今までゲーム音楽作曲家列伝では、ゲーム音楽がメインの日本人作曲家を紹介してきましたが、「番外編」として、外国人作曲家や、ゲーム音楽の活動がメインではないけれどゲーム音楽の発展に重要な役割を果たした作曲家をご紹介しています。
番外編第3回は、TMレボリューション(T.M.Revolution、西川貴教さんのソロプロジェクト)のプロデュースや貴水博之さんとの音楽ユニット「access」で活躍する浅倉大介さんです。
浅倉大介さんプロフィール・略歴
本名:浅倉大介(あさくら だいすけ)
生年月日:1967年11月4日
ゲーム音楽作曲家デビュー:1986年12月(ディーヴァ)
ゲーム音楽の代表作品:ディーヴァ、戦国BASARAシリーズ
浅倉大介さんはTMレボリューションをはじめ、数多くのヒットソングを作曲した日本を代表するソングライターの一人ですが、彼の作曲家デビューはゲーム音楽でした。
浅倉さんは高校時代にMSXでコンピューター音楽を始め、1985年よりヤマハのシンセサイザー部門に勤務。ヤマハ時代に会社経由で依頼を受けてT&Eソフトのディーヴァ(DAIVA、1986年12月より順次発売)の音楽を作ったのが浅倉さんの職業作曲家デビューとなりました。
ディーヴァの音楽はMSX4台とTX7(ヤマハのFM音源シンセサイザーDX7の音源モジュール版)を繋げて作ったと言います。
その後、1987年頃からTMネットワーク(TM NETWORK、小室哲哉さんがやっていたバンド)のサポートメンバー(マニュピレーター・キーボード奏者)になったのをきっかけに、小室哲哉さんの片腕として音楽活動を本格化させていきました。
1991年には自身のソロ活動もスタートさせ、1992年には貴水博之さんと共に音楽ユニット「access」を結成。このユニットは活動休止期間もありましたが、現在まで活動を続けています。
1994年にTMネットワークが活動休止して以降はプロデュース業にも注力するようになり、様々なアーティストに曲提供して数多くのヒット曲を送り出しましたが、その中でもTMレボリューションは浅倉さんが全面的にプロデュース・作曲を担当しました。
また、プロデューサー業・作曲家業・ソロ活動・accessの活動と平行して以下のような活動を展開しています。
Iceman(1996年から2000年)
黒田倫弘さん、伊藤賢一さんとのユニット
DA METAVERSE(2008年)
iTunes Storeにて1000日間で100曲を制作・配信するというソロ企画
Sugar & The Honey Tones(2010年)
土屋公平さん、吉田建さん、屋敷豪太さんとのバンド
このように、浅倉大介さんはメジャーな音楽の業界で大成功していて、ゲーム音楽は彼のキャリアの極々一部に過ぎませんが、今回は「ゲーム音楽作曲家としての浅倉大介さん」という視点で書いてみようと思います。
ゲーム音楽作曲家としての浅倉大介さん
小室哲哉さんと出会って以降、ミュージシャンとして大成功をおさめた浅倉大介さんですが、かなりのゲーム好きとして知られていて、有名になってからも時折ゲーム作品に曲を提供したり、サントラをプロデュースしたりしています。
元々シンセサイザーやコンピューターに興味をもっていた浅倉さんが当時(1980年代後半)の先端メディアであるコンピューターゲームに傾倒するのは自然な流れだったのではないでしょうか。
自分が浅倉さんのゲーム音楽作品に接したのは、デビュー作である『ディーヴァ』でした。PC88版とファミコン版、どっちを先にやったのか記憶が曖昧ですが。
この作品は7機種(PC88、PC98、X1、FM77AV、MSX、MSX2、ファミコン)で発売、1986年12月から1987年12月にかけて順次リリースされましたが、7機種それぞれ別のシナリオ・ゲームシステムが用意されていて、他機種版との連携要素も採り入れられるという野心作でした。
音楽も7機種版それぞれに合わせたテーマ曲が個別に用意され、それらを収めた浅倉さん制作のサントラ「アレンジ・サウンドトラック・DAIVA」(東芝EMI)が発売されています。
このサントラCDはウチにもありましたが、音楽性としては、ロック要素もあるニューエイジ・プログレ系のシンセサイザー音楽という感じで、改めて聴いてみても、当時の先端技術や新しい音楽へのワクワク感がよみがえります。
このブログでもDAIVAのメインテーマを演奏しました。
これは余談ですが、ハイドライド3(T&Eソフト、1987年11月発売)に付属していた「T&E SOFT 創立5周年記念 ゲームミュージックライブラリー」というカセットテープが存在し、貴重な浅倉大介さんの初期音源が聴けます。収録曲は以下の通り。
- スターアーサー伝説
- ハイドライド1・2・3
- ディーヴァ
- スーパーレイドック
近年の作品で有名なのは、TMレボリューションによる歴代の戦国BASARAシリーズ主題歌でしょうか。
これは2005年の第1作から恒例化していて、同シリーズのトレードマークとなっています。
浅倉さんにとってゲーム音楽は、初期の頃にやっていたシンセサイザー・コンピューター音楽の延長線上で取り組んでいたものだと思いますが、その後、ボーカル曲を中心に扱うようになって以降も「シンセ+コンピューターで作ったオケに生ボーカルを乗せる」という制作スタイルが基本になっているし、ゲーム音楽を含めた初期の制作経験は彼の音楽の土台部分なんだと思います。
浅倉大介さんのゲーム音楽作品
1986年
ディーヴァ(PC/FC、T&Eソフト、丸山恵市・冨田茂と共作)
1987年
アシュギーネ 虚空の牙城(PC、パナソニック)
1996年
メディアロマンサー(SS、ファンハウス)
2004年
めいわく星人パニックメーカー(PS2、カプコン、1曲)
2005年
戦国BASARA(PS2、カプコン、主題歌)
2007年
Dance Dance Revolution SuperNOVA2(PS2、コナミ、1曲)
BeatmaniaⅡDX15 DJ TROOPERS(AC/PS2、コナミ、1曲)
2008年
戦国BASARA X(PS3/AC、カプコン、主題歌)
2010年
戦国BASARA3(PS3/Wii、カプコン、主題歌)
2011年
戦国BASARA クロニクルヒーローズ(PSP/Wii、カプコン、主題歌)
2014年
ロストディメンション(PS3/PSV、フリュー、テーマ曲)
戦国BASARA4(PS3、カプコン、主題歌)
2015年
機動戦士ガンダム EXTREME VS.FORCE(PSV、バンダイナムコ、主題歌)
2016年
戦国BASARA 真田幸村伝(PS3/PS4、カプコン、主題歌)
2019年
戦国修羅SOUL(iOS/Android、CREEK&RIVER)
2021年
あんさんぶるスターズ!!Basic&Music(iOS/Android、Happy Elements、テーマ曲)
※略号
FC=ファミコン
SS=セガ・サターン
PS2=プレイステーション2
PS3=プレイステーション3
PS4=プレイステーション4
PSP=プレイステーションポータブル
PSV=プレイステーションVita
PC=パソコン
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