すぎやまこういちさんはドラゴンクエストシリーズで有名な作曲家です。
すぎやまさんは1960年代から放送作家・作曲家として活躍されていましたが、ゲーム音楽作家としては1986年4月のデビューで、なんと50代半ばで新しい世界に飛び込んでいます。
(2021年10月7日追記)
先ほどニュースで知ったのですが、2021年9月30日にすぎやまこういちさんが亡くなられたとのことです。享年90歳。ご冥福をお祈り申し上げます。
すぎやまこういちさんプロフィール・略歴
本名:椙山浩一(すぎやま こういち)
通称:すぎやん
生年月日:1931年4月11日、2021年9月30日死去(享年90歳)
ゲーム音楽作曲家デビュー:1986年4月(ウイングマン2)
代表作品:ドラゴンクエストシリーズ
すぎやまこういちさんは、ゲーム音楽を作り始める以前から他ジャンル(主に歌謡曲、アニメ劇伴、CM)で作曲家のキャリアを積んでいて、かなりの知名度がありました。
長くなりすぎるので、ここではゲーム音楽以外のキャリアの詳細は割愛しますが、ザ・タイガース、ザ・ピーナッツの全盛期のディレクターとして曲を提供したり、アニソンでは『科学忍者隊ガッチャマン』(有名な「誰だ、誰だ、誰だー」の主題歌は小林亜星氏の作)などを手掛けています。
ちなみに、ドラゴンクエスト6のエンディングテーマ「時の子守唄」はもともと、すぎやまさんが劇場版『科学忍者隊ガッチャマン』(1978年公開)のために書いたものです。
すぎやまさんとゲーム音楽の関わりですが、すぎやまさんは子供の頃からゲームが好きで趣味としてボードゲームやピンボールなどを良くしていて、ビデオゲームも初期のものから興味をもってプレイされていたようです。
そして家庭用PCゲームが出始めると、すぐに購入してプレイしていたそうですが、森田和郎の将棋(1985年、エニックス)のアンケートハガキを奥様が投函したのがキッカケとなり、エニックスからウイングマン2(1986年4月)の音楽制作依頼が来たといいます。
それが、すぎやまこういちさんのゲーム音楽作家としてのスタートでした。
ウイングマン2のすぐ後にはファミコン初の本格RPG、ドラゴンクエストを手掛けることになり、それが大ヒットします。
以後、ドラゴンクエストシリーズは、現在まで続く人気RPGシリーズとなり、すぎやまさんの代表作品となります。
基本的にドラクエシリーズの音楽(一部の派生作品は除く)は全てすぎやまさんの作です。
すぎやまさんはドラクエ以外にもゲーム音楽を作っていますが、2000年代以降はほぼドラクエシリーズに集中しています。
2021年9月30日に90歳で亡くなられました。
ドラゴンクエストの音楽
ドラゴンクエストの音楽に関してお話したいのですが、自分はナンバリングタイトルは6までしかやっていません。音楽はシリーズ作品全曲聴いていますが。
ドラクエの音楽は作品ごとのカラーがハッキリしてますよね。
ここでは自分がプレイしたことのある初期6作品の音楽について、印象を書いてみます。
ドラゴンクエスト1
凄く短期間で作られたらしいですが、「序曲」「広野を行く」「ラダトーム城」など、シリーズを代表するような有名曲があります。全体にバロック調です。
ドラゴンクエスト2
すぎやまさんのポップス作家としての側面が強く出た作品と思います。2つのフィールド曲、エンディング「この道わが旅」、そしてパスワード入力画面の「LoveSong探して」が有名ですね。
ドラゴンクエスト3
3は名曲が目白押しで、自分としてはファミコン版ドラクエの最高傑作と思います。曲の傾向としてはロマン派っぽいです。癒し系の「村」、エンディング「そして伝説へ…」、フィールド曲「冒険の旅」、そしてラーミアのテーマ「おおぞらをとぶ」などが有名で、3の音楽はTV番組などでもよく使われています。
ドラゴンクエスト4
自分は4をやったのはかなり後になってからなんですよね。なので、自分個人的に前3作より印象が薄いのかもしれません。ですが、一般的には全シリーズ中でも4の音楽は人気が高く「勇者の故郷」「海図を広げて」など、名曲も多いです。
ドラゴンクエスト5
ドラクエ5は自分個人的にはやり込んだ度合いが高いので、思い出深い作品です。音楽はハードがスーパーファミコンになってPCM音源に進化したため、最も変化を感じられた作品かと。すぎやまさんの楽曲はオーケストラ系が多いので、何の楽器の音色かハッキリ分かる、ということはかなり重要に思います。「王宮のトランペット」「愛の旋律」「結婚ワルツ」が好きでした。
ドラゴンクエスト6
自分個人的にはドラクエの音楽で言ったら3と6が一番好きで、甲乙つけがたいです。6の音楽は「ぬくもりの里に」「聖霊の冠」など、癒しを感じさせる幻想的なものが多く、ヒーリングミュージックとしても最高です。崎元仁さんがエンジニアを務めたというオーケストラサウンドも秀逸でした。
高度な作曲技法
ゲーム音楽家としてのすぎやまこういちさんですが、その最大の特徴は作曲技法の高さです。
採譜してみるとその技術の高さをヒシヒシと感じます。
有名な「序曲」(ロトのテーマ)は最もシンプルな部類です。
難しい曲になると、対位法・多調・無調のパーツが絡まりあって調性の特定すら難しいです。
それでも、ちゃんとまとまった音楽になっているし、とくにファミコン時代は、それを2和音か3和音でやってしまっているのは驚異的なことです。
すぎやまこういちさん ゲーム音楽作曲作品
1986年
ウイングマン2 キータクラーの復活(PC、エニックス)
ドラゴンクエスト(FC、エニックス)
1987年
ドラゴンクエスト2 悪霊の神々(FC、エニックス)
ジーザス(PC、エニックス)
ガンダーラ(PC、エニックス)
ワールドゴルフ2(PC、エニックス)
ウイングマンスペシャル さらば夢戦士(PC、エニックス)
1988年
アンジェラス 悪魔の福音(PC、エニックス)
ドラゴンクエスト3 そして伝説へ…(FC、エニックス)
半熟英雄 あぁ、世界よ半熟なれ…!(FC、スクウェア)
1989年
スターコマンド 暗闇の侵略者(PC、ヒューリンクス)
1990年
ドラゴンクエスト4 導かれし者たち(FC、エニックス)
ワールドゴルフ3(PC、エニックス)
46億年物語(PC、エニックス)
バックギャモン(FCD)
1991年
ジーザス2(PC、エニックス)
赤川次郎の幽霊列車(FC、キングレコード)
1992年
ドラゴンクエスト5 天空の花嫁(SFC、エニックス)
テトリス2+ボンブリス(FC、BPS、ファミコン版のみ)
1993年
トルネコの大冒険(SFC、チュンソフト)
モノポリー(SFC、トミー)
1995年
ドラゴンクエスト6 幻の大地(SFC、エニックス)
風来のシレン(SFC、チュンソフト)
1996年
風来のシレンGB 月影村の怪物(GB、チュンソフト)
1998年
ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド(GB、エニックス)
1999年
トルネコの大冒険2(SFC、チュンソフト)
2000年
ドラゴンクエスト7 エデンの戦士たち(PS、エニックス)
風来のシレン2 鬼襲来!シレン城!(N64、チュンソフト)
2001年
ドラゴンクエストモンスターズ2 マルタの不思議な鍵(GBC、エニックス)
2002年
トルネコの大冒険3(PS2/GBA、チュンソフト)
2003年
ドラゴンクエストモンスターズ3 キャラバンハート(GBA、エニックス)
スライムもりもりドラゴンクエスト 衝撃のしっぽ団(GBA、スクウェア・エニックス)
2004年
ドラゴンクエスト8 空と海と大地と呪われし姫君(PS2、スクウェア・エニックス)
2005年
スライムもりもりドラゴンクエスト2 大戦車としっぽ団(DS、スクウェア・エニックス)
2006年
ドラゴンクエストモンスターズJoker(DS、スクウェア・エニックス)
ドラゴンクエスト 少年ヤンガスと不思議のダンジョン(PS2、スクウェア・エニックス)
2009年
ドラゴンクエスト9 星空の守り人(DS、スクウェア・エニックス)
ドラゴンクエストウォーズ(DSi、スクウェア・エニックス)
2010年
ドラゴンクエストモンスターズJoker2(DS、スクウェア・エニックス)
2011年
スライムもりもりドラゴンクエスト3 大海賊としっぽ団(3DS、スクウェア・エニックス)
2012年
ドラゴンクエスト10 オンライン(Wii、スクウェア・エニックス)
2015年
ドラゴンクエストヒーローズ 闇竜と世界樹の城(PS3/PS4/PC、スクウェア・エニックス)
2016年
ドラゴンクエストモンスターズJoker3(3DS、スクウェア・エニックス)
ドラゴンクエストヒーローズ2 双子の王と予言の終わり(PS3/PS4/PSV、スクウェア・エニックス)
ドラゴンクエストビルダーズ アレフガルドを復活せよ(PS3/PS4/PSV、スクウェア・エニックス)
2017年
ドラゴンクエスト11 過ぎ去りし時を求めて(PS4/3DS、スクウェア・エニックス)
2018年
ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島(PS4/SW、スクウェア・エニックス)
ドラゴンクエストVR(AC、スクウェア・エニックス)
ドラゴンクエスト ライバルズ(PC/SW、スクウェア・エニックス)
2019年
ドラゴンクエストウォーク(iOS/Android、スクウェア・エニックス)
2020年
ドラゴンクエストタクト(iOS/Android、スクウェア・エニックス)
※略号
AC=アーケードゲーム
FC=ファミコン
FCD=ファミコン・ディスクシステム
GB=ゲームボーイ
GBC=ゲームボーイカラー
PCE=PCエンジン
SFC=スーパーファミコン
PS=プレイステーション
N64=ニンテンドー64
GBA=ゲームアドバンス
PS2=プレイステーション2
PS3=プレイステーション3
PS4=プレイステーション4
DS=ニンテンドーDS
3DS=ニンテンドー3DS
SW=ニンテンドーSWITCH
PC=パソコン
この他、いただきストリートシリーズ、ドラゴンクエスト・モンスターバトルロードシリーズなどで、すぎやまこういちさんの楽曲が使用されていますが、旧作が中心なので割愛しました。
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