ヴィーナス&ブレイブス「Waltz for Ariah」【ギター演奏・コード進行37】

ヴィーナス&ブレイブス Waltz for Ariah
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発売年月:2003年2月
機種:
プレイステーション2(PlayStation2)
メーカー:
ナムコ(NAMCO)
タイトル名:ヴィーナス&ブレイブス(Venus&Braves)
曲名:ワルツフォーアリア(Waltz for Ariah)
作曲:大島ミチル/小林啓樹
演奏難易度:☆☆★★★(普通)

ゲーム音楽ソロギター演奏動画・コード進行解説の第37弾は、ヴィーナス&ブレイブスのオープニング曲「Waltz for Ariah」です。

原曲は、同じモチーフを繰り返しながら少しずつテンポが上がって、音も厚くなって盛り上がっていくのを、なんとかソロギターで表現しようとチャレンジしました。

V&Bオープニングタイトル曲【曲紹介】

『ヴィーナス&ブレイブス 魔女と女神と滅びの予言』は2003年にナムコから発売されたRPGです。

今回演奏する「Waltz for Ariah」は、曲名このゲームのヒロインの名前が冠されたメインテーマ・オープニングタイトル曲。

ゲーム本体はメジャータイトルとは言えないと思いますが、「Waltz for Ariah」は曲単体として評価が高く、ニコ動のゲー音ランキングでも長年の常連曲ですよね。

自分は2003年あたりはゲームから離れていた時期で、このゲームも未プレイです。

ですので、ゲーム内容等は語ることができませんが、「Waltz for Ariah」を演奏することになった動機などを書いてみようかと。

この曲との出会い

この曲に出会ったのは2016年頃で、わりと最近のことです。

そのころ、自分はゲーム音楽の採譜をしつつ、自分の知らないゲーム音楽を発掘するのを楽しみとしていました。

当時、昼間は株のデイトレをやっていたんですが、BGMとしてニコニコ動画のゲーム音楽トップ1000ランキングなんかをかけっぱなしにしていて、気になる曲があったら曲名とゲームタイトルをさっとメモって後で調べたりして。

そうやって出会って、ゲーム内容を一切知らずに採譜した曲も100曲近くに及ぶんですが、この曲は一発で気に入ってかなり早い段階で採譜リストに入れました。

そして1年ちょっとで300曲採譜した中で約100曲を厳選して演奏予定リストを作ったんですが、この曲は迷わず入れましたね。

ゲーム音楽は思い出補正が大きいジャンルなので、どうしてもプレイしたことのあるタイトルを贔屓にしてしまいますが、未プレイにも関わらず演奏リストにまで入ってくる曲は、よほど音楽的に好きなんだと思います。

原曲はクラシカルな仕立て

曲名がビル・エヴァンスの「Waltz for Debby」を連想してしまいますが、3拍子のピアノ曲という以外はそんなに似てないような。

この曲は全体にクラシカルな仕立てになっていますが、最初の4度堆積コードをはじめ、コード使いが少しジャズぽい感じもあります。

前半ピアノソロで静かに始まり、微妙にテンポアップしながらオーケストラが入って盛り上がっていきます。

何回か出てくる同じメロディーに微妙に違うコードをつけていくところに作曲者のセンスを感じます。

動画サイトでヴィーナス&ブレイブスのオープニングだけ見たのですが、映像と音楽のシンクロのしかたが素晴らしいですね。リアルタイムでプレイしたかったなー。

大島ミチルさんと小林啓樹さん【作曲者】

この曲は、作曲者として小林啓樹さんの名前がクレジットされていますが、この曲は大島ミチルさんの「シャ・リオン」(2001年)との類似性がずっと指摘されていて、権利関係がゴタゴタしていたようです。

そのあたり、調べてもグレーな感じなので、作曲者紹介として大島さんと小林さん、両方の紹介をしておきます。

どちらの作だとしても、曲の素晴らしさは変わりませんので……

大島ミチルさん

主に映画音楽などで活躍される有名作曲家です。

詳しくはwikipediaなどを見ていただくとして、音大出身クラシック系の作曲家で、映画、アニメ、テレビドラマなど合わせると凄まじい数の仕事をしています。

ゲーム音楽はICO(2001年、ソニー)が有名ですが、もっと初期の頃に、蒼き狼と白き牝鹿(1992年、コーエー)、太閤立志伝(1992年、コーエー)をやっています。

小林啓樹さん

2001年ごろからナムコに在籍して、主にエースコンバットシリーズ、アイドルマスターシリーズを手がけています。

大のゲーム好きとして知られ、エースコンバットの音楽に感銘を受けてナムコに入社したそうです。

そして夢叶ってエースコンバットシリーズのメインコンポーザーになっているのですから素晴らしいですよね。

現在は独立してフリー作曲家としてご活躍されています。

暗譜がちょっと大変【ソロギター演奏】

曲紹介で音楽の内容にも少し触れましたが、この曲は同じモチーフを繰り返しながら徐々にテンポアップして盛り上がっていきます。

それをソロギターでも再現したかったのですが、ギター1本だと音数も表現も限られるので、Aメロの1回り目をゆったりと、少しだけリズムを崩して弾いて落差をつけています。

テクニック的には凄く難しい、というのではないですが、使用音域を極力広くとったためにポジション移動が大きいです。

あと、これがこの曲のミソなんですが、同じメロディーに違うコードをつけたりしていて、運指が少しおぼえにくく、曲の長さもゲーム音楽にしては長めなので暗譜が大変でした。

なので、速いパッセージなどは無くとも、そこそこの難易度ということで星3つ評価です。

なお、アレンジにあたってイントロとブリッジ3の部分がソロギターだと冗長な感じがしたので少し短くカットしています。

Waltz for Ariah コード進行

イントロ※1
|B9sus4※2 C♯m11※2|C♯m11|
|Bm7(onF♯) C♯m7(onG♯)|
|C♯m7(onG♯)|
|C♯m11※2 D♯7sus4※2|D♯7sus4|
|Bm7(onF♯) B9sus4|B9sus4|

Aメロ
|Emadd9|CM7|B7sus4|Bm7|
|Am7|Bm7|CM7|D7|
|Emadd9|C♯m7(♭5)|D7(onC)|Bm7|
|Am7|Am7|Bm7|Bm7|

ブリッジ1
|Em|A(onE)|Em7|A(onE)|
|Em|A(onE)|Em7|A(onE)|

Aメロ
|Em|CM7|B7sus4|Bm7|
|Am7|Bm7|CM7|D7|
|Em|C♯m7(♭5)|D7(onC)|Bm7|
|Am7|Am7|Bm7|Bm7|

ブリッジ2|
|Em|A(onE)|Em7 A|Em|

Bメロ
|Amadd9|Amadd9|GM7(onB)|GM7(onB)|
|Em|D7|CM7|Bm7|
|Am7|Am7|Bm7|CM7|
|C♯m7(♭5)|A9|D6|B7|
|Amadd9|Amadd9|GM7(onB)|GM7(onB)|
|Em|D7|CM7|Bm7|
|Am7|Am7|Bm7|CM7|
|Am7|Am7|Bm7|CM7|

ブリッジ3
|Am7|Bm7|CM7|Bm7|
|Am7|Bm7|CM7|Bm7|
|Am7|Bm7|CM7|Bm7|※3
|Am7|Bm7|CM7|Bm7|※3

|Em|A(onE)|Em|A(onE)|
|Em|CM7|D7|CM7|

Aメロバリエーション
|Em|CM7|Bm7|Bm7|
|Am7|Bm7|CM7|CM7|
|CM7|CM7|
|Em|C♯m7(♭5)|D7(onC)|Bm7|
|Am7|Am7|Bm7|Bm7|
|CM7|CM7|Bm7|Bm7|

コーダ
|Em|A(onE)|Em|A(onE)|
|Em|A(onE)|Em|A(onE)|
|CM9|CM9|CM9|CM9|
|CM9|CM9|C69|C69|

※1 演奏では最初と最後だけ弾いて半分のサイズに縮小しています
※2 4度堆積コード
※3 演奏ではこの段省略

コード進行分析

イントロ※1
■Eメジャー/Eマイナー
|Ⅴ7sus4 Ⅵm7|Ⅵm7|Ⅴm7 Ⅵm7|Ⅵm7|
|Ⅵm7 Ⅶ7sus4|Ⅶ7sus4|
|Ⅴm7 Ⅴ7sus4|Ⅴ7sus4|

Aメロ
■Eマイナー
|Ⅰm|♭ⅥM7|Ⅴm7|Ⅴm7|
|Ⅳm7|Ⅴm7|♭ⅥM7|♭Ⅶ7|
|Ⅰm|Ⅵm7(♭5)※2|♭Ⅶ7|Ⅴm7|
|Ⅳm7|Ⅳm7|Ⅴm7|Ⅴm7|

ブリッジ1
|Ⅰm|Ⅳ|Ⅰm|Ⅳ|
|Ⅰm|Ⅳ|Ⅰm|Ⅳ|

Aメロ繰り返し

ブリッジ2
|Ⅰm|Ⅳ|Ⅰm7 Ⅳ Ⅰm|

Bメロ
|Ⅳm|Ⅳm|♭ⅢM7|♭ⅢM7|
|Ⅰm|♭Ⅶ7|♭ⅥM7|Ⅴm7|
|Ⅳm|Ⅳm|Ⅴm7|♭ⅥM7|
|Ⅵm7(♭5)※2|Ⅳ7|♭Ⅶ|Ⅴ7|
|Ⅳm|Ⅳm|♭ⅢM7|♭ⅢM7|
|Ⅰm|♭Ⅶ7|♭ⅥM7|Ⅴm7|
|Ⅳm7|Ⅳm7|Ⅴm7|♭ⅥM7|
|Ⅳm|Ⅳm|Ⅴm|♭ⅥM7|

ブリッジ3
|Ⅳm7|Ⅴm7|♭ⅥM7|Ⅴm7|
|Ⅳm7|Ⅴm7|♭ⅥM7|Ⅴm7|
|Ⅳm7|Ⅴm7|♭ⅥM7|Ⅴm7|※3
|Ⅳm7|Ⅴm7|♭ⅥM7|Ⅴm7|※3
|Ⅰm|Ⅳ|Ⅰm|Ⅳ|
|Ⅰm|♭Ⅵ|♭Ⅶ|♭Ⅵ|

Aメロバリエーション
|Ⅰm|♭ⅥM7|Ⅴm7|Ⅴm7|
|Ⅳm7|Ⅴm7|♭ⅥM7|♭ⅥM7|
|♭ⅥM7|♭ⅥM7|
|Ⅰm|Ⅵm7(♭5)※2|♭Ⅶ7|Ⅴm7|
|Ⅳm7|Ⅳm7|Ⅴm7|Ⅴm7|

コーダ
|Ⅰm|Ⅳ|Ⅰm|Ⅳ|
|Ⅰm|Ⅳ|Ⅰm|Ⅳ|
|♭ⅥM7|♭ⅥM7|♭ⅥM7|♭ⅥM7|
|♭ⅥM7|♭ⅥM7|♭Ⅵ|♭Ⅵ|

※1 演奏では最初と最後だけ弾いて半分のサイズに縮小しています
※2 メロディックマイナーのダイアトニックコード
※3 演奏ではこの段省略

同じメロディに異なるコード付け【コード進行のポイント】

イントロは4度堆積コードですね。

普通のコードと違って完全四度間隔で積んでいくんですが、硬質で洒落た響きです。

これに普通のコードネームをつけると、m11とか、7sus4(♯9,♭13)とか、3度ベースの69とかになりますが、敢えて調性感を曖昧にしたいときなんかに使います。

Aメロの一まわりめと2回り目でコードが少し違うのがポイントです。

1回り目
Ⅰ→♭ⅥM7→Ⅴsus4→Ⅴm7

2回り目
Ⅰ→Ⅵm7(♭5)→♭Ⅶ7→Ⅴm7

こういう繊細な表現、良いですねー。

Bメロもシンプルな進行と思わせて
Ⅵm7(♭5)→Ⅳ9→♭Ⅶ6→Ⅴ7とか入れ込んできます。

ブリッジ部分高音フレーズのところも1回り目と2回り目で伴奏コードが違いますね。

1回り目
Ⅰm→Ⅳ7→Ⅰm→Ⅳ7

2回り目
Ⅰm→♭Ⅵ(Ⅳm7)→♭Ⅶ(Ⅴm7)→♭Ⅵ(Ⅳm7)

メロディー的にはシンプルなマイナーキーと思わせて、随所に隠し味の繊細な処理がされてます。

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