ゲーム音楽作曲家列伝では、今までゲーム音楽がメインの日本人作曲家を紹介してきましたが、「番外編」として、ゲーム音楽がメインではない作曲家や、外国人作曲家の紹介もしていきたいと思います。
番外編の第1弾は、アニメ・映画・CMなどを手掛ける有名作曲家、菅野よう子さんです。
菅野さんは、光栄(現コーエーテクモ)の歴史シミュレーションゲームに楽曲を提供することで職業作曲家としてのキャリアをスタートさせました。
菅野よう子さんプロフィール・略歴
本名:菅野洋子(かんの ようこ)
生年月日:1963年3月18日
ゲーム音楽作曲家デビュー:1985年12月(三國志)
代表作品:信長の野望シリーズ
菅野よう子さんは2歳よりピアノを始め、幼少時より作曲をしていたそうです。
中学高校時代は吹奏楽部でアレンジを担当。大学時代は軽音楽サークルに所属して、サークルOBの紹介で音楽の仕事にも関わり始め、その時期に知り合ったアルファレコードのディレクターから光栄(現コーエーテクモ。三國志シリーズ・信長の野望シリーズなどの歴史シミュレーションゲームで有名なゲーム制作会社)の創業者であるシブサワ・コウ氏を紹介されたといいます。
シブサワ氏の依頼を受けて、光栄から1985年12月に発売された『三國志』で職業作曲家としてデビューしました。
以後、菅野さんは1994年頃まで(信長の野望 天翔記まで)光栄の歴史シミュレーションゲームに曲提供することになります。
そして、光栄でゲーム音楽を作るのと平行して自らの音楽活動も精力的に展開。1986年に「てつ100%」(バンド)の鍵盤奏者としてデビューしていますが、バンドは短期間で解散してしまいました。
バンド解散後は鍵盤奏者としてレコーディングやライブで演奏の仕事をこなす一方、今井美樹・小泉今日子などへの曲提供やプロデュース業も開始。
1991年頃からはCMの仕事をするようになり、ご本人曰く現在までに1000曲以上のCMソングを作ったそうで、「CMソングの女王」の異名をとるようになりました。
1990年代半ばからはアニメ作品にも手を広げて、多数の作品に主題歌や劇伴を提供しています。
菅野さんが手掛けたアニソンで有名なのは、単体曲だと、カウボーイビバップの「Tank!」、「創聖のアクエリオン」や「星間飛行」など。劇伴だと、マクロスシリーズ、攻殻機動隊シリーズ、∀ガンダムなどが挙げられます。
2011年3月、東日本大震災直後に発表した応援ソング「花は咲く」が大きな反響を呼び、その年の紅白歌合戦のオープンニングテーマ曲を担当することに繋がりました。
現在も、メインフィールドのCM・アニメの他、NHK大河ドラマ・連続テレビ小説のテーマ曲を手掛けるなど、日本を代表する作曲家の一人として活躍中です。
ゲーム音楽作曲家としての菅野よう子さん
菅野よう子さんのキャリアのうち、ゲーム音楽の占める割合は極一部なのですが、ここではその部分をクローズアップしてみたいと思います。
菅野さんは1990年代前半までは光栄の歴史シミュレーションに曲を提供していましたが、1990年代後半以降はあまりゲーム音楽を作っておらず、彼女が音楽を担当したアニメ作品がゲーム化された際に参加する、というような形が中心になっています。
そんな中で1997年に担当したアースウインズ(システムソフト)の音楽は、菅野さん唯一のソロアルバムの元ネタになっているし、かなり重要な位置付けのものなのではないでしょうか。
その他、2007年にはラグナロクオンライン2の音楽を担当したことが知られています。
自分的には、菅野さんのゲーム音楽といえば、初期の信長の野望シリーズのイメージです。
自分は1980年代後半から1990年代にかけて光栄の歴史シミュレーションをプレイしていましたが、「音楽が映画とか大河ドラマみたいだなぁ」と思っていました。
当時は音源も貧弱だったし、本来やりたかった事が表現し切れていないというのは多分にありそうですが、「これをオーケストラでやったら、映画のワンシーンみたいになるんだろうな」と思わせるような音楽でしたよね。
菅野さんが2番目に手掛けた『信長の野望 全国版』は、厳かなオープニング曲(自分はFM音源のPC88SR版をプレイしました)がとても印象的でしたが、この曲は信長の野望シリーズ全体のテーマ曲的な存在となって、後のシリーズ作品にも繰り返しアレンジされて登場しています。
菅野さんの音楽全体をみると、歌ものから劇伴まで、アレンジもクラシックからJポップまで非常に幅広いので、ゲーム音楽もその気になればどんなものでも作れるのだと思いますが、菅野さんの作るゲーム音楽は、やはりロマンを感じさせるクラシック・映画音楽系の劇伴的なイメージですよね。
菅野よう子さんのゲーム音楽作品
1985年
三國志(PC、光栄)
1986年
信長の野望 全国版(PC、光栄)
1987年
蒼き狼と白き牝鹿 ジンギスカン(PC、光栄)
1988年
信長の野望 戦国群雄伝(PC、光栄)
維新の嵐(PC、光栄)
1990年
信長の野望 武将風雲録(PC、光栄)
大航海時代(PC、光栄)
1992年
信長の野望 覇王伝(PC、光栄)
1993年
大航海時代2(PC、光栄)
1994年
信長の野望 天翔記(PC、光栄)
1997年
アースウインズ(PC、システムソフト)
2000年
マクロスプラス GAME EDITION(PS、タカラ)
ナップルテール(DC、セガ)
2005年
カウボーイビバップ 追憶の夜曲(PS2、バンダイ)
2007年
ラグナロクオンライン2 (PC、GRAVITY/ガンホー)
※略号
DC=ドリームキャスト
PS=プレイステーション
PS2=プレイステーション2
PC=パソコン
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