発売年月:1999年7月
機種:プレイステーション(PlayStation)
メーカー:スクウェア(SQUARE)
タイトル名:聖剣伝説 LEGEND OF MANA(LEGEND OF MANA)
曲名:滅びし煌めきの都市(City of flickering destruction)
作曲:下村陽子(Yoko Shimomura)
演奏難易度:☆☆☆★★(易しい)
ゲーム音楽ソロギター演奏動画・コード進行解説の第64弾は、聖剣伝説レジェンド・オブ・マナ(LOM)より「滅びし煌めきの都市」。シンプルな中に繊細さと深い情感を感じさせる名曲です。
聖剣伝説LOMについて
聖剣伝説レジェンド・オブ・マナ(LOM)は1999年にスクウェアから発売されたアクションRPGで、聖剣伝説シリーズとしては4作目にあたります。
当時、ゲームのグラフィックはすでに3Dが主流になっていましたが、本作は敢えて2Dのドット絵を主体に作られていて、それがまたクオリティーが高くて、このゲームの魅力の一つとなっています。
そして、このゲームのもう一つの魅力は音楽です。
作曲は、ストリートファイター2、スーパーマリオRPG、キングダムハーツなどで有名な下村陽子さんですが、自分個人的に下村さんの最高傑作と思うのが本作、聖剣伝説LOMです。
本作は下村さんのメロディーセンスと緩急のあるドラマチックな面が凝縮した音楽と思います。
ストリートファイター2などとは対極の音楽性ですが、そういう多面性も下村陽子さんの音楽の魅力です。
聖剣伝説LOMは今回の「滅びし煌めきの都市」のほかにも名曲がたくさんあり、自分は以下の3曲がとくに好きです。
- メインテーマ(エンディングはヴォーカルバージョン)
- ホームタウンドミナ
- 懐かしき歌
煌めきの都市について
煌めきの都市は、宝石泥棒編のラストダンジョンとなります。
このゲームには「珠魅」という種族が登場します。
彼らは体に「核」といわれる宝石をもっていて、それが傷ついたりしない限り不老不死の存在なのですが、その「核」の価値の高さから、彼らは乱獲されて絶滅の危機に瀕しています。
煌めきの都市はかつて栄えた珠魅達の王都で、宝石が散りばめられた美しい都市でしたが、今は珠魅達は逃散して廃墟となっています。
都市の各所に、珠魅達の記憶が残留思念として残っていて、訪れた主人公たちはその記憶から、かつての様子を知ることができます。
この曲は煌めきの都市を訪れたときに流れる曲で、珠魅という種族の美しさ・儚さ、彼らの世界に起こった悲劇、といったことが良く表現されていて、名曲揃いのLOMの中でも珠玉の一曲と言えます。
選曲の理由など
今、世界は新型コロナウイルスのパンデミックに見舞われています。
現在(2020年5月)は徐々に平常化しつつありますが、世界中の主要都市が封鎖されて人が消える、という事態になりました。
自分が暮らしている東京は、封鎖はされませんでしたが、外出自粛要請が出ていて、音楽活動も出来ない状況が続いています。
――大都市は富や憧れの象徴であり、文明の結晶だと思います。
それが、目に見えないウイルスの侵攻で、いとも簡単に機能を失って、都市から人が居なくなる、という光景は、「とにかく密集・集約して能率を上げる」という、今まで続いてきた価値観の終わりを意味するものかもしれません。
珠魅達は戦いに敗れて、煌めきの都市は打ち捨てられてしまいましたが、自分達には、これからどんな未来が待っているのでしょうか。
そんな事を考えつつ、今回の選曲となりました。
ソロギター向けシンプルアレンジ【ソロギター演奏】
オリジナルはB♭マイナーキーですが、ソロギターで演奏しやすいように半音下げてAマイナーキーで演奏しています。
原曲ではピアノ、ヴァイオリン、チェロが絡み合いながら主旋律を交代で演奏しているため、ソロギターアレンジは難しい部類と思います。
Aメロは同じようなモチーフを3回やっていますが、2回目をオクターブ高くすることで、主旋律担当楽器が変わる雰囲気を出してみました。
あとは基本的にシンプルに、ギターで綺麗に響くようにアレンジしました。
最後のアルペジオは原曲と同様にベースも細かくアルペジオさせようとして少し練習してみたんですが、弾きこなせなさそうだったので、ベースは単音にして、そのかわり二周り目をオクターブ上げてバリエーションを付けてみました。
全体の演奏難易度は低めに抑えられたと思います。
滅びし煌めきの都市 コード進行
オリジナルのB♭マイナーキーをAマイナーキーに移調しています。
Aメロ
|Emadd9|F|G7|Am|
|F6|G9|Dm(onF)|C|
|F6|G9|Dm|B7(onD♯)|
|Emadd9|FM7|G7|Am|
|F6|G9|Dm7|CM7|
|F6|G9|F6|G7sus4 G7|
|Amadd9|FM7|G7|Am7|
|F|G7|Dm7※1|E7sus4 Em7|
Bメロ
|Amadd9|FM7|G7|Amadd9|
|FM7|C6|Dm7|E7sus4|
|Amadd9|FM7|G7|Amadd9|
|FM7|C6|Dm7|E7sus4 E|
※1 演奏ではFM7で代理
コード進行分析
Aメロ
■Eマイナー
|Ⅰm|♭Ⅱ※1|
■Aマイナー
|♭Ⅶ|Ⅰm|
|♭Ⅵ|♭Ⅶ|Ⅳm|♭Ⅲ|
|♭Ⅵ|♭Ⅶ|Ⅳm|Ⅱ7※2|
■Eマイナー
|Ⅰm|♭Ⅱ※1|
■Aマイナー
|♭Ⅶ|Ⅰm|
|♭Ⅵ|♭Ⅶ|Ⅳm|♭Ⅲ|
|♭Ⅵ|♭Ⅶ|♭Ⅵ|♭Ⅶsus4 ♭Ⅶ|
|Ⅰm|♭Ⅵ|♭Ⅶ|Ⅰm|
|♭Ⅵ|♭Ⅶ|Ⅳm|Ⅴ7sus4 Ⅴm7|
Bメロ
|Ⅰm|♭Ⅵ|♭Ⅶ|Ⅰm|
|♭Ⅵ|♭Ⅲ|Ⅳm|Ⅴsus4|
|Ⅰm|♭Ⅵ|♭Ⅶ|Ⅰm|
|♭Ⅵ|♭Ⅲ|Ⅳm|Ⅴsus4 Ⅴ|
※1 Aマイナーキーの♭Ⅵと共用
※2 EマイナーキーのⅤ7と共用
出だしだけキーが異なる【コード進行のポイント】
移調後のAマイナーキーで解説いたします。
コード進行としては、最初の出だしがEmadd9から始まるのが一番のポイントと思います。
Aマイナーから見るとⅤmですが、出だしだけEマイナーキーになっていて、Ⅰm→♭Ⅱと進行して、この♭ⅡのFコードがピボットになってAマイナーキーに移行している、という感じが強いです。
そしてAメロの3周り目だけ、EmでなくAmになっていてメロディーが少し変わっているところも効果高いですね。
それ以外はごくシンプルなコード進行ですが、メロディーの付け方がテンションを上手に絡めていて、とても印象的な曲に仕上がっています。
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