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初期ゲーム音楽の開発環境【ゲーム音楽論03】

今回は前回の記事に追記という形の予定でしたが(前回コメントも参照)、それなりの文章量になったので独立した記事にしました。

前回は同時発音数の制約からくるアレンジへの影響ということを考えましたが、初期のゲーム音楽開発環境は他にも非常に厳しい制約がありました。

当然、作曲やアレンジの幅も大きく制約されますので、そのあたりを少し掘り下げて考えてみます。

メモリ容量の問題

まず1つ目はメモリ容量の問題。

8ビットPCは普通はオンメモリで扱えるのが最大64KB、ファミコンのロムカートリッジも同じくらいでした(ドラクエ1が64KB)。

それでゲーム全ての処理を行うわけで、全体がカツカツのなか、音楽に割り当てられるメモリは極わずかでした。
ちょっとループが長くなったりアレンジが複雑になると、メモリに乗り切らなくなるという状態です。

移植版(機種は失念)のゼビウスのBGMは、たった2小節のループが入らず1小節ループにされていたり。
現在の環境からは信じがたい話ですが、そんな状態での開発だったようです。

昔はメモリの単価が非常に高価でした。
スーパーファミコンでも他のスペックに対してメモリはカツカツで、初代プレステあたりまではゲーム音楽の制作はメモリ容量からくる制約が大きかったようです。

人的・時間的な制約

二つ目は人的・時間的なリソースの問題。

初期のゲーム音楽は専任サウンドスタッフがやるようになったと言っても、基本1つのタイトルを1人で作曲・アレンジ・サウンドプログラム・音色作成・サウンドデバッグ、場合によってはサウンドドライバの開発や組み込み・効果音作成まで全部やるというスタイルが普通でした。

制作期間も数ヵ月程度で、テストやデバッグの期間を差し引くと作曲・アレンジにあてられるのはごく短期間だったと思われます。

作家個人として曲はストックしていたと思いますが、一般の音楽制作より時間的に制約が大きいのは確かでしょう。

物理的制約からくるアレンジへの影響

前回ベースラインの話をしましたが、上記のような要因もあって必然的にベースラインはシンプルにせざるを得なかったようですね。

二和音や三和音の環境で凝ったベースラインというのはアレンジがとても大変だし、楽曲バランス崩壊のリスクも大きいので、優先順位的にメロディー(音数少ないので主旋律の説得力が問われる)・副旋律・アルペジオに力を入れて、ベースは無難にルート中心、というスタイルが主流になったんだと思います。

もう一つ大きな要素として音色の制約ということがありますが、これは長くなりそうですので、また別の記事で扱おうと思います。

――結果的にこういう各種制約がゲーム音楽の独自性、ということにつながって行くのが音楽の面白さと作家の創意工夫の成果であり、このゲーム音楽論の大きなテーマでもあります。

ゲーム音楽論 前回

同時発音数の制約とゲーム音楽らしいアレンジ【ゲーム音楽論02】
ゲーム音楽論 第2回です。初期のゲーム機やPCには同時発音数などの厳しい制約があり、それが『ゲーム音楽らしさ』を形成する最大要因となっていました。

ゲーム音楽論 次回

初期ゲーム音楽の音色【ゲーム音楽論04】
ゲーム音楽論 第4回は、PSG・波形メモリー音源・FM音源など、初期のゲーム音楽の『音色』ということにスポットライトを当てています。

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