コードの耳コピーと分析【ゲーム音楽を弾こう!03】

「ゲーム音楽を弾こう!」では、前回までで、メロディーとベースラインの耳コピー→簡単アレンジでの演奏をやりました。

今回はさらにステップアップしていくために、コードの採譜=耳コピーやアレンジの基礎となるコード分析などについてやります。

音楽理論や楽曲分析に関する知識

音楽理論や楽曲分析の基礎知識については、フラメンコギターブログ「音楽理論ライブラリー」に記事を統合しました。

こちらの記事を一通り読んでから進んでいただくとより深い理解が得られると思います。

コード(和音)の採譜は単音より難しい

コードはアルペジオでバラバラに鳴っている場合はとりやすいのですが、和音で一度にたくさんの音が鳴っていると難しいです。

耳コピーに慣れているか、もともと音楽教育で訓練を受けていて、絶対音感やそれに近いものがある人は、いきなりコードがとれるかもしれません。

でも、大多数の人はここで苦戦して時間がかかると思います。

自分も絶対音感など無いし、譜面もそれほど強いわけではなく、ギターをやってきた経験と理論の知識と慣れだけでやっています。

専門的な訓練を受けた人に比べると早さ正確さ、ともに劣ると思いますが、それでも慣れと工夫でだいぶマシになります。

コードがとれない場合どうするか?

では、コードの知識も音感もないのでコードが全くとれない、という人が最初どうやって取り組んでいったらいいのか?今回のテーマはこれです。

――答えからいうと、手持ちの楽器でメモしたベースラインとメロディーを頼りに総当たりします。

ちなみに、メロディーや伴奏でアルペジオが鳴っているところは、アルペジオを採譜するほうがコード確定は早いので、そうやってとれる部分は先にとってメモを埋めておきます。

ここではアルペジオなどで判断できない場合についてです。

なお、理論がある程度わかる人は、理論から導いたほうが早いですが、それでも見当がつかないコードに対してはこの方法を使うと良いです。

まず4つのコードを試す

総当たりというと凄く大変そうですが、試すコードを限定して行います。

使うコードはまず最初は3和音で

①メジャーコード(1,M3,P5)

②マイナーコード(1,m3,P5)

ゲーム音楽ではsus4が多用されるので

③sus4コード(1,P4,P5)

あと出来たら

④マイナー♭5=ディミニッシュコード(1,m3,♭5)

以上の4種です。

まず、メジャーとマイナーを弾いてみて、ダメならsus4とマイナー♭5を弾いてみます。

4種類のコードを前回採譜したベースラインをルートにして曲にあわせて弾いてみます。コードが変わるたびに4種類弾いてみて、一番マッチするものを判定していきます。

ギターの場合はベースラインのときに使った6弦と5弦のポジションを使いますが、全部で8種類のコードフォームを知っていれば対処できることになります。

どうしてもマッチしないものもあると思いますが、最初はとばしてとっていって、パズルのように分かる所からどんどん埋めていきます。

そうやっているうちに、なにかひらめいて、分からないところが判明したりするものですが、どうしても無理なところは次のコード分析で判断します。

大まかにコードを仕分ける

この段階でコードは5種類に仕分けされます。

  1. メジャー系(メジャーコードがマッチ)
  2. マイナー系(マイナーコードがマッチ)
  3. ディミニッシュ系(マイナー♭5コードがマッチ)
  4. sus4コード(sus4コードがマッチ)
  5. 不明コード(どれもマッチしなかった)

コードを確定する

では、仕分けされたコードを確定します。

  1. メジャー系
    メジャー7th系かドミナント7th系かを判定します。音源の該当箇所でM7とm7の音を弾いてみます。
  2. マイナー系
    ほぼマイナー7th系ですが、たまにマイナーメジャー7th系もあります。
  3. ディミニッシュ系
    ディミニッシュ7thかハーフディミニッシュ(マイナー7th♭5)かを該当箇所でM6とm7の音を出してみて判定します。M6ならディミニッシュ、m7ならハーフディミニッシュです。
  4. sus4コード
    11thのテンションの可能性もありますが、この段階では単にsus4としておけば良いと思います。どんな意味のsus4なのかは分析の時考えます。
  5. 不明コード
    ルート以外がベースになった転回形かオンコード、オーギュメント系、ドミナント7th♭5系などです。見当をつけていくつか弾いてみて、どうしてもとれなかったら後回しにして、このあとの分析段階で判定します。

採譜しづらいコード

今までのやりかたではとるのが難しくて「不明コード」となりやすいコードを解説します。

オンコードと転回形コード

オンコード・転回形コードはコードボイシングの順番が入れ替わっているコードですが、同じコードでもボイシングが変わるとかなり違って聴こえるので、採譜が難しい事もあります。

オンコードは解釈が難しいものも沢山あるので、そういうものは作曲した人に直接意図をきかないと本当のところはわからなかったりしますが……

テンションコード

テンションコードは響きに慣れないと採譜しにくいかもしれません。

少し複雑なコードになると、もしかしたら特殊なオンコードや転回形かも、という可能性もあって、コードトーンかテンションノートか判別が難しい場合があります。

とくに♯5、♭5、6などのコードトーンが絡むと難しいです。

その場合は前後との関係などから、どの音をルートにとるのがふさわしいかを判別していきます。これが出来るようになってくると分析力も中級以上でしょう。

テンションの使われ方は転調の判断材料にもなります。

ノンダイアトニックなテンションノート(オルタードテンション)が入ってきた場合など「本格的転調」か「一時的転調」かは、ノンダイアトニックコードと同様、使われ方によって判断します。

ソロギターのための楽曲分析(アナライズ)について

フラメンコギターブログの「音楽理論ライブラリー」で楽曲分析などについても解説していますが、このブログでも、毎回演奏動画をアップするとき、下の方にコード進行分析のコーナーをつけています。

コード進行分析は曲の構造を理解するプロセスです。

曲の構造を理解していないと、変えていい部分、変えるとダメな部分の判断ができません。

  • 楽器の特性にあわせてアレンジを変える
  • 新たなパートを付け加える
  • 複雑すぎるところを省略する

そういったことも曲の構造を理解せずにやると、曲の重要な部分が変わってしまったりします。

アナライズについてはこちらで解説しています。

理論というのは演奏や作曲だけなら絶対に必要とは思いませんが、コード採譜やアレンジは理論を知っていれば、それだけ試行錯誤が減らせて楽になります。

耳でとりずらい「不明コード」も理論面であたりをつけてから採譜すると楽にとれることもあります。

「不明コード」の部分はメロとベースしか弾かない、でもいいんですが、知識が増えると採譜やアレンジの時間短縮に繋がるので、長い目でみたらある程度理論をやったほうが近道です。

次回からは自分がやっている実際のアレンジ手法について解説していきます。

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