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コードスケールを学ぶ【ゲーム音楽を弾こう!09】

前回までで同一キー内で出てくるコードをほぼ網羅しました。
今回は分析のもうひとつの要素である、音階=スケールについてやっておこうと思います。

コードスケールを知らなくてもコード分析だけなら可能ですが、知っていればより早く正確に分析が出来るようなるし、アレンジも視野に入れると知っていたほうが絶対有利なので、実際の分析手法に入る前にコードに関連する予備知識としてここでまとめておきます。

モードとコードスケール

モード(教会旋法)とコードスケールについては、以前、ゲーム音楽論10で解説しましたので、そちらも読んでみてください。

スケール(音階)とモード(旋法)【ゲーム音楽論10】
ゲーム音楽論 第10回。コード進行についてやってきましたが、今回はスケール(音階)とモード(旋法)という面からゲーム音楽の特徴を考えます。

『モードスケール』はダイアトニック系コードと教会旋法を対応させたものです。

『コードスケール』はコード単体に対して一対一で音階を対応させて、あらゆるコード進行や転調に対応できるようにする考え方です。
コードスケールの中にモードスケールも含まれます。

コードスケールは主に楽器プレイヤーのための理論体系ですが、コードスケールの発想で作られている曲も多く、知っていると分析が楽になります。

コードやキーが特定できないときにメロディーの音階を分析することで、コードやキーを特定できる場合も多いです。

例えばCM7コードがあったとして
メロディーがCイオニアンならⅠM7
CリディアンならⅣM7、という具合です。

ダイアトニックコードのコードスケール

以下に各ダイアトニック・コードに対するコードスケール(モードスケールを含む)をあげていきます。

把握しやすいように全てC音をルートとしたものを例として記載、インターバル表記で各スケールの構成ものせておきます。
コードは四和音で書きます。

CM7 ⅠM7~イオニアン(1,2,M3,4,5,M6,M7)

この場合、CメジャーキーのⅠM7であるCM7に対して、Cイオニアンスケールが適用されるということです。

度数表記に関しては
M2→2
P4→4
P5→5

3度,6度,7度はM(メジャー)m(マイナー)の表記を付けるという書き方で統一します。

これらをすぐに全部おぼえるというのは大変と思いますので、曲の分析時に見返すためのアンチョコとして活用いただければ、と思います。

Cメジャーダイアトニックのコードスケール

CM7 ⅠM7(T) ~イオニアン(1,2,M3,4,5,M6,M7)(=メジャースケール)

Dm7 Ⅱm7(SD) ~ドリアン(1,2,m3,P4,P5,M6,m7)

Em7 Ⅲm7(T) ~フィリジアン(1,♭2,m3,P4,P5,m6,m7)

FM7 ⅣM7(SD) ~リディアン(1,2,M3,♯4,P5,M6,M7)

G7 Ⅴ7(D)~ミクソリディアン(1,2,M3,P4,P5,M6,m7)

Am7 Ⅵm7(T)~エオリアン(1,2,m3,P4,P5,m6,m7)(=ナチュラルマイナースケール)

Bm7♭5 Ⅶm7♭5(D)~ロクリアン(1,♭2,m3,P4,♭5,m6,m7)

Cナチュラルマイナーダイアトニックのコードスケール

Cm7 Ⅰm7(TM) エオリアン

Dm7♭5 Ⅱm7♭5(SDM) ロクリアン

E♭M7 ♭ⅢM7(TM/SDM) イオニアン

Fm7 Ⅳm7(SDM) ドリアン

Gm7 Ⅴm7(DM) フィリジアン

A♭M7 ♭ⅥM7(TM/SDM) リディアン

B♭7 ♭Ⅶ7(DM/SDM) ミクソリディアン

Cハーモニックマイナーダイアトニックのコードスケール

※ナチュラルマイナーから変化するコードのみ記載します。

CmM7 ⅠmM7(TM) ハーモニックマイナー(1,2,m3,4,5,m6,M7)

E♭M7♯5 ♭ⅢM7♯5(TM/SDM) イオニアン♯5(1,2,M3,4,♯5,M6,M7)(リディアンオーギュメントでもok)

G7 Ⅴ7(D) ハーモニックマイナー・パーフェクト5thビロウ(1,♭2,M3,P4,P5,m6,m7)(以下HMP5B)

Bdim7 Ⅶdim7(D) オルタード♭7(1,♭2,♯2,M3,♯4,♯5,6)(ディミニッシュスケールでもok)

Cメロディックマイナーダイアトニックのコードスケール

CmM7 ⅠmM7(TM) メロディックマイナー(1,2,m3,4,5,M6,M7)

Dm7 Ⅱm7(SD) ドリアン♭2(1,♭2,m3,4,5,M6,m7)(メジャーキーへの一時転調としてドリアンでもok)

E♭M7♯5 ♭ⅢM7♯5(TM/SDM) リディアンオーギュメント(1,2,M3,♯4,♯5,M6,M7)

F7 Ⅳ7(SD) リディアン7th(1,2,M3,♯4,5,M6,m7)

G7 Ⅴ7(D) メロディックマイナーパーフェクト5thビロウ(1,2,M3,4,5,m6,m7)

Am7♭5 Ⅵm7♭5(TM/SDM) オルタードドリアン=スーパーエオリアン(1,2,m3,4,♭5,m6,m7)(ロクリアンでもok)

B7♭5 Ⅶ7♭5(D/SDM) オルタード=スーパーロクリアン(1,♭2,♯2,M3,♯4,♯5,m7)

ノンダイアトニックコードのコードスケール

今度はノンダイアトニック系のコードスケールです。
こちらも例は全てCメジャー・Cマイナーで書いています。

セカンダリードミナント

Cメジャーキーで説明すると

メジャー系コードに対するセカンダリードミナント
(D7→G,C7→Fなど)→ミクソリディアン

マイナー系コードに対するセカンダリードミナント
(B7→Em、A7→Dmなど)→HMP5B

となります。

それぞれ次の解決先コードをⅠ,Ⅰmととらえて、そこから数えたⅤ7のコードスケールを適用します。

注意するのは解決先のコードがドミナント7th化されている場合などですが、その場合、ドミナント7th化される前の元コードで判断します。

例えばCメジャーキーで
C7→F7はF7の元コードはFM7なのでメジャー系ドミナント進行
D7→A7はA7の元コードはAm7なのでマイナー系ドミナント進行
B7→E7もE7の元コードがEm7なのでマイナー系です。

ドミナント7th化されたコード

セカンダリードミナント以外のドミナント7th化されているコードですが、付加されるテンションでコードスケールが変わってきます。

ノンオルタード系は原則、ミクソリディアンかリディアン7thです。

オルタード系は色々あります。

  • オルタード(1,♭2,♯2,M3,♯4(=♭5),m6,m7)
  • コンビネーション・オブ・ディミニッシュ(1,♭2,♯2,M3,♯4,P5,M6,m7)
  • ホールトーン(1,2,M3,♯4,♯5,m7)
  • HMP5B

ドミナント系コードのコードスケールについて補足

メジャーキー、マイナーキーに関わらず、Ⅴ7とセカンダリードミナントに対して、オルタード、コンディミ、ホールトーン等のコードスケールが適用可能ですが、これはジャズのフレージングになってくるので、多用するとジャズっぽくなっていきます。

裏コード

ドミナント代理の裏コードに対しては、リディアン7th(1,2,M3,♯4,5,M6,m7)が用いられます。

例えば、Ⅴ7の裏コードは♭Ⅱ7、Ⅵ7の裏コードは♭Ⅲ7となりますが、裏コードに対しては全てリディアン7thが適用できます。

ディミニッシュ

パッシングdimをはじめとした各種ディミニッシュコードには、ディミニッシュスケール(1,2,m3,4,♭5,♯5,M6,M7)を使います。

ただし、ドミナント代理でディミニッシュコードが使われる場合、例えばⅤ7(♭9)代理の♭Ⅵdimなどでは、ⅤHMP5BやⅤオルタードなどでもいいです。
Ⅴコンディミ(後述)を使えば結果として、♭Ⅵディミニッシュスケールと同じものになります。

ノンダイアトニックトニック系代理コード

よく使われるノンダイアトニック系代理コードのコードスケールは以下の通りです。
例としてCメジャーキーで書きます。

D♭M7 ♭ⅡM7(SDM) リディアン

D♭7 ♭Ⅱ7(D) リディアン7th

Em7♭5 Ⅲm7♭5(SD) ロクリアン

FmM7 ⅣmM7(SDM) メロディックマイナー

F♯m7♭5 ♯Ⅳm7♭5(SD) ロクリアン

A♭m7 ♭Ⅵm7(SDM) ドリアン

B♭M7 ♭ⅦM7(SDM) リディアン

慣用句的オンコード

メジャーキーのドミナント・サブドミナント代理の慣用句オンコードは普通にⅤミクソリディアンでokです。

Dm7(onG) Ⅱm7(onⅤ)(D/SD) Ⅴミクソリディアン

FM7(onG) ⅣM7(onⅤ)(D/SD) Ⅴミクソリディアン

その他のノンダイアトニックコード

上であげたもの以外のノンダイアトニックコードが実際には結構出てきます。
多くは経過的なものか転調がらみのものですが、こういうコードに対してとりあえず当てはめても変になりにくい、というコードスケールがあります。

アドリブ演奏などで分析が十分に出来てない状態で演奏しなければならないこともあるんですが、そういう時に頼れるのがコードスケールというわけです。
ゲーム音楽の採譜分析・アレンジでも結構役立っています。

メジャー7thコード→リディアン

マイナー7thコード→ドリアン

マイナーメジャー7thコード→ハーモニックマイナーかメロディックマイナー

マイナー7th♭5コード→ロクリアン

メジャー7th♯5コード→リディアンオーギュメント

ディミニッシュコード→ディミニッシュスケール

構成音的には、これでだいたいいけます。

通常のメジャー、マイナー以外の要素

通常のメジャーキー、マイナーキー以外の要素が入ってくることもあります。
この話はゲーム音楽論11でも取り上げているので、そちらの記事も参考にしてください。

西洋音楽理論で説明しきれないもの【ゲーム音楽論11】
ゲーム音楽論 第11回です。ゲーム音楽では多様な表現が求められます。今回は西洋音楽理論だけでは捉えきれない民族音階などの特殊な表現について触れています。

ここでは代表的なものだけあげていきます。

ブルーノート

ブルースやジャズで用いられるフレージングで、カントリー、R&B、ファンク、ソウルなどアメリカルーツの音楽では非常に多用されます。

使用されるコードは

Ⅰ7 Ⅳ7 Ⅴ7

というドミナント7th化された3コードがベースになります。

それぞれのコードに対して
ブルースメジャー(1,2,m3,M3,4,♭5,5,M6,m7)や

その省略形の
ブルーノートペンタトニック(1,m3,4,5,m7)
メジャーペンタトニック(1,2,M3,5,6)

さらにフレージングによってドリアン、ミクソリディアンなどがミックスされて使われます。

これらの構成音のうち、m3と♭5がブルーノートです。

ブルーノート系音楽の特徴としてコードが変わっても、Ⅰのブルーノート系スケール一発で通すこともできます。
もちろんコードごとにブルーノート系スケールを当てはめることも可能で、どちらでもいけるようになっています。

モードスケールの活用

今までモードはダイアトニックコードに当てはめるためのコードスケールとして扱ってきましたが、モードスケールのもうひとつの活用法として、Ⅰ・Ⅰmコードに対してモードスケールを当てはめることがあります。

Ⅰコードに対してリディアンを使ったり、Ⅰmコードに対してドリアンやフィリジアンを使うことがあります。
フィリジアンを使うとスパニッシュ・アラブぽくなります。
これが『転調』なのか、Ⅰコードにモードを適用させた『モードチェンジ』なのかは
曲の作りにもよるし微妙な場合もあります。

Ⅰコードに対してイオニアン・エオリアン以外のモードを使うと、それぞれ独特な雰囲気になりますよね。

各種民族音階

世界中にはたくさんの民族音階と、それに付随した理論体系が存在します。

和音階、中国伝統音楽、フォルクローレ、フラメンコ、インド音楽、アラブ音楽、などなど。

ゲーム音楽でもそのエッセンスを採り入れているものが多数あります。

今回は深入りしませんが、基本的にはその音階の構成音をもとにコード伴奏がつけられて西洋音楽理論とミックスされる形で採り入れられています。
興味があるかたは、とても面白いので研究してみるといいと思います。

――少し長くなりましたが、これで曲の分析に必要なコードとスケール等の知識はほぼ網羅しました。
次回から、実際の曲の分析方法に入っていきます。

ゲーム音楽を弾こう!前回

ノンダイアトニックコードと採譜が難しいコード【ゲーム音楽を弾こう!08】
ゲーム音楽を弾こう!第8回は、臨時記号が入るノンダイアトニックコードと、ルート以外の音がベースになった転回形コード・オンコードなど、採譜が難しいコードについてです。

ゲーム音楽を弾こう!次回

キー(調性)の把握【ゲーム音楽を弾こう!10】
ゲーム音楽を弾こう!も10回目になります。前回まででやった知識を活用して『キー(調性)の把握』について考えます。簡易的なキーの特定方法も提案しています。

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