光神話 パルテナの鏡「タイトルBGM」【ギター演奏・コード進行112】

光神話 パルテナの鏡「タイトルBGM」動画
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発売年月:1986年12月
機種:ファミリーコンピュータ ディスクシステム(Famicom Disk System)
メーカー:任天堂(Nintendo)
タイトル名:光神話 パルテナの鏡(Kid Icarus)
曲名:タイトルBGM(Title BGM)
作曲:田中宏和(Hirokazu Tanaka)
演奏難易度:☆★★★★(難しい)

今回は1986年にファミコンディスクシステム用ソフトとして発売された『光神話 パルテナの鏡』のタイトル曲を演奏いたします。

光神話パルテナの鏡 作品概要

光神話パルテナの鏡(以下、本作)は、1986年12月に任天堂から発売され、ディスクシステム書き替えランキングで6位になった人気タイトルでしたが、翌1987年にはNES(海外向けのファミコン)用のカートリッジ版が『Kid Icarus』の名前で発売され、欧米を中心に人気を博しました。

かなり初期のゲームですが、今世紀に入ってからゲームボーイアドバンス向けのファミコンミニ ディスクシステムセレクションやWii/WiiUのバーチャルコンソールにも移植されています。

ゲーム内容は、主人公のピット(天使。見た目は子供に見えるけど、パルテナ軍最強の戦士)を操作し、弓矢とジャンプで敵を倒したり避けたりしながら進んでいくアクションゲームです。

弓矢によるシューティングゲームと捉える事も出来ますが、横スクロール面と縦スクロール面があって(建物の中などは画面切り替え)、RPG的なパワーアップ要素があったり、スーパーマリオやメトロイドやゼルダの伝説のような探索要素もあったりと、当時のサイドビュー型のアクションゲームで考えられる要素を詰め込んだ欲張りなシステムでした。

自分もプレイしましたが、とくに序盤の難易度が高くて中々先へ進めなかった記憶があります。

本作は日本よりも海外での人気が高く、1991年に欧米では本作の続編『Kid Icarus: Of Myths and Monsters』(ゲームボーイ)が発売されていますが、日本では未発売でした。

本作発売から25年後の2012年には2作目の続編『新・光神話 パルテナの鏡』(ニンテンドー3DS)が発売されました。『新・光神話 パルテナの鏡』は本作の後日譚(ゲーム内でも25年後の設定)となっていますが、3DSのハードウェアの特性をフルに生かしたシューティングバトルゲームに生まれ変わり、音楽は光田康典さん、桜庭統さん、古代祐三さん、岩垂徳行さんといった大御所作曲家が名を連ねる超豪華版です。

パルテナの鏡の音楽について

本作の音楽を担当したのは、黎明期から任天堂に所属し、メトロイド、MOTHER1&2、スーパーマリオランドなどを手掛けた田中宏和さん(現クリーチャーズ代表)です。

自分はこの作品の音楽が非常に印象に残っていて、是非楽曲を演奏したいタイトルの一つでした。

音楽の傾向としては、本作の少し前に田中さんが音楽を担当したメトロイドもそうだったのですが、全体的にストーリー性を重視した映画音楽的な作り方をされていると感じます。

ただ、SE(効果音・環境音)的な表現が多いメトロイドと比べると、本作のほうがよりメロディックでスケールの大きな曲が多い印象ですよね。

今回演奏するタイトル曲の他にも、タイトル曲と同一モチーフを使った1面(冥府界)BGM、死神のテーマ(高インパクト曲)、壮大なエンディングテーマなど名曲が揃っていて、この時代の田中さん作品(MOTHERシリーズも素晴らしいが田中さん単独ではない)の中で出色の出来なのではないでしょうか。

そして、音色も特筆すべきものがあります。

ファミコンディスクシステムには独自の波形メモリ音源が搭載されていて素のファミコン音源より表現力が高かったのですが、田中さんはハードウェア技術者/サウンドプログラマー出身だけあってこの音源の特性を知り尽くしており、音源をフル活用するようなアレンジがされています。

この時期のファミコンタイトルとしては音の厚みや広がり感が素晴らしかったですよね。こういう音源特化型アレンジテクニックはMOTHERシリーズなどでも如何なく発揮されていました。

本作の音楽は好きな曲ばかりなので今回どれを演奏しようか迷ったのですが、この作品の代名詞であり一番記憶に残っているタイトル曲を選曲しました。勇ましさ、ワクワク感、切なさ。様々な感情を喚起する名曲だと思います。

半音下に移調して開放弦活用【ソロギター演奏】

この曲をソロギター化するに当たり、演奏キーの選定で悩みました。

オリジナルはCメジャーキーで一見弾きやすそうなキーなのですが、Cメジャーキーだと曲中何回か出てくる複雑な3連アルペジオを1フレットセーハで弾く必要があり、これがかなり無理ゲーだったんですよね。

そこで、半音下のBメジャーキーに移調することで、その難関アルペジオの部分に開放弦を活用出来るようにしました。

動画では1フレットにカポを付けて実音はオリジナルキーに合わせているので、実音はCメジャーキーですが、下に書くコード進行や解説はギターのコードフォームに合わせてBメジャーキーで記載しています。

キーを半音下げる事でテクニック的には楽になったのですが、この曲は複数の旋律が絡み合って成立しているため、ギター一本で雰囲気を再現するのに骨が折れました。

原曲を聴いて目立つパートは極力盛り込むようにしたのですが、やはりBメロとCメロで出てくる例の3連アルペジオの所が難所で、アルペジオとメロディーを一緒に弾くのは無理なので、前半アルペジオ→後半メロディーという具合に演奏しています。

こんな感じで、アレンジも演奏も難易度が高かったので星4つの評価です。

リズムトラックにブレリアのパターンをミックス

もう一つ書いておきたいのがリズムトラックについてです。

原曲は行進曲風の3連符が主体となった4拍子なのですが、手持ちの3連系4拍子のループパターンのみで構成してしまうとなんだか単調に聴こえて、何かもう一声欲しいと思っていたんですよね。

そこで色々試した結果、部分的にフラメンコのブレリアのリズムを被せてみたら、なにやらプログレッシブな感じになってカッコ良さげだったので、ブレリアのカホンとパルマのトラックを採用することにしました。

ただ、ブレリアをそのままはめても拍子が違うので無理なのですが、この曲は3連符ベースなので、ブレリアのループを1.5倍テンポに設定することで以下のように出来ます。

  • この曲の3連音符1つ=ブレリアの8分音符1つ
  • この曲の1小節=ブレリアの6拍(メディオコンパス)

こうやって部分的にブレリアのノリを入れることで適度に複雑化して、フラメンコ色も出せるし、良いんでは?と思いながら作りました。

なお、ブレリアのリズムについては本職のほうのフラメンコギターブログのこちらの記事で詳細に解説していますので、興味のある方は是非ご覧になってください。

光神話パルテナの鏡「タイトルBGM」 コード進行

オリジナルのCメジャーキーをBメジャーキーに移調しています

イントロ
|B|E|B|E Em(onG)※1|
|B|B7(onA)|E(onG♯)|EmM7(onG)※1|
|B|E F♯|BM9※2|E EmM7(onG)※1|
|B D6|C♯m7 CM7|B|B|

Aメロ
|BM9※2|F♯(onB)|E(onB)|E(onB)|
|BM9※2|F♯(onB)|E(onB)|E(onB)|

Bメロ
|AM7|AM7|Am6|Am6|
|G♯m7|G♯m7|C♯7|
|C♯ C(onC♯) B(onC♯) A♯(onC♯)|
|F♯m7|F♯m7 G♯m7(onF♯) A(onF♯) B(onF♯)|
|A(onE)|A(onE) B7(♭9)|

Cメロ
|E|Cdim(onE)|E|Cdim(onE)|
|E|Cdim(onE)|E|Cdim(onE)|
|E|Em11|A(onE)|E|

※1 演奏ではGのコードフォーム
※2 F♯(onB)でも良い

コード進行分析

イントロ
■Bメジャー
|Ⅰ|Ⅳ|Ⅰ|Ⅳ Ⅳm|
|Ⅰ|Ⅰ7|Ⅳ|Ⅳm|
|Ⅰ|Ⅳ Ⅴ7|Ⅰ|Ⅳ Ⅳm|
|Ⅰ♭Ⅲ|Ⅱm7 ♭Ⅱ|Ⅰ|Ⅰ|

Aメロ
|Ⅰ|Ⅴ|Ⅳ|Ⅳ|
|Ⅰ|Ⅴ|Ⅳ|Ⅳ|

Bメロ
■Eメジャー
|ⅣM7|ⅣM7|Ⅳm|Ⅳm|
|Ⅲm7|Ⅲm7|Ⅵ7|Ⅵ7|
|Ⅱm7|Ⅱm7 Ⅲm7 Ⅳ Ⅴ|
|Ⅳ|Ⅳ Ⅴ7|

Cメロ
|Ⅰ|♭Ⅵdim※1|Ⅰ|♭Ⅵdim※1|
|Ⅰ|♭Ⅵdim※1|Ⅰ|♭Ⅵdim※1|
|Ⅰ|Ⅰm7|Ⅳ|Ⅰ|

※1 Ⅴ7の代理

オンコードと同主調コードの使い方が上手い【コード進行のポイント】

ここではギターのコードフォームに則したBメジャーキーでコード進行を解説いたします。

まず、この曲の全体的な作り方として、ベース音が固定されて通奏低音的な役割をしている部分が多く、ギターコード化すると少し変わったオンコードになる部分があります。例えばAメロ冒頭のBM9=F♯(onB)などですね。

こういうオンコードを除けば、メジャー3コードと同主調(Bマイナーキー)コードが主体になった比較的シンプルな進行です。

もう一つのポイントは、Bメロに行く時に下属調のEメジャーキーに転調している所でしょうか。

BメロとCメロは、Bメジャーキーのままでも解釈出来ないことは無いのですが、メロディーやコードの並び方からするとEメジャーキーへの転調としたほうがしっくり来ると思います。

CメロのアルペジオはEとCdim(onE)の繰り返しです。

EメジャーキーにおいてCdim(E♭dim、G♭dim、Adimでも同じ事)はB7の代理として良く使われますが、ここではベースでずっとE音が鳴っているのでEaugぽい響きになっています。6弦開放を生かすという事で、フラメンコ含め、ギター曲全般で良く出てくるケーデンスですよね。

ラストはBメジャーキーには戻さずにEメジャーキーで終止しています。

ベース音を固定することでコード展開を留保するような部分と、メジャー3コード+サブドミナントマイナーコードで分かりやすく展開する部分のメリハリが効いたコード進行だと思います。

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