『ゲーム音楽を弾こう!』は、今回で最終回となります。
自分のギター奏法の詳細解説はいずれフラメンコギターブログのほうでやろうと予定していますが、ソロギターアレンジの味付けとして重要な要素だし、個別曲のアレンジ解説でも用語が頻繁に出てくるので、こちらでも一通りの解説をしておきたいと思います。
ギターの奏法はジャンルや演奏者によってマチマチなので網羅はできませんが、自分がよく使う奏法に絞って解説していきます。
なお、文中に出てくるp,a,m,iという表記ですが、以下の通りです。
p=右手親指
a=右手薬指
m=右手中指
i=右手人差指
アルペジオ奏法
分散和音です。
コードを1音ずつバラバラに弾きます。
基本はアルライレのタッチで、親指でベースをとりながらimaの三指を組み合わせて弾きます。
あと、これはフラメンコ独特の弾き方ですが、強い音を出したいときはアポヤンドでアルペジオすることもあります。
アルペジオはリズムにのせて符割りをきっちり弾くものと、修飾音的にとにかく速く詰め込んで弾くものがあって、音の出し方や最適なフォームが少し違います。
アルペジオで伴奏をつけながらトップノートでメロディーを出すのは王道的な手法です。
トレモロ奏法
pで伴奏をつけながら、amiで弦を連打してロングトーンのメロディーを表現する奏法で『アルハンブラの思い出』が代表的ですね。
クラシックとフラメンコで弾きかたが少し違います。
- クラシック式はpamiで4連符
- フラメンコ式はpiamiで5連符
自分はテンポによって使い分けます。
サスティンの短いアコースティックギターでロングトーン主体の曲を弾くとき、かなり有効なテクニックです。
トレモロも修飾音符に使うことがあって、その場合はamiをアポヤンドで弾くとフラメンコっぽくなります。
音階奏法
基本はmiの相互弾弦でスケールを弾きます。
タッチはアルライレとアポヤンドを欲しい音質に応じて使い分けます。
フラメンコギターで『ピカード』と呼ばれる鋭い音の速弾きがありますが、ブリッジ寄りでアポヤンドのタッチで弾きます。
ピカードは習得が難しいテクニックの一つですが、フォームとタッチの安定が最大のポイントです。
普通にメロディーを弾くのにも音階奏法は使いますが、修飾的に速い音階を付加したりすると強いスパイスになります。
親指奏法
クラシックとフラメンコは親指の使い方が一番違います。
フラメンコギターでは1弦まで親指一本で弾くことも多いし、かなり重要です。
また、『サルサプア』と呼ばれる親指のストローク奏法も特徴的です。
親指のダウン&アップストロークに、単音アポヤンド・ゴルペ奏法・ハンマリング・プリングを絡めてメカニカルなフレージングをします。
ラスゲアード奏法
フラメンコギターといえばこれのイメージでしょうか。
弦をまとめてかき鳴らす特殊なカッティング奏法です。
フラメンコギターは踊りや歌への伴奏の場合、やっていることの8割以上はラスゲアードです。
大きく分けて二種類あります。
- 指をバラバラに使って鳴らす軽めのラスゲアード
ゴルペ奏法との組み合わせや、人差し指のアップストロークをうまくこなすのがポイント。 - アバニコ奏法に代表される腕全体を使うラスゲアード
主にima三本固めてのダウンストロークと親指のアップストロークが主役。
実際の演奏では、この二種類を混ぜて使います。
ソロギターアレンジでは、コードフォームの問題や音量バランスなどもあり、入れられるタイミングは限られてきます。
ゴルペ奏法
右手の爪や指の腹でボディを叩く奏法です。
ラスゲアードやアルサプア・親指単音弾きなどと組み合わせされます。
用途で数種類あります。
ボサノバ的な爪弾き
ソロギターでメロディーとベースをバランスよく弾くのに適しているので、自分はこの弾き方で通常メロディー部分を演奏することが多いです。
親指でベースをとりながらimaの三指でメロディーとコードを入れていきます。
アルペジオやリズムプレイも絡めやすく、大変使い勝手のいい奏法と思います。
自分のスタイルだとフラメンコ奏法とちょうどよく補完しあう感じなので重視な奏法になっています。
その他の奏法
この他にも様々なギター奏法があります。
自分もタッピングやスラップ・スラム奏法を一時練習していて、ソロギターにも入れたいなぁ、とは思ってたりもします。
でも、そのあたりの叩き系は他に凄く上手い人がたくさんいるし、まずは自分の専門であるフラメンコ奏法を上手く入れるアレンジを研究しないとな~、というところです。
ゲーム音楽を弾こう!企画、これにて完結です
今年の正月休み明けから企画したこの連載ですが、今まで7ヶ月に渡ってお付きあいいただき、ありがとうございました。
中盤から難しい内容になってきて、楽器や作曲に興味がない人にとってはしんどい内容かもしれないかな~、と思いながらやっていましたが、予定していた内容を一通りですが講座形式にまとめて形にすることができました。
ソロギターをやりたい人はもちろん、ギター以外の楽器をやってたり、DTMでゲーム音楽アレンジみたいなものを作ってみたい、という人の役に立てば嬉しいです!
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