前回は音階を中心に、一般的な西洋音楽理論を解説しました。
ゲーム音楽も一般的な音楽同様、大半が一般的な理論に基づいて作られているということもお話したとおりです。
ですが、いろいろと例外も存在します。
一般のメジャー・マイナーやモードでは説明しきれない部分、これが結構面白いと思うので、今回取り上げたいと思います。
ゲーム音楽は様々な特殊な表現が求められる
ゲーム音楽の独自事情として、ゲームの世界観に合わせたさまざまなカラー・表現が求めらる、ということがあります。
例えば、思いつくままにあげてみると
ファンタジーRPGの中世的世界、SF的未来的なモノ、エキゾチックな異国風味、和風、ホラー、田舎ののどかな情景、都会の洒落た雰囲気、極限状態の表現、特定の宗教的色彩、などなど。
さまざまなジャンルのフレーズやアレンジを駆使して、こういう表現をしていかなければなりません。
民族音楽系音階
ゲーム音楽に求められる様々な表現に使われる素材のなかで、メジャーマイナーやモードなどの一般的理論だけでは説明できないものの代表が民族音楽系です。
これには日本の伝統音楽やブルース系カントリー系のアメリカ伝統音楽も含まれます。
世界には多くの民族音階が存在していて、それらは独自の楽器やフレージングとセットになっています。
ある特定のカラーを表現するにはゼロから創造するより、そういう伝統的なものを取り込むほうが自由度が高いゲーム音楽には適したやりかたであり、主流になっています。
民族音階の解説はこちらの記事でやっていますのでご一読を。

以下に、ゲーム音楽での使用例をあげていきます。
インド・アラブ音楽・スパニッシュの系統
インド・アラブ系の音楽をとりいれたゲーム音楽をあげると、古くは『ピラミッドの謎 エルギーザの野望』とか、ドラクエ3のピラミッドのテーマとか。
スパニッシュ系は♭Ⅱ→Ⅰの進行がベースになりますが、ロマサガバトルなどメタル系の表現と組み合わされたりします。
和音階系
和音階を使ったゲーム音楽ですが
- 影の伝説
- 奇々怪々
- 源平討魔伝
- 月風魔伝
- がんばれゴエモン シリーズ
などなど、古くから和風世界観のゲームの必須要素です。
『東方プロジェクト』シリーズでは、和音階+テクノ要素の組み合わせをしていますが、これもまたゲーム音楽らしい表現の典型例ですね。
ブルーノート系
ゲーム音楽では自分が採譜した中だと、セガのヒロ師匠(川口博史さん)がブルーノート使いが多い印象です。
モードの活用
通常のダイアトニックではないモードスケールを活用したゲーム音楽は、古くはグラディウスが有名です。
採譜してみると他にもたくさんありますが、ゲーム音楽ではマイナーキーのⅠmにドリアンを当てはめるパターンが圧倒的に多いように思います。
民族音楽系の独自音階は世界中に多数存在する
代表的な民族系の音楽・音階をあげてきましたが、他にもたくさんあります。
フォルクローレだとか、中国の伝統音楽だとか、民族系音階は総じてペンタトニック(+アルファ)が多いですよね。
民族音楽とその独自音階は数えきれないくらいあるので、個別には説明しきれません。
ここでは概要だけ理解してもらっておいて、そういう曲を演奏したときに個別解説しようと思います。
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