発売年月:1995年12月
機種:スーパーファミコン(Super Nintendo)
メーカー:エニックス(ENIX)
タイトル名:ドラゴンクエストⅥ(Dragon Warrior6)
曲名:精霊の冠(Saint’s Wreath)
作曲:すぎやまこういち(Koichi Sugiyama)
演奏難易度:☆☆☆★★(易しい)
ゲーム音楽ソロギター演奏動画・コード進行解説の第25弾は、ドラゴンクエスト6より「精霊の冠」です。
数あるすぎやまこういちさん作品の中でも猛烈に美しく、幻想的な曲です。微妙に揺らぐ調性感とすぎやまさん独特のコード使い。それでいて難解な印象にならず非常に叙情的な曲になっています。
ドラクエ6 カルベローナなどのBGM【曲紹介】
「精霊の冠」は、カルベローナのBGMといくつかのイベント曲に使われています。
6の音楽は全体的に叙情的で癒されるものが多いように思いますが、その中でも、この「精霊の冠」を聴くと、悲しいような、懐かしいような、なんとも言えない気持ちになります。
作曲はもちろん、すぎやまこういちさんです。
崎元仁さんがサウンドエンジニア担当
ドラゴンクエスト6ではサウンドエンジニアにオウガシリーズの崎元仁さんを起用。崎元さんが作った独自のサウンドドライバを使っていて、音質も前作から飛躍的に向上しました。
特にオーケストラサウンドはスーパーファミコンとしてはかなりのものです。
同時期の崎元さん作品であるタクティクスオウガも音質素晴らしかったですね。
サウンドには2Mbit=128KBしか割り当てられなかったにも関わらず、よくやったものだと思います。
すぎやまさんも音質に関して大変満足されていたようです。
ゲーム音楽史で詳しく述べましたが、ドラクエ6が発売された1995年はスーパーファミコンのゲーム音楽最盛期で各社とも音楽はめちゃめちゃ力が入っていました。
そういうなかで他社に負けない音質クオリティを求めて崎元さんの起用だったんだと思います。
すぎやまさんの曲もシリーズ中でも屈指の水準であり、音楽面はかなり気合いが入っていたと思われます。
だったらもっとメモリ割り当ててあげろよ、とも思いますが、他との兼ね合いでギリギリだったんでしょうね。
パラレルワールドがテーマの世界観
ゲーム内容は現実の世界と夢の世界を行き来しながら話が進んでいくパラレルワールドものです。シナリオも良くできていました。
パラレルワールド(平行世界)は映画や小説でもよくテーマになりますが、ゲームは擬似的にその世界に入って自ら行動するという体験ができるので、うまく作るとすごく夢があって面白いものができますよね。
今までで紹介した中ではクロノクロスもパラレルワールドがテーマです。
自分はこのあとのドラゴンクエスト7以降ゲームから離れてしまい、ドラクエもモンスターズシリーズ以外まともにプレイしてないんですが(音楽はひと通り聴いています)、死ぬまでには全作品やりこみたいです!
コード進行は何パターンか考えられる【ソロギター演奏】
原曲が非常に美しいので、なるべく損なわないようなアレンジ・演奏を目指しました。
Aメロ前半が繰り返しがあったほうがいいように感じたので、該当部分を繰り返しで演奏しています。
そして所々フェルマータしています。
あと、すぎやまさんの曲に多いのですが、コード進行が何通りか考えられる部分があります。
そういうところは考えられるられるコード進行を書き出して、順次組み合わせて実際に演奏してみて一番しっくりくるものにしています。
実は昨日も録画してみたのですが、もっといいパターンを思い付いたので録り直しをしています。
この没にしたバージョンは、3周年記念動画「旧バージョン・没テイク集」収録しましたので、良かったら聴いてみてください。
精霊の冠 コード進行
イントロ
|Em7(♭5)|
Aメロ
|Am7|Gm|Am7 D Am Dm9|Gm7 A|※1
|Gm7|A7(♭13)(onG)|
|C9sus4 B♭(onC)|C|
Bメロ
|B♭M7|Am7|Gm7 B♭mM7|Am7 C7|
|D D7|Dm7|Gm7(♭5)|Em7(♭5)|
エンディング(アレンジ)
|Am7|Gm|Am7 D Am Dm9|Gm7 A|※1
|D(onF♯)|B♭M7(onF)|D|
※1 演奏では前半2小節をリピート
コード進行分析
イントロ
■Dマイナー
|Ⅱm7(♭5)|
Aメロ
|Ⅴm7|Ⅳm7|
|Ⅴm Ⅰ Ⅴm Ⅰm|Ⅳm7 Ⅴ7|※1
|Ⅳm7|Ⅴ7|♭Ⅶ7sus4 ♭Ⅵ|♭Ⅶ※2|
Bメロ
■Fメジャー
|ⅣM7|Ⅲm7|Ⅱm7 ⅣmM7|Ⅱm7 Ⅴ7|
|Ⅵ7|Ⅵm|Ⅱm7(♭5)|Ⅶm7(♭5)※3|
エンディング(アレンジ)
■Dマイナー
|Ⅴm7|Ⅳm7|
|Ⅴm Ⅰ Vm Ⅰm|Ⅳm7 Ⅴ7|※1
■Dメジャー
|Ⅰ|♭ⅥM7|Ⅰ|
※1 演奏では前半2小節をリピート
※2 FメジャーキーのⅤと共用
※3 DマイナーキーのⅡm7(♭5)と共用
ハーフディミニッシュコードの活用【コード進行のポイント】
すぎやまこういちさんのコード使いの特徴の1つとしてハーフディミニッシュ(マイナー7th♭5コード)の使い方があります。
この曲では重要ポイントにハーフディミニッシュをぶつけてきています。
調性もいくつか解釈が成り立ちそうなのですが、Dマイナーキーからなら平行調と同主調ですんなり行けるのでDマイナーキーで解釈してます。
Dマイナーキー/Fメジャーキーと、それらの同主調であるDメジャーキー/Fマイナーキーのコードが登場してきて繊細な調性感になっていますよね。
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