今回から新連載『ゲーム音楽作曲家列伝』の執筆をはじめます。
第1回は昨年11月に訃報情報が伝えられた大野木宣幸さんです。
大野木宣幸さんは、ゲーム音楽の黎明期にナムコのメインコンポーザーとして活躍されたかたです。
大野木宣幸さんプロフィール・略歴
本名:大野木宣幸(おおのぎ のぶゆき)
生年月日:1956年1月27日~2019年8月?(享年63歳)
作曲家デビュー:1980年11月(ラリーX)
代表作品:マッピー、リブルラブル、メトロクロス
1980年 プログラマーとしてナムコに入社しますが、『ラリーX』のハイスコアBGMを作ったのをきっかけに、ナムコの専任サウンドスタッフを任されることになります。
これは日本のゲーム音楽の世界では初の『サウンド専任スタッフ』の誕生ということになります。
以降『ナムコ一強時代』の中心的存在として、1981年~1985年頃のナムコ主要作品の音楽を手がけます。
『ナムコ一強時代』の解説記事

1985年 ナムコ退社、ゲームミュージックCDなどを手掛けるサイトロンなどに参加。
その後もナムコ作品に曲提供していますが、ゲーム音楽関連のプロデュース業がメインになっていきます。
サイトロンを退社後(1990年代中頃?)はゲーム業界から離れ、実家の修善寺の温泉旅館の跡取りとして、静かに暮らしていたといいます。
ゲーム音楽作曲家としては、アーケードゲームでは1986年4月の『ホッピング・マッピー』まで、コンシューマー作品では、1991年の『ファミリーサーキット’91』(ファミコン)、1994年の『スーパーファミリーサーキット』(スーパーファミコン)あたりまで、ナムコ作品のコンポーザーとして活躍されていました。
2019年2月 ゲーム音楽作家に復帰。
コロンバスサークル社からリリースされた『16ビットリズムランド』に曲提供をしています。
担当曲等は不明。
2019年11月 インターネット上で訃報情報が伝わりました。
大野木宣幸さんの音楽
自分がビデオゲームをやりはじめたのは1981年頃ですが、ラリーX、ボスコニアン、ギャラガ、ポールポジションなどは、1982年あたりのゲーム体験初期の頃にプレイしています。
その時期はまだゲーセンに子供だけで行くことはありませんでしたが、駄菓子屋に回ってくる型落ちゲームと、たまに親に連れていってもらったデパートの屋上にあるゲームコーナーで、ナムコのゲームもやっていました。
その頃のゲーム音楽の中では、ゲームコーナーにあった『ポールポジション』が一番好きでした。
1983年に入ってからは『ゼビウス』(慶野由利子さん作)『マッピー』『ポールポジション2』『リブルラブル』が登場してきます。
自分がマッピーをやったのはMSXとファミコンだったので、1985年頃かな。
ちょっと後からです。
マッピーは初期のゲーム音楽としては、すぎやまこういちさんが絶賛するほどの名曲として有名です。

ポールポジション2は、ゲームコーナーでやってましたが、音楽も1からグレードアップしてるのがわかりました。
リブルラブルはゲームコーナーで観戦のみでしたが、凄く良く通るメロディーなので、音楽はしっかり覚えてました。

そして1985年、自分がゲーセンに出入りしはじめて間もない頃ですが、メトロクロスが登場しました。
これの音楽はインパクトありましたねー。
メトロクロスについては演奏の記事に詳しく書いているので、ご覧ください。

古き良きアメリカンスタイル
大野木さんの音楽は言葉で形容してみると『古き良きアメリカ』の香りがします。
- オールディーズ
- ビッグバンドジャズ
- カントリー
- ラグタイム
そういったジャンルを連想させるような曲が多いです。
ゲームセンター→カジノ→ラスベガス→アメリカンドリーム
みたいな連想でしょうか。
初期のゲーム音楽は大野木さんのアメリカンスタイルに追従したものも多く、一つの典型的なゲーム音楽の型が出現します。
2019年11月 訃報が伝わる
大野木さんの訃報情報が伝わったのは2019年11月でしたが、そのときのことはマッピーの追悼演奏のときと、2019年11月月例まとめ記事に詳細を書きました。

2019年2月に、25年ぶりにゲーム音楽作家活動に復帰した矢先の訃報でしたので、残念でなりません。
重ね重ね、ご冥福をお祈りします。
大野木宣幸さん作曲作品
※大野木さんが手掛けた作品は全てナムコのものです。
1980年
ラリーX(AC、1曲のみ)
1981年
ニューラリーX(AC)
ワープ&ワープ(AC)
ギャラガ(AC)
ボスコニアン(AC)
1982年
ポールポジション(AC)
1983年
マッピー(AC)
ポールポジション2(AC)
リブルラブル(AC)
1985年
メトロクロス(AC)
ワープマン(FC)
バトルシティー(FC)
1986年
ホッピングマッピー(AC)
1991年
ファミリーサーキット’91(FC)
ワールドサーキット(PCE)
1994年
スーパーファミリーサーキット(SFC)
2019年
16ビットリズムランド(MD互換機、詳細不明)
※略号
AC=アーケードゲーム
FC=ファミコン
PCE=PCエンジン
MD=メガドライブ
SFC=スーパーファミコン
1980年代アーケードゲームのゲーム音楽ソロギターアレンジ【大野木宣幸さん関連演奏動画】

ゲーム音楽作曲家列伝 次回

コメント
享年63歳とは、早すぎますね。
訃報は昨年知りましたが、今日に至るまでそれを打ち消す情報がないということは、現実として受け止めねばならないのでしょうね。
故人のご冥福を祈ります。
大野木さんの件は、にわかには信じられなかったですよね。
11月に関係者がFacebookに書いたことで一般の人にも伝わったらしいですが。
ポールポジションやリブルラブル、メトロクロスの音楽は子供時代の想い出の象徴なので、
訃報がどうやら本当らしい、ということを知ったときは、とても悲しかったですね。
あの時代のゲームを体験してる人はみんな同じ感情を持つんじゃないでしょうか。