是非ここで紹介したいと思っていました。

グランツーリスモとアークザラッド

安藤さんが手掛けたゲーム音楽は、グランツーリスモシリーズとアークザラッドシリーズです。

安藤さんのゲーム曲の中で、恐らく最も有名なグランツーリスモ2のタイトル曲「MOON OVER THE CASTLE」はシリーズ全体のテーマ曲として親しまれてきました。

グランツーリスモの音楽は、安藤さんらしくハードロック色が強いものが中心ですが、わりとT-SQUAREでやっているような音楽性に近いですよね。

レースゲームということで、F1=「TRUTH」のイメージで安藤さんに依頼した、という事はあると思うし、安藤さんもそれを理解して既定路線で作っているというような印象があります。

一方、アークザラッドシリーズのほうは、RPGということもあって楽曲バラエティーに富んでおり、安藤さんの全然違った面が垣間見えて非常に興味深いです。

アークザラッドシリーズでは単なる曲提供にとどまらず、ゲームの世界観に寄り添った多ジャンルに渡る作編曲をしていて、自分が持っていた安藤正容さんという音楽家の既存イメージを完全に飛び越える衝撃的なものでした。

安藤まさひろさんのゲーム音楽作品

1995年

アークザラッド(PS、ジークラフト、和泉宏隆と共作)

1996年

アークザラッド2(PS、ジークラフト)

1997年

グランツーリスモ(PS、ソニー、大平勇と共作)

1999年

グランツーリスモ2(PS、ソニー、大平勇と共作)

2000年

アークザラッド3(PS、アークエンタテイメント)

2004年

グランツーリスモ4(PS2、ソニー、大平勇・嘉生大樹・Alan Breyと共作)

2018年

アークザラッドR(iOS/Android、フォワードワークス)

なお、グランツーリスモ3(2001年)、グランツーリスモ5(2010年)でも安藤さん作曲の「Moon Over The Castle」(グランツーリスモ2のテーマ曲)が使われています。

※略号
PS=プレイステーション
PS2=プレイステーション2

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