発売年月:1995年11月
機種:スーパーファミコン(Super Nintendo)
メーカー:スクウェア(SQUARE)
タイトル名:ロマンシングサガ3(Romancing SaGa3)
曲名:ミューズのテーマ(Muse’s Theme)
作曲:伊藤賢治(Kenji Ito)
演奏難易度:☆☆☆★★(易しい)
ゲーム音楽ソロギター演奏動画・コード進行解説の第40弾は、ロマンシングサガ3より「ミューズのテーマ」。コード進行で聴かせる癒し系の曲です。
ちなみに、ミューズはロマサガ屈指の弱キャラでしたが、シャールと一緒に育てた人は多いんではないでしょうか?ミューズパンチ!(笑)
コード進行で聴かせるバラード系【曲解説】
ロマサガシリーズは採譜曲数が多いので定期的にアップしていますが、今回は超癒し系の「ミューズのテーマ」。自分の好きな曲です。
ゲーム中ではミューズという女性キャラクターのテーマ曲として使われていますが、ミューズに関しては後述します。
伊藤さんの曲はバトル曲が代名詞ですが、こういうゆっくりした繊細な曲も凄く良いですよね。
この曲はそういう伊藤さんのもう一つの十八番である「コード進行で聴かせるバラード系」です。
コード使いがとても繊細で、ほんとに上手く作られていると思います。
全体にホンワカした雰囲気ですが、切ない響きを絶妙に混ぜてきていて、なんというかサブドミナントマイナーとディミニッシュの使い方のお手本のような曲です。
夢魔に蝕まれる深窓の令嬢
自分、ロマザガ3はかなりやりこみました。
スペインに渡る直前くらいだったんですが、全キャラでクリアーしました。
この曲がテーマになっているミューズという女性ですが、没落貴族の生き残りで「体が弱く心優しい深窓の令嬢」という描かれかたをされています。
ミューズの父親はもともとその地方の有力貴族でしたが、権力争いに敗れて没落してしまいます。
ミューズはロマサガ3屈指の弱キャラ的な扱いですが、意外と腕力が高く、武器を持たないときは「ミューズパンチ」という固有技を繰り出すんですよね(笑)
シャールと銀の手
もう一人、いつもミューズのそばにいるシャールという人物が印象に残っています。
シャールはミューズの従者としてその生涯をミューズに捧げている人で、元は優秀な武人でしたがミューズの家の権力争いの際に捕らわれて、利き腕を傷つけられて武器が持てなくなってしまっています。
そして、ミューズが夢魔に蝕まれてどんどん弱っていくところをシャールが主人公の助けを得て救出するというストーリーなのですが、後に入手する「銀の手」(魔法の義手?)というアイテムをシャールに装備させるとシャールは本来の力を取り戻す、という設定になっていて「シャール!この人こんなに強かったんだ……」となります。
でも、シャールに装備させると銀の手の効果の一つである二刀流が使えなくなるので、すごい悩みどころなんですが心情的にはシャールに装備させたいですよね。
二人の関係(妄想)
ミューズはとても優しい心の女性で、近隣住民からも慕われています。
シャールは没落して貧しくなり、体も弱いミューズを献身的に支えています。
労苦の連続でシャールの髪は真っ白になり、実年齢よりかなり老けてしまいますが、ミューズのために生きていくのが本人の幸せでもあるようです。
この2人は一般的な男女のロマンスとはだいぶ違いますが、そこには尋常ならざる愛を感じます。
ミューズはもしかしたらシャールと結ばれることを望んでいるのかもしれませんが、シャールは固辞するでしょう。
ミューズもそれを分かっているので、決して言葉には出しません。
――以上、妄想でした(笑)
この曲は、ミューズのシャールへの感謝と言葉で言い表せない切ない感情、そういうことが表現されているように感じます。
キー選択で試行錯誤【ソロギター演奏】
原曲はE♭メジャーキーですが、いろいろなキーを試した結果、ギターの音域を一番生かして、最もコードが綺麗に響くキーはAメジャーキーでした。
ということで半オクターブの移調をしましたが、このアレンジはキーの選定に半分くらいの時間を費やしています。
その他、アレンジやテクニック的に難しい事はやっていないんですが、美しいコードの流れを淀みなく繋ぐのに注力した演奏になりました。
ミューズのテーマ コード進行
原曲のE♭メジャーキーをAメジャーキーに移調しています。
Aメロ
|AM7|Bm7(♭5)|E7|Asus4 C♯7(onF)|
|F♯m|B7|Fdim7※1|E7|
|A|Bm7(♭5)|E7|Fdim7|
|F♯m7|Dm6|C♯m7|Cdim7|
|Bm7|C♯m7|D|E7|
|A E(♯5)(onA)|A|
Bメロ
|DM7|C♯7(onF)|F♯m7|B7|
|DM7|E7 Fdim7|F♯m7|B7|
|DM7|C♯7(♭13)|F♯m7|B13|
|DM7|E7(♭9)|
|AM7|Bm7(onA)|AM7|E7(♯11)(onA)|
※1 原曲はBm7(♭5)
コード進行分析
Aメロ
■Aメジャー
|Ⅰ|Ⅱm7(♭5)|Ⅴ7|Ⅰsus4 Ⅲ7|
|Ⅵm7|Ⅱ7|♭Ⅵdim7※1|Ⅴ7|
|Ⅰ|Ⅱm7(♭5)|Ⅴ7|♭Ⅵdim7|
|Ⅵm7|Ⅳm6|Ⅲm7|♭Ⅲdim7|
|Ⅱm7|Ⅲm7|Ⅳ|Ⅴ7|
|Ⅰ Ⅴ(♯5)|Ⅰ|
Bメロ
|Ⅳ|Ⅲ7|Ⅵm7|Ⅱ7|
|Ⅳ|Ⅴ7 ♭Ⅵdim7|Ⅵm7|Ⅱ7|
|Ⅳ|Ⅲ7|Ⅵm7|Ⅱ7|
|Ⅳ|Ⅴ7|
|ⅠM7|Ⅱm7|ⅠM7|Ⅴ7(♯11)|
※1 原曲はⅡm7(♭5)
Ⅱコード使い分けが上手い【コード進行のポイント】
まず、この曲はⅡコードの使い分けが絶妙です。
Ⅱm7、Ⅱ7、Ⅱm7(♭5)、それぞれの特性を知り尽くして上手く配置しています。
Aメロ
Aメロは、2つ目のⅡm7(♭5)がポイントです。
最初はⅡm7でとっていたんですが、「なんか違うなぁ」と思って1音ずつコードを確認したら、やはり♭5でサブドミナントマイナーでした。
次のⅠsus4→Ⅲ7→Ⅵmのところは普通にⅠsus4→Ⅰ→Ⅵmでも良と思いますが、1拍だけドミナントモーションを入れてみました。
その後のⅡ7→♭Ⅵdim7は、原曲はⅡ7→Ⅱm7(♭5)なのですが、ギターで弾くとベース音や内声の流れ的に♭Ⅵdim7にリハモすると綺麗だったのでそうしています。こういう部分、あくまで原曲に忠実にやるか、ギターでの響きの美しさを優先するかは毎度悩むポイントですが。
AメロとBメロの繋ぎに一瞬入るⅤ(♯5)=Ⅴ(♭13)もポイント高いです。
最後のコード
そして最後のコードが問題でした。
最初は普通にⅤ7(onⅠ)で弾いていましたが、原曲をよく聴くと臨時記号入りの音がうっすら聴こえるんですよね。
Ⅴ7を基準にすると♯11の音です。
そこの部分はⅠコードのルート音(Ⅴ7からみるとsus4、11th)もペダルで入ってるし、すごい微妙な響きなんですが、ここはなんとか再現いたしました。
シンプルなようで、いろいろ隠し味が効いていて、かなり内容の濃い曲ではないでしょうか。
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