前回は一通り演奏可能な仮アレンジを作るための基本的なことをやりました。
ですが、基本通りやっても上手くいかないこともあると思います。
今回はそのへんを解消していこうと思います。
アレンジが行き詰まる原因
一通り演奏可能な仮アレンジまでいきつけない、というのはいろいろ原因はあると思いますが、弾きたい音が決められてない、というような内容的なことを除外すると
- ギターと音域がマッチしていない
- 難易度が高すぎる
ほぼこの2つに集約されてくるように思います。
移調の検討
ギターに音域があっていなくて指板が広く使えないとアレンジが行き詰まりやすいです。
こういう場合、思いきって移調を検討します。
移調先の決め方
- 曲の音域
曲中の最高音で出したい部分を基準に考えます。 - 演奏性
よく使うベース音に解放弦が使えればいろいろ楽です。あとは曲中で一番難所と思われる部分を上手く弾けるか?で決めます。
使用可能な解放弦を増やす
キールートが1フレットのキー(F,B♭,E♭とか)の場合、半音下に移調すると難易度が下がる場合が多いです。
ギターだと必然的にA、Am、E、Em、Bm、D、Dm、G、Cなどのキーが多くなります。
カポタストの使用と半音下げチューニング
移調後でもカポタストを使えば、指使いを変えずにオリジナルキーで演奏することが可能です。
また、半音上に移調した場合は半音下げチューニングでオリジナルキーに戻すことができます。
ちなみに当ブログのアレンジはオリジナルキーには拘らないので、基本カポタストは使いません。
カポタストつけると、その分指板が狭くなりますし。
――さて、移調してキーをギターに最適化しても、まだ弾きづらいところがあるかもしれません。
そういうところは、だいたいメロディとベースの動きの関係で難しくなっているはずです。
次はこれを解消しましょう。
コードボイシングの変更
移調の次はコードボイシングを検討します。
ベースラインの再考
ベースラインの跳躍が大きかったりで弾きにくい場合、ベース音を組み換えます。
メロディとベースが近接して弾きにくくなるところもよく出てきますが、どちらかというとメロディーを変えるより、ベースをさらに低い音に変えれないか考えます。
ベース音の変更はルートが無理なら3度音というのが基本ですが、5度・7度も実際にやってみて変でなければ検討します。
ドミナント7thコードは、むしろ積極的にベース音を3度とか7度に変えてもドミナント感が強まっていいかもしれません。
ただし、最初にベースラインを決めるときにベースライン優先と決めた部分は極力変えないようにします。
コードの省略
メロを弾きながらだと、コードの音が全部出せない場合もあります。
そういう場所があった場合、以下の順番でコードの省略を検討します。
- コードの音を減らす
例えば1弦でメロディー、6弦でベースを出している場合、4弦と5弦は省略して指をメロディーに回します。メロディーと近接したコードトーンは綺麗に響くし、メロディーに織り混ぜやすいのでなるべく残してベース側のコードトーンから省略していきます。 - メロディーとベースだけにする
それでも難しい場所はメロディーとベースの二音だけにします。 - メロディのみにする
さらに技巧ギリギリのところや意図的にベース音を出したくないところはベース音もカットします。
リハーモナイズ
リハーモナイズ(コードの付け直し)はソロギターに限らずアレンジ(編曲)全般において重要なテクニックです。
リハーモナイズについては、こちらの記事にまとめましたので、ご一読下さい。

ここでは、ゲーム音楽のソロギターアレンジのためのリハーモナイズということを考えましょう。
まず、ゲーム音楽は原曲イメージが大切なジャンルなので、原則、あまり極端なリハモはしません。
挑戦的アレンジという趣旨ならその限りではないですが。
ソロギター演奏といことでいうと
- 演奏性を上げる
- ギターでより綺麗な響きが出るようにする
リハーモナイズの目的はこの二点に集約されると思います。
これって前回まででやった、仮アレンジを作るための基本的テクニックと全く同じ目的です。
なので、リハーモナイズは前回までの内容の延長線上のものとして、仮アレンジの一工程・次の本アレンジの下地として処理していくことになります。
本アレンジに入ってからも使いたいテクニックや音運びが出てきたとき、それを実現するためにリハーモナイズは有効な手段になります。
メロディーの変更
原曲イメージを大きく変えてしまう場合があるので慎重に検討すべきですが、メロディーの変更が必要になってくるケースもあります。
メロディーを部分的に1オクターブずらす
ギターの音域で弾ききれないところは部分的にオクターブ上げたり下げることを考えます。
ギターの楽器特性上、オクターブ変更は避けられないことも多いですが、なるべく自然な流れになるように工夫します。
メロディーラインの変更
出来たらやりたくはないことと思いますが、難易度的に到底無理な場合はメロディーライン変更も検討しなければなりません。
ただし、これは作曲部分の変更になるので難易度が高いアレンジです。
原曲の雰囲気を残しつつ、演奏可能な程度まで難易度を下げる、というのは経験とセンスが必要だったりします。
――今回は演奏性を上げるための、移調やコードボイシング中心にやりましたが、次回からは演奏の肉付け的なテクニックをみていきます。
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