ゲーム音楽作曲家列伝ではゲーム音楽がメインの作曲家を紹介してきましたが、番外編としてゲーム音楽の活動がメインではない作曲家や外国人作曲家の紹介をしています。
このシリーズは、原則としてゲーム音楽作曲デビュー順に紹介していますが、最近になって当初予定よりも対象範囲を広げたため、今回からしばらく投稿順が前後しますのでご承知おき下さい。
今回は、サザンオールスターズのベーシストとしてメジャー音楽シーンで活動し、日本を代表するウクレレ奏者としても知られる関口和之さんです。関口和之さんは歴代の桃太郎伝説シリーズ・桃太郎電鉄シリーズの音楽を手掛けています。
関口和之さんプロフィール・略歴
本名:関口和之(せきぐち かずゆき)
通称:CAPTAIN MOOK、カズ坊
生年月日:1955年12月21日
ゲーム音楽作曲家デビュー:1987年10月(桃太郎伝説)
代表作品:桃太郎伝説・桃太郎電鉄シリーズ
関口和之さんは高校時代まで漫画家志望だったそうですが、ビートルズを聴いて音楽に興味を持ち、青山学院大学時代にベースを始めました。
大学在学中に学内で顔見知りだった桑田佳祐氏らとサザンオールスターズ(バンド名は後から決まった)を結成し、大学卒業後の1978年に同バンドのシングル「勝手にシンドバッド」でメジャーデビューして以来、途中ブランクはあったりしたものの現在までサザンオールスターズのベーシストとして活動を続けています。
サザンオールスターズの概要と活動については、あまりにも有名なバンドだし、検索すればいくらでも情報が得られるのでここでは割愛しますが、45年に渡って同じバンドで活動を続けられるという事自体、なかなか無い事ですよね。
1986年からはサザンオールスターズの活動と並行してソロ活動を開始しています。
1991年頃より、ハーブ・オオタ氏との出会いをきっかけとしてハワイアンミュージックに傾倒するようになりました。それ以来、ウクレレ奏者としても活動するようになり、サザン以外の活動では次第にウクレレ/ハワイアンのほうがメインとなって行きました。
関口さんは歌と作詞も達者で、ソロの作品ではウクレレ弾き語りのシンガーソングライターとしての楽曲が中心となっています。
また、高校時代まで本気で漫画家を目指していた事もあって漫画・イラストもプロレベルの腕前で、週刊少年サンデー増刊号に4コママンガの連載をしたり、自分のソロ作品の他、爆風スランプや原由子など他アーティストのレコードジャケットを描いたりしています。
関口和之さんと桃太郎シリーズ
サザンオールスターズのベーシスト/ウクレレ奏者として有名になった関口和之さんですが、今回はゲーム音楽作曲家としての関口さんをクローズアップしたいと思います。
関口さんは、桃太郎伝説(1987年、ハドソン)に楽曲提供をしたことをきっかけに、現在に至るまで歴代の桃太郎伝説・桃太郎電鉄シリーズに楽曲を提供することになるのですが、桃太郎伝説を担当する以前はゲームには全く興味が無く、テレビゲームなどは一度もやった事がなかったそうです。
そんなゲームと全く無縁だった関口さんですが、漫画方面で個人的な交友関係にあったさくまあきら氏(当時、漫画とゲームのライターをやっていた)から熱望されて、戸惑いながらも『桃太郎伝説』の音楽制作を引き受けたといいます。
それまではインストゥルメンタル楽曲の作曲経験が無かったといいますから、結果として、これが関口さんの新たな音楽性を開くきっかけにもなっていそうですよね。
桃太郎シリーズの音楽は、初期の頃は国本剛章さんらハドソンのサウンドスタッフのサポートを受けながら関口さんほぼ一人で作っていたようですが、1996年から2005年頃にはギタリスト・作曲家の宮路一昭さんが、2001年から2016年にはTVアニメ版ドラゴンボール主題歌の「魔訶不思議アドベンチャー!」「ロマンティックあげるよ」を作曲した事で知られる歌手・作曲家の池毅さんが参加して、関口さんを中心とした2、3人の体制で作られていました。
ちなみに、最新作の『桃太郎電鉄 〜昭和 平成 令和も定番!〜』(2020年、コナミ)は、ヒャダインこと前山田健一さんとの共作が話題になりました。
ゲーム音楽専門でない作曲家ばかり起用しているのはさくま氏の方針でしょうか。結果として、他に無いポップでバラエティーに富んだ音楽になっていると思います。
桃電の思い出
自分は桃太郎伝説の方はやったことが無いのですが、桃太郎電鉄シリーズ(以下、桃電)は、かなりやり込んでいます。
桃電は桃太郎伝説の世界観で展開される鉄道双六ゲームなのですが、古き良きボードゲームの感覚が多分に取り入れられていて、誰でもとっつきやすいゲームシステムでした。
我が家でも、年末年始になると家族や友達とプレイするのが恒例行事となっていて、1990年代は毎年やっていたと思います。
複数人での対戦プレイは、セコい人とか、大雑把な人とか、キレる人とか、負け始めると開き直って借金王を目指し始める人とか、目的地無視して沖縄買い占めに拘る人とか(笑)、それぞれの性格が出て熱くなりますよねー。
桃電の事を考えると、それこそ思い出が走馬灯のように駆け巡ってヤバいのですが(笑)、音楽も一緒に脳内再生されます。自分がよくやったのは桃電2とDXなので、どちらも関口さんの手によるものです。
桃電の音楽は、TVで言うとバラエティ番組的な、エンタテイメントに徹したものでした。
ゲーム中には、その時話題になっていたイベントや人物や場所などの時事ネタが大量に出てくるのですが、音楽も本家のテーマ曲などをパロった「いかにも」な音楽が使われていたりして、楽しかったですよね。
作曲者の関口さんも、この仕事はかなり楽しかったのではないでしょうか。
桃電の楽曲って「どの曲が名曲で」とかはあまり無いんですが、全体にインパクトが強くて記憶に残りますよね。自分的には、キングボンビーのテーマとか、大恐慌時のBGM(裏ぶれ感が秀逸)とかが忘れられません。
関口和之さんのゲーム音楽作曲作品
メーカー表記の無いものは全てハドソンのタイトルです。
1987年
桃太郎伝説(FC、国本剛章/前野知常と共作)
1988年
桃太郎電鉄(FC)
1989年
スーパー桃太郎電鉄(PCE)
1990年
桃太郎伝説ターボ(PCE)
桃太郎伝説2(PCE)
忍者らホイ! 痛快うんがちょこ忍法伝!!(FC、アスキー)
1991年
桃太郎伝説外伝(GB/FC/PCE)
スーパー桃太郎電鉄2(PCE/SFC/GB)
1993年
新桃太郎伝説(SFC)
1994年
スーパー桃太郎電鉄3(SFC/GG)
1995年
スーパー桃太郎電鉄DX(SFC)
1996年
桃太郎電鉄HAPPY(SFC、宮路一昭と共作)
1997年
桃太郎電鉄7(PS、宮路一昭と共作)
怪物パラ☆ダイス(PS、メイクソフトウェア)
1998年
PS版 桃太郎伝説(PS、宮路一昭と共作)
桃太郎電鉄jr. 〜全国ラーメンめぐりの巻〜(GB、宮路一昭と共作)
1999年
桃太郎電鉄V(PS、宮路一昭と共作)
2001年
桃太郎伝説1→2(GBC)
桃太郎まつり(GBA/PS、宮路一昭/池毅と共作)
桃太郎電鉄X 〜九州編もあるばい〜(PS2、宮路一昭/池毅と共作)
2002年
桃太郎電鉄11 ブラックボンビー出現!の巻(PS2/GC、宮路一昭/池毅と共作)
2003年
桃太郎電鉄12 西日本編もありまっせー!(PS2/GC、宮路一昭/池毅と共作)
2004年
桃太郎電鉄USA(PS2、宮路一昭/池毅と共作)
2005年
桃太郎電鉄G ゴールド・デッキを作れ!(GBA、宮路一昭/池毅と共作)
桃太郎電鉄15 五大ボンビー登場!の巻(PS2、池毅と共作)
2006年
桃太郎電鉄16 北海道大移動の巻!(PS2/Wii/Xbox360、池毅と共作)
2007年
桃太郎電鉄DS TOKYO&JAPAN(DS、池毅と共作)
2008年
桃太郎電鉄20周年(DS、池毅と共作)
2009年
桃太郎電鉄2010 戦国・維新のヒーロー大集合!の巻(Wii、池毅と共作)
2010年
桃太郎電鉄タッグマッチ 友情・努力・勝利の巻!(PSP、池毅と共作)
桃太郎電鉄WORLD(DS、池毅と共作)
2011年
桃太郎伝説モバイル(携帯電話)
2016年
桃太郎電鉄2017 たちあがれ日本!!(3DS、任天堂、池毅と共作)
2020年
桃太郎電鉄 〜昭和 平成 令和も定番!〜(SW、コナミ、前山田健一と共作)
※略号
FC=ファミリーコンピュータ
PCE=PCエンジン
GB=ゲームボーイ
GG=ゲームギア
SFC=スーパーファミコン
PS=プレイステーション
GBA=ゲームボーイアドバンス
PS2=プレイステーション2
PSP=プレイステーションポータブル
DS=ニンテンドーDS
3DS=ニンテンドー3DS
SW=ニンテンドーSwitch
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